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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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月曜日から飲み会

正直仕事にならなかった⋯

電話が鳴ればビクッとして

何番が光っているか確認してしまうし。


「行ってきまーす」

の営業さんの声がすれば

必ずその人の顔を見て


「いってらっしゃーい!」

と言っていたのに

今日は一切見られなかった。


全部全部橘さんのせいだ。


ーー

18:30 ワインバル「taru」

https://⋯⋯

ーー


時間も場所も橘さんが決めて⋯

考える暇を与えてくれない。

外堀から埋められてく感じ。


元はと言えば自分から誘ったサシ飲み。

予想外の動きをされ続け、

私は思考が停止しかかっていた。


なのに、

橘さんの異動で私の仕事も増えていく。

名刺の発注、担当引継ぎの案内文、

1日ずっと橘さんの名前の書類に囲まれていた。


そして迎える定時。

いつもなら嬉しいはずが、今日は重い⋯。

1人、また1人と退勤していく。


その中に橘さんの姿もあった。

私の方を見ることもなく、ドアを開けて出ていく。

飲みに行く?そんな約束してたっけ?

と言わんばかりの素っ気なさ。


モヤモヤする。

すごくモヤモヤする。


確かに初めに誘ったのは私だよ。

でも返事を今日電話でわざとしてきて

場所も決めて送りつけてきて

橘さん、前のめりなの?と思わせておいて

何もなく帰る?


仕事終わりそう?とかないの?

見もしないって⋯。


「からかわれてるのかな、やっぱり」


なんだか悔しくなって

特大のため息をつきながら

鞄に荷物を雑に流し込み

ロッカーの扉を閉めた。


一回出たロッカールームに戻って

鏡を見てリップを塗り直したことに

別に深い意味なんてないんだから。


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