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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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高木さんからの誘い

金曜日17:30


「深山さん、今日定時で上がれる?」

「俺、もう終わるから飲みに行かない?」


悶々とした1週間がようやく終わる

そのタイミングで

高木さんから声を掛けられた。


高木さんとの飲み…

そこに…橘さんはいるのだろうか。



「ちょっと!俺を誘わないってどういうこと?」



乱入してくる営業さん。

彼もまた高木さんとの飲み会が好きな人。

独身を貫いているのに、

女性とサシで飲みには行かないポリシーらしい。



「じゃ、みんなで。仕事おーわりっ!」



まだPCの画面が付いてる人もいる中で、

高木さんは営業所の電気のスイッチを

オフにする。


「わ、ちょ、待って!わかったから!」


こうなったら止まらないのを

営業所のみんなはわかってる。


慌てて帰り支度を始める。


「橘も呼んでみてもいい?」


トクン。

心臓の場所がわかるくらい

一気に拍動したように思う。


呼ぶんだ…



誰の返事も待たずに

スマホを耳に当てて

高木さんは橘さんに電話する。

こういうとき高木さんは素早い。



「あー、橘?今日飲み行く?」

「営業所のメンバーとなんだけど」

「うん、え?あー、そっか、じゃまたねぇ」



声のトーンから

今日橘さんが来ないことがわかると

残念と思う気持ちと安心する気持ちとが

交錯する。


営業所のメンバーとだと

仕事の話が出る飲み会になるもんね。


確かに来ないかもしれないな、

橘さんらしいな、ブレないな、

とクスリとしてしまった。


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