不意打ち
23:30
ようやく整って
お店を出られたのに
引き返そうとする高木さん。
「ちょっとトイレ。追いつくから先行ってて」
高木さんのトイレは
毎度毎度の恒例行事で
いつもは橘さんと雑談しながら待ってる。
なんだかんだワイワイと
駅のホームまで3人一緒に行くのは
お決まりになっていた。
でも、今日は終電間近。
さすがに私は朝帰りは無理だし
待たずに先に行くことにした。
駅の光が見えるくらいの場所のお店、
淋しいけど追いついてもらえないかな。
今日は私が先に1人で帰る感じになりそう。
「わかりました!先行ってます!
高木さん、ごちそうさまでした!」
「またねー、気をつけてねー」
手をブンブン大きく振っている
高木さんの姿が大型犬の尻尾に見えて
くすりと笑ってしまう。
「じゃあ、私行きますね!
橘さんは待ってて上げてください」
「いや…いいよ。俺も帰る」
「ダメですよ!送ってあげるんでしょ?」
めんどくさそうにしている橘さんをなだめて
私は1人駅の方に足を向けた。
本音を言えば、
飲んでキャラ変している橘さんと
もっと沢山話したかったけど
今日は仕方ない。
でも、少し名残惜しい。
「あの!橘さん」
次また飲みに行けるか聞いとこうかな。
そう言って振り返る。
え……
いつもなら見上げる位置にあるはずの
橘さんの顔が目の前にあった。




