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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第85話:知ったこっちゃない鉄拳と、確定する侯爵ルート

 時計塔の屋根の上。ヘンドリックは剣を突きつけたまま、正面の男をまじまじと見つめた。

「……あの最悪だったパーティーにいた、もう一人のメンバーだよな。名前は……失念したけどね」

「お、お前……! 『名前を失念した』だと!? 同じパーティーで泥水をすすった仲だろうが! 私は……ッ!」

「悪いが、本当に思い出せないよ。興味もなかったしね。それより、お前があの時、俺たちを馬車で轢こうとした御者だったのか。あまりに気配が澱んで別人みたいになってたから、顔を見るまで気づかなかったけど」

 ヘンドリックの淡々とした、しかし無関心きわまる拒絶に、男はさらに激昂した。

「当たり前だ! 俺たちがお前を追い出した後、パーティーの歯車がおかしくなって、ついにはあのリーダーまで死んだんだぞ! おかげで残された俺たちは依頼に失敗し続け、借金まみれになって裏社会に身を落とす羽目になった!」

 男は自らの無能さを棚に上げ、とんでもない言いがかりを叫び続ける。

「もともと一緒のパーティーだったんだから、俺たちが落ちぶれていくのを知った時点で、お前から助けに来てくれてもよかっただろうが! なんで何もしてくれねえんだよ! パーティーがぐちゃぐちゃになったのも、俺がこんな裏社会に落ちたのも、全部お前が俺たちを見捨てたせいなんだよ!」

 自ら追放しておいて「助けに来ないお前が悪い」と喚き散らす、支離滅裂な八つ当たりの咆哮。

 だが、それは今のヘンドリックには一切響かなかった。

『アイシャが魔族でピンピンしてたってことは、俺が三十五年間も女を遠ざけて独身を貫いてきた理由って……マジで何だったんだ? ただのバカじゃねえか。しかも、今日という貴重な休日をこいつのアホみたいな逆恨みで台無しにされた挙句、侯爵にまでされようとしてるんだぞ……?』

 ヘンドリックの脳内は、自分自身の「三十五年の虚無」への怒りと、静かな絶望で完全に沸点に達していた。

「……だが、私は力を手に入れた! この『狂乱の魔石』を授けてくださったあのお方――【闇商人】様に従えば、お前のような偽物の英雄など! さあ、絶望しろヘンドリック! お前の大切なものをすべて……」

「うるせえええええええええええっ!!!」

 ヘンドリックの堪忍袋の緒が、物理的な音を立ててブチ切れた。

「こっちは今、自分の人生の三十五年間がただのピエロだったって知って、情緒がメチャクチャなんだよ! お前のしょぼい言いがかりとか逆恨みなんて、知ったこっちゃねええええっ!」

 ヘンドリックは【オリハルコンの剣】を無造作に鞄に放り込み、代わりに愛用の【ミスリル製の特注スコップ】を力任せに引き抜いた。

 そして【身体強化Lv1】と【解体Lv1】の複合で急所を見極め、すべての怒りを腕力に注ぎ込み、喚き散らす元メンバーの顔面に向けて、渾身のフルスイングを叩き込んだ。

 ガゴォォォォォォンッ!!!

「あべしっ!?」

 特大の打撃音と共に、元メンバーの男は顔面をひしゃげさせ、時計塔の屋根から遥か彼方の空へと星になって飛んでいった。

 おっさんの「三十五年の怒り」を乗せた一撃の前に、闇商人の尖兵による襲撃計画は、一瞬にして木っ端微塵に粉砕されたのである。

 時計塔の屋根に一人残されたヘンドリックは、スコップを肩に担いで夜空を見上げた。

『……まあ、いいか。三十五年は戻ってこないけど、別に俺が誰かを傷つけたわけじゃなかったんだからね。それだけで、十分じゃないか』

 胸の奥でくすぶっていた罪悪感が、少しだけ軽くなった気がした。


 数十分後・学舎の正門前。

「お兄ちゃん! 助けてくれてありがとう!」

 無事だった妹が、涙目でヘンドリックの胸に飛び込んでくる。

 その小さな体を抱き止めながら、ヘンドリックはようやく長い息を吐き出した。

 事件は一応の解決を見た。妹の無事を確認し、ホッと肩の力が抜けたその時だった。

「ヘンドリック殿。やはりあなたは最高の英雄だ。……昔から不器用だったけれど、本当に優しかったものね。素敵な奥様たちとお幸せに」

 ルークに肩を抱かれたアイシャが、清々しい笑顔でそう言い残し、二人は夜の闇へと消えていった。

『……っ』

 ヘンドリックの胸の古傷が、塩を塗り込まれるように激しく痛む。

 幸せそうに笑うアイシャの横顔。ルークに寄り添うその姿。

 三十五年間、ずっと頭の中にあったあの光景とは全然違う。彼女はもう、完全に別の人生を歩んでいた。

 それは当たり前のことだった。三十五年間も、ずっと。

 しかし絶望の波は止まらない。地響きのような蹄の音と共に、王室の近衛兵を引き連れた王女が到着したのだ。

「見事だ、ヘンドリック! 襲撃犯の排除と学舎の防衛、しかと見届けたぞ!」

 王女が馬上から高らかに宣言する。

「約束通り、そなたをこの国の『侯爵』に任命し、わらわとの婚姻の儀を大々的に進めることを決定した! これで、もう逃がさぬぞ!」

「や、やったあっ! ついに旦那様が侯爵に! これで私たち、全員で旦那様と結婚できますわ!」

「ボスの子、いっぱい産むんだゾー!」

「これから毎日、旦那様の愛をたっぷり注いで差し上げますからね……っ!」

 エリーゼ、ミラ、サンネの三人が、感動の涙を流しながらヘンドリックに抱きついてくる。弟子たちや民衆からは、割れんばかりの拍手と「ヘンドリック侯爵、万歳!」の大歓声が巻き起こった。

「違う……俺はただ……スローライフが、したかっただけなのに……アイシャぁ……」

 初恋の思い出は散り、ソロの気楽な生活は完全に消滅。さらには今回の件で、背後に潜む【闇商人】という真の敵の存在まで浮上してしまった。

 最強の便利屋おっさんは、逃げ場のない愛とさらなる面倒事の予感に、ついに白目を剥いて力なく気絶するのであった。

【レベル1便利屋おっさんの勘違い受難劇・第一部 完】 

● 手配書(-_-;) 第一部完結編 ●


王女「皆の者、大儀であった! 第一部完結を祝し命ずる! わらわへの忠誠を示すため、画面下の星を【★★★★★】にし、ブックマークを入れるのだ!」


ブラム「いや王女様、めっちゃ直接要求するじゃないですか! おっさん、白目剥いてる場合じゃないぜ! 王女様が勝手に読者へおねだりし始めてるぞ!」


ロッテ「すごいですね! 師匠が気絶している間に、国を挙げてのポイント獲得作戦が始まっています!」


ヘンドリック「(白目を剥いて気絶中)……やめろ……俺の……スローライフ……」


エリーゼ「王女殿下、抜け駆けは許しませんわ。……読者の皆様、星を入れるなら王女殿下ではなく、妻である私たちのためにお願いいたしますの。ぜひ下の星を押してくださいませ」


サンネ「うむ! 読者殿、我らに【ブックマーク】を! そして最高の【ポイント評価】を頼む!」


ミラ「ボスの一番は私なんだゾ! だからみんな、私のお願いを聞いて星とブックマークを押してほしいんだゾ!」


ーーおっさんの絶望と共に第一部完結です! ここまでお付き合いいただきありがとうございました!


第二部開幕に向けて、激戦区の異世界ファンタジー部門で戦い抜くための力をいただけないでしょうか。ヒロインたちの直接のおねだりに免じて、ぜひ下部の【ポイント評価】と【ブックマーク】をよろしくお願いいたします!

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