表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
レベル1を35個持ったおっさん、有能すぎて美女三人に包囲される〜レベル10大火力至上主義の世界で裏方が最強だった〜  作者: よっしぃ@書籍化


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

114/174

第114話:仁義なき刷り込み合戦と、ブレない性癖

「よーし、ルールは決まったな! 一人につき持ち時間は一時間! 順番はじゃんけんで勝った順だ!」


 真っ白な記憶喪失となったヘンドリックのベッドの前で、四人の美女たちが真剣な表情で円陣を組んでいた。

 記憶という名の白紙キャンバスに、いかに自分に都合の良い「正妻設定」を描き込むか。ヒロインたちによる仁義なき刷り込みローテーションの開幕である。


「最初はグー! じゃんけん、ぽん!!」


 白熱のじゃんけんの結果、順番はミラ、サンネ、エリーゼ、ルミナリアに決定した。

 部屋の隅では、蚊帳の外に置かれたブラムとロッテが、お茶を飲みながら生温かい目でその光景を見守っている。


「……なぁロッテ。あれ、記憶喪失の病人に対する態度じゃないよな」

「はい。獲物を前にした肉食獣の目です」


 そんな弟子たちのツッコミをよそに、トップバッターであるミラのターンが始まった。


「ボスー! アタシはボスの相棒で、毎日お肉を貢いでもらって一緒に寝る係なんだゾ!」

「えっ、あ、ちょっ、近い、近いですって!」

 ミラはベッドに飛び乗り、その暴力的なボリュームの双丘をヘンドリックの腕にこれでもかと押し当てた。

 純真無垢なおっさんは顔を真っ赤にしてタジタジになる。柔らかく、至福の時であるはずなのだが……ヘンドリックは魂の奥底で、何故か『すごいけど……なんか、落ち着かない?』という違和感を覚えていた。


 続いて、一時間経過を告げるタイマーが鳴り、サンネが意気揚々と進み出た。


「主君! 私と貴方は永遠の愛を誓い合った騎士と主! ほれ、遠慮なく私の胸に飛び込んでくるのだ!」

「ひゃああっ!? む、胸が当たってます! 苦しいです!」

 普段の甲冑を脱ぎ捨て、薄着の寝巻き姿という抜群のプロポーションで迫るサンネ。豊満な双丘に顔を埋められ、ヘンドリックは文字通り息も絶え絶えになる。やはり、本能が『大きすぎるのはちょっと違う』と静かに警鐘を鳴らしていた。


 そして三番手。

「ふふっ。お二人は少し、旦那様を怖がらせすぎですわよ」


 優雅な微笑みを浮かべ、正妻の余裕を漂わせるエリーゼのターンがやってきた。

 彼女はヘンドリックの隣にそっと腰掛け、彼の手を柔らかく包み込む。


「旦那様。私はエリーゼ。貴方の『最愛の妻』ですわ」

「妻……あなたが……?」

 ヘンドリックは怯えたようにエリーゼを見上げた。

 そして、彼女の顔から、首筋、そしてその下の……無駄な膨らみを一切排除した『つつましい胸元』に視線を落とした瞬間だった。


 ピタッ、と。

 ヘンドリックの動きが止まった。


「あ……」

「旦那様?」


 ヘンドリックの瞳孔が開き、顔から恐怖の色がスッと消え去る。

 記憶が白紙になっても、魂に深く刻み込まれた『スレンダー至上主義』という性癖だけは、完全に残っていたのだ。


「す、素晴らしい……。なんて洗練された機能美なんだ……俺、あなたのこと何も覚えてないのに、心臓がバクバクしてます。もっと触ってもいいですか……?」

「えっ……? あ、はい。もちろんですわ(なんで胸元を見て溶け始めているのかしら……?)」

 エリーゼのソフトタッチと、その平坦な胸元がもたらす究極の安心感に、ヘンドリックはデレデレに溶けきってしまった。


 最後は、ルミナリア王女のターンである。


「ええい、そこまでじゃ! そなたら、ただの同僚のくせに嘘を教えるでない! ヘンドリックよ、よく聞け! わらわこそが、そなたの真の婚約者……」


 ルミナリアが王族の威厳を放ちながらベッドに近づいた、その時。

 ヘンドリックはベッドから転げ落ちるように飛び降り、彼女の足元に深々とひれ伏した。


「ははぁーっ!!」

「な、なんじゃ急に!?」


 ヘンドリックは地面に額を擦りつけながら、感動に打ち震える声で叫んだ。


「神よ……! 先ほどのエリーゼさんに負けず劣らずの、神々しいまでの『機能美』! まるで一枚の板のような芸術的なフォルム! あなたが俺の婚約者!? 光栄です、一生崇め奉ります!!」

「い、一枚の板!? 誰がまな板じゃこの変態機能美マニアァァァッ!!」


 ルミナリアの顔が羞恥と怒りで真っ赤に染まり、スリッパでヘンドリックの頭をスパーンッと叩いた。


 ――一連の騒動を見終えたブラムとロッテは、ズズッと熱いお茶を啜った。


「……なぁ、ロッテ」

「はい、ブラム君」

「おっさん、記憶は真っ白になったはずなのに、スレンダー好きの変態性癖だけは一ミリもブレてないな」

「ええ。ある意味、記憶喪失前よりタチが悪くなっていますね」


 生温かい弟子たちの視線をよそに、記憶を失ったおっさんによる「機能美ダブル神」の崇拝は、夜更けまで続くのであった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ