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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第155話:未知のスキルと、土中の契約

 ダミーを残して床下へと潜り込んだ俺は、土木魔法を駆使してさらに地中深くへと身を沈めていった。


「ごほっ、がはっ……!」


 口の中から鉄の味が広がり、どす黒い血を吐き出す。闇の商人を庇い、とっさに頭を守った代償は大きかった。右腕は完全に折れ曲がり、あばら骨も数本いっている。激痛で視界がチカチカと明滅し、まともに呼吸をすることすら困難な状態だった。


 だが、ここで止まれば上の連中は全滅する。俺は薄れゆく意識を必死に繋ぎ止めながら、『索敵』のスキルを最大出力で展開した。


 冷たい土の奥深く。俺はある特定の『気配』を探していた。


『……見つけた』


 それは、迷宮の地中を徘徊する巨大な魔物、ワームの気配だった。普段であれば絶対に遭遇したくない相手だが、今の俺にはどうしてもこいつの力が必要だった。


 俺は気配の元へ向けて、今まで殆ど使ったことのないスキルを発動させた。

『テイム!』


 俺の膨大な魔力が不可視の鎖となり、地中を這うワームの精神を強引に縛り上げる。痛みに耐えながら主従関係を結びつけると、俺はその巨大な魔物に命令を下した。


『俺の代わりに、指定した座標へ向けて穴を掘れ』


 テイムされたワームが猛烈な勢いで土を食い破り、俺の進む道を作り出していく。俺は『地図作成』と『索敵』のスキルを並行して稼働させ、地上の様子と自身の現在位置を正確にリンクさせた。


『ここだ。奴の、襲撃者の真下……』


 目標地点に到達した俺は、次なる手を打った。それは、この迷宮の土壌に微かに漂っていた存在、『土の精霊』への干渉である。


 なぜ自らの魔法で直接攻撃しないのか。それは、全身を駆け巡るあまりの激痛によって、精密な魔法を構築するための意識を保つことがすでに限界だったからだ。


「ぐはっ……た、頼む……土の精霊よ……力を貸してくれ……っ」


 土の壁に血まみれの手を押し当て、俺は掠れた声で呼びかけた。


『……よかろう。契約にのっとり、相応の魔力をもらうぞい』


 脳内に響く古びた声とともに、俺の体内から凄まじい勢いで力が吸い上げられていく。魔力総量7300という無限に近い俺の魔力。その半数が、精霊との契約によって一瞬にしてごっそりと失われたのだ。


 一方、その頃の地上リビングでは、阿鼻叫喚の地獄絵図が広がっていた。


「ぎゃああっ!」


「いやあ……っ、た、立てないですわ……っ!」


 ひっくり返されたエリーゼやサンネたちが、なんとか態勢を立て直そうともがいていた。だが、彼女たちが立ち上がろうと力を込めるたび、見えない力によって再びゴロンとひっくり返されてしまうのだ。まともに立つこともできず、魔法の詠唱すら強制的にキャンセルされてしまう。


「くそったれえええっ! こんな舐めた真似しやがって!」


 その異常な空間の中で、ただ一人、魔王だけが強靭な意志と筋力で無理やり立ち上がった。漆黒の密着戦闘服を泥まみれにしながら、怒り狂った魔王が白黒の襲撃者に向かって一直線に突進していく。


「アタシを誰だと――ぎゃあああっ!?」


 だが、襲撃者が指先を軽く弾いた瞬間、突進していた魔王の体がコマのように高速で回転し始めた。


「目、目が回るぅぅ……っ!」


 最強の存在であるはずの魔王は、そのまま情けない悲鳴を上げながら、リビングの端から端まで回転したまま吹き飛んでしまったのだった。


 土中でその気配を察知した俺は、薄れゆく意識の中で、精霊とともに反撃の牙を研ぎ澄ませていた。

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