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レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


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第147話:陥落する騎士と獣人、そして最凶の乱入者

 互いの吐息が混じり合う、その瞬間のことだった。


「はい、時間切れじゃ!!」


 王女の扇子がピシャリと鳴り、サンネとミラが両脇からエリーゼを強引に引き剥がした。


「あ、ああ……っ! あと少し、あと一ミリでしたのに……っ!」


 ゆでだこのようになったエリーゼが、本気で涙ぐみながら抗議するが、じゃんけんのルールは非情である。


「ふふん、順番は守るものじゃ。さあ、次は前方に現れた淫魔を片付けつつ、サンネの番じゃな」


 王女の号令とともに、俺たちは再び迷宮の奥へと移動を開始した。


 道中、魔王が面白がって俺の背中に背後からぴたりと張り付いてきた。漆黒の密着戦闘服越しに、信じられないほどの弾力と熱が伝わってくる。


「がはは! おっさん、絶好調じゃねえか。次はあの堅物の騎士サマだろ? どこまでいけるか見ものだな!」


『……ねえ、魔王様。面白がって煽らないでくれないかな。俺、今自分の体が自分のものじゃないみたいで、本気で怖いんだけどさ』


 そんな俺の心の叫びは当然誰にも届かず、次の淫魔の群れが現れた瞬間、俺の体は自動的にサンネの正面へと滑り込んでいた。


「……サンネ。さっきは邪魔が入っちゃったけど、君の番だね」


「だ、旦那様!? 今は戦闘中で……あっ、淫魔どもめ、こっちへ来るな!」


 サンネは剣と盾を構えながらも、俺のあまりの近さに明らかに動揺していた。普段の彼女なら、俺が夜寝ている間にこっそりベッドに潜り込んでくるほどの図太さを持っているはずだ。だが、俺の方から「攻め」の姿勢で歩み寄られることには、全く免疫がなかったらしい。


「君はいつも、凛々しくてかっこいい。でもね、俺だけに見せてくれるその可愛い素顔……誰にも渡したくないんだ」


 俺はサンネの盾を持つ手を優しく包み込み、そのまま彼女の腰を抱き寄せて耳元で囁いた。


「ひゃうっ……!? だ、だだだ、旦那様! そ、そのような甘い言葉……騎士として、いや、乙女として……っ、心が持ちませぬっ!」


 サンネの顔が一瞬で沸騰したように赤くなり、彼女の全身から力が抜け落ちていく。武人としての誇りが、三十五歳のおっさんの無自覚な口説き文句の前に完全敗北した瞬間だった。


「……ねえ、キスしてもいいかな?」


「あ……っ、は、はい……っ」


 サンネがトロトロの顔で目を閉じた、まさにその時。


「そこまでなんだゾ!!」


 ミラの強烈な回し蹴りが、迫り来ていた淫魔たちをまとめて壁に叩きつけ、同時にサンネの「持ち時間」を強制終了させた。


「くおおおぉぉ……っ! 一生の不覚である! あと一歩で、旦那様との初めての……っ!」


 サンネがその場に崩れ落ちて悔し涙を流す中、いよいよ最後の順番、ミラのターンがやってきた。


「えへへ、やっとミラの番だゾ! ボス、尻尾なんだゾ! 耳も触ってほしいんだゾ!」


 ミラは他の三人のように照れることもなく、無邪気に俺にすり寄ってきた。だが、俺の「脳内桃色空間」は、彼女のその無防備さを最大のチャンスと捉えたらしい。


「……いいよ、ミラ。君の耳も尻尾も、すごく柔らかくて温かいからね」


 俺はミラの銀色の小耳を優しく指でなぞり、そのままふさふさの尻尾の付け根をゆっくりと撫で上げた。


 獣人にとって、耳と尻尾は非常に敏感であり、心から心を許した異性にしか絶対に触らせない神聖な場所だ。以前も触ったことはあるが、今の俺の手つきは、普段の「撫でる」とは全く違う、いやらしくも優しい、愛撫に近いものだった。


「ひゃあんっ……!? ボ、ボス……っ、そこ、だめなんだゾ……っ。でも、もっと……っ」


 ミラの腰が砕け、俺の胸に完全に体重を預けてくる。彼女の瞳はとろんと潤み、口からは甘い吐息が漏れていた。ミラもまた、完全に溶けてしまった。


「……可愛いよ、ミラ。このまま……」


 俺がミラの唇に顔を近づけた瞬間、周囲の淫魔がすべて駆逐され、戦闘が終了した。


「はい、一巡しましたわね! さあ、王女様! 第二ラウンドのじゃんけんですわよ!」


 エリーゼが目を血走らせながら宣言する。王女も「受けて立つぞ!」と扇子を構え、再び熾烈な争いが始まろうとした、その時だった。


「がはははは! お前らばっかりずるいぞ! アタシも混ぜろぉ!!」


 突如として、魔王が「最初はグー!」と叫びながら、密着戦闘服のままじゃんけんの輪の中に猛烈な勢いで乱入してきたのだ。


 三十五歳のおっさんを巡る争いは、ついに最強の存在を巻き込み、迷宮の最深部を前にして制御不能のカオスへと突入しようとしていた。

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