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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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今じゃない

友達追加していいのかな…

聞いてからのほうがいいかな…


ボタンの上で固まる指。

あと数mmのところで、勇気が出ない。



「はぁ…」



吐けなかった息がため息になる。



緊張感とは裏腹に

明るい通知音が鳴って我に返る。



ーポロリン



「あ、待って」

「これ空だよ」

「満月がキレイで撮ったんだよ」

「深山さんにも見せようと思って」

「送ったんだけどな」



1文ずつ何回も送られてくるLINE。



「月、見えないね」



「笑うスタンプ」



高木さんが送ってくる

笑うスタンプが面白くて力が抜ける。


私の様子が見えてるのかのように

肩の力を抜くメッセージが続いていく。



連投してくる高木さんと

既読にするだけの橘さん。



単にLINEのやり取りを

あまりしないだけなのかもしれないけど。


今、

私が橘さんにLINEをしたところで

同じことになるんだと思った。


既読になるだけ。


そっか…橘さんは

今じゃないんだーーー



お友達追加しないで良かった。

メッセージ送らなくて良かった。


流れていく高木さんのメッセージを

目で追いながら

胸をなで下ろす。



そして、

大きく大きく息を吐いた。



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