53/56
信じるか信じないか
「で、でも!」
「ん?」
「橘さんは奥さんいるのに⋯。ダメじゃないですか!」
「深山さんもでしょ?」
「私は⋯⋯」
「ねぇ、深山さん。どこからが浮気だと思う?」
確かめたかった答えを橘さんから貰えて
私は勇み足で橘さんのことを知ろうとしていた。
橘さんには家庭がある。
私にも一応旦那がいる。
でも、目の前の橘さんの表情が
今までのそれと違って
すごく優しく見つめてくるから。
私の倫理観がグラグラ揺れてくる。
どこからが浮気⋯
そんなの。
もう真っ黒じゃないか⋯。
「⋯人に言えない関係になったら⋯です」
「橘さんは?」
「俺は別にどうでもいいと思われてるから関係ないよ。家庭内別居ってやつ?向こうもやりたい放題だしね」
初めて聞く橘さんの家庭の話。
奥さんとうまくいってない⋯。
そうなんだ⋯⋯
「うちだって。もう旦那の顔、ずっと見てないです」




