ラストオーダー
会場に戻ると
すでにラストオーダーの時間を過ぎていた。
私は飲んでも飲まなくても
どっちでも良いのが本音。
「深山さん、赤2つ頼んどいたから」
私を見つけた橘さんに
何もなかったかのように言われる。
「あ、、うん」
「え?2つ?」
あまりの気にしなささに
虚ろな返事になってしまって
我に返る私。
2つ??2杯?
今から?
「休んだから行けるっしょ?」
ニカッと笑う橘さん。
私がいない間にお酒が回って
完全に猫モードになったようだ。
私はこっちの橘さんの方が
話しやすいと思うんだけど…
いつもこのモードの方が
仕事もしやすいんじゃないのかなと
余計なことを思ってしまう。
「深山さん、実は橘ね…」
とコソッと高木さんが私の耳元で
何かを言おうとした瞬間。
「高木さーーん!シッ」
心臓飛び跳ねるような大声で
橘さんが高木さんを制止する。
思わず橘さんをみる私に
人差し指を口の前に置いて
ナイショだよと唇を動かした気がした。
全力でお酒を楽しんでいるであろう
橘さんの気分を害してしまう気がして…
すごく気になるのに
このあと高木さんから
改めて聞くことはできなかった。
それよりもさっきの高木さんの
「元を取る」
の方がやけに焼き付いて
赤ワインを美味しく飲むことに集中。
うちの会社の二次会は
大体カラオケ。
二次会の誘いをかわして
しっぽり飲み直す方が今日の気分だった。
できれば2人と一緒に。




