ヒーローは変態……
ヒーローにライバルはつきものだよね~?
ライバル。それは好敵手。良き競争相手。恋敵にもなる。ライバルの有無で、ヒーローの成長速度はめざましく変わる!……と思う。
会議に提出する題材として、これ以上はないでしょ~?いきなり何を語り出すかって?ごめんね~、これも仕事なんだよ。
ヒーロー協会の傘下組織は、数多のグループで構成されている。ぼく、リアムの率いる研究所や、美人女医の医療本部。先読み系特殊能力者の集い、予知・予言課はちょっと宗教じみて怖~い。
他にもクリエーター課、広告宣伝部、レスキュー課、十の指じゃ足りないくらいあって、大きな学園の部活・同好会並みなのさ~。
でもね、皆の心はひとつにまとまってる。
ぼくらの命題は、“いかにヒーローをプロデュースするか!”なんだよ☆
傘下組織のリーダーたちは、定期的に集まって、あ~でもないこ~でもないと知恵を出し合うわけ。そして、考えた企画を本部に提出。
本部が承認すれば、正式企画として実行される。
ゆるキャラ計画は本部の独断ね~。ぼくらだったら、もっと綿密に考えるから!
毎回、テーマにギリギリまで悩むんだけど、でも決めた!テーマはライバルだ~!
例題として、一昔前のヒーロー、“吹雪の貴公子”ブリザードマスターと、“灼熱の鬼神”バーニングロードの超有名な逸話も用意したんだ~。
…………えっ?知らないって?
クールな青年と、熱血少年が反発しあい、時に協力し、恋の鞘当てあり、バトルあり、コメディありの友情ストーリーだよ?
絵本やアニメの題材にもなったんだよ~?
ヒーローの大先輩たちが「いいか、あの頃はな……」って酒の席で語る率九割の!
世代が上過ぎるって?そっか~、今の若者に伝わらないんじゃ、ダメだよね。もっとよく練ってみよう。
時はヒーロー黄金時代。特殊能力者、出生率の上がった世代。実験だい……モデルケースには、事欠かないさ!
そうと決めたぼくは、本部の訓練所に足を向けた。
ここなら、常に一定のヒーローがいるからね。お誂え向きだよ。
「あ、所長!」「今度整備頼むな」「よう、所長!なんか用か?」
道すがら、ヒーローやスタッフに気さくに話しかけられた。 信頼関係が築けてる証拠だよね~。
信頼関係は大事だよ。多少の無茶も許してもらえるから。
お?ネルスくんだ。雷電くんもいるね~。
……彼らはモデルケースにうってつけかも。性格や戦い方、全部違う。黒と赤で色も映える。
雷電くんの悩み、個性が薄いも解消されて、一石二鳥~。き~めた☆
それにしても、一体なにを話してるんだろう?
「いつもひーらちゃんに愚痴聞いてもらうからよ、たまにはオレも、アイツの人気アップの作戦を考えてみたんだ!」
「それは良い心掛けだ!よし、話してみろ」
いつもはキャンキャン噛みつく雷電くんを、ウルフナイトがあしらうって光景が多いんだけど~、ひーらちゃんのことなら和やかなんだ?いいね!
「思いついたんだけど、ひーらちゃん&ぴーらちゃんを萌えキャラ擬人化したらよくね?描いて来てみた!」
……なにその斜め上の発想~?しかも、スケッチブックに描かれた萌え絵、めっちゃ上手い!意外な才能だけど、気付いて雷電くん。
周りがどん引きしてるよ~……。
「お前な……。そんな町おこしみたいなネタ、ふざけてんのか?」
さすがネルスくん!ぼくらのツッコミ担当~!
「いいか、安易な萌えキャラに走るな。この絵はロリ巨乳で、確かに可愛い。うさ耳をツインテールで表現するという、発想も悪くない。
しかし、だ。これはひーらちゃんではないだろう!適当に特徴を付け足しただけ。可愛い女の子キャラをひーらちゃんに当てはめただけだ!!
それはキャラに対する冒涜じゃないか。いいか、萌え絵は奥が深いぞ?いかにして、ひーらちゃんの個性を殺さず、可愛くするか。ぴーらちゃんに比べて、ひーらちゃんは難しいかもしれん。そこを努力するのが愛情というものでな、ひーらちゃんの魅力を語ると……(略)」
忘れてた。ひーらちゃん(アリアちゃん)のことになると、コイツ馬鹿だった~。
周りのヒーローの目が淀んでるぞ~?
「おい、お前たち……」
苦言を呈しに来たのは、青いヒーロー。青龍くんだっけ?赤と青で、雷電くんとの組み合わせいいかも~。
「私はツインテールよりも、うさ耳カチューシャ派だ」
お前もか!?と思ったら、取り巻いていたヒーローたちが、我も我もと語り出す。
「おれは大人のおねーさんがいい」「幼女幼女!」「ここは男の娘でどうだ?」「胸さえあれば」「足!」
な に コ イ ツ ら !?
かつてない熱気と一体感に、ぼくはたじろぐ。
キミたち……ファンには見せられないよ~。きっと株大暴落。…………この状況見せてあげたら、アリアちゃんのヒーロー熱収まるかな~?
ううん、幻のヒーローへの想いが深まるだけか。
思い出は美化されるだけだし~。
萌えキャラ談義を聞いていたら、いけない、笑顔が売りのぼくが、生ゴミを見る目しちゃ、ダメだよね~。
とりあえず、なんか萎えたからライバルやめよう……。
今聞いた会話は参考になるかな?ライバルの代替案として、『萌えキャラ』提案してみよ~。




