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ヒーロー協会のゆるキャラ。  作者: 銘水
奮闘編
12/68

お見舞いに来たのは

 今回、被害が出てしまった。それも、まだ幼い少女。これは、ヒーロー協会にとって、あってはならない失態だ。

 

 ひーらちゃんたちの活躍もあって、外傷は残らなかったらしいが、問題は心である。

 十分な治療は受けてもらうが、ヒーローの一員として、誠意を持って謝罪すべく、俺、ウルフナイトは少女の病室へ訪れていた。



 今回の任務に参加したヒーローの中でも、狼顔で異形な俺は、女の子向きの正統派ではない。

 しかし、少女を助けた者としてはこの役割を誰かに任せる訳にはいかない。

 保険で、口が上手く人当たりもいいリアムを引きずってきて、待機させているので、何とかなるだろう。


 そして、いざ病室へという時、狼状態で聴力アップした耳が、少女の言葉と二号の戸惑いを正確に捉えた。

 これは、ひーらちゃんファンクラブ会員第一号(自称)の俺の出番だな!


「失礼する」

 入室の許可を取り、中に入った俺が見たのは、頭を抱えて苦悩している二号と、輝かんばかりの笑顔で俺を迎える少女。芯が強そうな子だな。


「俺たちの力不足で怪我をさせてしまって、ごめんな。他のヒーローたちも、皆反省している。いずれ皆で謝罪に来るが、俺が先に見舞いの品を持ってきたんだ」


 怯えさせないよう、心持ち柔らかい口調で伝え、手にした袋を掲げると、少女はぶんぶん頭を振る。

「ううん!助けたくれて、本当にありがとう!ウルフナイトさんも、ほかのヒーローも、気にしないでください」

 うん、なかなか良い子じゃないか。しっかりしてる。

 

「少し話してもいいかな?」

「はい!イス、そこにあるからどうぞ!」

「ありがとう。二号、隣座るぞ」

 二号は固まったままだが、別にいいか。


「なあ、俺の顔、怖くないか?」

 えっと目を丸くする少女。そして、慌てて否定する。

「コワくなんかない、です。助けてもらったし、ウルフナイトさんはヒーローだし、うちのお母さんが怒った時の方が、もっとコワいです!」

 きっとこの子は、まっとうな親に育てられたんだろう。とても素直だ。


「そうか、実は、さっきの緑のひーらちゃんについて話していたのを聞いてしまったんだ。きみは人を見た目で判断する子じゃなさそうなのに、なぜ緑のひーらちゃんが苦手なんだ?」


 少女が言いづらそうにうつむいたので、俺は見舞いの品と一緒に持って来た、猫のぬいぐるみを差し出す。今回の事件現場に落ちていたものを、あとで歯磨き粉みたいな名前の予知・予言課の奴が回収してきたらしい。


「あたしの猫ちゃん!」 

 嬉しそうにぬいぐるみを抱きしめた。やっぱり、この子のか。


「その猫のぬいぐるみで思い出したんだが、きみは前にもピンクのひーらちゃんに怪我を治してもらったことがあるだろう?」

 俺の言葉に、少女は頷き、二号ははっとしたようだった。


 二号の御披露目イベントで、転んで泣き、駆けつけたひーらちゃんを見て、さらに泣き喚いた女の子が、彼女だったのだ。

 

「うん、転んじゃって、痛くて泣いてたら緑のひーらちゃんがびゅーんって来たから、ビックリしてもっと泣いちゃったの。それから、ちょっと苦手なんだ……」


……あいつは考えるより先に動く奴だからなぁ。

 だから俺がいつもフォローすることになるんだ。


「そうかそうか、それは恐かったな。でも、緑のひーらちゃんはきみを心配して、思わず飛び出して来ちゃったんだ」

 少女は、真剣に俺の話しを聞いてくれている。


「今回もな、きみが怪我をしたって聞いて、ピンクのひーらちゃんを連れて来たのは、緑のひーらちゃんなんだよ。ピンクのひーらちゃんが怪我を治すのが得意なように、緑のひーらちゃんは、足が速くて力持ちなんだ。二人はそうやって、助け合ってるんだよ。……なあ、二号、そうだよな?」

 俺が尋ねると、二号はその通り!と言わんばかりに首を縦に振る。

……頭取れるぞ。気をつけろよ。


 少女は、ぱっと、それは明るく笑った。

「そうだったんだ!緑のひーらちゃんも、あたしを助けてくれたんだね!このまえも心配してくれたのに……あたし、緑のひーらちゃんに会って、ありがとう、ごめんねって伝えたいな」


 ちゃんと分かってくれたみたいだ。こういう子ばかりなら、ひーらちゃんも苦労しないのにな。

 俺は、少女の頭を優しく撫でる。


「きみがもっと元気になったら、他のヒーローと、緑のひーらちゃんも連れてまたお見舞いに来るよ。」

「うん!あたし、皆が安心できるように、はやく元気になるね!その時はピンクのひーらちゃんも来てくれる?」

 二号は腕を広げて、全身で同意を示す。

「……でも、緑の、とかピンクの、とか同じひーらちゃんでわかりにくいねぇ……そうだ!」

 閃いた、と少女が手を叩いた。


「ピンクのひーらちゃんのこと、あたし“ぴーらちゃん”て呼ぶね。可愛いでしょ?」

 ピンクのひーらで、ぴーらか。安直だが、分かりやすくていいんじゃないか?

 少なくとも、今の一号二号呼びよりよっぽどいいな。


「そうだな、とても良い名前だ!」

 口の達者な奴(リアム)もいることだし、よし、早速上に掛け合ってみよう。

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