表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

81/259

第81話:悪魔の囁きと、終わらない介護地獄

 ルークが去ってから数日。

 ヘンドリックの麻痺は徐々に和らぎつつあったが、まだ指先がわずかに動かせる程度だった。


 その日の午後、たまたま寝室にはエリーゼとヘンドリックの二人きりになっていた。

 他の三人が買い出しや屋敷の警備で席を外しており、静かな時間が流れている。


「旦那様。お顔、拭きますね」


 エリーゼは温かいおしぼりでヘンドリックの頬を優しく拭うと、そのままふと手を止め、ヘンドリックの顔をジッと見つめた。

 そして彼女は、スッと顔を近づけ、動けないヘンドリックの唇に、そっと自分の唇を重ねた。


『……っ!?』


 一瞬の、甘く柔らかい感触。

 ヘンドリックの顔が一気に茹でダコのように赤くなる。


「ふふっ。旦那様、耳まで真っ赤ですわ」


 エリーゼが嬉しそうに微笑む。

 ヘンドリックは心の中で激しく動揺していた。


『い、いや、ちょっと待て。俺は冒険者だぞ。いつ迷宮で野垂れ死ぬかわからない危険な稼業だ。それに、特定の恋人なんて作ったら、俺が死んだ時に悲しませるし、何より残りの三人(特にサンネや王女)が黙っちゃいない。血の雨が降る……!』


 冒険者としての現実的なリスクと、ヒロインたちの重すぎる愛の板挟み。

 そんなヘンドリックの内心の葛藤を読み取ったのか、あるいは全く別の解釈をしたのか、エリーゼは彼の耳元に顔を寄せ、甘く、そして恐ろしい悪魔の誘惑を囁いた。


「旦那様。もしかして、誰か一人を選んだら他の子が悲しむとか、冒険者として私たちを危険に巻き込みたくないとか……そんな不器用なことを考えていらっしゃいますか?」

「…………(図星だ)」

「ふふ。簡単なことですわ。私たち全員と結婚して、旦那様が侯爵になれば、すべて無事に解決ですよ? 私たちは強いですから、あなたの足手まといにはなりませんし、全員であなたを一生お守りしますから」


『ちっとも解決してない! むしろ俺のスローライフが四等分されて完全に消滅するだけだ!』


 心の中で絶叫するが、声にはならない。

 その後、さらに数日が経過し、ヘンドリックはついに【狂笑の呪面】の呪縛から解放され、体を動かせるようになった。


「あ、ああ……動く! 指が動くぞ! よし、着替えも食事も自分でできる!」


 歓喜の声を上げるヘンドリック。だが、ヒロインたちの過保護は終わらなかった。


「ダメですよ旦那様! まだ病み上がりなのですから! さあ、あーん」

「下の世話はもういいにしても、お着替えと体拭きは私たちがやりますからね!」


 せっかく動けるようになったにもかかわらず、結局ベッドに縛り付けられ、赤ん坊のようにスプーンで食事を口に運ばれるヘンドリック。

 彼の尊厳は、もはや風前の灯火であった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ