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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第235話:王家の封印と、めくられた世界樹

 迷宮の最下層。

 道中の恐ろしい魔物たちを脳筋三人組(サンネ、ミラ、魔王)が物理的に粉砕し続け、ついに俺たちは目的の巨大な扉の前に辿り着いた。


「……着いたぞ。この奥が、世界樹の本体が眠る最奥の間じゃ」


 ルミナリア王女が、かつてないほど威風堂々とした足取りで扉の前に進み出た。

 扉には、王家の紋章が厳かに刻まれている。


「この扉は、王家の血と魔力にのみ反応する絶対の封印。旦那様が三下の雑魚と化していた時は力技で強引にこじ開けたようじゃが、今はわらわの出番じゃな。下がっておれ!」


 ルミナリアがドヤ顔で胸を張り、封印を解くべく手を伸ばそうとした。

 だが、俺がその後ろへ何気なく一歩近づいた、その瞬間だった。


『ヒャッハー! ここは俺様の縄張りだぜぇ! 獲物を横取りする奴はぶっ殺すぜぇ!』


 突如、扉の表面に下品な魔力文字が浮かび上がり、チンピラのようなガニ股の俺の幻影が映し出された。


【オカエリナサイマセ、アニキ】


 ガチャコンッ、ズゴゴゴゴゴ……!

 無機質なアナウンスと共に、王家の絶対の封印はあっさりと解け、まるで自動ドアのように左右へと開いてしまった。


「……え?」


 ルミナリアの扇子が、ポロリと手からこぼれ落ちた。


『……ちょっと待ってほしいんだけどね。俺の三下時代の黒歴史が、ダンジョンのセキュリティシステムとして完全に上書き定着しちゃってるんだけどね』


 同行者全員から、再び冷たいジト目が俺へと突き刺さる。

 王家の血筋よりも三下の俺が優先されるという事実に、ルミナリアはワナワナと震えていたが、今はそれどころではない。


 開かれた扉の奥には、俺がへし折った世界樹の巨大な切り株が鎮座していたからだ。

 その切り株は枯れるどころか、溢れんばかりの清浄な魔力を放って輝いていた。


「……おおっ! これぞまさしく、我らが魂の故郷たる世界樹の本体……!」


 エルフのアレンが涙を流してひざまずき、エリーゼも祈るように手を組んだ。

 その時、切り株の中心から眩い光が立ち上り、一人の少女の姿を形作った。


 新緑の髪と、透き通るような白い肌。世界樹の魔力そのものが受肉した精霊――ドライアドだ。

 彼女は目を瞬かせると、俺を見るなり花が咲いたような笑顔を浮かべた。


「ああっ、パパ! ずっと待ってたの!」


「……は?」


「パパがたーっくさん魔力を注いでくれたから、私、生まれ変わることができたの! パパ、だぁいすきっ!」


 ドライアドが一直線に飛んできて、俺の首に思い切り抱きついた。


『……パパ!? 俺が大量の魔力を流し込んだせいで、世界樹の化身が俺を親(あるいは番)だと認識して……ヤバい!ヒロイン化してるんだけど!』


「だ、旦那様!? 世界樹の精霊様が、旦那様のことをパパと……!? これはいったい、どういうことですの!?」


 エリーゼが、信仰の対象である世界樹と、愛する旦那様との間に生まれた未知の関係性に激しく動揺している。

 まさに神秘的かつ、正妻同盟の新たな火種となる感動の対面――になるはずだった。


 ボコッ。


 突如、ドライアドの足元の石畳が液状に波打ち、地中から見覚えのある顔がひょっこりと顔を出した。


「うひゃひゃひゃひゃっ!」


 屋敷の軒先で回転させられていたはずの、土の精霊(男)だ。

 彼は執念で地中を潜ってここまで先回りしていたらしく、満面のドヤ顔と共に、俺に抱きついているドライアドのスカートの裾を力強く掴み……。


 ベロンッ!!


「……?」


 勢いよく捲り上げられたスカートの奥。

 世界樹の化身であるドライアドは、何が起きたのか全く理解できないという風に首を傾げたまま、下着すら身につけていないであろう『禁断の逆三角形(純白の葉っぱの意匠)』を、これでもかと無防備に披露し続けていた。


「ひぃぃぃぃぃぃっ! ま、またですのぉぉぉぉぉっ!?」


 その後ろで、昨日のトラウマを強烈に呼び起こされたセリアが、頭を抱えて絶望の悲鳴を上げ、その場に崩れ落ちた。


「き、貴様ぁぁぁっ! 今度こそ消し炭にしてくれるわっ!」


「待てルミナリア、聖具を使うのは早まるんだゾ!」


「ああっ、パパ? 下がスースーするの。これって人間界の挨拶?」


『……神聖な世界樹との対面が、ただのセクハラ事案にすり替わったんだけどね。あの土の精霊、本当にミクロン単位も空気が読めないんだけどね!』


 三下のセキュリティ、パパ呼びの樹の精霊、絶望するエルフの美女、そして禁断の逆三角形。

 俺は最下層の極限のカオスの中で、静かに、そして確実に自分の胃が崩壊していく音を聞くのだった。

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