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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第29話:規格外の魔力と、懲りない愚者たち

ギルドの酒場で、【黎明の止まり木】のランキング一位を祝ってささやかな祝勝会が開かれていた。

サンネやミラたちが喜ぶ中、ヘンドリックは一人、自身のステータスを静かに確認していた。

『総魔力量、ついに7000を超えたか……。毎晩の枯渇訓練の成果が確実に出ているね』

一般的に、天才と呼ばれる高位の魔導師でも総魔力量はせいぜい100程度だ。魔法の消費魔力はレベルの二乗に比例する。つまり【レベル1魔法】の消費魔力は「1×1=1」。だが【レベル10魔法】の消費魔力は「10×10=100」となる。

普通なら、レベル10の大魔法を一度放てば魔力枯渇に陥って倒れてしまう。しかし、ヘンドリックは7000超えの異常な魔力タンクを持ちながら、消費魔力がたった「1」の【レベル1魔法】しか使わない。

無詠唱で放たれる、7000連発の魔法弾幕。

それが、彼がトップランカーたちを赤子扱いし、深層の魔物すら圧倒できる「理不尽な手数」の種明かしであった。

「師匠! 俺たち、本当にトップになっちゃいましたね!」

「はいっ! ヘンドリックさんたちのおかげです……!」

ブラムとロッテが無邪気に笑う横で、不意に酒場の空気を凍らせるような下品な怒声が響き渡った。

「ふざけるな! お前らみたいなレベル1のゴミの寄せ集めが、ランキング一位だと!?」

振り返ると、そこには顔を真っ赤にした男たちが立ち塞がっていた。彼らはトップ10に名を連ねていた、ヘンドリックのかつての所属パーティー【神創の覇星】の面々である。

彼らは「お前の実力じゃもうついてこれないから、泣く泣く手放すんだ」という白々しい建前でヘンドリックを追放した。その後、穴埋めとしてブラムを、次にロッテを加入させるも、あまりの惨状に即座に逃げ出されていたのだ。

「おいヘンドリック! お前、俺がせっかくお前の代わりとして直々にスカウトしてやった有望な新人たちを、卑怯な手で引き抜きやがったな! おかげで俺たちの順位はガタ落ちだぞ!」

リーダーの男が理不尽な難癖をぶちまける。その言葉に、ブラムは心底軽蔑したような目を向け、吐き捨てるように言い放った。

「スカウトだと? 笑わせるな。俺を前衛で孤立させて、自分たちは安全圏から見殺しにしようとしたくせに!」

「私なんて……魔物の群れに置き去りにされた上に、夜は見張りを押し付けられて……それに、気持ち悪いセクハラまで……っ!」

ロッテがブラムの背中に隠れながら震える声で事実を突きつける。

だが、元リーダーは顔を真っ赤にしてさらに怒鳴り散らした。

「うるせえ! 俺がスカウトしてやった恩も忘れて、こんな万年レベル1のゴミに寝返りやがって!」

男が剣の柄に手をかけた、その瞬間だった。

ヘンドリックの背後に控えていた三人の美女から、一斉に背筋の凍るような殺気が放たれた。

「……私の愛するリーダーを、ゴミと呼んだかしら?」

エリーゼの周囲の空気が物理的に凍りつき、サンネが静かに盾を構え、ミラが喉の奥で獰猛な獣の唸り声を上げる。ブラムも大剣に手をかけ、ロッテも短剣を構えてかつての横暴な先輩たちを鋭く睨みつけた。

圧倒的な実力差と、愛する男を侮辱された乙女たちの静かなる激怒。

自らの無能さを棚に上げ、三度目の愚行に及んだ者たちに対する、一方的で無慈悲な「教育」の時間が始まろうとしていた。

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