オジギソウに重ねる自分
部屋に植物を置く。
憧れていたはずなのに
すっかり忘れてしまっていた。
オジギソウを窓辺に置いて
葉に触れるとやっぱり可愛らしくて
とても癒される。
「やめて、触らないで」
なのか
「もう、くすぐったいなぁ」
なのか
「恥ずかしいよ」
なのか⋯⋯
その仕草に言葉がついてくるように
思えて仕方ない。
照れ屋さんなのかな。
なんて想像すると、フフッと息が漏れる。
「ごめんね」
「だって、かわいいんだもん」
キュッと閉じても
また葉を広げてくれるから
触れたくなる。
大切に育てると
花を咲かせることもあるそう。
ーーこの子
なんだか私みたい。
触れられて閉じて
また開いて
なんなら⋯また⋯と期待してしまう。
少し暗くなってきた部屋に
スマホのライトが浮かび上がる。
サァーッと夏の終わりの風が
カーテンと私の髪を揺らす。
『橘さん、サシで飲みに行きませんか?』
金曜日友達追加してから
最初のメッセージ。
最初から最後まで2人きりだったら
彼はどんななんだろう。
純粋に気になった。
ーーー既読
グループじゃなくても
すぐ見てくれるんだ。
ホッと胸をなで下ろす。
当然
このメッセージは
「既読2」になることはない。
気持ちが大きくなって
送ってしまったけど⋯
急にドクドクと胸がうるさくなる。
もう後戻りできない⋯⋯
送信した文章も気持ちも。
数分しか経っていないはずなのに
何時間もその場で
橘さんとのトーク画面を見つめている感覚⋯
結局、この日
橘さんから返信が来ることはなかった。




