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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第197話:エリーゼの限界密着介護と、初心な暴走

 永遠にも感じられたサンネの過激な一時間がようやく終わり、俺はベッドの上で魂が抜けかけたようにぐったりとしていた。


「さて、ここからは私の時間ですわね」


 ベッドの脇に優雅に腰を下ろしたのは、二番手の権利を勝ち取っていたエリーゼだった。切れ長の美しい瞳が、獲物を狙うように俺を見下ろしている。


「あー、エリーゼ。お腹はいっぱいになったんだけど、その……のどが渇いたんだよね。水を少しもらえるかな」


「承知いたしましたわ。旦那様は指一本動かせないのですから、私が責任を持って飲ませて差し上げます」


 エリーゼはテーブルから水の入ったコップを手に取ると、躊躇うことなく自分自身の口に水をたっぷりと含んだ。


『えっ、ちょっと待って。さっきのサンネの口移しを見て対抗心を燃やしてるんだろうけど、エリーゼってこういう時、なんだかんだでウブだったよね!?』


 俺の嫌な予感は的中した。


 俺の顔に近づいてきたエリーゼの顔は、ぱっと見こそ無表情のクールなフランス人形のような美しい顔立ちを保っている。だが、その白い頬は湯気が出そうなほどに真っ赤に染まっていたのだ。


 俺には分かる。パーティメンバーとしてみてきた俺の目には、彼女の表情のわずかな変化が手に取るように見え、その内心の声すら聞こえてくるようだった。


『(こ、これは……! サンネに負けじと勢いでやってしまいましたけれど、実際実行すると恥ずかしすぎるわ……! ああ、でも旦那様の困ったような表情が間近に……だ、だめ……耐えられない……っ!)』


 そんなパニック状態の彼女の心の声が、真っ赤な耳の先からダダ漏れになっているのだ。


 だが、エリーゼは持ち前の意地とプライドで引き下がることはなかった。真っ赤な顔のまま、震える唇を俺の唇へと重ねてきたのだ。


「んっ……」


 冷たい水が、彼女の熱い吐息と共にゆっくりと俺の口内へと注ぎ込まれる。俺は動けないまま、されるがままに喉を鳴らした。


 水はすぐに飲み終わったというのに、エリーゼはなぜか一向に唇を離そうとしない。それどころか、ウブな羞恥心を隠すように、さらに深く密着してくる。


『あの、エリーゼさん? もう水は飲んだんだけどね? これ以上はただのキスだよね!?』


 俺の無言の抗議が通じたのか、数十秒後、エリーゼはやっと荒い息を吐きながら唇を離した。その目はすっかり潤み、クールな面影はどこかへ吹き飛んでいる。


「ふう……のどの渇きは癒えましたか、旦那様。では、次は戦闘で汚れたお体を、徹底的にお清めいたしますわね」


 エリーゼはそう言うと、温かいお湯で濡らした布を手に取った。俺はホッと息をついた。体を拭いてもらうだけなら、先ほどの下の世話や口移しよりはいくらか平穏だと思ったからだ。


 だが、俺のその考えは甘すぎた。


「綺麗にしますわね、旦那様」


 エリーゼは濡れ布巾で俺の胸板を優しく拭きながら、なぜか自分自身の胸元や腕を、俺の体にこれでもかとすり寄せてきたのだ。


「ちょ、エリーゼ。拭いてくれるのはありがたいんだけど、密着しすぎじゃないかな……」


「お気になさらず。旦那様の体温と脈拍を、こうして直接肌で感じながらでなければ、完璧な看病とは言えませんから」


 言葉とは裏腹に、彼女の顔は相変わらず限界まで真っ赤だ。ウブな羞恥心と戦いながらも、許されるギリギリのラインを攻めて、俺に徹底的なスキンシップを図ろうとしているらしい。


『柔らかい! 密着面積が広すぎて、拭かれているのか抱きつかれているのか分からないんだけどね! これじゃあ汚れは落ちても、俺の理性がゴリゴリと削れ落ちていく一方だよ!』


 動けない俺は、クールな顔の下で限界ギリギリの暴走を続けるエリーゼの「過剰な清拭」に、ただひたすら耐え続けるしかなかった。


 だが、その限界は俺よりも先に、エリーゼの方に訪れたらしい。


「……っ」


 ふと、俺の胸板を拭いていたエリーゼの動きがピタリと止まり、彼女の全体重がドサリと俺の上にのしかかってきたのだ。


「え、エリーゼ?」


 呼びかけても返事はない。よく見ると、彼女は目を回し、完全に意識を飛ばして気絶していた。ウブな彼女にとって、ギリギリの密着スキンシップは、処理能力を超えるあまりにも強すぎる刺激だったらしい。


 しかも、普段のクールな美貌を台無しにするように、その形の良い唇の端からは、だらりと一筋のよだれが垂れているではないか。


『おいおい、見事な気絶っぷりだけど、よだれが出てるよ! 完璧主義のエリーゼが後で知ったらショック死しちゃうんじゃないか!?』


 俺が焦って声をかけようとしたその時、エリーゼの体がビクッと跳ねた。


「はっ! わ、わたくしとしたことが……っ」


 奇跡的に意識を取り戻したエリーゼは、自分の口元を拭い、現在の密着状況と失態を理解して、耳の先まで真っ赤に染め上げた。


「時間なんだゾ! 次はアタシの番なんだゾ、エリーゼ!」


 そこに、待ちきれなくなったミラが勢いよく部屋に飛び込んでくる。


「ひゃうっ!? わ、わかっておりますわ! 旦那様、それではまた後ほど……っ」


 エリーゼはパニック状態のまま急いで体を離し、逃げるように病室を出て行った。


 だが、急いで引き上げたせいで彼女の衣服は激しく乱れ、はだけた胸元や肩口から、色々と見えてはいけない意味深な素肌がチラリと覗いていた。


『うわっ、エリーゼ、服が乱れてるって! 色々見えちゃいけないところが見えてるんだけどね!』


 俺の悲痛なツッコミも虚しく、顔から火が出そうなほど真っ赤になったエリーゼの背中は、あっという間に廊下の奥へと消えていく。


 そして俺の目の前には、尻尾をちぎれんばかりに振る、三番手のミラが迫っていたのだった。

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