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飲み会帰りのキスの理由  作者: 柚原 澄香


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11/56

お開き

23:15


「深山さん、終電平気?」


…終電

一気に現実に戻される強烈なワード。


あんなに飲んでるのに

終電のこと気にしてくれるんだ…

橘さん。



「東海電鉄だっけ?最寄りはどこだっけ?」


スマホ片手に調べてくれてる様子。


「山谷駅です。各停しか停まらなくて」


「あ、じゃあもうそろそろ出ないとね。

23:45が最終」


「はい!ありがとうございます!

えっと…お会計は?」


「大丈夫、あのおじさんが払ってるから」



「え?」

高木さんの方を見ると、

グッと親指を立ててニカッと笑ってる。

俺に任せて!と言わんばかりに。


「いやいやいや、いくらですか?払います!」


慌てて財布を取り出そうとする私の手を

橘さんがそっと制止する。



「こんなときくらい立ててあげて」


私にはコソッと囁く。

次は声を張って高木さんに向けて…



「ほら、帰るよ!俺が送るんでしょ?」



よろっと立ち上がって

持ったカバンの取っ手。

ファスナーが閉まってなくて…

パカーッと中身が丸見え。



「あー、もう…ぶちまけちゃうでしょ」



せっせと橘さんがお世話。

いつもの光景だけど

やっぱり橘さんは

酔ったフリなんじゃないかと思っちゃう。


だけど、あんなに飲んで

酔わないわけないのにな。

ところどころスマートな所作が出てくる。


理性を保ってるような…。


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