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ヒーロー協会のゆるキャラ。  作者: 銘水
奮闘編
14/68

ヒーローは大変

※大したことはないけど、戦闘描写あり。

「真っ赤な青天の霹靂、ヒーロー雷電、雷の速さで参上!」


※ヒーローたるもの、派手に名乗りを上げて登場すること。(例:雷電)

 


「行くぜ!たぁっ!」


※高所から飛び降りる度胸があると良し。(場所は人気のない廃工場、石切場がベスト。怪人の誘導、舞台装置はサポート組織の管轄とする)


「食らえ、必殺!紅き閃光の雷神キィィィック!!」


※ヒーローたるもの、必殺技を持つこと。使用の際、高らかに技名を叫ぶのが望ましい。


「例えどんな強敵でも、オレの雷は全て打ち砕く!」


※決め台詞を述べたら、速やかに去ること。

 但し、人質がいた場合、例外として言葉をかけていい。(ゆるキャラ制度の導入により、今後、被害者のケアはゆるキャラに一任する事とする)


 以上が、ヒーロー活動の基本事項だ。

 なあ、どう思う?オレはアホかぁぁぁ!!と怒鳴りたくなった。

……やるけどさ!


 オレは、H・N雷電。今時めったにいない、王道ヒーローってヤツだ!

 愛車の名前は疾風迅雷号。ヒーロー最速と評判なんだが、実は研究所で開発されたばかりの試作機で、その内他のヒーローにも普及されるんだ。

 すなわち、オレの売り(スピード)は期間限定なわけ。



 なのでオレは、ヒーロー最速に替わる看板を模索中だ!……わかってんだ。王道っていうのは、他に目立つ特徴がないだけって。派手なヒーローの中じゃ、没個性なんだよ、オレ。

 

 必殺技だって、こう、もっと派手にパワーアップしたいんだ。ちょっと前に衝撃的な出来事があって、自信喪失気味なんだよ……。

 


◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



 その日の怪人は、とても厄介な奴だった。

 なんせ、岩石怪人ハードロックだぜ!?岩と電気で、属性の相性も最悪。オレは苦戦を強いられた。

 能力はもとより必殺技だって跳ね返され、打つ手がなかったのは、事実だ。


 防戦一方のオレを見かねたサポート連中が、救援を呼んだんだが、駆けつけたのが、よりによってウルフナイトだったんだよ!


「ヒーローガナンニンコヨウガ、オレ、ヨユウ」

「それはどうだろうな?」


 余裕綽々のウルフナイト。オレと同期のハズなのに、妙に渋い男。なんつーか、落ち着きがあって、狼顔でわからないが、相当年上なんじゃないかと思う(ちなみにオレハタチ!)。


 格好は黒いし、悪の幹部っぽいのに、真面目だし強いから、他のヒーローにも一目置かれてる。

 唯一の欠点はひーらちゃん好きなとこだが、それも女受けがいい。

 

 クールなのに、可愛いもの好きーーーいや、ひーらちゃん可愛くなかったわーーーとにかくゆるキャラ好きなんてギャップがいいんだと。見た目で判断してないのも高評価とか、ケッて感じだよ。


 し・か・も・だ!


 アイツはオレが手こずった岩石怪人を、嫌みなくらいあっさり倒しやがった。

 苦戦するオレを尻目に、ウルフナイトは実にスマートに岩石怪人の懐に入り込んだ。


「ナ、ニ」

 岩石怪人は一瞬怯んだが、すぐに岩の拳骨で応戦する。けど、戦場じゃ、ちょっとの隙が命取り。

 ウルフナイトは攻撃を華麗にかわすと、トレードマークの黒いマントを翻し、取り出した細剣(レイピア)で一突きにした!


 驚くべき速度の一撃!まるで居合いのような鋭い剣技もさることながら、ウルフナイトの真価は次にあった。

「……スプレー」とアイツが唱えると、墨のように黒い電流が噴出。細剣をつたって岩石怪人の内部に浸透すると、巨大な身体を爆発四散させた!


 その間、一分にも満たないんじゃね?

 岩石怪人の断末魔を黙殺して、さっさと立ち去ろうとするウルフナイトを、オレは引き止めた。


「待てよ!登場とか、必殺技とか、決め台詞!お約束だろ、ちゃんと守れよ!それでもヒーローか!」

 噛みつくオレを、アイツは鼻で笑いやがったんだ!


「基本事項は、あくまでも理想だ。こうあるのが望ましいと言うだけ。敵の撃破が何より優先される」

 それに、と、続く。

「この程度の技、俺にとっては小枝に過ぎん。あんな雑魚には、必殺技を使うまでもないわ」

「おい!それ、むしろ悪役側の台詞だろ!しかも負けフラグ立ってる!」


 オレは尚も言い募ったが、ウルフナイトは歯牙にもかけず、行ってしまった………。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



 オレの必殺技は、赤い雷を纏った飛び蹴り一閃。

 アイツの小技は、黒い雷を纏った細剣の一突き。


 同期で、色違いのよく似た能力ということもあり、何かと比較されるオレ達。劣等感を抱くには十分だろ?

 

 せめてアイツの小技を超える必殺技が欲しいんだよ……研究所のリアム所長にでも相談してみようか。あの人は、一応偉い人なのに、気さくに話しを聞いてくれるんだ!

 

 ひーらちゃんにも相談するかな?喋れないから、リアム所長みたいな的確なアドバイスは無理だけど、愚痴を聞いてもらうと、妙にホッとする。

 同僚に悩まされる同志だしな!


 ひーらちゃんて、働き者だしハキハキ動くから、あんな外見でもヒーローには受け入れられてんだ(ウルフナイトほどの熱狂的なファンはいないけど)。


 あれ、話し逸れてた!とにかく、何が言いたいか、だけどよ、要はもっと強くなって、打倒ウルフナイト!いつか認めさせてやるからな!ってこと!


 応援、よろしくな!


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