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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第152話:それぞれの朝と、破られた安全地帯

 翌朝。俺は昨晩の『全裸で目覚めて再び気絶した』という地獄のような出来事を記憶の彼方へ封印し、何事もなかったかのように朝食の準備を整えていた。


「ほら、お前ら。冷めないうちに早く食べろよ」


「おう! アタシは肉の塊がいいぜ! ほれミラ、お前は野菜も食え!」


「ボスのお肉はミラのなんだゾ! 魔王様はあっちの草でも食ってろなんだゾ!」


 空気を読めない魔王とミラが、朝っぱらからボケとツッコミの漫才のようなやり取りを繰り広げている。


「ふぅ……。朝の素振り一千回、完了である! して、旦那様。朝食の前に少し手合わせを……」


 サンネは一人だけ朝の鍛錬に余念がなく、すでに汗だくになっていた。


「……」


 そして、エリーゼはテーブルに頬杖をつきながら、無言で俺の顔をじーっと見つめてきている。昨晩の記憶がフラッシュバックしそうになるので、本気でやめてほしい。


「あー、王女様はまだ寝てるのか。誰か起こしてきてやってくれ」


 俺がそう言った時、奥の部屋からようやく若手二人が起きてきた。


「ふぁあ……おはようございます、師匠」


「おはようございます……ふぇっ? ロッテ、服が前後ろ逆だぞ」


「ふわぁ……本当だ……。えへへ、ブラム君、着替えさせて?」


「も、もう! 仕方ないなあ……こっち来て」


 初々しくも糖度百パーセントのやり取りを見せつけられ、俺はフライパンを握りしめながら血の涙を流した。三十五歳の独身には眩しすぎる。


「……はあ。なんでみんな、俺のことを『闇の商人』って呼ぶんだろうね? 別に闇の力を使えるわけじゃないし、ただの流通業者なんだけどなあ……」


 リビングの隅では、すっかり忘れ去られていた闇の商人が、一人で朝茶をすすりながら哀愁漂うぼやきをこぼしていた。


 そんな、ゆるみ切ったそれぞれの朝の風景。


 ここはダンジョンの深層だというのに、まるで王都の侯爵邸にいるかのような空気が流れている。それもそのはず、万が一魔物が暴走してきても確実にヒロインたちを守れるよう、俺が魔力総量7300を注ぎ込んで迷宮内に堅牢な建物を形成し、絶対の『安全地帯セーフエリア』としていたからだ。


 ……そう、絶対に安全なはずだった。


『コンコンッ』


 唐突に、建物の重厚なドアがノックされた。


「はて? こんな朝早くに、誰だろう?」


 入り口付近で茶を飲んでいた闇の商人が、のんきな声を出してドアノブに手をかけた。


 その瞬間、俺の探知スキルがドアの向こう側の『異常な魔力』を捉えた。


「駄目だ! 開けるな!!」


 俺はフライパンを放り出し、全力で入り口へと駆け出した。


 しかし、悲しいかな、戦闘訓練を受けていない闇の商人には俺の制止の意味が分からなかった。「がちゃ」という間抜けな音とともに、彼が不用意にドアを開けてしまったのだ。


「どごーーーーーーーーん!!」


 開かれたドアの隙間から、致死量の魔力をまとった爆発が安全地帯へと叩き込まれた。


「ぎゃああああ!?」


 真っ先に吹き飛ばされた闇の商人と、彼を庇おうと飛び込んだ俺は、爆風をもろに受けてリビングの奥の壁へと激しく叩きつけられたのだった。

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