心配される
21:00
あまりに夜風が気持ちよくて
壁を背もたれにしてしゃがみ込んだ。
「深山さん?どうした?」
その姿から
私が酔いつぶれていると
勘違いされたみたい。
少し息の上がった高木さんから
心配そうに声をかけられた。
「橘が、深山さんいないから
俺に様子見に行けって言ってさ」
「お前見に行けよって言ったんだけど
ワイン飲みたいから嫌だとか言って…アイツ。
だから、俺が来たんだけど」
優しい。
高木さんも橘さんも優しい。
「そろそろラストオーダーっぽいし
大丈夫なら戻ろ。元取れないよ?」
「元って…高木さん、無理ですよー」
思わず吹き出してしまう。
元取ることを考えて飲んでたのか…
でもこれが高木さんの優しさだから
きっと私を笑わせようと
わざと言ってるんだろうな。
ホント優しいな。
「ごめんなさい!戻ります。
具合悪いとかじゃないので大丈夫です」
すっと私が立ち上がろうとすると
私がよろけたら助けるためなのか
両手をさりげなく出してくれていた。
手を握るでもなく支えるでもなく
何かあったら助けるよという空気。
そして何も聞かない。
包容力ってこういうことなのかと思う。
ステキだな。
ちょっと奥さまが羨ましいかも。
社内でも高木さんの奥さまの話は
よく出てくる。
元社員さんみたいで、
職場恋愛をいじられているけど
嫌な顔をすることがない高木さん。
職場恋愛か…
私には絶対無理だなぁ。
昔から同じ学校、同じバイト先、
そういう間柄では付き合うとか考えたことがない。
旦那さんも全然近しい環境にはいなかった人。
だって何かあったとき
同じ場所にいたら気まずいと思うし。
うちの会社、職場恋愛多いみたいだけど
どうやって仕事してるのか
いつも疑問に思ってた。
高木さんに聞いても
「えー、普通に?」しか返ってこないから
隠すつもりもなかったみたい。
あれ?そういえば
橘さんの奥さまも元社員だったような
そんな記憶がふと蘇ってきた。




