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Possibility 前編

 働いたら負けだと思っていると言う言葉が有名になったことがあるが、俺山中は働くことこそ文明性を獲得した人間としての最高の美徳だと考えている。

 美徳だと考えはいるが、働き相応の対価や報酬、教訓を得られることは大切で、労働意欲と相応の対価を湧き上がらせず、教訓を得られない職場では働きたくないものだ。

 大学卒業後自衛隊にすぐ入り、現在に至っている俺は入社したことはないが、低賃金、長時間、無茶な人事と言ったブラック企業はそう言ったものは得られないと思うし、絶対仕事をしたくないと思った。

 金のために働いてないと言う気はなく、金も欲しいのは事実だが、一番に望むのは労働意欲を保てる環境だ。

働いたら負けとまでは言う気はないが、賃金が安く、労働基準法などを無視した長時間労働を課されると言った無茶苦茶な職場でも意欲を生み、保持し、向上心を育てる職場を生み出せない環境も問題とも言える。

大佐カーネル、1ついいか?」

「―――なんだ?」

 現状の俺の仕事はと言えば賃金が高く、労働基準法以前の問題の環境とは言え悪くはなく、労働意欲もないわけではないが、人事に無茶があると思い、俺は飛鳥に声をかけていた。

 大佐と言うのはリードの階級でもあるが、飛鳥も同様の大佐で、俺が階級で呼ぶと飛鳥は何でそんな改まったような呼び方をすると言うような表情をしていた。

「呼び出してマテリアル(ここ)に来たのはいいが、俺たちの仕事は警護だけで本当にいいのか?」

「―――問題ない―――」

「そうか―――」

 動揺しているなとも思ったが、俺は端的にと言うように質問すると飛鳥はそれは一応はないと言うように返し、俺もそれならと言うように返した。

 話しを踏まえて言うまでもないが、憂と沙良を送った俺がと言うか、俺とリード、それに聖那が現在いるのはマテリアルの艦橋だ。

艦橋には艦の乗務員は基本として、飛鳥と桜率いる特殊強化服アモンを着たワープの職員、それにハドウとサリーも俺の近くにいた。

「酷いコンピューターだ。」

「わたしたちとは技術発展が違いすぎるんだ。それをわかれ?」

「素直な感想ぐらい言わせろ。」

 艦橋内の機器を調査と言う名目で調べさせられていたリードは艦橋内の機械の装置を操作していたが、言うとおりに酷いもんだと言うように言う中で飛鳥は黙ってやれと言うように返し、リードはお前に言われなくてもと言うように返した。

「―――――」

「―――なんだが雰囲気悪いですね?」

 リードが飛鳥の方に眼を向ける中で飛鳥は喧嘩を売るなら買うぞと言う表情で、リードはと言えばケンカを売って来たのはそっちだろうがと言う雰囲気だった。

 理屈はわからないが2人会うたびに中が悪くなると言うか、馬があうあわない以前の状態で、俺も一線を超えることはないと思っている中で聖那が心配だと言うように俺に耳打ちして来た。

「―――どれぐらいひどいものなんだ?」

「アンドロイドをゲームボーイで動かすようなものだ。」

「―――それはかなり無茶があるな?」

 2人して本気でそんな気もなく、俺も不用意に入って怒られたくはないが、聖那の心配だと言う声と、リードの言ったことへの興味も存在した。

俺は話をそらす理由にもなると思いリードに質問すると、リードはお前にもわかりやすくと言うように伝え、俺は納得したと言うように返した。

「アンドロイド―――」

「携帯のOS、オペレーティングシステムだ。」

 俺の時代となってはスマートフォンのOSの一般的な名称となったが、聖那は知らないで、どうしてアンドロイドこと、ロボットが出てくるのかと言う反応の中でオレは携帯を見せながら説明した。

「パソコンの中味をゲームボーイで動かそうとしているようなものだ。」

「―――ああ、無茶、ですね?」

 説明を続けたが聖那は一応と言うか、同じ機械なのに違うのかと言う反応だった。

 身体にナノマシンを投与され使い慣れ始めた状態とは言え、聖那が機械に明確な知識を持っているとも思えず、余計にわかりづらいことを言ったと思う中で、不意に周囲に振動が走った。

「なんだ?」

「―――どうなっている? これはいったい? なんだ?」

 マテリアルは宙に浮いている状態で、地震ではないことは明確な上振動は継続的な状態へと変化し、凄まじい馬力で幾重にも重なる重い歯車を高速で回転させるモーターのような音が響き渡り始めた。

 異常事態なのは明確で、俺が反応する中でリードは装置の様子がおかしいと言う反応を見せた。

「どうした?」

「艦全体のコントロール装置の様子が変だ。」

 見てもわかる物ではないが質問するとリードはこれは不味いと言うように返し、俺は装置の画面が見える位置こと、リードの隣に移動し画面を見た。

 画面には横から見た艦全体の切断図と言うか内部と言うか、地図のような絵が描かれているが、危険を知らせるかのように赤い色になっていた。

「お前何かいじったんじゃないのか?」

「オレのせいにするな!? 調べろと言ったのはお前だろうが?」

「ケンカしてる場合か! リード、原因を調べろ。飛鳥、艦長たちに指示、非常事態に備えろと言え、ハドウはその補佐。聖那は俺たちから離れるな。」

 大爆発でも起きないと言いがと言う雰囲気で俺が見ていると飛鳥がリードに対しお前が原因かと言うように聞くとオレは絶対に違う上、根本の原因はお前にあると言うように返し、俺は不味いなと思い止めるように指示を出した。

「はい。」

「ハドウ。来い。わかるか? お前たちも手伝うんだ。何が起きている?」

 聖那がわかったと言うように返す中で俺はハドウを呼び、周囲のこの艦本来の人間たちにも声をかけリードと手伝えと言うように指示すると、ハドウはリードが操作している画面を見た。

「―――燃料庫で異常が発生しています。だけど暴走と言うわけじゃない。許容の範囲内だと思いますが電気系統にトラブルがあるみたいで伝達がうまくいっていないみたいです。」

「直せるか?」

「これぐらいなら予備電気系統が働いて問題ないはずなのに―――?」

 画面を見る中で操作を少しした後リードと顔をあわせ、リードが言っても問題ないと言うような表情の中で作業を続けながら何が起こっているか説明し、俺が結論としてはどうなんだと言うように聞くとハドウは解せないと言うように返した。

「―――!?」

「ゲート装置作動!? 重力制御装置正常! カトウ、いや、艦長さん! 強制停止許可!」

 リードとハドウだけでなく、調べ始めた人間たち全員こんなことでは問題が起きないと言う表情の中で艦が不意に大きく振動した。

 振動と言うよりも落下が正解で、目測だが確かに1m以上落下した感覚な上、地面と言うか、床が右上と前向きに大きく傾いていた。

 ハドウはと言えばリードと一緒に奮闘する中で仲間に呼びかけたかと思うと、艦長を呼んだ。

「許可! 許可するから何とかしてハドウくん! 本当は命令とかあるけどいいから!」

「黙認願いますよ?」

 艦長こと、あの俺が子供かと思った女性はと言えばそんなこといいからと言うように許可し、ハドウは言う通りにすると言うように返し操作を続け、どう見ても緊急用だと思われるボタンを壊すようにたたき押した。

「強制停止ボタンが発動しない? ならば予備手動へ切り替え―――、そうか? これもダメなんだ?」

「どういうことだ?」

「ゲート装置が勝手に作動と言うか、半場暴走してるみたいなんです。メインヒューズの異常だと思いますが、このままだと強制的にゲート装置が作動します。」

 押した後解決するかと思ったが異常は収まらず、ハドウがこんなはずがないと言う表情の中で飛鳥がどうなっていると言うように聞くと、ハドウは本来はこれでよかったと言うように返した。

「ゲート装置のある中央制御室へ行って―――」

「――――何かにつかまれ!?」

 正攻法が無理ならばほかに方法がないわけではないと言うようにハドウが言いかける中でリードが勢いよく叫ぶ中で、艦全体が非常に大きい振動を起こした。

 振動と言うよりも大きく振り回されていると言う感覚で、前後左右上下に大きく揺れる中で俺だけではないが身体が宙を舞っているのが一瞬見え、その中で俺だけではないが重力に従って床に落ちて叩きつけられかける光景が見えた。

 リードの言った通り何かにつかまれなければならないと思い、何かを手に取ろうと俺は片手を前に伸ばしていたが、床に身体全体が着地する中で意識が飛んだ。


 意識が飛んだとは言え一瞬で休んでいる場合ではなく、俺は少し痛む身体を起こした中で、周囲の光景と言うか、場所が変わっていることを瞬時にと言うか、少し遅れて気が付いた。

 痛みも無視できるほどで倉庫のような場所で、どこかと周囲を見回そうとすると、調度視線の中央にたくさんの人影が見えた。

 正確には子供と言うか、1人の大人を輪にして集まっている姿だと気付き、大人の顔に眼を向けここはどこだと言うようなことを聞こうとする中で不意に輪郭が不鮮明になった。

「―――?!」

「あなたはわたしのもの。わたしだけのもの。ほかのだれのものでもない。あなたはわたしだけを望み欲せばいい。そしてわたしはあなたの想い望むものを与える。」

「―――?!」

 眼が疲れているのかと言うか、眠気を感じると言うか意識が少し遠くなりかけるのを感じる中で、後ろからだれかに不意に勢いよく抱きしめられた。

抱きしめられる中で不意に照明が消えたかのように周囲が暗くなると、抱きしめた主だと思うが耳元でささやかれ耳の後ろを舐められみたいな感触を覚え俺は身震いした。

 抱きしめてきた声の主は俺と同じ年齢だと思われる優しく落ち着いた印象の女性の声で、抱きしめていると言うよりも羽交い絞めにしていると言う状態で、俺は抵抗できない上、彼女の言ったことは俺をまるで隷属させるかのような言葉だった。

「―――まさか、お前が―――?」

「あなたこそわたしの求める存在、そしてわたしこそあなたの求める存在。あなたは自身を否定し、心は虚勢の装甲を身に着け理想の存在になろうとしてわたしを否定しようとしている。」

「?―――」

 沙良が言っていた女なのかと思い声をかけるが、意味不明なことを語りかけるだけで、解放させる気配がなかった。

「―――――?!」

「あなたはわたしを否定できなくなる。なぜなら、わたしはあなた自身が否定するあなた自身を知っているから。」

 意味が解らず困っている中で言葉を続けると、不意に束縛から解放され後ろから軽く押された。

「―――?」

 押されて倒れることはなかったが、風景が変わっている上、見覚えがある場所で、俺は右側に見えた人の気配と言うか、鏡に眼を向けた。

 見覚えがあると言ったが、正確には絶対に忘れられないと言うか、自衛隊に入り、辞め、そして海外に行くまで住んでいた家の バスルームの前というか、洗面所だった。

「ここは? それに!?」

 懐かしいと思い、こんな人間になってしまって2度と戻ることはないだろうと悲しさで一瞬涙が出かけたが、すぐに現実と思えない以前に不可思議すぎることは当然だと判断し、俺は自分の身に異常が起きていることに気付いた。

「それがあなたの否定する本当のあなたの姿。弱くて幼くて、孤独を恐れる子供。」

「!?」

「強くなりたくて、大人になりたくて、大事なものを守りたいのがあなた。だけどあなたの想いはその大事なものに否定されたんでしょう? そう思ったんでしょう? 守ろうとしたけどできなくて逃げ出して片隅にとどめているのが大人になったあなた。」

 身に起きた異常と言うのは見たままと言えば変だが、姿が子供の時の姿になっていた。

 厳密に言えば小学校高学年頃で、これは夢かと思い見て、声も変わっていると思っていると声が聞こえどこかと思っていると不意に姿をあらわして再び後ろから束縛される中で、わかっているよねと聞くように言ってきた。

 身長は推定だが170Cmと少し高く、髪や背丈、俺の視点の関係か顔がよく見えないが、微笑んでいる口元が見えた。

『解っとる! 解っとるけど! だけどわたしちゃんと帰ってきたやろ?、だけどよ? 何でいつもこうなん?! お父さんとおんなじやん!?』

口元は悪意が感じられたがかすかで不快ではなく本音としては優しげな雰囲気で、厳しい指摘とも思え道理も得ていて俺は桜華の言葉までも思い出し、反論もできず顔を下に向けた。

「―――わたしを探して。わたしを求めて。わたしのそばに来て。わたしを見て。わたしを受け入れて。」

「―――」

「一緒に帰ろう? 一緒にいってあやまってあげる。本当なこんなこといやでしょう?」

 顔を下に向けた中で反論できないでしょうと言うように言い、俺が言葉を返せない中で不意に拘束すると言うか、抱きしめる力を強め話しをつづけた。

 強めたが絞め殺すと言う意味合いではなく、優しくと言うか、離さないと言うような抱きしめ方で、あわせて出た言葉もやさしい印象で、俺は顔を後ろに向けていた。

「それと、あなたの遺伝子を受け継ぐ心なき銃をあなたに返す。」

「?」

 顔は見えないが、言葉を続ける中で彼女は俺の手を不意にとると指を絡めて握り、俺も軽くだが握り返す中で手に異変がおきた。

「―――ウロボロス。そう呼んでおきましょう。」

「ウロボロス? ウロ、ボロス?」

「本当のあなたと虚勢をはるあなたを受け入れ、そしてわたしとあなたが1つになるための名前。わたしを探して。わたしを求めて。わたしを見て。わたしを受け入れて。わたしのそばに来れば―――」

 手から黒い煙と言うべきか、やわらかい物体が出て来て漂っているような状態で、それが手首へと伝わり、腕へと進んでいく中で女性は言葉を続け、俺がそれは何だと言うように言う中で、彼女は怖がるものではないと言うように語った。

『だまされるな!』

「?!」

『2度と戻らないと決め、戻れないと理解し、死ぬまで進み続けると決めた人生だ! だれにも邪魔はさせん! オレの人生だ! いや、オレだけの人生だ!』

 言っている意味がよくわからないが、なんとなくだが悪い気がしないと思っていると不意に待てと言うように勢いよくだれかに言われ、何かと言うか、どこのだれかと思う中で声は続いた。

「―――ぁ? ?」

 だれだと思っている中で不意に女性の姿や手の感触が消え、消えたのかと後ろを見る中で、俺は身体中に奇妙な感覚を得た。

 顔をふくんで身体全体が締め付けられると言うか、少し窮屈な服を着ていると言うか、身体全体を武装した状態の服へと変化していて、周囲の景色も先ほどと違い、海岸のような場所だった。

『心の隙に付け入られるな。己自身は最強にして最弱の敵だ。さぁ、オレを倒せ!』

「?」

『行くぞ!』

 服が周囲の湿気や水分を吸っているのか、それとも汗のような体液が身体中から流れて服をぬらしているのかわからないが服は微妙に湿気を帯びていて、着心地が悪いなと思う中で声が正面から聞こえた。

 眼を向けると同じような服かどうかはわからないが、似たように全身を武装した男だと思われる人の姿が見え、だれだと思う間もないと言うか、顔に奇妙なマスクをかぶっていると思う中で男は襲いかかって来た。

「―――!」

『―――』

「何者だ!? 何をする!? それに、きさまなんだその顔は!? いや、その顔につけている物は!?」

 勢いよく襲いかかって来たが距離が十分に存在し、回避して距離をとる中で相手も同じように距離をとる中で俺は相手に問いかけた。

『―――』

「―――!?」

『オレにもわからん。だがイザナギノタタカイが関係している。ここではそう言っておくことにする。』

 問いかける中で男は不意にマスクを外すとそこには俺と同じ顔が存在した。

 見れば髪形や体型、服装も同じで、おどろいている中でもう1人の俺は悪いがこれだけしか言えないと言うように返すとマスクを被り直し再び仕掛けて来た。

「どういう意味だ!?」

『やつらは、候補者は物理的にも精神的にも攻撃を仕掛けてくる。』

「精神的?」

 同じ手が通用するかと言うように先に攻撃して返す中で質問すると、もう1人の俺は先ほど同様と言うか、似たような雰囲気の物言いで、詳しくは知らないと言うように返しながら回避し、俺も意味が解らないと言うように返した。

『時期にわかる! それと体力を消耗するな。後で後悔するぞ?』

「力押しだな!? しかし!」

『―――――』

 説明しろと思う中でもう1人の俺が勢いよく腕を振りながら返事を返し、俺はと言えばそれを回避し、返事を返す中で、勢いよく蹴りを入れ、もう1人の俺は勢いで倒れた。

 戦いを挑まれている以上は自分と言え戦うしかなく、とびかかろうとするが回避された上後頭部を抑え込まれ、顔を海水に突っ込まれた。

 海岸と表現したが、足元は一枚岩と言うような岩で、海水が水たまりのよう点在し、その1つにつけられていた。

『―――ぅあっ!?』

 抑え込んだ手の手首を思い切り強く握り、痛みで抑え込む力が弱まる中で手を振り払い、俺は自ら顔を出し、もう1人の俺から距離をとった。

「―――」

『―――まずいな。』

「―――ああ。」

 塩辛さの強い海水が口の中で広がる不快な感覚を振り払うと言うか、起き上がり海水を吐きだす中で、もう1人を見ると同じように倒れて起き上がるような動きをしていた。

手を振り払った勢いで倒れたようで、起き上がり海水を吐きだすと飲むものではないなと言うように言い、俺もそれだけは同意すると言うように返し、再開することにした。

イザナギノタタカイを口にした事と言い、自分自身と戦うことなど理屈は理解できないが止められる雰囲気ではなく、俺たちは長い時間戦うことになった。


銃やナイフ、手榴弾を装備していることはわかるが、相手は使わず、猛攻の中で俺も使えず、少し考えると紛れもない自分で何が起きるかわからず、俺たちはいつ終わるともしれない戦いを続けることになった。

現実に起きるとは思えないが、造り話の中で似たような話が数多く存在し、攻撃すると言うか殺すと自分も死ぬと言う可能性も存在し、引けず倒せず、十数分以上戦っていた。

お互いに体力も限界に近く、呼吸も荒く、動きもむだが多くなり、始めた時よりも組み合う時間よりも距離をとり間合いを見ると言うか、少しでも休もうとする状態が多くなっていた。

「―――いつまで続ければいい!?」

『オレにも、わからん。だが、イザナギノタタカイの情報が手に入る可能性がある。』

「殺さなくて正解だったのか?」

 お前もだがさすがに限界だろうがと言うように聞くと、確かにそうだがこれでは終われないと言うように返し、俺はそれなら不用意な行動はしなくてよかったのかと言うように聞くしかなかった。

『お前にも時期にわかる! 許せ!』

「わかった!」

 賢明な判断だと言うようにもう1人の俺は再び仕掛け、俺は返事を返す中で組み合った。

「―――それにしても! そのマスクは何だ?」

『オレにもわからん。だがお前も似たようなものだ。おそらく、牛だ!』

「!?」

 組み合う中で俺はマスクを間近で見ると、動物の頭蓋骨のような形で、何の意味があると言うように聞く中でもう1人の俺は言う通りにわからないと返す中で足払いをされ、俺は勢いよく転倒した。

「やめて!?」

「?」

 転倒し、体力をかなり消耗していた俺は動きが遅れ、怒号とともにもう1人に勢いよく持ち上げられる中で後ろのあたりから幼い子供か女性だと思うが、俺たちを止める声が聞こえた。

「―――ぁ?」

持ち上げられ離せと言うように叫び暴れていたが、近くの石垣の向こうに投げ飛ばされる中で俺はこれは不味いと思う中で水の中に落ちていた。

「―――」

 争っていた先ほどの場所と変わって水深が深く、身体が沈むのがわかる中で上の方からもう1人の俺が飛び込んできたのだと思うが、水の跳ねる大きな音がして、俺は見ているひまはないと言うように身体を動かし始めた。

「―――」

 服が水をふくみ重くなり、装備も巻きつけるように身体中に備え付けられ、落ちた衝撃で背中をうったのかに強い痛みも走り、うまく泳げず、沈んでいくのは当然で、俺は装備を捨てることにした。

「―――――!?」

 背に腹は変えられないとはまさにこの状態で、装備が惜しいとも思ったが命の方が惜しいで、マスクにも水が浸入し呼吸ができなくなるのも時間の問題だと思う時、不意にマスクに何かが触れたかと思うとマスクがはがされた。

「!?」

 装備を外すことに集中して周りを見ておらず、顔に水が一気に来て少しおどろき、もう1人の俺がやったのかと思うと、違う人間の姿が見えた。

 水中な上裸眼で輪郭は明確ではないが、水着を着た肩よりも長い髪形の女性らしき人影で、だれだと考える間も与えず、女性と思わしき姿の物体は俺を陸の方へと運ぶと言うか、進め始めた。

「―――――」

 水の中に放り込まれる寸前に止めてとか言った声の主かと考えている間もなく、すぐに陸地に到着し、俺はあおむけに倒れ、呼吸を整え始めた。

『そいつを、渡せ………』

「―――」

 隣に眼を向けると髪をぬらした女性の姿が見え、とりあえずはたすかったとか言おうとした瞬間、彼女の背後と言うか、横から銀色の細長い物体と言うか、もう1人の俺が彼女にナイフを向けていた。

「―――――!」

「―――?」

 振り返り、もう1人の俺を見ている彼女に対処なんてできるわけがないと言うか、これは俺ともう1人の俺同志の戦いで、彼女を巻き込むのはよくないと判断し、俺は身体の力を振り絞って勢いよく起き上がり、もう1人の俺にとびかかった。

「―――彼女は関係ないだろうが!?」

『―――黙れ。』

 一仕事終え一息つきたいとでも考えたのか、マスクを外す途中で隙もできているとも思ったが、勢いよく止めろと言うように声をかける中で、もう1人の俺は冷淡に返しながら俺の腹をけった。

 蹴った上に勢いで倒れかけた身体に素早く潜り込まれ、そして投げられ、俺は地面と言うか、海の中に落ちた。

『―――感情を統御しろ、苦痛を振り払え、身体を武器に変えろ、俺たちは殺戮機械だ。』

「―――キリング、マシン………?」

『―――そしてここは戦場だ。』

 落ちて投げられたとは言え、人間業で足元へと落下し、空の向こうへと投げ飛ばされて輝くわけもなく、苦痛の中で起き上がろうとすると踏みつけられて抑え込まれた。

 抑え込まれたとは言えここで引き下がるわけにもいかないと言うように抵抗するが、もう1人の俺はこれだけは譲れないと言うように言い、かなり強い力で押さえつけていた。

 呼吸もまともにできない中で、言ったことがどう言う意味だと思い聞こうとするが、もう1人の俺は黙って聞けと言うように答えを返しもせずに話を続けた。

「―――――」

 押さえつけられる力が強く、体力も消耗し抵抗ができず、呼吸もできず落ち着けず、もう1人の俺が俺か彼女かわからないが、何かを言っているのが聞こえるが、苦しみの中で、意識が途切れ始めた。

 彼女をたすけなくてはいけない、起き上がらなければと、そしてこの程度で死ぬものかと心の中で叫んだが、俺の意識と言うか、視界は深い泥水に沈んでいくように暗く、音もなく、身体を動かせなくなっていった。


 山中にアンドロイドをゲームボーイで動かすようなものだと言ったが、不意に作動したゲート装置はと言えばクラッチを戻す時を間違えエンジンストップした車の衝撃よりもひどい振動だった。

 事故が起きたとまでは言えず、艦橋内の人間は倒れている人間が存在し、何かにつかまり、シートベルトに支えられ守られている状態で、一応怪我人はいないようで、艦の姿勢も少し傾いてはいるが正常に戻っていた。

オレリードもハイブリッダーとして重力を操作する装置を体内で造りだして作動して微動だにしておらず、一応は全員の無事を確認しオレはひとまず山中に声をかけることにした。

「―――大丈夫か?」

「―――ああ。」

「一応はゲートアウトしたみたいだな?」

 右手を前に伸ばしたうつぶせの姿勢で倒れていて、声をかけると酷いことが起きたなと言うように返事を返して起き上がる中でオレは現状を伝えた。

 伝える中で右手を伸ばしていた場所を見ると4つの穴が床に開いていた。

 何かにつかまれと言ったが地面に落ちる瞬間にオーヴァーマシンが発動したようで、勢いで親指以外の指の第二関節までが床を貫通した事が推定され、無意識にだが山中のオーヴァーマシンの適合率に敬服した。

「オーヴァーマシンに感謝だな?」

「魅入られるな。あまり信用し過ぎるな? 人のことは言えないしお前なら心配はないと思うがな?」

「わかっている。それにお前にそう言われることが大切だ。」

 オレが床を見ていることに気付き、山中もこれはと言うように反応する中でオレはわかってると思うがと言うように言うと、山中もその通りだと言うように返した。

「―――それにしても、俺はどれくらい気絶してた?」

「気絶? 何を言っている? ゲートアウトして10秒と経過していないぞ?」

 ほかの人間たちもゲートアウトしてもう衝撃はないと確認し、動き始める中で山中がそう言えばと言うように聞いたが、オレは何を言っているんだと言うように返した。

「―――時間差が起きたか?」

「時間差?」

「ゲートアウトする時に個体が移動に感じた時間が異なる場合があるんだ。それを体験したのかもしれないな。」

 返したがオレはそう言えばと言うように言い、どういうことかと聞く中でオレは山中に簡単に説明した。

「―――場合によっては数百年にも、山中?」

「あ、いや、何でもない。夢とか気のせいだったのかもしれない。」

 身体情報を見て見るが異常はなく、一応は話しておくかと言う中で山中は少し考えるような表情で眼を反らした、どうしたのかと言うように呼びかけると、悪いな困らせてと言うようにかえした。

「そうか。」

「―――それにしても、ここはどこ―――、だ?」

 起きるとは言え精神的な場合が多く、身体に異常も見られず、山中も気にしていないようで、オレもそれならいいかと言うように返事を返す中で山中は歩き出し、艦橋の外に眼を向ける中で、なんだあれはと言う表情をした。

「山中? どうし―――?」

 信じられないとも言える表情で、オレもあわせるように眼を向けた中で同じような表情をするしかなかった。

「―――――」

「―――――」

 お互いに眼に見えるものを指さし、なあお前あれが見えるよなオレたちの見間違いではないよなと言うような表情をしてオレたちは顔をあわしていた。

「お前らは何をしているんだ?」

「飛鳥?」

「まったく。こんな時に―――」

 数秒ほどオレたちがそうしていると飛鳥が声をかけ、山中があれを見てくれないかと言うように言い、飛鳥はそんなことをしている場合かと言うような物言いで近づいてきた。

「何をしている―――んだ?」

「―――飛鳥に見えると言うことは。幻覚ではないな?」

「本物だと言うことだ。」

 オレたちが外の光景を見ていることに気付き、同じように眼を向け何を見ているんだと言うように言いかける中で同じように表情を変える中で山中はオレに再確認するように聞き、オレも納得したと言うように返した。

「―――なあ、リード?」

「?」

「アメリカ人のお前が一番あれを知っていて何だと言う質問に答えられると思うが、答えてくれないか?」

 あらためてと言うように山中がオレを呼びどうしたのかと思っていると、山中は頼むぞと言うように言ってきた。

「―――山中、オレたちは同じ会社で働く同僚だろう? お前だってあれが何かぐらいわかってるだろう? 本社勤務の関係で見たことがないとは言わせないぞ?」

「―――――」

 言われはしたが、オレはと言えばそんなこと関係ないと言うように返し、山中はこれはと言う表情をしていた。

「―――ホワイトハウス。大統領官邸―――」

「そうだ。それで間違いない。」

「何が起こった? いや、何が起こっている?」

 見ていた山中だったが、間違いないと言うように口を開き、オレはわかっているなと言うように返す中で山中は本気で信じられないと言うように返した。

 山中の言う通りで、オレたちの視線の先には見えたのは紛れもないアメリカ大統領官邸こと、ホワイトハウスだが、オレたちの身知っている姿とは程遠かった。

 名に恥じない白基調の色調と古代建築の居城を思わせ、権威を誇示するかのような規模と外観は同一で寸分たがわないと言えるが、だれの眼から見ても荒廃し、周囲も同じような状態だった。


 リードの指示に反応して僕ハドウは瞬時に眼の前の器材にしがみつき、山中のように派手に投げ飛ばされるようなことはなく、強引に作動したゲート装置の余波の影響などをあまり受けることはなかった。

 受けなかったが、問題はと言えば作動後の山中、リード、それに飛鳥の表情で、艦橋の外を見ているのだが、信じられないと言う表情をしていた。

 僕はと言えば艦の状態を確認するために画面に眼を向けると、危険を知らせる点滅は消え、一応は安全な状態を指示しているのを見た。

「大丈夫? ハドウ君?」

「あ? ああ、はい―――」

「山中さんたちは何しているんですか?」

 一安心している中で聖那が声をかけて来て、僕は一応はと言うように返し、仲間が大丈夫かと見ている中で聖那は艦橋の外を見ている彼らに困りますよと言うように声をかけながら近づいて行き、桜も一緒に行くのが見えた。

「いたた―――?」

「サリー? 大丈夫?」

「―――一応。」

 見ている中で少し遠くに飛ばされ倒れていたサリーが顔と言うか、身体全体だと思うが痛みに耐えながら立ち上がり、僕は確認して声をかけるとサリーは痛いけどと言うことを付け加えると言うか、やせ我慢して言わないように返した。

「―――あ? 聖那―――」

「桜?」

 僕がサリーを見ていると聖那に山中が気づき、飛鳥が桜に気が付いたのだが2人は再び視線を戻し、2人はと言えば彼らと同じような表情で環境の外を見ていた。

「みなさんどうかしたんですか?」

「―――ハドウ。」

「―――――?」

 全員に声をかけると山中が反応しあれなんだと言うように眼で合図し、僕は眼を向けると爆撃でも受けたのか、人の気配があまり感じられず、朽ちかけた建築物が大量に並ぶ都市が広がっているのが見えた。

 艦橋の外に眼を向けている人間をよく見ると特定の方向に眼を向けていることがわかり、僕もあわせてみると遠くにこの場に少し不釣り合いな旧世紀の神殿造りの城を思わせるような白い建物を見ていることに気が付いた。

「―――あれ、ですか?」

「―――ホワイトハウス。アメリカ大統領官邸―――」

 確認するように指さして聞くと、山中がそれで間違いないと言うように答えた。

「お前たちで言う、統合の支部、の1つと言うべきだろうな。それもかなり大規模のだ。一番戦力があると言ってもいいな。」

「―――え?」

 ホワイトハウスと言えば白い家と言う見た通りの意味で、冗談みたいな名前だなとも思ったが、山中は少し考えた後そうだと言うように僕にわかるように教え、僕はそれならばどうしてこんな状態にと言うように返すしかなかった。

「飛鳥、何が起きている? これはいったい―――」

「パラレルワールド。」

 最近彼らにこの世界のことを教えられて理解をし始めたがわからない部分が多く、理解している彼らには僕以上に深刻に映っていることは明確で、山中が飛鳥に聞く中で、リードが即答した。

「―――リード?」

「ゲート装置の仕組みが不完全で異なる時間線にアウトしたんだ。ここは1999年ではないことは明確だ。オレたちの未来でもない。歴史の異なる未来に来てしまったんだ。装置が算出し記録してくれる。本来ならな。」

 返事を返す中でリードは歩き出し、山中が呼びかける中で先ほど操作していた機械の方に戻ると調べるように操作を始めながら山中に説明した。

「本来なら?」

「この巨大ゲームボーイが中国製の偽物でなくてニンテンディウムでできているならの話しだ。」

 説明を聞いた山中は少し気になることを言ったなと言うように聞くと、リードは意味の解らないことを言ったと言うか、僕には理解できない表現だが、信頼できないと言うように返したことは明確だった。

「―――と? 出たな? Windows並の性能はあるみたいだ。だが本体をFujitsuに変える必要があるな。」

「Wi-Fi対応しているんだろうな?」

「ああ。だから時間がわかる。計器が正確ならば日にちは同じみたいだが、西暦で言うと2022年みたいだ。」

 操作する中でリードは問題なかったと言うように言うが、意味の解らない発言を続け、山中もあわせて返すと、リードは冗談交じりで一応と言うように答えを出した。

「2022年? 調度俺の時代ごろだな? それに―――」

「―――――?」

「ああ。バーンズ側が移動した時代ごろだ。因果関係は否定できないな。」

 答えを聞いた山中はそう言えばと言うように言った後僕に眼を向け、どうしたんですかと言う間もなくリードも同じように言った。

「理論としては理解できるが、現実となると話は別物だな? それにしても―――」

「安心しろ。オレがいると言うことは未来は健在だ。本題はこの後どうするかだ。ホワイトハウスのいすに座って大統領ごっこでもするか? お前内閣総理大臣になってくれるか?」

 2人は僕の方を見ていたが、不意に山中が先ほど見ていた方向に視線を戻し、これはおどろいたと言うように言う中で、リードはおどろくことはないと言うように返した。

 リードの言ったことは何かの冗談のようで山中は悪くないと言うように軽く笑っていた。

「で、どうする? 飛鳥?」

「―――?」

「指揮はお前だろうが? 怠ける気か? ワーパー?」

 返した後リードは不意に飛鳥に声をかけ、飛鳥がなんだと言うように反応する中で、リードはお前はそんなこともわからないのかと言うように言った。

「―――――」

「わたしに振られても困ります。飛鳥さん。」

 指示を待つと言うリードに対して飛鳥はどうするかなと考える表情をした中で桜に少し眼を向けると、桜は言う通りな答えを返した。

「―――役立たず。」

「貴様―――」

「やめろ。」

 わかってはいたがなと言うようにリードが言い、飛鳥は随分なことを言ってくれると言うように飛鳥が反応した中で、山中が止めた。

「肝心なことは帰れるかだろう? ゲート装置の作動を確認。正常に動作しない場合原因を解明し修復する。必要ならばこの世界を調査する。最善の選択をしろ。ケンカするなら外でやれ。」

 止めた山中の言うことが一番道理の通った解答で、飛鳥とリードに半場出て行けと言うように首を動かして言う中で2人はお互いに眼を合わし、暗黙ではあるが了承する中で僕は端末を操作し装置の検査を始めた。

「―――ハドウ。どうだ?」

「待ってください。時間がかかります。エンジンも停止している。静かなのはそのせいか―――」

 動いた僕に対し山中はたすかると言うように聞き、僕は言う通りに返した。

 マテリアルはと言えば普段よりも静かと言うか、エンジンが切れている状態で地面に着地しているようだった。

「あわてるな。答えは正確な方がいい。時間がかかってもな。」

「―――一部損傷が見られ予備電源に切り替わっていますが一時的なものです。すぐに復旧します。肉眼での確認が必要だと思いますが、修復は十二分に可能です。」

 返す中で山中は本当にそう言っているようで僕と言うよりも自分で見て確かめたいと言うように近づいて来る中で、確認が終わり、僕はこたえをだすと、山中はそうかよかった帰れるんだなと言う表情を少し見せた。

 地面に着地していると言うか、エンジンが切れて半場墜落した状態だが、マテリアルは頑強で言う通りの一部の損傷は艦に多大な影響を与えるほどではなかった。

「―――ただ―――」

「ただ?」

「修理は1、2時間で終ると思いますが、長くてでだけどゲート装置が完全なオーヴァーヒート状態です。理論上は6時間置けば安全ですが、最低半日、装置の確認や点検をふくめ最高丸1日は待った方がいいと思います。」

 よろこんでいてそうかよかったと言いかける顔の山中に対し、申し訳ないと言うように僕は言いかける中で山中は問題があるのかと言うように表情を変え、僕が半場わかりやすい人だなと思う中で僕は理由を説明した。

「飛鳥さん。そちらの救援を呼んで物資の運搬などはできませんか? それの方が早いと思います。」

「―――」

「許可が下りませんか?」

 わかった手伝えることがあるなら言ってくれと言う表情の山中をおいて、僕はそう言えばと言うように飛鳥に聞くと、突然聞かれてもと言う表情をして、僕はダメなのかと言うように聞いた。

「―――通信できないと言う方が正解ではないのか? 飛鳥?」

「へ?」

「恋と連絡ができない―――」

 飛鳥はと言えば桜に再び目を向ける中で不意に片方の耳に手を当てている山中がそれは無理そうだと言うように言う中で飛鳥がどういう事だと言うように反応する中で、山中はこれは一大事ではないかと言うように続けた。

 山中は僕の言葉を聞きそう言えばと言うように無線機を使って救援を頼めばいいと考えたのは言うまでなかったが、思わぬ結果を知ったと言う表情だった。

飛鳥と桜もすぐに同様の動きを見せ、呼びかけを始めたが、呼びかけにだれも反応していないと言う表情をすぐに見せ、僕は彼女たちからの援助は期待できないと即座に理解した。


 外に出てみたが見える外界の風景はマテリアルの艦橋から見た光景と高低差は存在するがそれほど変わらぬ光景だとオレリードは思った。

 Amonの赤い2つの大きい眼のようなゴーグル越しに見ている山中もそれは同様だと言えると思った。

オレたちの現状はと言えば少しして修理などの空き時間を利用しない手はないとして、ワーパーたちに雑用として外界の調査を任され、オレと山中は外に出ると、オレはオーヴァーマシンで、山中はAmonの飛行ユニットを使い飛行していた。

外に出るのは危険だが、オレがいればゲートを作動して帰還も可能で、山中も意識はしていないだろうが監視として半場強引に付き添いを命令され、オレはワーパーから見てまた一時的に厄介払いをされたとも言えた。

「オールクリア、マスクをはずして大丈夫だ。山中。」

「―――――」

 廃墟と化した建物の中へガラスをたたき割って侵入し、内部に異常がないか確認し、伝えると山中はAmonのマスクをはずし、マスク全体から余分量の白い空気が廃棄された後マスクがすばやく開き、山中の素顔が出て来た。

「Amonの初実戦使用の感想は?」

「―――オーヴァーマシンの効用か? 反動や振動、重力が感じられない、実感がつかめない。身体全体でヴィデオゲームをやってる気分だ。本当に移動したのか?」

 支給され装着し、訓練をして付き合いもしたが、山中がAmonを本格的に使用したのはこれが初めてで、オレがどうだったと言うと聞くと山中はなんとも言えないと言うように返した。

 車並の速度で走り、物を破壊して進み、補助用の飛行ユニットで空まで飛んだが、返すとゴーグル越しと同じ光景かと確認するように周囲を見渡し始めた。

「ああ。住所通りのお前のアパートメントだ。お前が生きていたらすむことになったな。それと使い心地が悪いならオーヴァーマシンで調節しろ。」

「ああ。そうする。何にしても調査だ―――な?」

 オレはと言えば冷静に返すと山中はと言えば言う前に動き出していて、部屋の中央あたりに膝をつき、飛鳥たちに言われた調査用の器材を取り出そうとする中で手を止めた。

「どうし―――、た?」

「―――――」

 手を止めたと言うよりも、何かに眼を奪われたと言う動きで、器材を置いたまま立ち上がると、その物体に歩み寄り、オレもそれはと言う表情をするしかなかった。

「―――電源来てないはな?」

「待ってろ、オレが出す。」

「すまん。」

 歩み寄った山中は手慣れた手つきで電源を入れたが、無論電気など無く起動せず何をしているんだと言うように机をたたいた。

オレはオーヴァーマシンを使い電源用のケーブルと身体を接続し発電し、電源が供給される中で山中はオレにあやまりながら電源を改めて入れ直した。

 入れ直す寸前にその機械特有の不自然な電子音と金属部品のすれ合う乾いた音が響き渡ってもいて、機械は生き返ったようにオレたちの前で光をともした。

「―――身に覚えがある。な?」

「オレのパソコンだ。どうしてこの時代に? と言うよりもどうしてこの世界に?」

 あらためてと言うようにオレは山中に質問すると、山中は言うまでもないと言うように答えた。

 オレたちが見つけたのは火を見るより明らかな日本製の超高性能デスクトップパソコンで、朽ちかけてほこりや汚れにまみれて、多少内部で不協和音のような音が出ているが、現役の時と寸分たがいなく動いていた。

「―――この世界でもお前がいて、ここに住んでいたと言うことだ。」

「―――日記を書く習慣もない。あるだけで手掛かりにはならないな。死体を探す方が利口だ。」

 画面の映像はと言えが暗いが正常に作動し、山中も動くことを確認した中でオレが考えても見ればと言うように返すと山中は迷っていても仕方ないと言うように返し、電源を切った。

「―――だけどこの世界はどうなっている? これほどのことが起きたのになぜ死体ひとつ転がってない? 人間だけが消えたみたいだ―――」

「それはオレも気になっている。放射能や病原菌や化学物質の反応もない、それ以上に100Km以内にオレたち以外の人間としての生体反応がない。先ほどから通信をしているが反応もない。」

 電源を切った山中は先ほどの作業を再開する中でオレに質問すると言うか、理解できないと言うように返し、オレもそれには同意すると言うように返した。

「―――山中、その仕事はどれくらいで終りそうだ?」

「飛鳥が言っていたが早くて2、30分、長いと1時間半だと言っていたが置いておけば自動だから後は放置しても―――」

「違う。巨大なゲートアウトが起きた反応だ。マテリアルとは違う。真反対の方向だ。」

 簡単に言うとこの世界がどうしてこうなったかは不明で、オレも山中もどうなっているんだと考えていたが、オレの感覚は普通とは異なる事象を確認した。

 時間はかなり経過しているがマテリアル以上の巨大な物体がゲートアウトしたような反応で、一応確かめる必要があると思ったが、状況を踏まえると山中をおいて行くのは危険だと言えた。

連れていくかワーパーの仕事を優先するかで、オレが動けるかと言うように聞くと山中は答えながら背負っていた銃を手にとろうとしたがオレは止めるように言い、何かわかるかもしれないと言うように言葉を続けた。


 考えてみれば呼ばれもしていないわたしが来るものではないとわたし聖那は思った。

 飛鳥と言う女性は雰囲気とは対照的に性格に少し頼りない印象を受けたが、桜との補助もあって指示も迅速でわたしは用もなく、迷惑にならないように飛鳥たちのそばにいて大人しくしていた。

 マテリアルの艦内と言うか、わたしたち以外は異世界の人間たちで小柄で、飛鳥と桜にも不用意に歩き回ると警戒されるから大人しくしていろとも言われ、リードと山中も外の探索に出され、わたしには特にすることがないと言えた。

「間違いはないよな?」

「予定通り過ぎて怖いほどですよ。後は彼らが戻ってくればいいだけです。問題はその間です。」

 2人はと言えばこれからのことを話しあっていて、飛鳥は心配なんだがと言うように言い、桜はわたしもそれはわかっていますが慌てても意味がないですと言うように返していた。

「え? 人手が足りない? わかったよ? 艦長さん。格納庫に行ってきます。」

「あ? はい!」

「サリーも何やってんだ。あー、もう。」

 ハドウの方に眼を向けると忙しそうだと思っていると不意に立ち上がり駆け出し、理由を言われた艦長はと言えば言われたとおりにと言うように返す中でハドウは文句を言いながら艦橋を出て行った。

 本来ならば艦長が指揮をとるべきだと思うのだが、艦長はと言えばほぼ座っているだけのようで、わたしとは違うんだからしっかりしてくださいよと言うように見ると、彼女は眼を反らしたと言うか別方向に向け、近くの仲間に指示をしていた。


 空から見たその物体は少なく見ても半径100m越えの黒い色の巨大な半球と言うか、球体の半分が地面に埋まっているようだった。

 リードのセンサーを頼りに反応が大きい場所に来てみたが見慣れない物体が遠くから見え、間近に見た俺山中とリードは先ほどのホワイトハウス以上にお互いにあれは何だと言う表情をするしかなかった。

 表情以前にAmonに搭載される分析装置の結果がゴーグルに映し出されるのだが、正体不明と言う分析結果も問題だと言えた。

「―――有害な反応は無し、か―――」

「近づいてみよう。」

「あ、おい? わかった。」

 正体不明とは言うが危険はないなと言うように口を開く中でリードが悩むよりまず行動と言うように飛んで行き、俺も待てよ何かあったらどうするとも言いかけたが、聞かないだろうし追うことにした。

「―――なんだこれは?」

「―――待ってろ、調べる。」

 Amonを使い飛行している状態で、超常に着地したのだが正体不明で、俺が正体がわからないと言うように言う中でリードは調べると言った。

「!?」

「なんだ!?」

 反応もなく半ば安全だと判断し、近づいたのがいけなかったと言うべきで、リードが調べ出す中で不意に球体が光ると言う異常が起きた。

 光は白く強い光で、爆弾だと瞬時に考えたのは言うまでもないが、俺だけでなくリードも同じだと思うが、地面と言うか、足元が揺らぐような感触を覚えた中で、足元に大きな穴が開いた。

 言うまでもないが重力に従って落ちるわけで、対処も追いつかず俺たちは落下して言った。


 僕たちと言うか、僕ハドウに与えられた現状の課題はと言えばマテリアルのゲート装置の点検作業を根本に、艦内の整備で僕は艦内を走り回ることになった。

 格納庫に到着した僕はと言えばほかの場所でもだが不意なゲート装置の発動で混乱している人間たちに現状を説明して応急処置でだが立て直させ、艦内の物資とかに異常がないか確認していた。

 サリーを先にいかせたが手が回らなかったようで、僕はと言えばほかの技術士官を連れて走り回っていた。

「少尉―――」

「アームドスーツ点検用設備は60番まで再点検! 少尉以下の技術士官は艦載の乗り物を安全区域まで移動し誘導員とのツーマンセル!」

 身体が覚えていると言う状態で、僕は話しかけられたら声や顔で人を見分けて指示を出し、自分はと言えば言いながら手足を動かし、ほかの人間も手伝い手伝われ、艦橋と違いあわただしく動き回っていた。

 理解できないのは飛鳥と桜の行動で、少しの間話し合ったと不意に2人を探索に出させたことで、2人はと言えば出て言って2、30分が経過していた。


 役に立たないとは思ったが、わたし聖那も何もしていないと気まずい気がして、艦橋内の機械に軽くだが触れていた。

 ナノマシンの恩恵で、軽くと言うか、本質的に言うとほぼ全体の乗っ取りとも言える領域の操作が手に取るように理解可能で、実行こそしないがこれなら役に立てるとも思ったが余計なことはしては不味いと動いていなかった。

 動かない以前に、わたしはリードと飛鳥が出て行った飛鳥と桜、それにワープの兵士たちの会話が少し気になっていた。

「もうしわけありません。佐藤大尉、堂城大佐。口を滑らしました。」

「いえ、許容の範囲内です少尉。途中で止めてもいて彼もある程度は視野に入れていると思います。それにわたしもいつ言い間違えるか気が気でないです。」

「内心複雑だ。あれが本物で事実も知らないなんてまだ信じられない。同意したとはいえわたしたちまで―――」

 あやまったのは出て行った山中に命令で武装した服と言うか、Amonと言われるらしいが特殊な鎧と言うか防護服を用意し着せる手伝いをしていたと思われる1人だった。

 言う通りの何か不味いことをしたと言うか、言ったようで、申し訳ないと言う表情だったが、桜は気にしないでくださいと言うように返した上わたしも同じことをしかねないと返す中で飛鳥もその通りだと言うように返した。

「―――それにしてもどうする? 最悪丸1日ここに缶詰か? 模倣とは言えまさかここまでゲート装置の技術が悪いとは―――」

「ポータブルゲートも許容量を超えていますからね。飛鳥さんだけ先に帰りますか?」

「機構に報告もあるからそうしたいがリードに文句を言われたくない。あいつらの事情だから分かってももらえるだろうし予期もしているだろう。それにここ座標が安定していないからゲートアウトできる確証が正確でないから嫌だ。」

 少尉と呼ばれた男だと思われる兵士は何か不味いことをしたが2人に問題ないと指摘されたが、飛鳥はそれはいいとしてと言うように続け、桜がそれならと言うが、飛鳥もそれはよくないと言うように返した。

 リードが嫌い、山中は雇用主だと言い、場違いな雰囲気のわたしも一応関係者で微妙な距離感で話には交われず、わたしは操作と言うか、機械の調査を再開しようと思う中でハドウとサリーが一時的にだと思うが戻って来た。

 2人して艦内を走り回って来たと言う雰囲気で、疲れ切っているように見えた。


 身体の向きから判断して落ちた後倒れて気を失っていたのは間違いないと眼を開いた俺山中は思った。

 Amonのゴーグルには現状の俺の身体情報が分析され表示され、健康状態に問題はなく、怪我もなく、精神状態も正常だと表示され、俺は状態を少し確認した後少し大きく息を吐きだした。

 床が抜けた時までは覚えているが、後の記憶がなく、俺は息を吐きだした後身体を起こし周囲を見渡した。

「!?」

 飛行用のバーニアを吹かして脱出した覚えもなく、普通なら無事では済まないと思いリードがたすけてくれたのかと思っていると、リードが少し先で倒れているのが見えた。

「リード!? おい!? リード!?」

「―――」

「―――――」

 仰向きに倒れている上首を上に向けていると言うかそらし眼も発光しておらず、ハイブリッダーが死ぬとは思えず気絶しているのかと思い声をかけるとサングラスをかけていない白目の部位の無い眼が光を取り戻した。

「―――山中? 山中か? 大丈夫か?」

「ああ。お前こそ大丈夫か?」

 間が少し空いたが口が動き俺を呼ぶ中で起き上がり、サングラスを探し始めたが見当たらず、オーヴァーマシンで造りだしている中で俺は立ち上がり近づき同じように聞いた。

「―――一応な。だけど何が起きた?」

「それは俺が聞きたい。」

 性格的にこの程度でと言うように普段なら大きく返すが、理解できないことが起きていると言うように返し質問するが俺もわからないのは同じだった。

「それにここどこだ?」

「―――あの球体ボールの中?」

「ボール?」

 実際聞かれると本当はわからないが、どこかとも続けて聞かれ、俺は推測だがと言うように返すとリードは本当かと言うように返して周囲を見渡し始めた。

「―――」

「―――」

「―――?」

 お互い少しの間顔をあわせて周囲を見渡してを繰り返していると、不意に足元で乾いた音が聞え、俺は足元に眼を向けた。

「―――――死体、か―――」

「―――そのようだな?」

「―――粗末な死体置き場だな? 原始人の方がまだ立派だ。」

 眼を向けると朽ちかけた服を着て皮膚や肉がかけらも残っていない人間の白い骨が転がっていた。

俺が人がいたんだなと言うように口を開く中でリードはそうだなと返す中で足元に同じようなものが転がっていることに気が付き眼を向ける中で、俺とリードは周囲にたくさんの骨となった死体も見つけ、俺はなんだここはと言うように返すしかなかった。

「―――?」

「どうした?」

「リード。見ろ―――」

 外に出て人の姿を見なかったこともあると言うか、俺にはわからないことは言うまでもないが死体の前で膝をつき調べる中で見慣れたものを発見しておどろき、リードがどうしたと聞く中で俺はその見慣れたものを手に取り、リードに見せた。

 見慣れたものの正体が何かと聞かれると俺が普段着ている機会の多いAGSの上着の二の腕部分についた会社の表記で、見たリードもなんだとと言う表情をしていた。

「―――こいつ、AGS? それに―――」

「こいつらまさか全員俺たちの―――」

 見ても信じられないと言うようにリードは近寄るとその死体に近寄って触れ、調べ始める中で、俺はここにいる全員がそうなのかと思い信じられないと言うように言った。

「いや、違う―――? これは?」

「―――?」

「山中、マスクを外せ。」

 調べ始めた中でリードはそれよりもと言う反応で、俺はリードの方に眼を向けると、不意にリードが急げと言うように言ってきた。

「?」

「いいから!? ここは安全だ。」

「あ、ああ―――」

 マスクを外せと急に言われ、どうしてこんな時にとも思ったが、リードは細かい問題よりも優先させることがある急げと言うように言い、俺は言う通りにした。

「?」

「―――やっぱりだ―――。」

 言う通りにマスクを外すと、リードは死体の方に眼を向けたままで不意に俺の口の中に右手の一指し指の第1関節ほどまでを突っ込み、何を考えているんだと言う中でリードは思った通りだと言うように言い、指を出した。

「山中、この死体がお前だと言ったらどうする?」

 理由はあると思うが指なんて突っ込まれて気分はいいものではなく、吐きだしてもいいかとも思う中でリードは俺に余計に意味不明な質問をしてきた。

「?」

「さっきのはDNA鑑定用のサンプルが必要だったんだ。お前のDNAとこの死体のDNAが一致している。この死体はお前だ。山中。」

 質問の意味が解らないと言う中で、リードは答えを教えてくれた。

「―――どういう意味―――、リード?」

「推測が正しいなら、オレの足元にあった死体は、きっとオレだ。」

 答えを教えてはくれたが、意味を深く理解できないと言うか、理解できてはいるが、納得ができないと言う方が正解で、説明してくれるかと言うようにリードに聞く中で、リードは先ほどまでたっていた場所に向かって歩き出した。

 歩き出し先ほどまでたっていた場所に戻ったと言うよりも自分の足元の近くの骸の前に膝をついたと思う中でリードはもう答えは出ていると言うように言った。


 答えはすでに出ていると言えばよくも悪くと言う言葉が付け足され、調べるまでもないのかもしれないが、少しでも可能性に賭けたいと言うか、ありえないと信じたい部分が存在しオレリードは先ほど足元に見えた死体を調べた。

 山中がAGSの上着だと言うように見せ、オレはだれかわかるかもしれないと思い調べ、DNA鑑定をしたのだが、見覚えのあるDNAと言うか、ものすごく近くにいる山中と同一と言う信じられない結果を出した。

オレは再確認を求めるためにサンプルを求め唾液と死体のDNAを分析すると間違いなく一致し、現状を踏まえオレはある推測が浮かび死体を調べる中である意味思った通りの答えが出た。

「リード?」

「DNAが一致した。この死体もオレだ。」

「どういう意味だ? わかるように説明してくれ? DNAのことは知っているが説明がつかない!」

 真意が理解できないと言うようにオレを呼ぶ山中に対し、オレは思った通りだったと返したが、山中は理解できないと言うように返した。

「来るころだと思っていました。」

「!?」

「だれだ!?」

 説明をしてもわかりにくいと言うか、現実に見ても説明がむずかしいで、山中も頭が悪い方ではないと思うが少し時間が必要かと思う中で不意に山中の後ろから人の声が聞こえた。

 聞こえた中で山中はマスクを装着し直すと銃を声の方向に向け、オレも腕を小銃へと変化させ向けた。

「―――きさま!?」

「だれだ? 子供? どうしてこんな場所に?」

「銃を下してください。争う気はありません。」

 眼を向けると声の主はオレの言う通りのどうしてお前がここにいると言う人間で、山中は理解できないと言う物言いの中で、声の主は言う通りに敵意はないと言うように言葉を続け、軽くだが両手を上げた。

「山中、こいつはEVEだ。」

「EVE? だが、しかし姿が―――!?」

「成長している! 覚醒している。油断するな! 姿にだまされるな。お前を殺しかけたやつだぞ!」

 落ち着いた雰囲気で攻撃する気配は見受けられないが、オレは信用できず山中にだれかを説明し、まさかと言う反応の山中に対し警戒しろと言うように改めて返した。

 声の主は紛れもなくEVEの覚醒体で、厳密にはこの世界のEVEでオレの知っているEVEとは違うのかもしれないが、その姿は間違いなく山中を気絶させ、その隙に逃げ出したEVEそのものだった。

 覚醒前の姿しか見ておらず、覚醒後の姿を見ていない山中にとっては幼い子供の印象が強く、人間の観点上あれほど急速に成長するとも考えないで、信じられないと言う表情をしていることが考えるまでもなく推測され、マスク越しの顔が想像できた。

「これはお前の功績か?」

「やはりあなたはわたしを、いえ、わたしたちを機械の奴隷の下僕としか考えないんですね―――」

 山中の表情は置いておくと言うわけではないが、殺すべき敵が眼の前の一応存在するが争う気はないと言うが信用できず、オレはこの世界はお前たちが原因かと言うように聞くと、EVEはそれは違うと言うように返した。

 返したが、その言い方はわたしばかりを疑うのは止めて欲しいと言うような言い方だった。

「―――来るころだと思っていたと言ったが、どういう意味だ?」

「この世界では―――」

 EVEは眼を閉じ、小さいが深いため息を吐きだす中で、山中が理解できないと言うように質問すると、EVEは説明しましょうと言うように口を開くと、不意に周囲からまるで大きな建物が崩れ落ちるような音が聞えた。

 オレと山中が何かと思い見まわし始める中で周囲の景色が変化していた。

 変化するまでは視界こそいいが暗黒に包まれた空間だったが、中央に巨大な機械が見える広場の一片にオレたちは地に足をつけていた。

「―――ぅっ!?」

「どうし―――! これは!?」

「なんだこれは?」

 景色が変わったと思う中で反応したのが山中で、足元の方に眼を向けておどろき、オレが眼を向けると立体映像だとは思うが死体が落ちていた。

 細かくつけくわえると先ほどの白骨化死体の死体が死体になった直後を投影したような光景で、地面に横向きに倒れているこの世界の山中の死体が見え、オレの足元にも同じようにオレの死体が転がっていた。

 オレの死体はと言えばあおむけに倒れ首を上向きに反らし、正面から何かを受けたのかサングラスが砕け白目をむいていた。

死体はよく見ればオレたちだけではなくほかの人間の死体も転がっていた。

「あなたたちは敗れた。いえ、彼も、アーウェーも敗れた。そしてわたしたちは併合された時に囚われた―――」

「―――プロジェクトヤーウェーが失敗したと言うことか? オレたちも敗れた? そう言いたいのか? ならばなぜきさまは生きてる!? それにきさまがオレたちをここに導いたのか?」

「わたしは人工とは言え神です。時と言う概念に縛られない精神体として唯一生存を続けられたからです。」

 銃をEVEに向けたままではあるが、悪趣味だなと考えている山中の精神状態が確認できる中で先ほど言った言葉の途中だと言うようにEVEは話し始め、オレはそれならばと聞くが、EVEは答えるまでもないと言うように答える中で歩き始めた。

「異なる時間線やほかの世界との併合は失敗し―――、そんなことはもうどうでもいいー――」

「?」

「返して? 返してよ? もう戻らないとはわかってるけど返してよ? この子に何の罪があったの? それはあなたたちも同様よ? 異なる理想や一方だけの利潤、それを追求した闘争の果てには何もないのがなぜわからないの―――?」

 歩く中でEVEは話しを続けたが、不意に女性だと思うがある死体の前で膝をつき、オレが何かと見ていると彼女を抱きしめると泣き出しそうに言った。

 抱きしめるとは言うが動きもしない死体で、EVEが手を離せばすぐにでも崩れ落ちそうな雰囲気だった。

「それでも争い続けるのが人間だ。」

「山中!?」

「理解したよ。並行世界の多元宇宙、その中の1つ。ここは俺たちが負けてアーウェーがプロジェクトアーウェーにも失敗した世界。そしてお前はあの時の子供か―――」

 だれかはわからないが協力者がいたのかとみている中で山中が口を開き、オレが反応する中で山中は言いながらEVEに近づいた。

「俺たちはこうなる前の異なる時間線から来たと言うことであってるのか?」

「―――はい。」

「来るころだと思っていたと言ったが、何を求める? 俺たちに? 二度と繰り返すなと?」

 近づく途中で銃を下し、戻すと小銃を手に取る中で質問するとEVEは間違いないと言うように答えると山中はそれならと言うように再度質問した。

「―――わたしには、何もできません。だけど知ることができただけで、本当に何もできないんです。あなたたちに何もする気もなく、戦う気もありません。唯一、お願いするとすれば2度と来ないで、こんなこともういや―――」

「―――――どうする?」

「どうすることもできないな。」

 EVEは言う通りに少し無気力と言うか、投げやりな言い方で、山中がオレにこいつをと言うように、そして殺すかと言うように聞いたが、オレは言う通りに決めるのはむずかしいと答えた。

「こう言った世界がどれだけ存在する? それに飛鳥たちがいるような未来がどれだけ存在する? 俺たちはどの道を歩む?」

「―――――」

「―――真実も過ちもない世界で求める答えは惰性の継続の維持なのか?」

 未来など結局は不確かな世界と言え、オレと山中が存在する以上は未来が継続していると言えるが、山中はこの世界と同じことになるのかと言うように聞くがEVEは答えず、答えない中で、お前にもわからないのかと言うように聞いた。

「―――きさまの力をもってすれば、世界の再生など簡単だったと思うが?」

「?!」

「それはわたしの造りだした虚構の世界にしかすぎません。戻しても同じ道を歩むだけです。だけど滅ぼし新しい世界を造りだすにはこの世界には未練が多すぎる―――」

 聞いた中でオレは考えてみればEVEの力であれば十二分にこの世界の再生が可能だと思い質問し、山中が言われて見ればと言う反応の中でEVEはそれはできるけどできないと言うように返し、少女を抱きしめる力を強めた。

「知らせないこともできた。だけど、知っておいてほしかった―――」

「―――結末がどうなるかわからない。同じ道を歩むかもしれないが?」

「―――それでもです―――」

 EVEはこれだけは譲れないと言うように続けると山中が意味があるのかと聞くと、EVEは確実ではないが全然とは言い切れないと言うように返す中でEVEの姿が不意に見えにくくなったと言うか、周囲が暗くなった。

 暗くなり、気のせいかと思っていると、不意に周囲と言うか、主に上の方からだが、ガラスが砕けるような音が響き渡ると、ボールの外壁が強い衝撃を受けて砕けたガラスのように外界の世界を映し出した。

 代わり映えしない世界が再び見えたと思う中で外壁は地面に落ちることはなく、途中で厳格だったかのように消え、その場にはオレと山中、それにいくつかの白骨化した死体が残され、EVEの姿はなかった。

 

 夢か現実かと聞かれると、その中間と呼べる場所にいると俺山中は考えた。

 EVEと奇妙な再会を果たす中で、見た光景は間違えることなく俺たちの未来の可能性を指し示しているが、現実としては程遠く、夢を見せられたような気分で、現状はと言えば夢から覚める直前の光景だとも思った。

 俺が先ほどリードに言ったボールは崩れ去り、影も形もなくしたが、夢ではないと見せしめにするためか、先ほど見た多量の白骨死体が余すことなく残されていた。

「―――帰ろう。調査も終わっているだろう。」

「ああ。」

 未来と言えるか、可能性の中の一部と言えるか、俺は改めてと言うように自分自身の白骨死体を見ていると、リードは意味もないことだと言うように言い、俺は一応はわかったと言うように返した。

「―――信じられないか?」

「いや、ある意味受け入れないとならない現実だ。返って冷静に受け入れることができる―――」

「―――――オレも、手を合わそう。」

 背を向けかけたがリードは気になるのかと言うように聞き、俺は一応と言うように答え膝をついて手を合わすと、リードも合わして自分の死体の方へ膝をつき手を合わせた。

「山中? どうした? 何をしてる?」

「―――理想の死を考えてな。」

「理想の、死?」

 頭蓋骨に触れ、意外と小さいなと思い中でいつまで見ているんだと言うようにリードが声をかけ、俺は考えてみればと言うように返し、リードはなんだそれはと言うように返した。

「―――死ぬなら、骨も残すことなく焼いてほしいとな。」

「焼く?」

「日本は火葬だが、骨は残すんだ。祖父の骨を見た時、頭蓋骨が残っていた。」

 死に理想などあるのかと言う表情のリードに対し、俺は立ち上がりながら思った通りのことを口にし、リードが余計にわからないと言う反応の中で俺は言葉を続けた。

「死んだ後もこの世に死体だけが転がっていると思うと、未練が残っているように感じるんだ。死ぬなら跡形もなく消え去りたいんだ。」

「―――」

「ここに俺はいない。死んで残る物は何もないんだ。俺の肉体だった物体だけが死んでもなお転がっていると思うとこの世界の俺は、無念の死を遂げたのだと思ってな―――」

 リードは黙って話を聞いていてくれた。

「無念の死とは言うが、この世界の俺が死ぬ間際にどう考えたのかはわからない。そして、俺と同じ気持ちなのかもわからない。この男は骸が残るこの世界に未練を感じるのかと考えてな?」

「―――人生は1度きりだ。そしてここはその世界の1つだ。お前の言うことは道理に適っているが、感情移入が過ぎる。」

「―――すまない。そうだな―――」

 話しを続けて一段落する中で、リードは少し厳しい言葉を返して来て、俺はこれ以上はと思い、口を少しの間閉じたが、細かく考えるのはよくないと思いあやまった。

「いや、だが―――」

「―――?!」

「遺言は生きている時に書くものだ。実行するのも生者の役目だ。オレのこれもお前への過ぎた感情移入だ。」

あやまるとリードは不意に俺の遺体の方に向かって来て、何かと思う中で俺を軽く押しのけると勢いよく俺の遺骸の頭蓋骨を踏み砕いた。

おどろいている中で踏み砕いた足をのけると遺体が一瞬で燃え始め、見ている十数秒ほどで灰も残らないほどに燃え、同様にリードの背後の遺体も燃え始め、何かと思う中でリードお前の考えは悪くないものだと言うように続けた。

「跡形もなく焼き払うには未練が多すぎる。覚悟が決まらず前に進めないなら、オレがお前の覚悟を決めてやる。」

「―――わかった。」

「帰ろう。そして絶対に、この世界と同じ道は歩まん―――」

 強引だが悪くないだろうと言うようにも続け、俺が言われて見ればと言うように言うとリードは言いながら背を向け歩き出した。

「―――いや、歩ません―――」

「安心しろ。偉大(Big)な兄弟(Brother)が見ている。」

「ジョージ オーウェル、「1984年」か―――」

 歩き出し、俺も続く中でリードは改めて違うと言うように言いかえる中で、俺は冗談交じりに問題ないと返し、リードはそれはと言うように返した。

「―――お前は、Great Brotherだ。そして、Great Fatherだ。」

「―――過剰評価をするな。冗談で言ったんだ。役立たずだってな。」 

「謙遜するな。」

 間違っているぞと言うようにリードは返し、俺は間違いとも言えないと言うように返したが、リードはお前は少し自信を持てと言うように言った。

 俺の言った偉大な兄弟とはリードの言う通りのジョージ オーウェルと言う名の小説家が書いた「1984年」と言う小説に登場する人物と言うか、支配的存在で、俺はリードとの関係を踏まえ半場冗談で言ったのだ。

 冗談で言ったが、リードはと言えば高度な冗談だと言うように笑っていて、俺も理解してくれる人間がいてよかったと思った。



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