【番外編】緊急SS・判明した魔王の『マジカル』な秘密。そして次なるターゲットは……
総合評価500突破記念の特別SSをお届けします! こちらは本編と連動しておりますので、ぜひお楽しみください。
「そういえば、この世界って、名前がない人が多すぎるんだゾ!」
主であるヘンドリックが魔王の添い寝(物理)によって気を失い、静寂が訪れたはずの拠点で、ミラがふとそんな疑問を口にした。
「確かに……。最初に出てきて、それっきり登場しない方も多すぎますわね」
「ええ。かく言う目の前の魔王様すら、我々は『魔王』という役職名しか存じ上げませんの」
エリーゼとサンネの鋭いメタ的な視線が、気まずそうに佇む魔王へと向けられた。
「え、そりゃあ……私は魔王さ。魔王以外の名前なんてないんだぞ!」
魔王は慌てて顔を背けるが、ヒロインたちの追及の目は誤魔化せない。
「魔王になる前はどうでしたの? 貴族のような家名があったのではありませんこと?」
「あ、ああ……。我は誇り高き血脈。その名は『マジカ』。そして由緒正しきルキャン家の血を引く、ディ領の主なり……」
『マジカ・ルキャン・ディ』
重々しく、そして誇り高く名乗った魔王だったが、拠点には冷たい風が吹き抜けた。
「……マジカ、ルキャン、ディ?」
「……マジカル、キャンディ?」
「なんだか、すっごく甘くて美味しそうな名前なんだゾ!」
ミラの無邪気な声が決定打となった。
「ち、違う! 我は真に恐ろしい存在だ! 魔法少女とかお菓子とか、そういうんじゃないんだぞ!」
必死に弁明する魔王。しかし、エリーゼとサンネは顔を見合わせると、深く深く頷いた。
「……魔王様。今まで、ずっとお一人でその重荷を背負って……お辛かったですわね」
「もう無理して悪いことしなくていいんですのよ、キャンディちゃん……」
「同情するな! その生温かい目で我を見るなああぁぁっ!」
「うっせえええっ! 人が気ぃ失ってんのに、キャンキャン騒ぐなあ!」
突如、横たわっていたヘンドリックが跳ね起き、怒鳴り声を上げた。
「ひっ……! 今、キャンって言った!? うわーん……ヘンドリックがいぢめるぅ!」
自身のトラウマである名前の響きを拾われた魔王は、完全に幼児退行し、涙目を浮かべて走り去ってしまった。
「……というわけで。まだ名前が決まっていない人々を深く追求すると、このような大惨事になるようですわね」
「ええ。これ以上は危険ですわ。本当に良かったですね、作家様……いえ、創造紳様」
「お、おい……。お前ら、さっきから誰に向かって話してるんだ? 紳ってなんだよ……!」
ただ一人、魔王の本名を聞き逃したヘンドリックの困惑だけが、拠点に空しく響き渡ったのだった。
【なろう読者様へ・作者より】
皆様、いつも応援ありがとうございます!
そして魔王の本名「マジカ・ルキャン・ディ」……区切り方を変えると「マジカルキャンディ」になることにお気づきいただけましたでしょうか。本人は非常に気にしています。どうか温かい目で見守ってあげてください。
次の目標は総合評価1000です。
1000突破の暁には、また特別なSSをご用意する予定ですので、どうかお楽しみに!
引き続き、ヘンドリックと愉快な仲間たちをよろしくお願いいたします!
サンネ「……創造紳の皆様、今後ともよろしくお願いいたします」
ミラ「ありがとうなんだゾー!!」
エリーゼ「旦那様のスローライフへの道は、まだまだ遠うございますわ。ふふっ」
ルミナリア「わらわたちもおるからのう。ふふふ」
ヘンドリック「……だから創造紳って誰なんだよ。スローライフが遠ざかっていくんだよ……おい創造紳とやら、何とかしろよ!」
魔王「細かいことは気にしなくていいんだぜ! アタシのためにも、もっと頼むぜ! ガハハハハッ!!」




