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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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香り

「…へ?」



橘さんの大きな二重の目が

さらに

ふたまわり見開いたーー



あぁ…違う。

まだ聞きたいことはあるんだよ…


友達追加ー

違くないけど……違う。

いや、違わないけど………



あまりに反応が『素』

この反応は、どっちなんだろう。



背中の後ろに滝が流れるような

冷たさを感じて、思わず身震いする。




「あ、わ、あの、違くて…」



「友達追加ってどうやんの?」

「もうLINEしてるよね?」

「なんか違った?俺」




これもまた思った反応と違う…

そっか、橘さんはーー



「機械オンチが過ぎるでしょ、橘さん」



ガッチガチに緊張しきっていた私に

今まで気づかなかった

橘さんの香水の香りが突き抜けていく。




嫌いじゃないー

むしろーー



コロンばかり20種類以上持っている私も

出会ったことがない香り。


柑橘系とも違うー

石鹸系とも違うーー



だけど、悔しいかな…

香りにまで

鼻で笑われているような感じがして。



なんだか

友達追加するにも確認取らないと!と

こんなに悩んでいたのが可笑しくて

友達追加のボタンを押した。



タップするだけなのに

グイッと力を入れてーー


グループLINEとの違いを説明するのも

なんだかもうめんどくさい。

真面目に聞いてくれないだろうし…




「あと、ごめん」

「俺、人と会ってるときスマホ出さない主義」




今大事にするのは、この瞬間。

さっきとは違う色が灯った気がした。


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