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Relaxation

 結局ヴァリーV退治後も恋からの連絡はなく、飛鳥も桜も通信を入れてこず、通信をこちらから入れても反応する気配もなく、ヴァリーVの片づけを追えた俺山中とリードはアパートメントに戻っていた。

 戻ってきたとは言え、問題は片付いていない状態で、不意に聖那はまだいいとして、連れてきてしまった2人の少女のことだ。

 止むを得ず保護したと言えば聞こえはいいが、俺たちの身に何が及ぶかもわからない上、帰ってくると辻から送られてきていたファックスも後でみないといけないで、問題も重ねられることになった。

「―――」

 ハイブリッダーの能力は数多く存在し、画像の共有も可能で、俺はリードの見た画像として編集された光景を端末こと、スマフォ越しに見ていて、俺の後ろで聖那も見ていた。

 この時代にスマフォほど薄くて機能の多い高性能の端末は存在しない上、リードの眼で見て編集された画像で、俺と聖那の見ていない光景が夜とも思えないほど異常に鮮明に映し出されていた。

『滅!』

『滅!』

 映像の始まりはリードの目線越しに映るヴァリーVの集団だが、不意に彼女たちに日本の儀式にでも出てきそうな漢字の書かれたお札が身体に張り付かれたかと思うと、女性の声がどこかから聞こえ、ヴァリーVが粉砕された。

「東洋魔術、日本のONMYODOか?」

「わからんが、そんな感じな物だろうな?」

 映像と言うか、光景を直に見た聖那がこれは事実なのかとみている中で、リードも意味が解らないと言う表情で俺に聞き、俺も聞かれてもわからないと言うように返す中で、リードは顔を2人の少女たちに向けた。

「―――お前たちで、間違いないな?」

「―――はい―――?」

 リードが眼を向ける先に連れて帰って来た少女たちの姿も存在し、俺は2人に映像を見せて確認をとると年上の少女の方が間違いないと言うように答えるが、いつの間に録画したんだと言う表情で見ていた。

「カメラだよ? サングラスに仕掛けているんだ。これも最新式の装備なだけだ。」

 スマフォもなんだこれはと言うように不審そうに見ているし、細かく説明するのも時間のむだだし、俺は適当に説明して済ませることにした。

「それと、―――えっと?」

「―――神宮寺憂さんと、神野沙良ちゃんです。」

 本題はお前たちはと言うように質問すると言うか、聖那に眼を向けると、聖那は2人を紹介した。

「近所に住む高校の先輩に知り合いの子?」

「はい―――」

 名前も実はすでに聞いている状態で、再確認するように俺は聞き、聖那も本当だけど信じてくれないですよねと言うか、わたしもどうして彼女たちがここにいるかわからないんですと言うように返した。

「―――間違いないです。」

「―――はい。」

 先に答えたのは神宮寺憂と呼ばれた年上の少女の方で、神野沙良と呼ばれた年下の少女は遅れて間違いないと言うように答えた。

 神宮寺憂と言う少女は15歳から20歳ほどで、沙良の方は10歳から15歳と言うか、まだ小学生だと言う雰囲気だった。

「―――差しさわりの無い部分だけ話す。」

「?」

「俺たちはBC兵器によるテロを企む男を追っている。お前たちが遭遇したのはその兵器による被害者たちで狂人化し、治療は不可能だ。それと俺たちは軍隊とも関わっていて、最新の装備を与えられている。」

 2人してたすけてもらったことは感謝したいが、わたしたちのことは詳しく聞かないでほしいし、内密にしてほしいと言う表情で、俺は口も開きそうもないし、先に話すことにした。

 話すとは言え言う通りの差しさわりの無い部分で、現に俺はうそだけは言っていないことを話した。

「びー、しー?」

「BC兵器、細菌や化学物質の兵器のことですね?」

「そうだ。」

 沙良がなんですかそれと言うような反応の中で、憂は俺に確認するように聞き、沙良がなんですかそれと言うように憂に眼を向ける中で俺は間違いないと言うように答えた。

「―――俺たちは表向きにされるとまずい事情を持っているしお前たちも同様だろう? 俺も本音を言うと気になるが立場上深入りはしたくない。やむを得ず保護したがこの後面倒なことはごめんだ。」

「―――」

「俺たちのことをだれにも話さないでほしいし、俺たちも自分の立場を踏まえてお前たちのことを話す気はないし、それを条件に開放する。それでいいか?」

 わかってもらえたならばと言うように俺は話しを続ける中で憂は話しを聞き、俺は最終的にはと言うように確認するように聞いた中で、憂はわかりましたと言うような表情を見せた。

「―――かまいませんが―――」

「聖那は俺たちが責任もって守っている。心配するな。」

 憂はそれならと言うような反応を見せるが、肝心なのはと言うように聖那に眼を向け、俺は問題はないと言うように返した。

「―――それに彼女は俺たちのクライアントの1人、依頼主だ。彼女を貶めるような真似はしないさ。」

「―――クライ、アント、依頼主―――」

「―――後は、そうは言っても―――、2時50分―――、もうすぐ3時か―――」

 念を押してと言うように俺は言葉を続け、憂が本当なのかと言う反応を見せる中で、俺は時計に眼を向けた。

 正確には2時48分ほどで、3時近いと言ったが、紛れもない午前で、時計を見た後近くの窓こと、外に眼を向けると、窓越しに都市部相応の星の見えない安穏の狭い空が見えていた。

「―――あれを見ればある意味安全だと思うが、外出て歩いたら確実にまずいな?」

「治安もいい方だが夜の郊外は保証できないぞ?」

「連絡を取って送ろうにも、怪しまれるしこの時間は不味い、な―――」

 外を見た後2人に眼を向けた後リードにも眼を向け、このまま外に出してもいいかと言うように聞くと、リードはわかっていると思うが最悪命がないぞと言うように返し、俺も困ったと言うように反応するしかなかった。

「―――それに―――」

「?」

「―――眠たそうじゃないか?」

 肝心の2人と言うか、沙良の方に眼を向けると、眠たそうな顔をしているし、俺はこんな子供がと言うように言いながら近づき、憂が何事かと言う表情の中で、俺は沙良の頭を軽くなでるように叩きながら仕方ないなと言うように言った。

 見る限り沙良は本当に小学生のようだし、こんな時間まで普通起きていることはないし、海外に行くことなんてなくて時差ボケも初体験かもしれないと思うし、大変なこともしていて眠たそうなのは当然だとも言えた。

「―――少し休め。返すのは夜が明けてそれからだ。俺たちも少し外す。聖那、頼めるか?」

「―――はい。」

「頼んだぞ―――、悪いな―――?」

 急ぐ必要もないなと言うように俺は言うと憂は沙良を抱きしめる中で申し訳ありませんと言うように頭を下げる中で、俺は聖那に後を任すと言うように言い、聖那もわかりましたと言うように返し、頼んだと言うように聖那に返す中で俺は一時部屋を出ることにした。

「―――リード、行こう。」

「ああ。」

 背を向け歩き出す中で、お前もだと言うようにリードを呼び、リードはそう言えば言われて見ればそうだなと言うように返事を返し、俺に続いた。

「―――?」

「―――どうした?」

「あ? いや、何でもない―――」

 朝から変な夢は見るし、外出して食事に行くとアリーたちこと、思わぬ人間たちと再会するし、ヴァリーVとの戦闘と言い大変だったがとりあえず一段落だなと思い、部屋を出る中で、一瞬だが既視感を持った。

 デジャブとも言われるもので、見覚えがないものを見覚えがあると言う現象で、何にそれを感じたかと言えば沙良のことで、沙良にどうして既視感を持ったかと言えば、朝見た夢のことだった。

 夢の最後に一瞬見えた巫女の顔と、沙良の顔が似ている気がして少し考えかけたが、遅れて出て来たリードに声をかけられ、ドアの閉まる音にも反応し、そんなわけはないよなと言うようにリードに返し、そう考えた。


 黙認され、指図されない行動と言うものは人間だけでなく、ハイブリッダーであるオレリードにも精神的な違和感と呼べるものを持たせるし、山中もワーパーたちと連絡をとれないことを不審に思っているのだと思った。

 聖那の友人にまで姿をあらわした上、普通の人間ではないと言う聖那にとってもおどろきの事態であり、この場で1番年上の山中には年齢的な責任感もあるだろうし、後ろから見る背中は、また重い荷物を背負わされたと言言いたそうな雰囲気だった。

 雰囲気とは言え一応は肩の荷が下りたし、いずれワーパーとも連絡が取れるだろうと言う少し楽観的な雰囲気も見て取れた。

「―――聖那の友人、か―――?」

「?」

「―――数奇な運命、いや、機構が組み込んでいた―――?」

 2人を聖那に任せ部屋を出て歩き出す中で、不意に山中がそう言えばと言うように漏らし、どうしたと言うように顔を向ける中で、山中はもらした時は独り言と言う物言いだったが、次の言葉は考えてみてくれと言うように言った。

「―――その可能性は、ある―――」

「―――俺たちにも意味がある―――? 俺たちが彼女たちに会うことも―――?」

「―――――」

 言われたらと言うようにオレも否定はしないと言うように返し、山中は現状も踏まえ、先のことを何とかして読もうと言う表情をしていた。

「―――辻たちもファックスを送ってきていたが、何があった―――?」

「ファックスとは古風なものだ。」

「そう言うな。この当時は全盛期だ。」

 気がかりなことはそれだけではないと言うように続ける中で、オレはと言えばある意味関係ないが時代遅れだと言い、山中は仕方ないだろうと言うように返した。

 ファックスと言うのはこの時代全盛期だった電話機能の1つで、書類を電話に読み取らせた上で読み取り情報を送信し、受信先の対応電話の白紙に書類を移すと言う仕組みだ。

利便性が高いと思われるが2000年以後のIT技術の発展こと、山中の時代ですでに半場すたれた技術と化している。

「―――細かいことは抜きだ。飲みにでも行こう。」

「―――」

「KAROSHIされたら困る。」

 深く考えているが、話しが前に進む気がしないし、オレもいら立ちは少し隠せないが、無意味にいら立ちたくもないし、必要な時に取っておきたいと思っているし、山中に1つ提案だと言うように言った。

 お前と言うような表情を山中はしているが、仕方ないし、同僚を気遣うのは当然だろうと言うように返した。

 関係してオレの言ったKAROSHIとは日本語の1つで、働き過ぎて死ぬことを意味している単語だ。

「―――それにヴァリーVの発症者も出た。近くゾンVの発症者も出るだろう。―――俺も、発症の危険はないのか? それにほかのEシリーズの出現の可能性は?」

「オーヴァーマシンが守ってくれる。信じろ。それに出て来てもオレたちが倒せばいい話だ。」

「―――未然に防ぐことも必要だ。」

 日本の労働条件が狂っているのか、日本人の労働への意欲が狂っているのか、それとも山中個人の人間性か不明だが、この後のことを考えろと言うように山中は厳しくオレに返してきた。

 返してきたが、オレはと言えば心配しなくていいから肩の力を抜けと言うように少し先を歩き出す中で、山中は楽に考えるなと言うように返した。

「発症率は低いことは事実だが、環境や精神、それに時間と、何が引きトリガーになるかわからないんだ。機構に要請してアンチヴァイラスの製造やほかへの対処法の発見を依頼すべきだ。」

「―――――」

「サンプルも集めて研究を依頼し、機構にも情報の開示請求を―――、リード?」

 背を見せながらも聞いてはいるよと言うようにオレは反応している中で、オレは不意に山中の言った言葉の中に少し気になる言葉を聞き不意に立ち止まった。

 山中は聞いてくれるならと言うように話を続けていたが、オレが振り返る中で、オレの微妙な雰囲気の変化に気付いたようだった。

「―――お前なんと言った?」

「?」

「なんと言ったと聞いたんだ―――」

 よくないことを考えてないかと聞きそうな表情の山中にオレは質問し、少しまずいことでも言ったかと言う表情の中でオレは再度聞き、山中に近づいた。

「―――ぅ―――」

「アンチヴァイラスと言ったよな? 間違いないな?」

「―――ぁ、ああ、言ったが―――?」

 勢いよく山中の両肩を抑え、少し力が強かったか少し苦痛そうな顔をしている中でオレは山中に質問し、山中は確かに言ったけどそれがどうしたと言うように返した。

「―――」

「―――リード? おい? どうした? 笑って―――?」

 意味が解らないと言う表情をしている山中に対し、オレは思わずその手があったかと言うように笑いだし、山中は気味が悪いから理由を話せと言うように返す中で、オレは笑い出してしまっていた。

「―――やはりお前は天才だ。」

「―――?」

「いや、オレが頭の回転が悪いんだろうな? どうしてこんな当然なこと気が付かなかったのかわからなくて発狂しそうだ―――」

 気味が悪いから理由を早く言えと言うような表情の山中に対し、オレは感謝すると言うように返しが、山中は何を言っているんだと言う表情をした。

 オレはと言えば自分でも言った通りで、言われて見ればと言う反応をするしかなく、自分で言うのもなんだが本気で発狂しそうな気分だった。

 簡単に言うと山中にはこれからするべき最良の策が思いつく頭があるが、実行できる能力がなく、オレはその反対で考える頭がなく、実行できる能力が存在していた。


 失礼かもしれないがリードと山中と言う2人は立場的に常識外の存在過ぎて、真実味が無くて逆に受け入れやすいと言う部分も存在するが、わたし聖那の眼の前の知り合い2人の場合は別格だ。

 場所も問題で、どうして2人がアメリカにいるのかと言うことも疑問になるで、山中に返すまでの一時を任されたが知り合いと言えど仲よく明るく、楽しく話し合える雰囲気ではないのは必然だった。

 山中に簡単に説明した通りで年上の少女こと、神宮寺憂はわたしの近所に住んでいて、通っている高校の先輩で、現在は確か大学生で、もう一人の神野沙良は近所に住んでいるわたしも通った小学校の生徒で、現在確か小学4年生だ。

「―――ごめんなさいね? 聖那さん? ありがとう―――」

「いえ―――」

 山中の言った通りで沙良は眠たそうなのでひとまずソファーに寝かしつけた中で、沙良から少し離れた場所で憂は手伝ったわたしに礼を言い、わたしはそれほどのことはしていないと返した。

「―――――」

「―――あの―――」

 返す中で憂は少しせき込み姿を見せ、わたしはと言えば質問していいのかと言う雰囲気だった。

 憂が2、3歳ほど年上で、小さい時は一緒に遊んだし、時折勉強も教えてもらったこともあったが、外見的にもわたしよりも幼く見えるし、考えなくても見てわかるが憂は身体が少し弱いと言うか、虚弱だ。

 わたしが160Cmを超えて少し背が高く、中肉中背と言うほどだが、憂は少し低いほどだがわたしよりもやせていて、肌の色も白いと言うか、薄く、学校もほかの人より少し多く休んでいるのを見たことがあった。

 休みがちとも言えるが、成績なども悪い方ではなく少し有名な大学にも進学し、運動もある程度できているが、この寒い季節に深夜のアメリカを歩き回るには山中でなくてもだれでも危険だと言うのがわかる。

 家が神社の管理をしていて、正月などには神社の手伝いで巫女の服を着ているのを見たことあるためか清楚と言う印象が強いが、現状はと言えば沙良もだがこの国らしいと言うか、現地仕様の少し不良みたいな服装で不似合だった。

 学校の制服に質素な私服、それに巫女の服でも着て木陰に足を崩して座って空を見上げていることや、少し遠くでも見ているのが絵になりそうな少女と言う雰囲気で、思いもしない再会だとも言えた。

「―――差しさわりの無いことだけ話す。」

 わたしが声をかけたが待って考えてみれば聞かない方がいいのかと言うような表情をしていた分もあるが、憂は少し間をおいて、呼吸を整える中で口を開いた。

「―――?」

「それでいい―――?」

「―――はい。」

 山中と似たようなことを言ったのかと思っている中で憂は再確認するように聞き、わたしはそれでいいと言うように答えた。

「―――どこまで話せばいいか、どこまで話すとだめか―――、それに、信じてもらえるか―――」

「―――魔法、魔術みたいなものを使って、何かと戦っている。そう考えていいですか?」

「―――――」

 言うとおりに言葉に困っていると言う憂に対し、わたしは見た通りの推測を口にし、憂は言う通りだけど少し違うと言うか、どうやって説明しようかと言うように少し困ったなと言うような表情を見せた。

「この世界には、科学では解明できないことがたくさんあるの―――」

「―――」

「だけど、それは、あくまで人間のと言うか、科学の目線と言うか、偏見的な思考と言うか、一部分しか見えてないと言うか―――」

 困ったと言う表情を見せる中で憂は説明を始めるが、口を開けば開くほどうまく話せないしどうすればいいと言うかのような物言いだった。

「わたしたちが、知らないだけなんですね?」

「―――」

「気になるのも事実ですが、山中さんの言った通り、わたしたちに表向きにはしたくない事情があるし、同じように詮索はしません―――」

 結論と言うように言ったのはわたしで、憂は言葉に迷っていると言う表情の中で、わたしはもう何も言わなくていいと言うように言葉を続けた。

「―――沙良に向けた顔と言い、その物言いと言い、悪い人たちじゃないのね?」

「?」

「事情はどうであれ、あの山中さんって人よ? 物言いは理路整然で冷たそうな印象だったけど、沙良の頭をなでた時の表情、ひどく優しげだったの。」

 わたしも機械的で山中と何も変わらないなと少し思う中で、憂は少したすかると言うように返すが、安心すると言うか、信じてもいいと言うようにも返し、わたしが何のことかと言うように反応する中で憂は続けた。

「信用する。一時的だけど、お世話になります。」

「―――こちらこそ―――」

「たすかります。」

 言うと憂は頭を下げ、わたしも同じように頭を下げる中で、憂はわたしにお礼を言ったが、このお礼は山中に対してもしているのだとも思った。

 憂の言う通りで一見すると山中は職業的な部分もふくむが強引な印象はなく、外見的と言うか、話し方と言い冷たい部分もあるが、わたしが屋上に来た時も意外にも頼むからわかってくれと言うようにやさしく言っていたと思った。


 アンチヴァイラスが必要だと確かに俺山中はリードに対して言ったことは事実として認めるが、考えるべきは後のことで、俺はと言えば話し合いの数分後リードと一緒に屋上に来ていた。

 行動の意図が理解できないがだれが見てもご機嫌よしと言う上、少し悪く言うがだれが見てもよからぬことを考えていると言う表情で、俺の前で空を見上げながら豪快に葉巻を吸っていた。

 普通の紙巻きタバコと言い、葉巻と言い、パイプと言い、良し悪しは理解できないが、背中越しにだがご満悦と言うのがわかるし、紫煙も周囲に盛大に出ていた。

「―――それで、大佐殿サー カーネル、目的は?」

「アンチヴァイラスを造る! そして世界中にばらまいて全滅させてやる!」

 意図を知りたいと言うように口を開く前に一息吐き出すと白い息が口から出てくるが、紫煙と違いすぐに冷えて姿を消し始める中で、リードは勢いよく俺の質問を返してきた。

「―――納得した。」

「ヴァリーVのデータは手に入れた。5分もあれば十分だ! ほかのも続けてやっていくぞ!」

「―――了解(Roger)」

 言われて見ればと言うように返す中でリードは心配するなと言うように返し、俺はわかったと言うように返した。

「このままデータを集めてほかのEシリーズも戦わずして葬ってやる! 見てろアーウェー!」

「―――――」

 いい気分だと言うようにリードは続け、俺も水を差すべきではないと言うように何かを言うのは止めておいた。

「山中。」

「―――どうした?」

 あくびも出るし眠気も感じ、あくびで一緒に出た白い息を見ている中で暖かい部屋のベッドが恋しいなと少し思う中でリードが俺を呼び、俺はまだ何かあるのかと言うように聞いた。

「―――お前は頭を使え、オレは身体を動かす。」

「―――」

「頭脳となれ、オレは身体になる。OSとなれ、オレはハードになる。」

 言うまでもないがと言うようにリードは言い、俺が黙っている中で、これこそ最高の作戦だと言うように続けた。

「―――――」

 上機嫌のリードの背中を見ていたわけだが、不意にリードの前側からだと思うが青白い光の粒子のような物が大量に姿をあらわし、空へと舞い上がり始めると言うか、周囲への拡散が始まった。

「―――完成したのか?」

「ああ、拡散も終わった。」

 拡散する中で青白い光はリードから離れると消え、粒子のような物も見えなくなったが、見てもわかると言う状況でアンチヴァイラスが完成し散布が始まったのかと思っている中で光は不意に消えた。

 一仕事終えたと言うようにリードが一息吐き出す声が聞え、これで終わりかと言うように俺が聞くと、リードは勢いよく振り返り、不敵な笑みで完璧だと言うように返した。

 一瞬で終わってしまったとも言えるが、リードの言うことが事実ならば、これでヴァリーVは全滅されると言えた。

「―――さて、話を戻そう。」

 言う通りならばこれで一応は1つの問題が解決したなと思っている中で不意にリードは先ほどからもだが葉巻から紫煙を吐きだしながら微笑んでもう1つと言うようにきりだした。

「?」

「飲みに行くと言っただろう? 遊びに行くぞ? 女も買おう。」

 どうしたと言うように俺が反応する中で、リードはもう忘れたのかと言うように聞いてきた。

「―――いや、俺はいい―――、1人さびしく飲んでるよ、ここで―――」

「山中―――」

「そう言う気分じゃない。すまない―――」

 確かにそうは言っていたのは確かだが、そう言う気分はなれないと言うように俺は軽く眼を閉じ、首も左右に振りわかってくれと言うように言うとリードは付き合いが悪いと言うように返すが、俺は気持ちはわかるがと言うように返した。

「―――それに、少し1人になりたい―――」

「―――わかった。」

 考えたいことも多いし、わかってくれと言うように続けると、リードはそこまで言うならば無理強いはしないと言うように返した。

「すまない―――」

「あやまるな。お前は何も悪いことはしていない。それにオレたちはビジネスパートナーだ。プライベートで引き連れまわす理由は存在しないからな。」

「―――ありがとうな?」

 誘いを断るのはあまりいい気持でもないし、オレがあやまる中でリードは気にするなと言うように返し、俺は少し考えて礼を言った。

「オレは礼を言われるようなことはしていないが?」

「言われて嫌な気はしないだろう? それと、気分的に浴びたいほど飲みたい時もある。気長に待って時折誘ってくれるか?」

「―――無論だ。」

 わかってはいると思うがリードは言うとおりに礼を言われるようなことはしていないと返し、俺も深く考えるなと言うように返し、いずれいいかと言うように聞くとリードは聞くまでもないと言うように返した。

「―――それじゃあな。」

「―――ああ。」

 後は任せたと言うようにリードは言うと背を向け、光学迷彩だと思うが言葉通りに姿を消し、俺はと言え返事を返す中で屋上に1人残された。

 眼の向ける方向にリードが進んでいったかわからないが、俺はと言えばリードの消えた方向に眼を向けていたが、空と言うか、少し高い位置に眼を向けた。

 後数か月もすれば日本では桜の舞う季節のころ合いだが、寒さはこの時代に来た時と変わり映えしないどころか拍車がかかる時期で、吐きだす息はより大きくより白く、より長く周囲を舞っていた。


 上層部の人間たちと言うか、神たちはこちらの事情も一切考えずに呼び出すことはドギーだけでなくわたしアリーも重々承知しているつもりだ。

 承知しているつもりだが、思いもしない場所で彼らと再会したし、ジョセフからは意味の解らないことを言われたし、時間はと言えば午後10時半を過ぎているし、いら立ちは隠せなかった。

 彼らはと言えばわたしたちのありがたいお言葉を聞けるのだから時間を気にせず感謝し、文句を言うのが間違っていると言う時代遅れで勘違いした態度で人間の常識を理解しないことが多いのが現実だ。

 無論ディナは違うがわたしと眼を合わすと仕方ないだろうと言う表情で眼を反らし、ドギーだけは呼び出されて文句を言わないし、理解していると言うようにはわたしの横に何も言わずに静かに立っていた。

「―――消えたってどう言う意味? 報告書の内容が信じられない? それに一致する記録と誤差が存在しているってどういうこと?」

「その言葉の通りの意味だ。」

 呼び出されて簡単に理由を説明されたが、わたしはと言えば理解できない状況で、言い返すが、ディナは他になるがあると言うように返した。

「正体不明の0.1人分の魂が消滅し、お前らが2人が見た―――、警察署爆破事件の容疑者と思わしき2人と白い彫刻のような怪物だったか? お前を疑うわけではないが真実味が無さすぎる。」

「それにだ。日本の担当に問い合わせたモチヅキ ライヤと言う男性の情報も事実だ。」

 わたしが疑っている中ディナたちもわたしたちも同じだと言うように続け、バーンズもあわせるように答えを返した。

「該当する日本人は、1994年生まれ―――!? 1994年?」

「ドギー? どうしたのよ?」

 資料を手渡され眼を通し始めたドギーは信じられないと言うような反応を見せ、わたしも資料に眼を向けた。

「―――1994年生まれ? 何かの間違いでしょ? これだからお役所仕事は―――」

 資料を見てみると該当する人物が存在するが、年齢がどう考えても一致しなかった。

 ドギーの報告が正しいならば全員2、30代前後半の男性で、1994年生まれならば現在4、5歳でわたしはすぐに資料が間違っているのだと思った。

「―――訊問すると彼は事実だと認めた。それに彼は自分を2022年から来たと言った。」

「―――ターミネーターじゃあるまいし―――」

「―――ターミネーター? まあいい、わたしたちも狂人や妄言、別の方向からも調査を進める方針だ。君たちは引き続き調査を続けてくれ。」

 バーンズはと言えば書類が間違っている再調査しろと言うようなわたしの発言に反論し、わたしが思わずそんなわけないと言うように返す中で、彼はと言えば冷静にこれからのことをわたしに伝えた。

「―――だけど、お前らが見たあの怪物と去年のクリスマスに起きた警察署爆破事件の容疑者と思わしき2人の関与の話は、信じられないな―――」

「ディナ―――」

「10個師団を全滅させた影の血族の純血を引くお前がたった2人の人間と戦って負けるなんてことが信じられると思うか? それにお前のことも知っていたんだろう?」

 冷静に伝えてこそいるが、わたしたちもわからないし混乱していると言う表情で、ディナもわたしの描いて渡した報告書の内容を疑っているようなことも口に仕出し、わたしがまてと言うように声をかける中でディナはわたしを止めた。

「お前を倒した上に眼が青白く発光した男と言い、普通の人間もいた。その上何らかの組織に所属していると推定される―――」

「人間や彼らの組織の中にも少なからずわれらと関わり、互角に戦える存在もいないわけではないが、問題は確証と言うか、目撃者はいないし、ドギーも彼らが戦うのを見たが、アリーが傷ついたのは悲鳴を聞いただけだったな?」

 信じられないと言うようにディナは続けると、グティーもドギーに向かって再確認するように聞いた。

「―――ああ、間違いない。」

 聞かれたドギーはお前を疑うわけではないと言うようにわたしを軽く見たが、事実オレは彼らが戦うのを見ていたが、わたしが危機の追い込まれていたのは悲鳴を聞いただけで、間違いを言うわけにはいかないと言うように答えた。

「―――」

「しかし―――」

「調査を継続するんだ。この件は君たちにほぼ一任している。いい結果報告を待っている。」

 ドギーはと言えばすまないと言う表情で、わたしも気にしないでと言うように眼を向けている中で、ドギーは3人に対し確かに奇妙で信じられないことは事実だが、オレは確かに見たと言うように返そうとする中でバーンズは反論を跳ね返した。

「遠まわしに言わずわかるまで返ってくるなって言えば? 押しつけじゃない?」

「アリー、―――」

「第一前の呼び出しだって変じゃない? 現地で起きることをまったく把握していないってどういうこと? まったく本当に何も知らないの?」

 言ってもむだだなと言うようにドギーはあきらめた反応をしたが、わたしは困ると言うように返し、ディナが待て落ち着けと言うように返そうとする中で待てないし落ち着けないと言うように返した。

「―――わたしたちは君への当初の依頼同様に、あの黒い獣が出る可能性がある場所を指摘しただけだ。君も研究を進めているから同じような答えを出したと思うが?」

「―――わかったはよ―――」

 洗いざらいは毛と言うほどに入っていないが、グティーは冷静にだが厳しく返し、わたしは思わずに一歩下がって返した。

「―――こちらからも2、3聞いてもいいか?」

「構わない。Mr.ドギー。」

 大暴れして強引に聞き出しても結局に何も知っていなさそうだし、ほかに何か手がないかと言うように考え出す中でドギーは軽く手を上げて3人に質問をしてもいいかと言いうように声をかけ、バーンズは問題ないと言うように返した。

「まず、情報を整理する。発端は去年のクリスマスにオレが予定外な上正体不明の魂を持ち帰ったことと、恐竜のような、そちらの言う黒い獣と戦うアリーと出会ったことから始める。」

「―――」

「オレたちは、正確にはアリーだが少し前にそちらからそちらに命じられた調査の手がかりとなる場所にいけと命じられた。そこで同じ時期に起きたある事件の容疑者と思われる2人組と彼らと戦う正体不明の怪物を見た。」

 冷静に話し合う必要があると言うようにドギーは言い、わたしをふくむ全員が聞く中でドギーは続けた。

「報告書に眼を通したことを前提に話すが、そちらは黒い獣が出る可能性がある場所をオレたちに指定し、彼らと言う存在の登場は予期していなかった?」

「―――無論だ。」

「怪物の正体は不明な上、2人はアリーを命の危機に追い込むまでの戦闘能力を持っているが、これはアリー個人の体験で確証は存在しない、間違いないか?」

 続ける中でドギーは自分でも少し考えていると言う物言いだが、グティーは間違いなと言うように返す中でドギーは再確認するように聞くと、グティーは口を動かさなかったが、間違いないと言うように顔を縦に動かした。

「―――ここからは呼び出した現状になるが、正体不明の魂に異常が起きた。1つは原因不明の消失、もう1つは書類との誤差が存在している上魂自体も真実か不明な言動をしている。これで間違いないか?」

「―――――」

 言った通りにドギーはこれまでのことを簡単に整理し、わたしと3人は間違いないと言うように反応するしかなかった。

「0.1人分の魂が消失したと言っているがどのような原因があると思う? 盗まれた? それとも自ら脱走を? 無論死後の自己消滅も考えられるが、厳重な保存が可能だと聞いている。まさか逃がしたりするようなずさんな管理を?」

「―――」

「関係してもう1人の日本人だが、何かしらの理由が存在していて書類上の人物の偽名を使っていると言う可能性は? 日本に間違いがないか再確認は? それと例の2人の内1人が日本人だと思われるが関係性はあると思うか?」

 整理すれば落ち度と言えば大きいが問題があるのはわたしだけではないと言う状況で、ドギーは彼らにとって痛いことを言い、彼がそう思っているかわからないが、極め付けにと言うように最後の質問をした。

「―――管理は厳重にしている。それに再確認や訊問は報告書の日本人だと思われる男と関係性も付与してまだ途中だ。中間報告として君たちに―――」

「解決できない不満解消にだけにわたしたちを呼び出したの?」

 言葉を返したのはバーンズで、先ほども話した通りと言うように話だし、わたしは結論としてはと言うように聞いた。

「そう言うわけではないんだ。アリー―――」

「調査はわたしたちが主導でしてるのよ? わたしたちにも意見具申―――、ドギー?」

 聞かれたくないことを聞くと言うような表情をバーンズがしている中で、ディナは弁護するように言い、わたしがそれでは済まされないと言うように言おうとする中でドギーが待てと言うように腕を前に出して止めた。

「もう1つ。以前と言うか、最初の呼び出しで彼の言っていたIGANAGIとか言っていた言葉の情報は手に入ったか?」

「―――」

「―――その反応は手に入ってないと考えていいか?」

 止めろと言うような素振りにも見えたが、ドギーはまだ聞き終えてないことがあると言うように聞くとバーンズは答えず、ドギーはこれ以上は聞いてもダメかと言うような反応を返した。

「―――1ついいか? ある意味関係ないかもしれないし、アリーへの個人的な質問にもなるが日本好きのお前ならわかると思うし聞くが、IZANAGIだとわたしは思うんだが―――」

「IZANAGI? 確か日本の神話でそんな名前の神がいたな―――?」

 軽く一息と言うようにドギーがため息を吐き出すのが聞こえた中でディナがわたしに質問し、ドギーは言われて見ればと言うように反応した。

「―――国生みの神―――」

「?」

 言われて見ればと言うようにわたしは返し、ドギーをふくめ全員がどう言う意味だと言うように反応してわたしに眼を向けた。

「日本の神話の中でかなり古い神の1人よ? 日本と言う土地の基礎を築いた神と言われていて、対となるIZANAMIが存在し、30以上の神を生み出したと言われている。」

「―――YAOYOROZU、八百万とは聞くが―――」

「手がかりになるかわからないけど、どちらかが、正確には女性の方が死んで地獄かなにかに行った結果不仲になると言う話も存在する。」

 わたしは言われたら説明する必要があると言うように説明し、ドギーがすごいなと言うように返す中でわたしはだけどこれ以上言っても意味がないと言うように返した。

「―――日本の宗教に関係する儀式か何かに巻き込まれたのかしら?」

「関係してそんな儀式は知らないと言う報告も来ている。」

 言われて見ればと言うようにわたしが推測を口にするが、バーンズはそれはないと言うように口にした。

「―――人間と、オレたちの相違と言う可能性は? 人間たちがそう呼んでいて、オレたちの間では別の呼称が用いられている儀式に関わっている可能性は?」

「―――――そんなことがあるわけが―――」

「聖書はフィクションの引用によく使われる。日本でも似たようなことがないとは言い切れない―――」

 バーンズが否定したが、ある意味同業者とも言えるドギーは現場経験の差か、人間たちでの呼称と言う可能性を導き出し、バーンズは否定するが、ドギーは絶対的な否定はできないと言うように返し、わたしに眼を向けた。

「―――ディナ?」

「―――わかった。わたしたちの方でも調べる。」

 わからないのはわたしたちが手に入れて報告した情報と知らない情報、それに彼らが知っていて知らせてくれる情報と知らない格差と言うか、異なる見解が存在し、その差を理解できていないことだ。

 ディナにわたしたちも調べるし、あなたたちの方でも調べられるかと言うように名前を呼ぶと、ディナはわかった任せろと言うように返した。


 話し合いが終わる中でオレドギーは昼間に思わず再会した山中に言われた言葉を少し思い出し、少し身震いが起きた気がした。

 オレの回収した正体不明の魂のことは不自然過ぎて逆に怖くもないが、恐ろしいのは複雑な事情の真相がどうであれ、山中が魂の回収対象であれば、一筋縄では片付きそうもないことだ。

 話し合いの中で言った通りでオレはアリーが倒された光景を見ていないが、事実だとすればアリーでさえも殺すことができる正体不明の怪物と行動しているとも言え、山中も普通の人間ではないことも明確だ。

『―――だがこちらも仕事だ。次は本気で殺すかもしれんぞ?』

 軍事的な戦闘訓練を受けている可能性があるともアリーは言っていたし、オレも事実一度やられているし、あの時言った山中の言葉は決して冗談ではなく、言う通りの本気だと言うのは明確だった。

「―――ありがとうね?」

「?」

 言葉通りの命にかかわる仕事で、死神代行として働き始めてから命の危機と言うものは体験してきたことがないわけではないが、これほど異常で殺気に満ちて、オレの人間としての脆弱性が示されると、言葉にでない恐怖を感じるだけだった。

 半場不毛な話し合いも終わったし、とりあえず帰ろうと言う状態で、オレがこれからどうなると言うように思いながら、通路をアリーと並んで歩いていたのだが、不意にアリーがオレに礼を言ってきた。

「―――わたしだったら、あそこまで考えられなかったし、交渉もできなかった。それに彼らも動き出さなかった。」

「―――お前がいるおかげだ。」

 意味が解らないと言うような表情をしているとアリーは理由を説明しだし、オレも言われても礼を言われるほどのことをしたような覚えはないと言うように返した。

 身震いがした気もしたが、見てわかるほど震えてはいなかったようで、アリーはと言えばそんなことは知らないと言うようにも話していた。

「―――それよりも、考えて見ると、昼間の一見はどうする?」

「―――ジョセフのこともあるし、控えておきましょう?」

「―――そうだな―――」

 話しを踏まえてと言うようにオレは昼間の一件のことは報告書などで伝えるかと言うように聞くと、アリーは止めておいた方がいいと言うように返し、オレも同意することにした。

 彼ら自体が何者かも明確にわからないし、あのリードと言う男の能力も計り知れず何をするかもわからず、第一代行者こと、ジョセフも関わっているで、黙っておくことが一番だと言えた。

「―――まあ、とりあえずだ。もう帰って―――」

「調査は順調か? ジェームス ダグラス?」

「―――ダミアン―――」

 言うまでもないが帰って休むのが一番いいと言う状況で、アリーもそうよね疲れたと言う表情の中で、オレを呼ぶ少し嫌味な見知った声が聞え、声の方を見るとダミーがこちらに向かって来ていた。

「―――よくはないな。まあ、少し進展は―――」

「おや? 本来の仕事からも外されたし、死神代行の地位も形無しだな?」

「―――」

 言われてオレは正直に返そうとする中で、お前がそんな状態でうれしいなと言うようにダミーは返し、オレはある程度予想はしていたが、少し嫌な気分になった。

 立場的なものも存在するし、言い争いたくもないで、満足するまで適当に聞いて適当に言葉を返せばいいとも思いだしていた。

「有頂天になるのも限度を知った方がいいと思うけど?」

「―――アリー―――」

 言葉を返したのはアリーで、オレは止めろと言うように声をかけたが、アリーはそんなこと知らないと言うようにダミーに眼を向けていた。

「代行と言えばあなたはドギーの仕事の代行をしていることになるけど、代行としての仕事はこなしているの? 前任者の意見は聞いた? 問題とかはない?」

「ミス アルティア―――」

「何か言うのはドギーへでしょう? ドギーも急に管轄を仕事外されたけど、気にならない? あなたにとって現状は左遷なんだから現状あなたの仕事を請け負った相手に意見具申や文句を言う権利はあると思うは?」

 待ってくれと言うようにダミーが反応する中でアリーはオレに話を振った。

「―――まあ、少し―――」

 言われたら確かにあるが言うほどでもなく、現場の判断に任せると言うものも存在し、ダミーの方が死神として上に位置するし、オレが言うほどでもないし、言ってもできて当然だとか言われそうで言う気にならなかった。

「少し? 何が気になる? 言ってもらおうか?!」

「―――あ、いや―――」

「さあ、いえ、どうした? 言え? 気になることや問題があるのなら聞いてやる!」

 少しと言った言葉にダミーは反応し、アリーに言われたこともあるのか、言い返せずオレに向けたと言う部分も感じられるが、オレも話すほどではないと言うように返そうとしたが、ダミーは勢いよく話せとせかして来た。

「―――えっと、まずは―――」

「―――?」

「上半期の50歳以上の死者の予想数だが、アミから聞いた話だとほかの区域をふくめ、現状の回収予定数が10歳未満と言い足りないみたいなんだ。犯罪で急に死ぬこともあるから取りすぎてもダメだが足りなさ過ぎても言葉通りに路頭にも迷わせることになる。」

 言われたら仕方ないと言うようにオレは手帳を取出し、ダミーがなんだそれはと言う反応の中で、オレは気になっていることを話しだした。

「それと表面上の事情もあるし、海外の人間の死者を極力出さないように努力してほしいと言われていたが、少し前にあまり公になっていないが出たよな? あれ大丈夫か? それと最近増えているが孤独死で動物と一緒にいきたいと言って巻き込み―――」

 オレもここまでくれば言わなくても文句を言われるし、言はなくても言われるで、とにかく半場嫌になりながらも気になることを言うだけ言うことした。

「病院の見回りは極力控えるか、受診しながら回収に該当すると思われる人間を探して調べて、該当する場合回収してくれ、後は―――」

 5、6分ほど手帳を見ながら話し、後2、3ある気がするが何だったかと言うようにオレは考え始めた。

「―――まあ、後はいいか? そちらの判断に任せ―――、ダミアン?」

 余計なこと言って逆上されたくないし、これだけ言えばもういいし怒られても納得できると言う状況で、後は言うとおりに任せると言うように手帳を戻しながら言うと、ダミーは少し考えていると言う表情をしていた。

「―――どうし―――」

「問題ない。問題が起きても片づける。だから心配するな。」

「―――そうか、無用な心配だったな?」

 急いでいったのが悪かったかと言う状況で、オレが声をかけようとする中でダミーは勢いよく返し、ダミーの方がオレよりも知っていることが多いと思うし、オレも言うとおりに心配する必要もないと思った。

「心配せずに仕事を続けろ、わたしもいそがしい合間偶然お前たちを見て声をかけただけだ。早くそちらを片付けろ! 代行が自分の仕事をわたしのような死神に押し付けていいと思うな。それじゃあな。」

「―――」

 言い終えるとダミーは勢いよくオレたちに背を向けて歩き去っていき、オレは見送った。

「―――絶対に自己流で事情も考えず適当にやってる。」

「?」

「メモも取らなかったし把握していないと言う表情だったし、そんな仕事はしていないって顔してた。」

 早く帰って休みたいなと思っていると、アリーが不意にあれ見たと言うようにオレに言い、オレがどうしたと言う反応の中で、アリーはダミーの問題点と言える部分を指摘した。

「―――上の人間の典型よ? 自尊心がむだにあって知ったかぶりするし、非を認めないし、責任はわたしたちに押し付ける。」

「―――まあ、言われて見ればそうかもしれないが―――」

「半世紀も経過して見なさい? あなたと彼の立場は逆転する。いえ、半半世紀近くもあれば十分に可能よ?」

 本気で信じられないと言うようにアリーは続け、オレも言われて見れば納得もできるが言われても言っても変わる物でもないし、それなりの返事を返すしかなかったが、アリーは自信を持てと言うように返した。

 自分自身のまったく自信がないと言うわけではないが、オレには現状としての立場も存在し、アリーの言うことは夢の中のまた夢だと言うような話だとも思った。


 求める答えをあなたこと、神は知っているけど試練として黙っているのか、それとも本当に答えを知らなくて黙っているのか、それ以前に答える神などが存在しないのか、わたしアンだけでなく神に問いかける人間はだれもがそう考えると思った。

 結局として答えてもらえず、リリーは神さまがいなくても、わたしがあなたを守るとも言い、わたしは神の存在を信じなくなったのか、存在の真偽を疑うのかわからないが、結局として信頼しないと言う方向が正解になっているとも言えた。

 わたしの神への個人的主観を視野に入れるとして、わたしは昼間に起きた一件を考えて眠れない夜を過ごしていた。

 ベッドに横になっているが、眼を閉じても眠れず、眠気も感じず、むだに時間だけが進み、時間はと言えばもうすぐ3時半と言う時間だった。

 夜遅いと言う時間だが、わたしはと言えば勉強のために夜遅く起きていることもあるし、イヴのこともあるし、自分の事情もあるしで、眠れないこともあまり気にしていなかったし、超能力越しに見たイヴが静かに眠っているのを見て安心していた。

「―――――?!」

 彼らが何者かと言うことも気になるし、ジョセフがわたしたち以外の人間の名を口にもしていた気がするし、一番はジョセフが口にした別れる間際に言った言葉で、意味を考えようとする中で、わたしはリリーの気配を感じた。

「アンー!? ただいまー! イヴー?! いるー!? 起きてーっ!?」

 普通の人間ならば感じないが、わたしのPSIならば感じられる鋭敏な感覚と言うか、帰ってくるなと思った習慣にリリーは玄関のドアを開けてわたしたちを呼び出していた。

「―――なによ―――?」

 仕事柄リリーは帰ってくる時間と出ていく時間が不規則で、こう言った起こされることはよくあることでなれたものだが、わたしは寝たふりをするのは嫌で、起きてリリーと顔を合わすことにした。

「―――アン?」

「―――お帰り、母さん。」

 呼びかける声と言い、少しあわてた声で、消費期限の早い食べ物でも買ってきたのかとも思いながら部屋のドアを開けようとすると、リリーがドアを開け、わたしは言うまでもなくリリーにお帰りと言った。

「―――起きてたの? それともわかった? ごめん―――」

「ううん? いいの、それに起きてたの。なんとなく眠れなくて―――」

「そう―――」

 リリーの聞く、わかったと言うのは言うまでもなくわたしのPSIによる影響への懸念で、あやまるが、わたしは問題ないと言うように返したが、リリーはわたしを心配そうに見ていた。

「―――ん~?」

「イヴ―――」

 ドアを開け、部屋の外に出て何か用かと言うように聞きかける中で別の部屋で寝ていたイヴが眠たそうな顔をして出て来て、起こしたかと言うようにわたしはイヴを呼んだ。

「―――お帰りなさい、リリーさん―――」

 部屋を出て引きずっていた大きいウサギのぬいぐるみを抱きしめる中でリリーを確認するとあいさつした。

「―――それで、お母さん。どうしたの?」

「イヴのこと―――」

「イヴの? どうしたの? 何かわかったの?」

 あいさつする中でわたしに近づき、わたしはと言えばこんな時間に呼び出してと言うようにリリーに理由を聞く中で、リリーは本題だと言うように言い、わたしはイヴのことを言ったし、思わず反応してしまった。

「―――わかったことはないけど、偽造のIDができたの。飛行機事故で死んだわたしの遠縁の娘と言うことにもできたし、引き取って養子にすると言う書類になったの。」

「そう、ありがとう―――」

「だけど、あの子もあなたと同じみたいよ。表向きにはあの子みたいな人間が行方不明とか、死んだとか、似たような子がいるとか言う話は存在しない―――」

 期待するだけむだとも言え、わたしだって表舞台に姿をあらわしているわけではないし、リリーは成果はないと言うように返したが、一応はこれで大丈夫と言うように伝え、わたしもわかってはいたと言うように返す中でリリーは続けた。

「―――――」

「細かい話は置いて、本題はこれ―――」

「?」

 一安心はできたが問題は残っていて、彼らが何かを知っているのかと言うか、リリーに話すべきか、イヴには黙っておくべきかと考えている中で、リリーがわたしに何かを渡してきた。

「これわたしが通っていた学校―――?」

 みてみると少し大きめの封筒で、見てみるとわたしが通っていた学校に関係する封筒だとわかった。

「イヴを、通わせる。」

「?! お母―――」

「監禁している状態になる。どんな事情にしろ仮に探している人間たちに見つかった時問題になる。情報収集にもなると思うし、イヴのためにもなる。それに、いざと言う時は、わたしと言うか、あなたがいるでしょう? アン。」

 当の昔と言えば言い過ぎだが、卒業しているし、特に用も何もないと思う中でリリーはすぐに実行に移すと言うように答えを言い、わたしがそんなことと言いかける中で、リリーは慎重に考えてと言うように返した。

「―――わかった。」

 返された中でわたしは言われて見ればと言う状態で、これから何をするにしても、起きるにしても、されるとしても、イヴの身に危機が迫るならば、守れるのはわたしだけで、わたしはそうだねと言うとおりにすると言うように返した。

 昼間のあったかれらも重要な情報源の可能性と言うか、確実にそう言え、表情では冷静だが、わたしはこれからのことを真剣に考えないといけないと思い始め、イヴはと言えば意味が解らないと言うようにわたしたちを見ていた。


 恋からも連絡が取れず、飛鳥からも連絡がなく、アーウェーも見つからず、昼間は思わぬ人間たちに出会い、数十分ほど前は戦闘と言う状態だが、問題が増えるばかりだった。

問題の1つが小さいが片付いたが、半場行き詰っている状態とも言え、気分転換にのみにでも行こうと言うように山中を誘ったが、結局は気が乗らないと言いついてこず、オレリードは適当に飲んで遊べる場所を探していた。

 周囲一帯の情報を頭に入れてはいたが、思い直してみると意外とないもので、オレはと言えば適当な店にでも入って酒を買い、歩きながら飲みでもするかも思いながら歩いていた。

 別段酒やタバコに困っているわけでもないし、1人さびしく飲んでいると言った山中の通りで備蓄もしてあるが、狭苦しい場所で飲むのが気が進まなかった。

「―――――?」

 後少し歩けば裏通りを出て表通りに出るし、近くに酒を売っている店があるなと思いながらタバコを吸いだす中で、オレは奇妙な気配に気が付いた。

「―――――」

 気配と言うよりも感覚で、ハイブリッダーの変化した感覚器官でこそ理解できるが、姿を隠したハーフハイブリッダーがオレを尾行しているようだった。

 姿を消す偽装も精度が低く、ハイブリッダーのオレからすれば背を向けていても逆に見つけてくれとも言っている状態だった。

 オレ以外のハイブリッダーがこの時代に仕事や観光、それに事情があって来ていることが決してないわけではないが、尾行する理由はないと思うし、オレにもされる理由は存在しないのが普通だ。

 普通な上相手はハーフで、オレたちよりも数は少ないし、ほかのハイブリッダーと接触したいと言う意志もあると推測されるが、姿を隠した上後をつけて通信も入れてこないのは不自然とも言えた。

「―――――?」

 飛鳥たち以外の機構の犬が動いている可能性も存在し、オレは懸念すると言うか、不意に角を勢い良く曲がり、追いかけて来て同じように角を曲がろうとしたそのハーフハイブリッダーを捕まえた。

 曲がり角に出る前に手を勢い良く伸ばし、首を勢いよく引き捕え、おどろいている中で壁に勢いよく叩き付けた。

 叩き付けて壁が変形したが、それを放置し、叩き付けた手を軸にして裏通りにオレは戻り、勢いよく人気のない奥へと高速で移動しもう一度別の壁へ叩き付けた。

 叩き付けられたハーフハイブリッダーはまだ姿を消している状態だが壁が変形するほどの衝撃を受けて苦しそうな声をあげ、分析処理した視界には苦しそうな顔が見えた。

 通常の人間ならば骨は砕けて内臓破裂の危険も存在し、最悪即死の衝撃を与えたが、ハーフと言えハイブリッダーで、苦しそうだが即座に回復し、生きているようだった。

「―――何者だ?」

 眼を光らせ、獣のようにうなり声をだし、勢いを押し殺しす様な物言いでオレは質問した。

「―――オレだ―――。リード、ファイヤー、大佐―――」

「―――バランサー? きさま?」

 答えろ場合によっては生きて返さないし洗いざらいはいてもらうと言いかける前に口を開き、オレは声の主に聞き覚えがあり、手を離した。

「―――そうだよ―――、酷いな―――? やっぱパールに頼めばよかった―――」

 声の主は以前からオレたちの前に姿をあらわしているバランサー部隊の1人で、あいかわらず帽子とサングラスで顔を隠しているが、手を離す中で気道を塞がれ、呼吸が苦しかったかせき込みながらも呼吸を整えようとしている中で話し出した。

「悪いな? 通信を入れてこないし後をつけているし、姿も消していたんでオーグが別の犬を用意したと思った。」

「―――――」

 話があってきたようだが、オレたちの礼儀作法と言うものを知らない方が悪いと思うと言うように返すと、バランサーはこいつはと言うようにオレに顔を向けた。

「それで? 何の用だ?」

「パールと言いお前と言い―――」

「御託はいい、何の用だ?」

 悪いとも思うが用が無ければ来ないで、オレは本題に移ると言うように聞くが、この男は聞かれるとパートナーのことを言っているのか、悪い部分があると言うが、オレは個人的な話は後にしろと言うように再度質問した。

「―――それと、えっと? 名前を聞いてなかったな? 荒木?」

「荒木?」

「山中がそう言っていただろうが? 名乗らないならそう呼ぶ方が言いやすい気がしたが?」

 話し合うにおいて考えてみれば名前も知らないで、別段バランサーとで言い続けてもいればいいが、オレは不意に山中の言っていた名前を思いだし、男をその名前で呼んだ。

 意味不明だと言うように反応したが、オレは理由を説明し、本当の名前は何だと言うように質問した。

「仲間はパールだな?」

「―――――」

「本名かどうかわからないが、名乗らないなら適当に呼ぶ。」

 お前言ったよなと言うように続け、勝手にもう呼ぶことにするが荒木はお前なと言うように顔を向けるが、オレは文句があるなら言えと言うように返した。

「―――少し、私用も交じる話だ。オレを、荒木と言ったことをふくめて、山中の件な―――?」

「山中?」

 適当でいいと言うように荒木が答える中で、オレは山中のことと言われて何のことだと言うように反応するしかなかった。

「―――お前、山中の言う通りの本当に荒木勇と言う男なのか?」

「―――間接的には正解だ。だが反対に間接的には大間違いだ。」

「?」

 可能性としてないわけでもないし、オレがもしやと思い聞くと荒木は即違うと言うように否定したが、言った言葉は奇妙な回答だった。

「―――黙っていて欲しいと言うか、話すにしてもそう教えて欲しいが、オレはあの男をよく知っているし、あの男もオレをよく知っている。そして、親友だとも思っている。お互いにな?」

「―――」

「だが、あいつもだが、お互いに人生最高の裏切り者だとも思っている。」

 言った通りに黙っていて欲しいと言うように荒木は続け、オレが聞いている中で、余計に理解できないことを言い出したが、山中の時と同じで、親友だと言うが、逆とも言える単語も最後に口にした。

「裏切り者?」

「憎み合う関係と言うべきか、対立する関係と言うべきか、仲違いとも言えるが、お互いにオレたちは心の奥底ではもう許しあってはいるとは思うが、分かたれた道が、世界が、それに時間がお互いの許すと言う言葉を言う口を閉ざしている。そう言う気がする。」

 聞いていてあまりいい気分ではない言葉を聞き、どういうことかと聞く中で荒木は話しを続けた。

「―――――」

 聞いて整理してみると朝方聞いた山中の話によく似た話と言うか、逆の立場からの話そのものにも思える話だった。

 山中は裏切り者とは言わなかったが、自分が発端になったとも言っていて、細かい経緯は理解できないが、もしこの男が山中の言う荒木ならば、2人の間では何かが起きたのは明確だとも言えた。

「時ほど偉大な癒し手は存在しないとか言う西洋の格言が存在するらしいが、オレたちはその重症、いや、末期症状の患者だ。」

「―――」

「関係して、これはバランサーとしても仕事でもあるが、あいつを知る人間としての忠告でもあり、願いだ。」

 麻薬中毒者と言うほどではないが、荒木の物言いは一度手を出してもう戻れないと言う物言いで、オレが聞いている中で本題だと言うように顔を向けた。

「忠告?」

「よく知っている人間だと言っただろう? 元同僚としての意見とも言える。」

 言われてもあまりいい気分ではないと思うように返す中で、荒木はこれだけは真剣に聞いてほしいと言うように言った。

「―――同僚―――」

「敵には回すな。しかし味方すると持て余す。」

「―――?」

 少し考えてみれば仲のよかった人間が2人だけとは思えず、ほかにも存在すると推定できると思うように同僚と言う中で、荒木は心して聞けと言うように言い、オレはどういう意味だと言うように反応するしかなかった。

「自衛隊時代の評価だ。それに自分で自分の首を絞めることはないが、不要になった自分の腕を切り離すことは十二分にあるし、極め付けに使えるなら道具にする。」

「―――」

「天才と狂気は紙一重と言う言葉が存在するが、勉強ができるのと頭がいいと言うのが別格だと言うことをよく教えてくれる人間だ。」

 考えさせる時間は与えないと言うか、全部一気に言いたいと言うように荒木は言葉を続け、オレは黙ってと言うよりも、言葉も返せず聞いているしかなかった。

「人間の価値を決めるのは結局人間だ。それは生殺与奪も同様だ。お前はあの男にどんな価値を見出すことができる?」

「―――――」

「裏切り者となったオレに、いや、バランサーと成り果てたんだ。あいつの価値を決める権利は存在しない。山中もそう考えている。現状の山中に近い人間に、相棒であるお前に任せるしかないんだ。」

 深い事情も話したがらない以上断片的と言うか、客観的な表現で、具体性を欠いている話で、理解できない状態で、オレはタバコを吸い始めた。

 話しのさなかに吸うかと言うように1本出すと、受け取り、ハーフながらオレのように手の一部をライターに変えて火をつけ、紫煙を吐きだす中で話しを続けた。

「―――東洋で言うあれか? 煮るなる焼くなり好きにしろ?」

「―――――」

「冗談だ。」

 話を聞く中でオレは思い出してみれば東洋で関係した言葉があるような気がして、思わず思い出して聞く中で、荒木は冗談はやめてくれと言うような反応を見せ、オレも少し悪かったと言うように返すことにした。

「―――とにかく、任せたぞ?」

「―――ぉ―――?」

「―――それと、タバコありがとな?」

 あやまっても問題は解決しないと言うもので、荒木は少し考えるようなそぶりを見せたが、後は言うことはないと言うように姿を返し始めた。

 言うまでもない光学迷彩で、待てと言うように呼びかける中で荒木はタバコの礼を言う中で紫煙よりも外見が薄く変化し消えていった。

 追いかけることも無論可能だが、追いかけても話すこともないだろうし、深く考えるのもむだと言うもので、オレは呼び止めようとした時に前に出した手を下し、タバコを勢いよく吸い紫煙を勢いよく吐きだした。

 タバコの煙と冷えた空気、それに裏通りの人気のない独特な空気が混じり合い、ニコチンなどの影響で気分はいいが、先ほどの話しの精神的影響もあってか、味が少し良くない気がした。


 3時も過ぎると寝るには中途半端な時間で、遊びに出かけたリードを見送った俺山中は眠りもせずに屋上でこれからのことをどうするかを考えると言うか、本音を言うと何かを考えるのが嫌で時間をつぶしていた。

 寒さに強い方ではないし、少し疲れている気がして眠気も感じてあたたかい部屋のベッドで休みたいと言うのも本音だが、特に理由もないが起きていたく、リードが言って数十分ほどしてから座ったり立ち上がったりを不規則に繰り返していた。

 夜更かしをしたい子供みたいに楽しみと言う面もなく、意味もなく夜空を見上げ、リードから与えられたオーヴァーマシンの恩恵か、多少の身体の最適化が起きているのか、現状が身体にはあまり身障を与えていないと言う感覚が幸いだった。

 オーヴァーマシンを与えられたとは言うが、ハイブリッダーになれるわけではなく、第3次大戦中オーヴァーマシンは兵士たちの認識や精神的興奮作用や身体への筋力増強、それに負担軽減に使われていたそうだ。

 ナノマシンでも効用は同様だがオーヴァーマシンと違い依存や副作用、最悪与えられた段階で死にいたる場合も存在し、タバコや酒、麻薬のようにも使われて禁止になったそうで、オーヴァーマシンはその副作用はないそうだ。

 ナノマシンはリードの時代では技術発展が進みクラッキングも簡単にもなっているそうで、オーヴァーマシンはその代用としての役割を十二分にこなしたと言え、俺も時代は違うがその恩恵を受けたと言える。

「―――――」

 未来の科学技術の恩恵を受けたとは言え、オーヴァーマシンの投与にはハーフハイブリッダー化の危険も存在し、俺にはその適合性も存在する上、精神の奥深くの問題は解決できないようことを俺は左手が震えだす中で何度も認識した。

「―――――っ!」

 幸いと言えば言いか、物騒で自分でも感心できないが戦闘後幸いにも拳銃とナイフは持ち歩いていた状態で、俺は勢いよく銃とナイフを抜き放ち構えた。

 状態が良ければ震えは銃を構えて十数秒もすれば収まることは自分でもわかっているし、俺は戦闘していることをイメージトレーニングとして始め、身体も相応に動かし、震えが収まるのを待った。

「―――」

 幸運が続くと言えばいいのかもしれないが、構えて十秒もしない内に震えはすぐに止まり始め、俺は銃とナイフを戻さなかったが、下して一息吐き出した。

「―――――?」

 俺と言う人間は一体全体どこに行きなにをしようとしているのかと心の中で自問自答しかけている中で、俺は後ろに人の気配を感じた。

「―――――」

 感じたとは言うが、俺はすぐには振り返らず、一瞬間を置いて銃とナイフをホルスターと鞘に戻し、気づいていないと言うようにあくびをした。

 ゴルゴ13ではないが、背後に立った人間に対し背後に立つなと言って殴るわけにもいかないし、常識的に考えて行動が異常なのは俺で、警戒しなくていいと言うように見せる必要が存在した。

 見ているのが偶然屋上に来たここに住む普通の人間で、最悪警察を呼ばれる可能性も存在し、用心が必要だとも言え、俺は次に背伸びをして気付いていないと言うよりも、警戒心が無いと言うように見せた。

 普通に見れば遊んでいた後身体をほぐしているように見えるようにして、俺は一瞬後ろを見るために確認と言うように軽く腰を回す一瞬で後ろを俺は確認した。

「―――?」 

後ろと言うか、背後で、普通の人間ではなく、光学迷彩が薄れかけた人間の姿のように見えた。

 警戒させないように見せる以前の問題で、見間違いには見えないし、俺と言うか、リードをふくむ俺たちと関わる何かの可能性も高く、忍び寄ってきた可能性もふくめ、俺は即座に攻撃に移った。

 光学迷彩と言うのはリードの時代の技術でも姿が透明になる魔法ではなく、見えにくくしたり、見せ方を変化させる技術で、普通の迷彩とあまり相違はないと言うか、基本は昆虫の擬態などと同等だったりその応用で、確実な不可視化は不可能だそうだ。

 特に激しく動いたり、強い衝撃を受けたり、環境変化にも強い影響も受け、専用の装置のコストパフォーマンスもよくなく、確実な不可視化が不可能と言う状態で、解除時が一番危険だとも言われ、俺はその隙を見た状況だとも言えると思った。

「―――っぐ!?」

 見られて幸いとも言え、身体をほぐす動きの次にと言うように腕を勢いよく後ろに振ると、振った腕を受け止められたと言うか、強く握りしめて止められた感触を覚えた。

「―――っぉ? ぁぐっ!?」

 止められこそしたが腕を勢いよく戻すと腕を握りしめた手が引っ張られた状態で、これはと言うような声が聞こえた中で俺は反対の腕を勢いよく反対向きに振った。

 左腕を受け止めている状態で相手は身体をひっぱられるので、自然に身体の動きが俺から見て左向きの背後に流れるわけで、反対の腕を反対方向に振れば考えるまでもなく腕が背中側に、最悪頭に直撃する。

 目論見通りに言った状態で、腕に頭が直撃した感触と、相手の思わぬ反撃を受けたと言う鈍いうめき声を聞く中で握られていた手が離れる感触を得た。

「―――ぁっ!?」

 手が離れるとこっちのものと言うもので、振り返り、勢いよく蹴りを入れ、姿は見えないが蹴りをまともに受けて後退する姿が確認できる中で、俺は最後にと言うように足払いをするように回し蹴りをした。

「―――動くな。」

 普通の人間ならばやりすぎだが、正体もわからないし姿も隠しているで、こんなこと聞いてないと言うような声と派手に倒れる音も聞いたが、俺は最後にと言うように銃を取り出して向けた。

「―――待った!? 待った待った待った!? 僕の負けだ!? 銃を収めてくれ!? 少佐!?」

「―――?」

「顔を見るのは初めてだろうけど、前に無線機越しに話しただろう? 僕だよ? わかるだろう?」

 だれだと言いかける前に見えない相手は止めてくれと言うように言い、光学迷彩を消して姿をあらわすが、見たこともない人間で、敵意はなさそうだが、わかるだろうと言うように言うが、だれか考えてしまった。

「―――ドレッド、アームズ?」

「そうだよ? わかってくれたかい?」

 見てみるとAGSの上着を着た細身で、30代前後半の、俺よりも若いか年上か、それか同じほどのサングラスをかけた男で、声も考えてみればあの時のあの声かと言うように聞くと、男こと、ドレッドは一安心したと言う表情を見せた。

「さすが冷戦以後こと、近接戦闘、CQC全盛期の傭兵だ。ここまで強いとは思わなかった―――」

「俺は格闘は苦手な方だ。それにしてもハイブリッダーだろう? 簡単に勝てただろうに?」

「―――僕はリードとは違うよ―――」

 書類上ドレッドは上司に位置し、特別参謀顧問になっているで、俺は銃を戻す中でドレッドは酷い眼に会ったと言うように言いながら起き上る中で、俺はハイブリッダーらしくもないと言うように聞く中で、ドレッドは期待しないでほしいなと言うように返した。

「ハイブリッダーではないと言う意味ではなくてね、みだりに使うべきではないし、そのことを踏まえて、君と話しに来たんだ。それに、ハーフハイブリッダーの適正があるとは聞いていたが、まさかオーヴァーマシンをここまで無意識に使いこなせるなんて―――」

 リードと違うと返し、ハイブリッダーではないのかと思う中でドレッドは違うと言うように返した。

「話し?」

「彼はまだ精神的に幼いんだ。僕の手を少し離れた現状で、彼を先導する人間が必要なんだ。」

 上官として意見を言いに来たのかと言うように返す中で、ドレッドは聞いてくれと言うように話し出した。

「言うのもなんだけどと言うか、言わないといけないんだけど問題児でね? 大戦時僕の部隊に来た時はもっとひどかったんだ。」

「ひどかった? 問題児?」

「来た時にはすでに少尉に昇進していてね、あいさつ代わりに部屋のドアは蹴り飛ばすし、ヴァージョンディノタイプラプターだから極端に強いし、僕のような一部のハイブリッダーや君のように大学も出ていないから失礼だが教養に欠けている。」

 立ち上がってみるとドレッドの身長は俺よりも5インチほど高いほどで、細身で、先ほどの格闘と言い、リードと違いハイブリッダーらしい雰囲気が見られなかった。

 話し方もその1つで、普通の人間と言う雰囲気で、あれは困ったと言う物言いで、俺はどういうことかと言うように聞く中でドレッドはまず最初にと言うように返した。

「資料には眼を通しているだろう? ハイブリッダーの差別だけど、僕もだけど隠して普通の人間として育てられた場合も多くいたんだ。それに性格もだけど彼は特称なんだ。あれを普通と考えられると困る。」

「―――」

「それに僕は実は軍事産業の御曹司でね? 大学卒業後カミングアウトして、表向きには管理だけど会社の上層部命令で裏向きには人権擁護運動の傘下、保護する部隊を任されていたんだ。」

 ドレッドは聞いてくれと言うように話だし、俺が何も言わない中でとにかく話だし、気の済むまで話すと言うように話し出した。

「僕以外にもそう言った人間は、ハイブリッダーは多くいたし、差別されていた彼らを保護し、教育も施して言ったが、さっきも言った通りで、リードはまじめに教育も受けないし凶暴で、性格に問題もある一番の問題児だったんだ。」

「―――」

「僕たちは本来意外と臆病で自制心も強くも持つし、深い教養も求める存在だ。人間も本来同様だろう? 闘争本能には逆らえないが、食料の確保や交配、優良種の保全と繁栄と言う本能には欠かせない要素だと言うことは理解できるだろう?」

 部下としてと言うか、仲間として心配していると言うようにドレッドは話し、俺が聞いている中で、君にもわかるだろうと言うように聞いてきたが、俺は答えるまでもなく話を続けた。

「人間との共存も望んでいるし、共存なしの繁栄は不可能だし、人間や神、それ以外の種との共存の精神を理解する教えを説いているが、彼にはそれが欠けている。教える前に大戦が終わり、人間と同等の権利が認可され、彼は僕の配下から、離れてしまったんだ。」

「―――お前が、いや、あなたが再度教育をすれば?」

「戦争は終わった。彼は僕の命令には従うだろうが、戦前のように権利の存在しない世界同様に、ハイブリッダーとしての教えを求めるかどうかはわからないんだ。人間と同等の権利が認可される中で、彼の戦う根本の理由は消えたからね―――」

 ドレッドの話し方はリードと違い落ち着いた印象で、俺も少し経緯を持って接したほうがいいかと思い、一段落したと言う中で俺があなたでは無理なのかと言うように聞くと、ドレッドは首を左右に振りとんでもないと言うように返した。

「戦う理由が消えた?」

「第3次世界大戦は神対人類の戦いだったが、ハイブリッダーの敵は人間だった。生まれながらに脆弱ながら生み出した人間と言う偉大な存在に差別され、酷使され、最悪物品以下の扱いもされていたが、大戦後に人権と同様の権利が国際法規的に認可された。」 

 未来のことをある程度の資料を渡され頭に入れているつもりだが、実際現実の声を聞いて見ると言う状況で、教科書では知れない情報をドレッドは話していると言えた。

 理由がないとはどういう意味かと言うように反応する中でドレッドは冷静に話を続けた。 

「君のように書類だけしか見ていない人間には完璧な理解はむずかしいだろうし、表向きには消し去れないものも存在するが、多くは不満や怒りをぶつけ、理由を求め知識を学ぶことや戦うこと、それに生きることが戦争中はできたが、それができなくなった。」

「―――とてもそうには―――」

「―――見えないだろうね? だけど自らに残った怒りをぶつける対象を求めているだけなんだ。似たようなハイブリッダーはほかにも多くいる。だけど彼は君も知っている通り、アーウェー、機関や神と言った人間外の存在と言う対象を見つけたんだ。」

 考えていることを少し読んでいるのか、顔にでも書いてあったのか、同じことを考えていたのか、ドレッドは全部は理解できないだろうと言うように言い、俺は納得できるがリードは違うのではないかと返しかける中でドレッドは彼も同じだと言うように返した。

「僕ができるのはもう上官としての指示だけだ。人権と同等の権利を手に入れたハイブリッダーは彼のように多くが戦う理由をなくしている。人間も滅ぼせず、矛先を求め進むだけだ。僕が教えられることは戦時中の範疇で、僕にそれ以上に踏み入る隙は無い。」

「―――俺に、いや、あなたができなくて、俺にできると思われる何かを頼みたいと?」

「話をうまく頭で整理してくれているみたいだね? 少し長く遠まわしで、未来の歴史の授業にもなったが、簡単に言うとそうだよ。」

 人権ではなく、人間と同等の権利と言う表現がハイブリッダーらしいとも言えるが、話しを整理すると現状の俺に何かをしろと言うのが話の道理で、俺がどうすればと言うように聞く中で、ドレッドは推測の通りだと言うように返した。

「これを言うために、機構やワープの通信をジャミングしたんだからね。」

「ジャミング? 恋たちから連絡が取れないのは―――?」

「彼らや君たちには悪いと思ったが、僕が原因だ。」

 ドレッドは本題に入ろうと言うように言う中で、ジャミングと言う言葉を口にし、俺がお前もしやと言うように聞くとドレッドはその通りだと言うように返した。

「私情も交じるしね。機構にもワープにも聞いてほしくもないんだ。それに君だけに伝えたくてね。」

「―――多大な期待でもしていると? 何が目的だ? もしわかったら厳重処罰は―――」

「先導する人間が必要だと言っただろう? 現状では任せらせられる人間はもう君だけだ。機構もワープも、それに僕も余計な反発を引き起こすだけだとも思っている。」

 悪いことだとは思うが仕方ないと言うようにドレッドは言い、俺は処罰を免れないぞと言うように伝えようとする中で、ドレッドは言うとおりに聞いてほしいし君だけだと言うように返した。

「書類には眼を通していたが、僕でもおどろきなものなんだ。ハイブリッダー誕生の要素と言う君への必然的価値もあると思うが、彼がここまで普通の、それも生まれた国も違う人間と仲よくして、協力して、話し合うことはなかった。」

「―――――俺の、運がよかった―――」

「君が運も実力の内と言う言葉が嫌いなのは知っているが、彼は眼に見える以上に何かが変わり始めている。僕ではできないことを君にはできるだろう? 賭ける価値は十二分にあると思うし、採算以上のものが取れるとも僕は思っているんだ。」

 過去のリードのことを知っている男と言え、俺は知らないが、リードは君とあって変わったと言うように言い、俺はそんなことはしていない、何もしていないと言うように返そうとする中でドレッドは細かいことはいいから君に任せると言うように返した。

「―――とにかく、任せたよ? それと通信の回復は午前6時ごろだよ?」

「―――ぉ―――」

 後は言うとおりに任せるし、君次第だと言うようにドレッドは姿を消し、俺は呼び止めようとするが、聞くわけもないしで、姿を消した。

「―――Scrap。」

 姿を消し、再び俺だけが屋上に1人残された状態で、俺は一息口から吐き出すと白い息が漏れる中で、思わずと言うように言い放った。

 リードの真似と言うべきかハイブリッダーの真似と言うべきか、状況的にこの言葉を使うのが一番いいと瞬発的に思い言い放っていた。

 ドレッドが聞いているかわかりはしないが、聞こえていたにしても、聞こえていないにしても、何も言わないよりかは気分は言い気がしたが、気分の少し悪いのもあまり変わりはしなかった。

 

 新しいと言うよりも異なる拠点となる場所の候補と言うか、確保をわたし楊は仲間と一緒に考え、用意し、現在はと言えばその1つに落ち着いていると言うか、現状は仮説を始めていた。

 少し前に彼らが戦っていたあの廃工業地帯で、不思議なほどに人の気配がなく、広さも十二分で、設備なども整えやすく、最初からここにすると言う案も存在したが、怪物の襲撃が恐ろしくわたしが反対していた。

 反対こそしたが、現状を踏まえるとあの場に戻るのは不味く、その上、危険は百も承知だが住みやすそうだった。

「―――――」

 拠点として居住可能にするために準備をしているのだが、わたしはと言えば人気のない場所こと、2階の屋根の無い渡り廊下に来ていて空を見上げていた。

 仕事をしていないのではなく、5、6分ほど前までは先頭に立って指示し、荷物も運び、走り回っていたのだが、仲間に仮設ぐらいは自分たちでできるから、司令官は休んでいてかまわないと強制的に追い出されてしまったのだ。

 わたしが戦闘の指揮以外で動いているといつもこうで、したわれているのかとも思うが、時折わたしが邪魔で、ひそかに反逆を狙っているのではないかと疑い、不安になる時がある。

 疑う時もあるが、わたしのやり方にも多少強引な面も存在するとも思うし、意見を取り入れる中で反発する意見も存在し、ある意味逃げ道を見つけ出した中でこの仕打ちは無いとも考えて反逆を考えることも仕方ないとも思った。

「―――?!」

 深く考えることは止め後のことを考えようと思うついでに、後数時間もすれば日の出だなと思っている中で、わたしは少し遠くから高速で移動する人とは異なる感覚に気が付いた。

「―――――」

 勢いよく走って間違いなくこちらに向かってきているし、普通の生き物ではないことはセンサーから判断して確実で、わたしは進行方向に眼をむけた。

「司令官。現在86%まで―――」

「下がれ!」

 対象を確認し、来るなと思う中で、不意に後ろから仲間が来て状況報告をしてくる中で、わたしは勢いよく振り返り危険だと言うように叫んだ。

「?―――、え?」

「―――」

 叫ぶ中でおどろき後ろに引く姿を見せる中で、わたしと眼を合わせていた視点が少し上に移動した。

 彼は間違いなく、姿をあらわしたその対象を見たのだ。

「っく?!」

「ぅわっ!?」

 振り返って確認しようとも思う中で、考えてみるのは一番危険なのはわたしで勢いよく逃げる中で、勢いよくそれは床に着地し、床を変形させていた。

「―――――!」

 勢いよく着地した相手を見る中でわたしは勢いよく銃を抜き放ち、弾丸を装填し、向ける中で勢いよく跳躍と言うか、バク転して少し先へ下がったかと思うと、わたしに向かって一直線に向かってきた。

「司令官!」

「下がれ! こいつの相手はわたしだけだ!」

 危機的状況とも見られ、仲間が危険だと叫ぶがわたしは正面から向き合った。

「―――――」

「―――――」

 一直線に向かって突進すると言う中で、再び跳躍し、どこに行ったと言う状況だが、わたしは迷わずに背後に勢いよく銃を向けながらナイフを抜き放った。

振り返るとわたしの顔の眼の前に銃口が見え、その相手の顔にも銃口が見えている状況だが、わたしの抜き放ったナイフの刃は彼の首筋に突き付けられ、わたしの方が有利だと言えた。

「―――まいった。強くなったな? 楊―――」

「肝が冷えますよ? マスターアラキ?」

 本来ならば首を切って殺しているが、わたしの前でひと暴れしたその相手は降参だと言うように銃をわたしから反らし、低くだが両手を上げて降参だと言うようなそぶりを見せ、わたしも銃を下す中で冗談が過ぎると言うように返した。

 不意な登場とも言うべきだが、彼こそがマスターアラキだ。

「―――いったい、どうされたのですが? 突然―――」

 外見は2、30代前後半ほどで、整った顔立ちにわたしよりも高い背に細い身体つき、それに長く整った髪を持った男で、明るい雰囲気で、先ほどの戦闘など無かったようにわたしに笑顔を向けていた。

「あっちだ!?」

「何があった!?」

「司令官の行った方向だぞ!?」

 わたしに質問され、マスターアラキはそれはと言うように口を開きかける中で、周囲が騒ぎ始め、数秒と経たない間に5、6人がわたしたちの前に姿をあらわした。

「だれだきさま!?」

「所属部隊と認識番号、階級を言え!」

「銃を捨てろ! 両手を上げて床に伏せろ! 下手な真似をすると殺すぞ!?」

 わたし以外彼を知る人間は存在しないし、警戒と言うよりも殺意丸出しで声を荒げ始め、わたしとマスターはそれを思わず不味いなと言うように見ていた。

「―――司令官!? 怪我は―――」

「―――銃を下してくれ、彼はわたしの客人―――、恩師だ。銃を向けるな―――」

 全員わたしが心配だと言うようにマスターに銃を向けている中で、わたしは落ち着いてほしいと言うように伝えた。

「―――しかし―――」

「命令だ。下がれ。」

「わかりました。」

 不意に現れたどう見ても人間の動きをしていない人間を、客と言うわたしの言動自体狂気的で、反発するように言うが、わたしが命令だと言うと、不本意だがと言うように返し、そのあと敬礼して去っていった。

「―――さすがだな?」

「あなたにはまだ及びません―――」

 感心すると言うようにわたしに言うが、わたしはと言えばこの程度ではまだだと言うように返した。

「謙遜するな。」

「―――それにしても、マスター、なぜここに? あなたがわたしの所在地を突き止められることは理解できますが―――」

「―――ここまで来たしな。軽く、話しておこうと思ってな?」

 マスターはお前は立派だよと言うように言うが、わたしはそれよりもと言うように質問しようとする中で、そのことについてきたと言うように返した。

「―――彼のことを、教えてくれませんか?」

「―――山中のことか?」

「山中、と言うのですか? 仲間もそう言っていましたが―――」

 単刀直入にと言うようにわたしは目下の最大の疑問に問いかけるとマスターはそれかと言うように反応し、わたしはそれだけではわからないが、マスターも彼の仲間も同じように呼ぶことから彼の名前は間違いないのだと思った。

「―――なぜ、わたしの顔を―――」

「オレも、罪深いものだ―――――」

「?」

 身体の半分以上を機械化されたにおいて、わたしは成長時の変化や、本来の自分とは違う顔の可能が存在していたが、わたしの顔は間違いなくあの山中と言う男と同じ顔だった。

 体格的な違いは多少存在するが、似ていると言う領域ではなくそのもので、考えらえるとすればマスターに指定された整形だとも推測され、わたしが聞こうとする中で、マスターはわたしから眼を反らし、悪いことをしたと言うように返した。

「―――どういう意味ですか?」

「その言葉の通りの意味だ。」

「?」

 意味が解らないと言う反応をわたしはするしかない上で、理由を聞こうとすると、マスターは言う通りのその言葉の通りだと言うように返し、理由が言われておらず、わたしは理解できなかった。

「オレには、お互いに親友と言える人間がいるが、同時に裏切り者だと思っている人間がいる。」

「―――――彼、何ですか? 彼は、いえ、彼らは―――」

「オレは現実から眼を反らそうとしたんだ。いや、でも、きっと、わかっていたが止められなかった。可能性を信じた。お前を、いや、オレは都合のいい操り人形を造ろうとして、お前にその顔を与えたのかもしれない―――」

 眼を反らしたまま思い口を開くと言うようにマスターは話しだし、わたしが聞いたことに関係して、そうなのかと聞こうとすると、マスターはわたしにあやまってもあやまり切れないと言うように言った。

「お前の世界のためでもあると思った。お前がここまで来ることに賭けていたし、困らないようにしたかった。お前を師として立派に育てたかった―――」

「マスター―――、」

「オレは裏切った。お前じゃなくてあいつをだ。だけど、これは、ある意味命令に忠実に従ったまでで―――」

 相手のために厳しいことをするのが教育の1つと言うもので、マスターにはその意図があると思われるが、話す中で、マスターは少し動揺を見せ始め、わたしが声をかける中で、マスターは早口でも話し出した。

 聞かれたくないと言うか、言いたくないが言わないといけないし、早く伝えてこの場を去りたいと言う物言いだった。

「―――マスター。」

「楊?!」

 わたしはマスターが話している中でマスクを外し、マスターに顔を見せる中で、マスターは止めろと言うような表情を見せた。

「深くはわかりませんが、いずれ知ることになるのだと思いますので、ここでは話さなくていいです。」

「―――――」

「わたしは、あなたを信じています。彼も信じます。そして、この世界でわたしの求める答えを探していきます。」

 眼を反らしていたマスターはわたしに顔を向け、オレを困らせるなと言うような表情をしていたが、わたしは安心してほしいと言うように返した。

 マスターは何も言わなかったが、お前と言うやつはと言うような表情の中で、わたしは言葉を続け、言い終えるとマスクを再び被りなおした。

 気になるし、問いただせば話すかもしれないが、マスターをそこまでする気にはなれないで、わたしは来てくれただけでもよかったと思うし、ありがとうございましたと言うように頭を下げた。


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