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ヒーロー協会のゆるキャラ。  作者: 銘水
奮闘編
16/68

きーらちゃん

途中で視点変更あり。

「はじめましてデス!本日より配属された、ひーらちゃん三号デス。黄色のひーらちゃんなので、“きーらちゃん”って呼んでください、デス」


 また仲間が増えたよ!

 初代ひーらちゃんとしては、とても感慨深い。そして、きーらちゃんはなんと、喋るタイプのゆるキャラなの。意志疎通の問題も、これで解消だね!


 見た目に難ありだけど、問題はそれくらいかな。

 あぁ、勘違いしないでね?ちゃんと可愛いから!


 きーらちゃんは、キラキラしたビーズ製の瞳に、レモンイエローの体がとっても目映いの。

 耳とスカートが特徴的で、ウェスタンな切れ込みがこれでもかって入り、フワッと広がるさまは、タンポポみたい。

 喋るからか、口がパクパク開くデザインで、そこがチャームポイントだね。

 ぴーらちゃんとはまた違う、コミカルな可愛いさ。


 じゃあ何が問題かというと、それは大きさ。

 だってきーらちゃん、全長二十センチないぐらい。着ぐるみっていうか、手袋みたいな構造の、いわゆるパペットだね。

 しかも飾りでしかなかった、あたしの右腕に陣取るその姿はただの腹話術。


 新しい仲間のお披露目のイベントに来てみたら、ひーらちゃんが一人二役やっていたという、なんともツッコミ辛い状態に、観衆からは戸惑いしか伝わってこないよ!


「あれー?なんで皆固まってるんデスー?楽しく行きましょうよ。景気づけに、きーらちゃん歌いまーす」


 しんとした空間に、調子っぱずれな歌が流れる。

 キャラ立ってるでしょ、きーらちゃん。度胸があるのは良いことだ。

 え、他人事みたいに言うなって?違うよ。きーらちゃん、ちゃんと中の人いるから。

 

 それも違う場所で声をあててるんじゃなくて、このパペットの中(・)にいるんだよ!


※


ーーーー全てなくしたと思っていた、でも、新しい生き甲斐を見つけたーーーー


 こんにちは!きーらちゃん改め、妖精族のポポデス!ちょっと語っていいデスか?

 ポポがきーらちゃんになるまで、失意のどん底から這い上がるまでの話しデス。


 以前ポポは、由緒ある屋敷の家付き妖精でした。

 妖精にもいろいろあるので、ブラウニーのような家事奉公する種族ではないデス。もっと深い闇に関わる仕事、古い言い方でいう御庭番(忍者)デスね。


 要人警護にスパイ活動。小さい体は隠密に向いていたし、妖精族独自の交信術(テレパシー)を用いるポポの一族は、裏の世界ではとても有名デス。

 特にポポは重用されてました。


 千変万化、多彩な色を誇る妖精族にありながら、希少な黒を持って生まれたからデス。

 とりわけ、髪や瞳だけでなく、羽根まで純粋な黒というのは、そういないデス。

 夜の闇に溶け込む色。しかも飛行の名手だったポポには、そのため、ある特別な役目がありました。


ーーーー暗殺デス。


 仕える家は、昔ながらの名家。当主も素晴らしい人柄デスが、得てしてそういう人ほど敵が多いのデス。当主の命を狙って、毎日のように刺客が送られてきました。

 ポポは当主の刃となり、たくさんの刺客を闇に紛れて葬っていったのデス。


 ポポはーー当時はただコードNo.564と呼ばれてたーーそんな暮らししか知らなかったし、ずっと夜の中を生きるのだと思っていたのデスが、そんな生活は長く続きません。


 最近世間を賑わせている盗賊団をご存じデスか?どんな厳戒態勢の建物にも、ある時は力業で押し入る。かと思えば、別件では知略の限りを尽くし、目的の宝を奪うのデス。

 狙うのは美しい宝石のみ。人の命は奪わないので怪人の手口ではない。そうなると、派手なパフォーマンスや鮮やかな盗みぶりが話題となり、人気がでる始末……世も末デス。


 現場に白い猫のマークを残すことと、宗教的な祭服をまとうメンバーの目撃情報から、通称は、誰が呼んだか、“白猫教団”というそうで。

 そいつらに、当主の宝の青い宝石が狙われたのデス。


……とんでもない奴らでした。ポポも警備に駆り出されたのデスが、結果は惨敗デス。

 主人の宝だけでなく、ポポは自慢の羽根を、羽根に宿った特殊能力ごと奪われたのデス。


 ポポは宝を守れず、一族の権威は失墜。羽根、力、信頼、誇り、全てを無くし、絶望のあまり死を選ぼうとしました。デスが、当主に止められました。

 当主は仰ったのデス。


『償いがしたいのなら、ある役目を与えよう』と。


 こうして当主の口利きで、ポポはきーらちゃんになったのデス。

 最初は当惑するばかりでした。お日様のような黄色いうさぎデスよ?人に注目されるのも、初めてデス。どう喋ればいいかわからず、トンチンカンなことばかり言ってしまう。


 でも、辛いことばかりじゃないデス。新しい仲間が出来ました!

 “ポポ”という名前も、彼女達がつけてくれたのデス。きーらちゃんの姿がタンポポみたいだからデス。


 正直、ポポは嬉しかった。日の当たる生活、花からとった名前、優しい仲間。想像もしなかった世界デス。そして、相棒という存在。ひーらちゃんデス。


 ひーらちゃんの中の方は両腕をなくした少女。能力は月色砂子といって、ポポの好きな夜の、お月様みたいな光デス。そのせいなのか、側にいてとても居心地が良い。


 彼女は空を飛べるのデスが、あまり上手く飛べないデス。壁や地面を蹴って、跳び跳ねてばかりだったので、ポポがアドバイザーになって、飛行訓練はじめました。

 人にものを教えるの初めてデスが、とても難しくやりがいがあります!


 ちょっとヘマして、二人で怪我した時は、ぴーらちゃんの中の人が、説教しながら治療してくれるのデス。


 こんな仲間がいるなら、新しい役目を全うできる気がします。


 おっと、仕事に行かなくては。


「きーらちゃんデスよ!みんな、覚えてくださいね!」



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