2番に捕まる
「深山さん、2番に橘さんからお電話です」
あれから
電話機の番号を見る癖は
抜けないまま何日か過ぎた。
幸い
橘さんの「2番」を取ることはなく
少しずつ気持ちも落ち着いてきていた。
はず、、だった。
なのに!
私が出なかった電話を
変わってもらえないか伝えてくるようで
直接出ていないはずの「2番」が
私に回ってくることが増えてきた。
理由をつけて避けるのも
周りに不審がられるし
「2番」をわざと出てないことに
気づかれるのも困るから
指名があれば代わるようにしていた。
「お電話代わりました、深山です」
話の内容は
なんてことない仕事の依頼。
別に私に代わる必要もない。
席が近い内勤仲間たちには
「深山さん、橘さんのお気に入りですね」
「で、深山さんは、橘さん派ですか?」
なんて語尾にハートがついたように
言われる始末。
この光景がわかって
電話をしてきているなら
嫌な性格だと思う。
「しいて言えば、そうかな?
細くて背高い人が好き」
と私も当たり障りなく応えておく。
「背が高いのいいですよねー」
「顔もいい!」
「でも、飲んだときがなぁ…」
大体この流れになってしまうのが橘さん。
今頃、寒気に襲われているかも。
噂話の主役にされるのが嫌いだったよね。
「なんであんなに変わるんだろうね」
噂話に私も乗っかることで
ニヤニヤとしてしまう表情を
手で隠しながら
小さく「ざまあみろ」とペロッと
舌を出した。




