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終わるトキ  作者: 天原 重音
リア編

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審判者達の再訪 ②

 さて、審判者同士の戦闘に飛び込む事になったが、その前に敵味方の区別をはっきりとさせよう。

 味方は、何度か交戦したグーフォとその仲間のコリフェーオの二人。

 そして、グーフォと共に戦っていた――黒髪黒目の黄色人種の日系で、第一印象が『背の高い日本人女子高生』の、十代後半のマスケット銃を持った猫目の女の子だった。 

 コリフェーオが『ユカリ』と呼んでいたのはこの子か? 

 疑問は合流するなりすぐに解消された。自分の推測通りに、三人目がユカリだった。

 コリフェーオがユカリの名を呼び『剣を出せ』と声を掛けた。戦闘中だった彼女は目を点にして一瞬動きを止めた。動きを止めたユカリに攻撃が集中した。慌ててコリフェーオとグーフォの三人で、ユカリに集中した全ての攻撃を捌いた。

 戦闘中に急に出せと言われて、出せるものではなかったらしい。

 でも、ここでユカリを責めてはいけない。

 一口に『剣』と言っても、様々な種類が存在する。せめて、『長剣』などの剣の種類を指定する一言が必要だろう。これに限ってはコリフェーオが悪いし、流石に連れて来た援軍に武器が必要とは思わないだろう。

 一先ず自分は、身体強化魔法を己の体に掛けて宝物庫から戦槌を取り出し、接近して来た剣を持った敵の一人(青髪で鎧を着込んだ長身の男)に向かって、軽く振り回した。

 この戦槌の打撃面だけで直径三十センチもある。人間の顔の縦の長さを約二十センチとするのならば、それよりも大きな『面』が迫って来る事になる。人間は顔に大きなものが急に迫って来ると割と驚く(経験より)ものだ。

 意表を突ければ良いと思って、戦槌を選択して振り回した。

 別に当たらなくても問題は無かったのだが、接近して来た男は急に止まれなかった。止まれなかったが為に、戦槌の直撃を顔面に受けて吹っ飛んだ。男は剣を戦槌の打撃面の間に挟む事すらしなかった。剣を盾にすると言う発想に至らなかったのかもしれない。

「うわぁ……」「……」

 ユカリが喉を引き攣らせたかのような声を出した。

 男の援護を行おうとしたもう一人の敵(金髪の男で、軽装備で槍を持っていた)に至っては、移動の足を止め、目を見開いて顔を強張らせていた。

 戦槌の直撃を受けた男は今の一撃で気絶したのか、手足をだらりとさせたまま、綺麗な放物線を描いて海へ落下した。

 遥か眼下の海面上で、水柱が上がったのが見えた。

 一人の人間が頭から落ちた程度では水柱は上がらないと思うが、ここは雲と同じ高さを誇る高高度だ。高いところから小石を落とせば重さが無くとも、低い水柱は上がる。それと同じ現象だ。

 水柱が上がったか云々以前に、雲と同じ位置にあるこの高さから人間が落ちたら、普通は死ぬ。水はぶつかり方次第では想像以上に硬くなり、コンクリートすら砕くのだ。人間が五体満足でいられるかも怪しい。

 だが、落下して海面に叩き付けられたのは人間ではなく、審判者だ。これで死ぬのならば苦労はしない。

「へぇ、純粋な打撃で、審判者を気絶させる事は可能なのね」

 これは収穫だろう。非常に嬉しい情報だ。敵を全員、戦槌で殴り倒して海に叩き落せば解決する可能性が見えて来た。

 ユカリの前に立って戦槌を構えれば、槍を持った男の顔が引き攣ったものに変わる。

「あ、あのぉ……、武器はハンマーで良い?」

「刃は生やそうと思えば生やせるからそれで良いよ」

「そ、そう」

 自分は背後から聞こえて来たおずおずとした声に、ぶっきらぼうに答えた。

 早く武器が欲しい急く気持ちと、早々にこの戦闘を終わらせて、コリフェーオから色々と聞き出したい気持ちが混ざっている。

 だからぶっきらぼうな対応をしても良いのかと言われると、それは違う気もする。

 けれども、今は戦闘中だ。どうしても、リッデルやベーノ・アウ・マルベーノに変わる武器を早く出して欲しいと思ってしまう。

 遠く離れたところで、コリフェーオとグーフォが戦っているけど、こちらは膠着状態に陥っていた。

 現在の戦況を考えて、二対一の状況を二つ作れば、戦闘は早くに終わる筈だ。

「そ、そのハンマーに似せたのを出したよ」

 おずおずとした声を聞いた自分は無言で戦槌を宝物庫に仕舞い、ユカリから新しい武器を受け取った。

 見た目は先程まで使用していた戦槌に似ている。

 受け取った武器は、高さ六十センチ、底の直径三十センチの円柱に長さ一メートル程度の取っ手が付いた手製の戦槌と大きさと外見もほぼ同じだが、内蔵されている機能は搭載されていない。

 こればかりはしょうがない。

 今だけは、審判者()を殺る能力を持った武器であれば良い。それが殴打の武器であってもだ。

 自分は受け取った新しい戦槌の柄を両手で握り、眼前の敵との距離を魔法を使い一瞬で詰めて、大上段から戦槌を振り下ろした。

 当然のように槍で受け止められたが、重力魔法で戦槌自体を重くすると――奇妙な事に槍が軋んだ。

 そのまま打撃面を中心に振動破砕の魔法を一瞬だけ発動させたら、槍は呆気無く折れた。奇妙を通り越して、何かがおかしい。何がどうなっているのか考えたいけど、今は戦闘中だ。

 槍を失い後ろへ跳び退りつつも狼狽えている男には悪いが、この一撃で終わらせる。

 指定した範囲の空間を固定する魔法『界牢(かいろう)』で、男の回避を阻止する為に拘束を試みる。使用した魔法が攻撃魔法ではなく『拘束する魔法』だからか、男の拘束に成功した。

 戦槌を肩に担いだ自分は大きく飛び上がった。落下速度と魔法で重くした戦槌が激突した際の威力を追加する為だ。

「――しぃ、ねぇっ!!」

 振り下ろした戦槌の打撃面が、正面から男の頭を捉えた。人間を戦槌で殴ったとは思えない音が響いた。

 男を拘束していた魔法と一緒に、戦槌の一撃を受けた男は一撃で肉片に変わり果てた。ついでに魔法も砕けた。これはしょうがない。

「ま、紛う事無き、オーバーキル……」

 背後から、ユカリの怯えた声が聞こえたが無視した。

 無視した理由は有る。海に落ちた奴が浮上して来た。

 だが、水飛沫を上げて海面から飛び出したその真上から、仲間だったものの血肉が降り注いだ。突然降った物体の正体に気づいて、男はギョッとして移動を止めた。

 その様子を見ながら、背後に声を掛ける。

「アレもさっさと殺って、向こうの応援に行くよ」

「お、……おう」

 背後から戸惑いの声が上がるも無視して、ユカリと二人掛かりで戦場に戻って来た男に攻撃を仕掛けた。



 ユカリに足止めをさせて、自分が止めを刺して――男を速やかに始末した。

 終始ユカリは怯えていたが、無視した。

 だって、仕事が溜まっているんだもん。早々にこいつらを始末して帰らないと今日も、七日目の徹夜残業が確定してしまう。

 

 それだけは、何としても阻止しなくてはならない! 


 仕事が溜まっている理由だが、これはある意味自分が蒔いた種に等しい。

 けれど、犯罪組織を一網打尽にする(簡単に言うと、カチコミ仕掛けた)為にパワードスーツを事後申告で使用されるとは思ってもいなかった。性能的に災害救助とか、建築関係とかでの利用価値の方が高い。だって、主な性能が身体機能の強化なのだ。重たい瓦礫の撤去や建築資材の運搬で、大型の重機を使わなくても良い。

 それを、何をどう考えたら犯罪組織の拠点へのカチコミに使うんだよ!? あれか? 飛行用のスラスター(最大時速三百キロ)を付けたせいか? 

 更に厄介なのは、このカチコミは三度も行われたのだ。三度も行われたカチコミのせいで、仕事が三倍に膨れ上がった。

 スウィフト大尉と一緒に、ヒース大佐に苦情を入れたわ。



 早々に二人の敵を倒した自分とユカリは二手に分かれた。

 自分はコリフェーオの許へ、ユカリはグーフォの許へ、それぞれ向かおうとした。

 だが、こちらの戦闘終了の気配を感じ取ったコリフェーオが大声でユカリを呼び、自分にグーフォの許へ行けと叫んだ。

 戦闘が膠着しているのならば、三対一で戦った方が早々に終わると思ったけど、自分はコリフェーオの指示に従い――自分は敵の情報を持っていないので、コリフェーオの采配には何かしらの意味があるだろうと判断した――グーフォの許へ向かった。

 

 

 グーフォが戦っていた相手(銀色のハーフプレート姿の男)は、亜麻色って感じの色素の薄い、銀色に近い金髪だった。プラチナブロンドとはまた絶妙に違う色の髪を短く刈り上げている。目を凝らして観察すると、瞳と一緒に髪がほんのりと金色に光っていた。

 金に光る髪と瞳。この男も自分やグーフォと同じく、霊力持ちだ。

 そしてこの男はグーフォと同じ、魔法を分解・無力化する大剣を所持していた。

 コリフェーオの采配の意味は分からない。魔法を無駄撃ちするなと暗に言われている気がする。

 ベーノ・アウ・マルベーノを起こして聞けば、何か分かるかもしれない。でも、こいつらの目の前でベーノ・アウ・マルベーノを出す事は出来ない。

 歯痒いが、戦闘が終わってからコリフェーオに尋ねるしかない。

 


 男の背後から、奇襲を仕掛けるように戦槌を振り下ろす。

 ほぼ同じタイミングで、グーフォが正面から男に切り掛かった。

 男が長剣を持って対応したのは――グーフォだった。男は背中に、自分が振り下ろした戦槌の直撃を受けて苦悶の声を漏らしたが、それだけだ。

 ダメージが入っているように見える。でも、本当はどうなのか分からない。

 鎧は凹み、骨が折れたっぽい手応えは感じるが、この男は負傷したような反応を見せない。苦悶の声を漏らすだけだ。それでも、男の気を引き、集中力を乱す事には成功している。

 グーフォも、その辺りのタイミングを逃さずに大剣を振り回している。けれど、戦況は膠着したままだ。

 

 ――自分の役割は援護だ。

 

 男の気を引き、集中力を乱し、足止めを行い、グーフォが攻撃する隙を作る。

 これ以上の事をする必要は無い。

 少しの間、戦った事で判明した事になるけど、こいつを戦槌で仕留めるのは難しい。

 自力で仕留められないのならば、仕留める担当をグーフォに回せばいい。

 仮に逃亡されても、自分は『専用の武器が有れば、審判者と戦える』程度の認識になるように立ち回らなくてはならない。

 既に二人仕留めておいて言う事では無いが、目指す事はこれなのだ。

 忘れずに心に留めておく必要が有る。

 気になる点は、戦槌でこの男を十回以上も殴っているのに負傷する気配が無い事だ。まるで、負傷しても一瞬で完治しているかのように見える。

 この謎の現象が発生しているせいで、グーフォの攻撃も余り意味をなしていない。

 戦闘が長引くと、不利になるのは自分だけだ。

 積み上がっている未処理の書類の山は脇に置き、こいつを仕留める方法を考えねばならない。

 男と戦闘を続けながら、これまでに得た情報を整理する。


 これまでに判明した事を列挙する。

 戦槌による攻撃は効いていない。

 負傷してもほぼ一瞬で完治してしまう。

 同時に攻撃を仕掛けても、必ず防御はグーフォを優先する。

 

 ……そうだ。どうしてグーフォを優先する? グーフォを優先する理由は、何だ?


 男がグーフォを優先する理由を逆に考えると、それは『グーフォを警戒している』と言う事になるのか?

 何故、グーフォを警戒する? 自分とグーフォの違いは、幾つかあるけど、審判者で有るか否かでは無い筈。その他だと、やっぱり武器か。

 自分が持つ武器は、ユカリが出したもの。対してグーフォは……そう言う事か。

 すっかり忘れていたけど、男が持つ大剣はグーフォと同じもので、『霊力を消費して、魔法を分解無力化する』能力を有している量産品だ。

 自身と同じ武器を持っているから、武器の脅威がどの程度なのかを理解している。

 推測の領域を出ないが、敵がグーフォを警戒する理由はこれだろう。自分の殴打による攻撃は、魔法か何かによる治癒に任せておいても良いと、『大した攻撃ではない』と見下されているとも取れる。

 けれど、自分に対して油断しているのならば、付け入る隙はここだな。

 男の意識は相変わらずグーフォに向いている。何をするにしても、絶好のチャンスだ。男の背中に戦槌を振り下ろし、ちょっと強引な手段に出る。

「っ!? なん――」

「黙って沈めっ!!」

 己の体に身体強化魔法を一瞬だけ重ね掛けし、重力魔法による加重を戦槌と『男』に掛ける。男の背中に叩き付けた戦槌を振り切り、強引に海へ叩き落した。男は正面から大の字に海へ落下した。眼下で水柱が上がったけど、自分は無視して突然の事に驚き固まっているグーフォに近づいた。



 数分後。

 全身ずぶ濡れの男が海から勢いよく飛び出した。自分はグーフォと共にその姿を確認した。

「話した通りに行くよ」

「埒が明かないから乗るが、上手く行くのか?」

「上手く行く行かないじゃなくて、()るしかないのよ」

 短い作戦会議を終えた自分とグーフォは、落下するように移動しながら男に接近する。

 男が向ける視線の先にはグーフォがいる。自身を無理矢理海に沈ませた自分よりも、依然としてグーフォを脅威として捉えている。

 実に好都合だ。

 これまでと同じように、男に対してグーフォと挟撃を仕掛ける。

 男はこれまでと同じように、自分に背を向けてグーフォへの対処を選んだ。男の行動を見た自分は、『霊力を持ったこの敵が、霊視を停止させたまま』だと確信し――得物を振り下ろした。

「――ぐっ!? な、何が!?」

 自分が手にしていた得物は想定通りに、男の背中を切り裂いた。

 素早く手首を動かして、手にしている得物――グーフォと交換し、『幻術で戦槌に見せていた大剣』を、背骨を縦に割くように男の背中に突き立てた。


 

「武器の交換だと? それでこの状況がどうにかなるのか?」

 男を海に沈めた直後。自分は打開策として、グーフォに武器の交換を提案した。

「あたしを『ただの人間の協力者』だと、油断しているから使える一回限りの策だ。見たところ、霊視を使っている様子もないから、幻術で見た目を誤魔化せば、多分行ける」

「……確かに、あれは霊視を使っていない。幻術で誤魔化せる可能性は十分に有るか。剣の分解無力化は魔法に近いから、致命傷を負わせる事は出来るか」

 終始心底嫌そうなグーフォと武器を交換して、互いの得物に幻術を掛けた。

 男が海面を飛び出したのは、幻術を使用した直後だった。



 胸から大剣を生やした男の頭に向かって、グーフォが『幻術で大剣に見える戦槌』を振り下ろす。

 審判者は想像以上にしぶといのか、男は胸から大剣を生やしたまま、回避を試みた。仕留める絶好の機会を逃す訳にはいかないので、男の周辺を固定範囲に指定して、界牢(かいろう)を発動させた。

 この男は魔法を分解無力化する大剣を所持している。でも、背中から大剣を突き刺して、物理的に逃げられない状況に追い込んだ。空間を固定する界牢を大剣の能力を使って無力化しても、無力化する為の行動が命取りとなる。

 そもそも、大剣は『霊力を消費して』魔法を分解し、無力化する。

 ならば、所有者のグーフォやこの男と同じく、霊力を持った自分でもこの大剣の能力を起動させる事は十分に可能だ。

 大剣に自分が持つ霊力を大量に注ぎ込み、男が大剣の能力を発動させる事を阻止する。グーフォの言う通り、大剣の能力は魔法に近いのか、分解無力化の能力の起動を阻止する事が出来た。

「――っ!?」

 男は声無き引き攣った声を上げ、その頭部はグーフォが振り下ろした戦槌によって潰された。

 


 グーフォが戦槌を持ち上げると、モザイクが必要な状態になった骨ごと潰れた男の頭部がそこにあった。 

 咄嗟の判断で、グーフォが戦槌を振り下ろすタイミングに合わせて風の障壁を展開し、飛び散る血肉を浴びる事だけは防いだ。大変個人的な事情だが、返り血を浴びて衣類を駄目にする訳にはいかない。

 ……それにしても、審判者はしぶといな。心臓に致命傷を負っても動けるのが、当たり前なのか? 

 大剣は長さと幅もあるが、厚みもある。背中から男を突き刺した時に、大剣越しに心臓の鼓動を感じた。心臓の鼓動を感じたと言う事は、大剣は男の心臓の一部を裂いたとみて良いだろう。


 心臓に刃物が突き刺さったら、すぐに抜いてはいけないと、教えられた事がある。心臓に刃物が突き刺さった状態であっても、生きていられる。

 無理矢理刃物を心臓から引き抜いた結果、心臓に穴が開いてしまいそのまま死んでしまう。

 刃物が突き刺さったままと言うのは、刺した場所に穴が開いても、『刃物で穴が埋まっている』も同然の状態だ。故に、刺さった場所から刃物を引き抜くと重傷化してしまい、最悪の場合、死に至る。

 

 つらつらと、雑学ではないが治療する際の知識を思い出していた間に、グーフォは男の傍に降り立った。自分は大剣を引き抜いて下がる。

 グーフォは懐から短剣のようなものを取り出して、男の体に突き立てた。短剣は首が潰れた体に突き刺さると緑色に怪しく光り、その姿を緑色の短杖へ変えた。色が緑なので、エメラルドの石柱にも見える。

 一方、首無しの体は短剣が引き抜かれると同時に、ハーフプレート諸共塵になって消えた。

 グーフォの行動と、姿を変えた短剣について一瞬考えそうになったが、首を振って思考から疑問を追い出した。直感が『踏み込んではいけない』と警鐘を鳴らした。審判者の行動について考えても、世界樹単位で理解を求められそうなので、疑問は飲み込むしかない。

 疑問を飲み込み、自分は意識をまだ終わっていない戦闘に戻す。ついでに懐に緑色の短杖を仕舞ったグーフォに大剣を返して戦槌を受け取り、宙に残ったままの男が持っていた大剣を回収し、界牢を解除した。

「おい」

「借りるだけ。欲しくなったらコリフェーオと交渉する」

 右手に戦槌、左手に大剣を持つ。

 この大剣、実際に振り回してみて判明した事だが、見た目の割にバランスが良いのか、片手で振り回しても

『重い』と感じない。

 ……似たような武器(リッデル)を持っているけど、これはこれで良い武器だな。

 しかも、武器の形状が変わるギミックまで付いている。

 一度、この大剣をバラバラに分解して、内部構造が見てみたい。けど、戦闘はまだ終わっていないし、なによりコリフェーオと交渉しないと入手は難しいだろう。

 無断で所有物にした場合、グーフォだけでなく、コリフェーオとユカリを含めた三人と戦闘になる。自分一人で、審判者三人と戦うのは難しい。

 今は我慢だ。欲しいのならば、コリフェーオと交渉するしかない。交渉するのならば、戦闘を終わらせる必要が有る。

 深呼吸を繰り返して欲望を抑え、未だに続いている戦闘――コリフェーオとユカリがいる場所へ、『早く行くぞ』と急かすグーフォと共に向かった。


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