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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第230話:オールスター、迷宮に再臨する

 翌朝、こうしゃく邸の玄関前には、およそダンジョン探索とは思えないほどの大所帯が集結していた。


「……ちょっと待ってほしいんだけどね。俺の記憶が正しければ、ダンジョン探索っていうのは、精鋭数名でひっそり潜るものだったはずなんだけど、なんか人数多いんだけど」


 俺は、目の前に広がる光景に眩暈を覚えながら、重い口を開いた。


 まず、重武装のサンネと、やる気満々のミラ、そして絶対零度の冷気を纏ったエリーゼ。ここまではいい。いつもの最強布陣だ。


「アタシも行くぜ! あの時のお返しの拳、最下層の連中にぶち込んでやらないと気が済まないからな!」


 旅先から戻ったばかりの魔王マジカが、ヨガウェア姿でシャドーボクシングをしながら吠えた。


「当然、わらわも行く。……というか、わらわがいなければ最下層の『王家の封印』が解けぬからな。旦那様が三下になっていた時は力技でこじ開けたようじゃが、今は無理じゃろう?」


「……あ、そういえばそんな門もあった気がするんだけど、どうだったかな。王女様を戦場に連れて行くなんて、近衛騎士団が聞いたら卒倒すると思うんだけど」


 俺が冷や汗を流していると、その後ろでブラムとロッテが仲睦まじく装備の点検をしていた。


「おっさん、俺たちも手伝うぜ! 公爵様の初仕事に、未来の騎士候補が同行しないわけにはいかないだろ!」


「ブラム君の言う通りです、お師匠様。二人の愛の力……あ、いえ、精一杯の魔法でサポートさせていただきますね」


『……お前ら、さっきから微妙に距離が近すぎるんだけどね。ダンジョンの中でまでイチャイチャを見せつけられる俺の身にもなってほしいものだよ』


 さらに、昨夜居候が決まったばかりのエルフの二人組、セリアとアレンも準備を整えていた。


「我らが里の復活の鍵となった世界樹の本体……この目で見届け、記録する義務がありますわ。……あと、ヘンドリック様、昨日の責任は取っていただきますからねっ!」


「……セリア、あまりヘンドリック殿を困らせるものではない。……ですが閣下、私も記録係として全力を尽くします」


 頬を赤らめて睨んでくるセリアと、真面目すぎるアレン。


 そして、最後尾では……。


「……さて。私は急ぎの商談を思い出しました。これにて失礼を……」


 闇の商人が、音もなく背後へステップを踏んで逃げ出そうとしていた。

 だが、その襟足を、影から伸びた黒い鎖がガシッと捕らえた。


「どこへ行くのですか。貴方は今回の『お宝』を鑑定し、輸送ルートを確保するという重要な仕事があるのですよ」


 イリスが、冷酷な笑みを浮かべて商人を引き戻す。


「いやあ、イリスさん! 俺、ただの商人だし! 戦闘力ゼロだし! 死地に向かうのはちょっと……!」


「大丈夫ですよ。死なない程度に、私が影で守ってあげますから。……さあ、行きましょうか」


「……う、うう。俺の平穏な商売ライフが……」


 商人は絶望的な表情で項垂れ、俺と同じような顔をして胃の辺りを押さえていた。


『……商人さん、その気持ちは痛いほどわかるんだけどね。俺の仲間にもう一人、胃薬を共有できる奴ができたのは心強いね。なんだか親近感がわくのは何故?』


 こうして、最強の魔術師おっさん、王女、ハイエルフ、女騎士、獣人、魔王、若手カップル、エルフ、闇の精霊、そして不憫な商人という、わけのわからない大所帯が完成した。


「よし、全員揃ったな! 目標はダンジョン最下層、世界樹の本体! 出発じゃ!」


 ルミナリアの号令が響き、俺たちはかつて俺が三下のチンピラとして大暴れした、あの因縁の迷宮へと再び足を踏み入れるのだった。

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