表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

143/177

第143話:急転直下の拉致行路と、影の支配者たち

 湯上がり、ホカホカの状態。

 普通ならここから優雅な夕食……のはずだったんだけど、現実は俺の期待を裏切るのが趣味らしい。


「おい、ちょっと待って! なんで当たり前のように密着してくるのかな!?」

『ボディコン姿だけでも刺激が強すぎるのに、魔王様、距離感がバグってない? 腕とかいろいろ当たってるんだけどさ! おまけにすごく良い匂いがして、理性が削れるどころか、魂がすり減ってる音が聞こえるんだけどね!』


「ん? ああ、気にするな。なんかいい匂いがするんだよ、お前から。……これはオスの臭い、だな。いいじゃねえか、減るもんじゃねえし」

「減ってるんだよ! 俺の寿命とかいろいろ、目に見えない大切なものがね!」


「破廉恥ですわ! 旦那様から離れなさい、この露出狂!」

「わらわのヘンドリックを誘惑するなど、魔王といえど万死に値するぞ!」


 エリーゼとルミナリアの烈火のごとき口撃が飛ぶけれど、魔王様はどこ吹く風。耳の穴を小指でほじりながら、完全に聞き流している。

 一方で、その光景を見ていたサンネが、目を輝かせて拳を握り込んだ。


「流石は魔王殿だ! 主君の魅力を本能で嗅ぎ分けるとは、実に武人らしい直感! 実に役に立つ姿勢だ、見習わねばならんな!」

「サンネさん、お願いだから今は黙ってて。それ、全然役に立ってないからね。むしろ事態を悪化させてるだけだからね」


「……ボス、これ食べるか?」

「おお! もらおう!」


 ミラの差し出した巨大な肉塊を、魔王様はバキッという豪快な音を立てて咀嚼する。そして、肉を飲み込むと同時に、その瞳に鋭い光が宿った。


「よし、エネルギー充填完了だ! 今から行くぜ! おっさん、お前も連れてってやる!」


「えっ、ひぎゃあああ!?」

 軟禁部屋で優雅に紅茶を飲んでいた闇の商人のトップが、魔王様に首根っこを掴まれて窓から放り出される。文字通りの拉致である。


「ダンジョンが爆発する前に片付けるぞ! 出発だ!」

「ちょっと待って、心の準備が――! 誰か、俺の騎士団の出動手続きとか、そういうの済ませてからにしようよ!」


 嵐のように去っていく一行。

 その騒ぎに完全に取り残されたのが、屋敷の隅で呆然としていたブラムとロッテだった。


「……ブラム君。私たち、最近何もしてないよね?」

「……ぐさっ。ロッテ、それを今言うのかい? 胸に突き刺さるんだけど……」


 かつてはヘンドリックを支える(?)若手筆頭だったはずの二人だが、最近のインフレしたメンツの中では、完全に出番を失っていた。

 だが、ロッテの瞳にはまだ光が消えていなかった。


「よし、ロッテ。後を追うぞ! 冒険者としての意地を見せてやるんだ!」

「うん、そうでなくっちゃね。ブラム君、行こ!」


 相変わらずマイペースなロッテが、やる気に火がついたブラムを巧みに誘導して駆け出す。

 ……うん、彼女のブラムを扱う手腕は、間違いなくカンストしていると思う。


 ◇ ◇ ◇


 そんなカオスすぎる騒動を、屋敷のバルコニーから静かに見送る二人の女性がいた。


「……行かれましたね、皆様。適度なガス抜きは、組織の運営において不可欠な要素ですから」

 ベルナデッタが、乱れたメイド服の袖を整えながら無表情に呟く。

 あの魔王や獣王をも一瞬で黙らせた彼女こそ、この屋敷の最強の番人にして、すべての「遊び」を許容する冷徹な管理者。


「うふふ、そうね。ヘンドリックちゃんも、たまには羽を伸ばさないと可哀想だもの。あの子、溜め込みやすいから」

 その隣で、優雅に扇子を広げるのはカトリーヌだ。

 ベルナデッタが屋敷の物理的な黒幕なら、彼女はさらにその上を行く、ヘンドリックの精神的扱いに長けた真の支配者。


「年の功、というやつかしら。あの子がどう動けば一番面白いか……私には手に取るようにわかるわ。あの子を転がすのは、若い娘たちにはまだ早いのよ」

 微笑むカトリーヌの背後に、底知れない闇のオーラが見えた気がした。


『……ねえ、俺、今頃ダンジョンに向かってるけどさ。一番怖いのは、あの屋敷に残してきた二人の女性なんじゃないかな。俺の扱い、完全に掌の上だよね……』


 闇の商人の陰謀よりも、魔王の暴走よりも。

 メイド長と長老による完璧な「ヘンドリック管理システム」こそが、この物語の最大のカオスなのかもしれなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ