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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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24/55

過去の記憶

22:00


この日の飲み会は

一次会だけでお開きになった。



「このあと、橘に会うから」


高木さんも気づいたときには

もう帰路についたようだった。

店先でダラダラする時間が苦手な私は

このくらいあっさりした方が嬉しい。


どうやら高木さんと橘さんは

地元が一緒らしく

よく仕事帰りに飲んだり

遊びに行ったりしているらしい。


やっぱり大人数の飲み会だから

断ってきたんだな。

なんとなくわかってきた橘さんの性格。

懐くととことんなのかも。


私の橘さんの第一印象は

最悪だった。


内勤の私は

異動してきた橘さんに

連携のルールをとことん教えた。


右から左に抜けていくのが

見ていてわかって

年上で社歴は向こうの方が上だったけど

さすがに私も怒ったりして

毎日が過ぎていった。


たぶん橘さんも人見知りな節はあった。

私が距離を詰めすぎたのかもしれない。

業務だから。

守ってもらいたいルールがあったから。



ある日、言われた一言。


「深山さんは、人の心が分からないよね」


長く引きずってたし、

今もあの空気感を覚えている。



でも、橘さんは

この一言が

私の心に傷をつけたことを

多分知らない。



何年か経って隣の部署ながら

また関わる仕事ができて

知っている名前だと思ったのか

以前とは打って変わって

フランクに

「久しぶり〜。元気だった?」

と話しかけられて拍子抜けしたんだっけ。


そう…

あの時も私だけ引きずってた。




ふと蘇った過去の記憶…

手元のスマホを見てみると

確かにLINEグループができていた。


もちろんまだ会話はない。



過去の記憶と今がリンクするー

やっぱり今回も私だけーー


なのかもしれないと思うと

目が潤むような胸の痛みを感じて

さっとスマホを鞄にしまった。


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