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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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薄くなりすぎた夫婦

畳の上で眠ってしまった私は、

夕方目を覚ます。


朝焼けとは違う濃いオレンジ。

あっという間に土曜日が終わっていく。


今日、何もしてないな。


ゆっくり起き上がって

カラカラの喉を潤すように

冷蔵庫の水をコップに入れる。


そして気付く。


金曜日

私が朝出かけたままのリビング。


旦那はずっと不在のようだ。

いつ帰っているのかわからない。


家の中に

ほとんど変化がない。

もしかしたら、

少しずつ私物が減っているのかもしれない。


でも

私は今もうそれに気付ける気持ちがない。


だって

旦那とのLINEのやり取りさえ

もう随分長い間してないから。



結婚当初は

すれ違っても淋しくないように

ホワイトボードにメッセージを書いて

出かけるようにしていたっけ。

旦那も私も。



それがだんだん短い文章になって。

いつしか書くこともなくなったーー

ホワイトボードが

どこに行ったかもわからない。



だけど

不思議と淋しい気持ちはない。



私も旦那に対して

無関心になっているのかも。


こういうの仮面夫婦っていうのかな。

ただ結婚しているという

世間体だけの関係。



結婚していれば

誰からも何も言われない。

子供は?と聞かれても

適当に逃げることはできる。


1人でいるより

カタチにこだわったのは私だ。

結婚願望も強かったと思う。


でも

結婚して何年か経った世界まで

想像していなかった。


ただ旦那の名前が

印籠のように存在するだけ。



夫婦関係をうまくやりたいとか

この人と幸せに過ごしたいとか

そういう未来が全く今は見えないーー


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