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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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再会

19:30


今夜だけは残業せずに

定時で退勤した社員たちが

続々と貸し切りにした会場にやってくる。


顔と名前が

ようやく一致するくらいの人たちばかり。

自称人見知りの私は

やっぱり飲み慣れた相手のところへ。


「高木さん、お疲れさまです!」


「深山さんも早く飲もうよー」


お酒好きの上司(高木さん)は

開始前にどこかで一杯ひっかけてきたらしい。

頬を少し赤くして、

グラスを渡しながら私に声をかけてくる。


「高木さん!乾杯してからね」


高木さんとはタメ語混じりの敬語で話す間柄。

ガチガチの敬語は嫌いみたいで、

10歳くらい年上のはずなのに

それを感じさせないのは、

この方の天性のオーラなんだろうなと思う。


「おー、橘!」

高木さんが190cmの長身男性に声をかける。


猫背の橘さんがペコっとお辞儀しながら

相変わらずの無愛想な感じで近づいてきた。

お酒が一滴も入っていないんだろう。


高木さんが犬なら、橘さんが猫。

プライベートでも

遊びに出かけたりしているらしい。

会社でこんな関係性になれるのは

純粋に羨ましいなと思う。


「橘さん、お疲れさまです!」

140cmの私からしたら橘さんは壁。

視線が合わない感じで

いつものようにボーッとしている橘さん。


今日もどこかでスイッチが入って

喋りまくるんだろうか。


あまりに豹変するので

距離を置く人も多い中で

私は楽しく飲めるメンバーとの再会を

実はウキウキしていた。

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