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the breaking of a wire

 金銭的支出をする側からよく言えば派遣と言うのは効率的支出だとも言えるが悪く言うと言うか、労働者側から見れば必要な時だけ働かさせられ、ないと文句は言えないが高い賃金も支払われず、不要だと判断されると切り捨てられる不公平な仕組みだ。

 俺山中の生きている時代こと、正確には2010年代以前だが小泉純一郎が内閣総理大臣に就任し郵政民営化、構造改革時に法が改正された時に派遣に関係する法が改正され、派遣には多くの賛否が飛んでいる。

 企業経営と言う理念や、全体的な支出、経費節約と言う意味では都合がいいが、個人的な規模で言うか家計を圧迫し個人の賃金低下、消費低迷、非正規雇用者の増加と言う社会的問題を増加させると言える。

 仲介とも言える派遣業社の請負、選出、派遣の背景に一定期人を雇うよりも、一時的に来て安く働かせるための安い紹介料と言った使用料の支払いによって一部の新しい利益を生み出せるとも言えるが、最終的に得をするのは派遣会社だと言える。

「―――得をしているのはワーパーだな。いいように使いまわされている気がする。」

「―――そう言えばお前の時代は派遣と言った非正規雇用者が日本で増加したころか?」

「―――そう言えばそうだな? そうだったな―――」

 会食とも言える時間を終え、アパートに戻り、仕事の資料に眼を通す以外特にすることもなく、急ぎでもないしリードは音楽を聞いていて、俺も何もせずに時間をつぶしていた中で不意にリードが行動を起こした。

 気配を感じると言うか、能力的に検知したと言うべきだが、感じ取ったようで、言われて準備を始めた中で、リードと軽く話していると不意にと言うようにリードにそう言えばと言うように返された。

 俺たちはこれからワーパーからの指示で動くと言うわけはないが、結果として彼らには利益を与えるし、世に言う使い捨てだなと言うように言った中で返ってきた言葉で、俺もそう言えばと言うように返すしかなかった。

「―――あまり実感がないと言う様子だが?」

「大学卒業してすぐ自衛隊入ったからな? バイトとかは3、5個ほどしていたんだが―――」

「―――運よく切り抜けたか?」

 部屋を出て歩き出す中でリードはお前は直に体験したと思うがそれほどは大変だったと言うように見えないがと言う中で、俺は考えてみればそうだったと言うように返すしかなく、リードはそう言えばと言うように聞き返した。

「ああ、AGSに入った後もな。同じ日本人が先にいたのに俺ばかり出世して―――、現在は少佐だ。」

「お役所仕事から天下りと言う気分か?」

「―――確かにそうだな? いいご身分だ―――」

 思い出してみればと言うように俺は言い、リードが聞き返す中で、俺は確かにその通りだと言うように返す中で階段をおり始めた。

 エレベーターも存在するが、待つ時間が億劫で、出かけた時もだがリードもだが待つのがきらいみたいで、2人していつも歩いて降りていた。

「―――夏川少尉と言い、牧野軍曹と言い、優秀な人材は多くいるだろうに―――」

「部下か? 日本人?」

「元上司だ。それも女性。」

 階段を降りる足音が周囲に響き渡る中で俺たちは会話と言うか、仕事の途中に話す雑談と言うものを続け、俺がどうしていうように口を開く中でリードは聞いたことが無いと言うように聞く中で、言ってなかったと言うように返した。

「両方がか?」

「ああ―――」

 正確には夏川涼と牧野桔梗と言う女性で、言った通りに夏川が少尉、牧野が軍曹な上、2人とも女性で、リードが両方がと言うように聞き、俺は言うまでもないと言うように答え、意外だろうとか言うようには答えなかった。

「少尉は元自衛隊員、軍曹は―――、と言うか2人ともなんかいろいろやってたらしい、軍曹は忍者の資格持っているとか言ってたな?」

「NINJA?」

「―――格闘法も教えられてな? それよりも、とにかく急ごう―――」

 話しながら歩けば早いもので、階段をおり、俺は思い出してみればと言うように言う中で、リードが本当か言うように聞き返してきたが、気づくと車の前に来ていたし、俺は急ごうと言い、車のキーを開け乗り込み、リードも乗り込んだ。

「―――それよりも、携帯に情報を転送してきたが、本当なのか? 情報が正しいならば―――?」

「―――間違いない。」

 乗り込みエンジンをかけながら俺は携帯を車のホルダーに載せ操作する中で、リードが送って来たGPS情報を展開させた。

 画面には縮小された周辺の地図が映し出され、目的地は見覚えのある場所だと言うように言う中で、リードは確信していると言うように答え、俺は車を走らせた。

 考えてみると雑談も重要ではあるが、現実的に言うと急がなくては不味い状況で、リードが送って来た情報が正確ならば、かなり不味い場所をさしていたのだ。

「―――AGE―――」

「―――速度を上げろ。」

「捕まって見ろ、これまで苦労が水の泡だ。」

 まずい場所がどこかと言えばAGEの付近で、俺が再確認し、間違いないよなと言うようにリードに言いかける中で、リードはもっと急げと言うように言うが、俺は気持ちはわかるがこれ以上は無理だと言うように返した。

 アパートからAGEまで距離にして20分ほどで、近くて遠い場所で、これぐらいは我慢しろと言うことも言えると思った。

「―――宗教と言い、文化と言い、法律と言い、人間には不便なものが多いな?」

「文句を言うな。―――と?」

「赤か―――」

 ハイブリッダーらしい思考能力で、人間と言うのはと言うように言う中で、俺はと言えば普通の人間で仕方ないと言うように返しかける中で、俺は進行方向の信号を赤だと確認する中でブレーキを踏み車を止めた。

 少し待ってすぐに青に変わり走り出したが、リードも根本的には人間と変わらないのだなと思いながら車を走らせた。

 俺と言いリードと言い、過去は存在するが、本題はと言えば未来と言えば変だがこれから起きることに対応しなければいけないのだ。

 

 考えてみると辻も鈴村もこれからのことを記した書類を用意し、手続きも済ませAGEの人間たちにも話を済ませ、わたし聖那は一安心していいようで、わたしはとりあえずと言うようにアパートメントに帰ることにした。

 帰ってみるとナノマシンの集音能力や脳の処理と、山中とリードの2人に辻と鈴村のことを話しておく必要があるので部屋に向かっていると、2人の部屋の前でハドウとサリーが部屋の前で騒いでいた。

 厳密に言うとサリーが騒いでいてハドウが落ち着けと言うように言い抑えようとしていた。

「―――どうしたの? 2人とも?」

「あ? 聖那さん?」

「さっきからドア叩いてんのにあいつらでてこないのよ!? 作業中のハドウでもこれほどやったら気づくわよ? 無視だったら頭おかしいわよ!?」

 ハドウが落ち着け、サリーは嫌だと言うようなことを言っている中で2人にどうしたと言うよう声をかけると、ハドウはいいところに来てくれましたねと言うように少し困った表情の中でサリーが暴れるように言葉を返した。

「車もないし、さっきから留守な気がするって言ってるんですが、聞かないんですよ―――」

「―――――」

「あれからここで何日暮らしていると思ってんの!? 冗談じゃないはよ!? 命令なのはわかるけどあいつらに文句でも言わないと―――、聞いてるの!?」

 ハドウは冷静に対応しているが、サリーはと言えば絶対に出るまで許さないと言う反応で暴れていてハドウに抑えられ、わたしはと言えば彼らの部屋の方に眼を向けた。

 サリーが怒って言葉を続けているが、わたしはナノマシンを使うと言うか能力を使って部屋の中を見た。

「―――いない。」

「え?」

「いないの。本当、信じて。中入る?」

 ハドウの言う通りで能力を使い見た室内には彼らの気配や姿はなく、音もなく、わたしは結論を言うとサリーはどういうことだと言う反応の中でわたしは確認すると言うように鍵をだした。

「―――ちょっと待ってください? 聖那さん、2人の部屋の鍵ですか?」

「うん。山中さんとリードさんから渡されて。」

 取り出した鍵を鍵穴に差し込むようなそぶりを見せた後ハドウはどうして持っているのかと言うよう反応の中で、わたしは鍵穴に鍵を差し込み、鍵を開けようとする中で冷静に答えた。

「―――と、開いた。何でも山中さんそそっかしいらしくって、なくすから預かってくれって―――」

「山中ー?! リードー!?」

「すみません―――」

 開いたよと言うようにドアを開け、ハドウに事情を説明しようとする中でサリーが室内にいもしない2人を呼びながら駆け込み、乱暴だなと思う中でハドウと眼が合うとハドウは本当に申し訳ないと言うように軽く頭を下げてあやまった。

「いいのよ? それよりも、本当にいないの、それとあなたも2人に用があったんじゃないの? わたしがもらえるように話そうか?」

「いえ、僕はサリーを止めに来ただけです。」

「―――本っ当にいないのー?」

 とりあえず入ろうかと言うように言い、入る中で続いたハドウは言うとおりにいいと言うように返す中でサリーの出て来いと言うような声が聞こえた。

 ハドウの返し方はそこまでしなくていいと言う返し方で、サリーはと言えばそんなこと知らないし、くれるならわたしよこせと言うように2人を探していた。

「―――サリー―――」

「気の済むまで探させてあげましょう? ―――と、あ?」

「なんですか? 書き置き?」

 いい加減にしてほしいと言うような反応のハドウに対し、わたしは置いておけばいずれ収まると言うように言う中で、わたしはリヴィングのテーブルに手書きの文字が書かれた白い紙こと書き置きを見つけ手に取った。


聖那へ

急用で出かける。

リードも一緒だ。

明日の朝までには

たぶん帰る。

山中

Reed fire


 ハドウの言う通りの書き置きで、山中が書いたらしい普通の日本語の文字だが、山中と書いた字の下に別の人間こと、どう見てもリードが書いたらしい粋と言えるようなアルファベッドでリード ファイヤーと書かれた名前が書かれてあった。

「サリー、本当にいないみたいだよ?」

「本当?」

「ほら、書き置き?」

 わたしが見る中でハドウは2人を探し回っているサリーにこれを見てと言うように言う中で、サリーは言うとおりに疑うか前の中で信じてこれを見てと言うようにサリーに文章を見せた。

「―――なに? これ? 2人して飲みに行ったり女遊びにでも言ったような手紙ね? それとも夜逃げ?」

「―――――」

「―――」

 見せた文章を呼んだサリーはと言えばここまで来てまだ疑うのかと言う状態で、ハドウはと言えば小さくだがため息をはき出し、わたしはと言えば大変だねと言うような眼を向けるしかなかった。

 向ける中で言われて見ると夜逃げはないが、2人ともよく酒を飲んでいるし、2人して大人だけど結婚していないし、そう言った世に言う大人の遊びをしていることもあると思った。

「それにたぶん明日の朝までには帰るって? 朝帰りって―――」

「帰るよ。満足だろう?」

 サリーが決定と言い切る前に、これ以上は迷惑だと言うようにハドウは動き出してサリーをひっぱっていき、わたしに軽く頭を下げると部屋を出ていく構えを見せた。

「ちょ、ハドウ?」

「すみません。聖那さん。ありがとうございます。それとおやすみなさい。」

「ええ、おやすみなさい。」

 少し考えてみるといつもこんな調子なのかとも思ったが、暴れているサリーをハドウは引きずっていく中で迷惑かけましたと言うように言い、わたしはと言えば少し苦笑いして手を振り見送るしかなかった。

 考えてみるとわたしも2人に用があったので、2人に用がないとあればこの部屋に長居する理由もないし、一緒にでればよかったが、2人が出ていきドアが閉まる音が聞こえる中で遅れて気が付いた。


 普段何もない時に行くと大した時間も感じないが、ことが起きて急いでいるとなると長く感じると言うのは本当で、眼の前に迫っている気もするがAGEまではまだ時間がかかりそうだとオレリードは思った。

 ハイブリッダーのオレは本質的に言えば空でも飛んで行けばいいが、一緒に移動する山中は普通の人間で、未来から送られてきた単体で飛行可能な兵装なども存在するが、使用法も知らないで、旧式の移動方法に依存するしかなかった。

 旧式とは言えオレの時代でも使われていたガソリン式の自動車での移動で、AGEがまずい事態になりそうだが、見る限りではまだ何も起きてないしことを起こすわけにもいかず、不謹慎だが退屈な時を過ごしていた。

「―――それにしても、神とは無縁の仕事をしていると思ったが、代行者とは、因果な人間に会うものだ―――」

「―――因果? そう感じるのか? お前が?」

 タバコでも吸おうかと考え箱を取出し1本出しかけている中で大層なことが起きたと言うように山中は言い、オレはそうかと言うように聞き返した。

「戦前生まれではないだろう? 象徴天皇制だろうが? 神話や聖書なんぞ昔話や造り話し、教訓としか考えてないだろうが?」

「神とは何なのかと思ってな―――」

 タバコに火をつけ吸い始め、意外だなと言うように続け紫煙を吐きだす中で、山中はどうだろうなと言うように返し、顔は少し考えているように見えた。

「―――」

 日本は第2次世界大戦以前国家元首は神や近しい存在であり、厳しい情報統制もされ、江戸時代と言う300年の国交制限と言う歴史背景的と言う過去が存在し、山中の時代こと、現行の日本とは法的にも精神的にも、国民個体的にも実情は幼い国だ。

 オレと言うか、過去のアメリカ人たちが江戸時代もふくむが戦後半場強引に与えたアメリカ資本主義的な政教分離や多角的な自由に広域な世界は、彼らにはまだ受け入れにくいのかもしれないし、山中もその1人なのかもしれないと思った。

「―――クリスト教は信じられるか?」

「―――日本人には信じている人間もいる。国教の日本神道、仏教、それにイスラム教徒もいてもいい、オウム真理教みたいに法に触れなければニコニコ動画で改造された洗脳ハンバーガーピエロを崇拝してもいいんだ―――」

 ジョセフの存在は特に強烈だとも言えるし、少し話題を変えるように言うと、山中は運転を続けながら真剣に答え、最後の部分を少しだけ鼻で笑って答えた。

 世界3大宗教に1990年代中期に日本だけでなく世界中を震撼させたテロ事件の犯人集団まで山中は例に出した。

 オウム真理教とは日本で1990年代中期に地下鉄にサリンをまいた事件こと、地下鉄サリン事件で有名になったカルトテロ集団のことだ。

 最後に例に出したニコニコ動画で改造された洗脳ハンバーガーピエロと言ったが、間違いなくファストフードチェーン大手のマスコットキャラクター、ロナルド マクドナルドのことだと思った。

 山中の生きていた時代、ウェブの日本大手動画配信サイトにニコニコ動画と言うものが存在し、テレビCMに出て来た内容が狂気の沙汰とも言える改造がされた動画が出回るのを発端に、一部の人間は動画を洗脳、ロナルドを教祖などと呼んでいたのだ。

 宗教と呼べると言うか、定義できるかどうかも意味不明だが、洗脳や教祖と言う発言と言い、教義も精神も存在せず、正規登録などはされないが、日本人の宗教の価値観が自由で、広義で、束縛を受けないのだとも考えられる。

「ロナルドか、―――それ以前にキタローを知っているか?」

「突然何の話だ?」

 軽く笑ったし、もう一押しすれば調子も出るなと思い、オレはもう少し押してみようと思い続け、心の中で笑いかけている中で、山中は意味不明なんだがと言うように返した。

「―――まあ、確かに知っているが―――、鬼太郎だろう? 水木しげるの?」

「オレはあれを知っている人間はクリストを絶対に信じないと思うんだが?」

「意味が理解できないんだが?」

 後少しで着くからお前は少し静かにしていろと言う反応の山中に対し、オレはわかるだろうと言うように言うが、運転の妨げになるからいい加減にしてくれないかと言うように山中はかえした。

 オレの先ほどから言うキタローとは正確には日本語では漢字の鬼に、日本の標準的な名前のTAROUと書いて鬼太郎と書くカートゥーンにもなったジャパニメーションコミックのヒーローの一人で、山中の言う水木しげるとは著者の名前だ。

「まあ聞け、右のほおを叩かれたら?」

「―――左のほおも差し出せ。」

「だがキタローはどうだ? こうだろ? BIBIBIBIBIBI―――」

 機嫌が悪くなり始めているように見える山中に対し、オレは半塲笑いながら聞き、山中はその答えは言うまでもないだろうがと言うように返す中で、オレは見ての通りと言うように言い、口で出した音に合わせて顔の前で手を横に勢いよく振った。

「―――――」

 手をオレがふり出す中で山中は吹き出し、勢いよくハンドルを切って路肩に寄せると言うか、強引に曲がりブレーキとクラッチを踏んで停車し、勢いよくハザードランプをつけてサイドブレーキまで上げた。

「やっぱり受けた。」

「―――お前な!?」

 外から大声で苦情とかを言う声やクラクションが聞こえる中で、無謀な運転の本人こと山中はハンドルの上に片腕を置いて身体をあずけ、反対の手は口元を抑え、だれが見ても解るが大声で笑いかけているのを抑えているのがまるわかりの状態だった。

笑いかけてクラクションも押しかけている山中に対し、うまくいったと言うようにオレがよろこぶ中で、山中は笑いながらもこんな時に冗談はやめてくれと言うように返した。

「―――それ以前に知っているのか?」

「第2次世界大戦後の資料に―――」

「ふくまれてたのか!? ふくまれているのか?! ふくまれて―――」

 笑いが抑えられないような状態で山中が聞く中で、オレは軽く笑いながらも冷静に答え、山中は本気なのかと言うように聞くと言うか、信じられないと言うように笑い出していた。

 話しの内容を掘り下げると、右のほおを叩かれたら左のほおを差し出せと言うのはクリスト教の教えの1つで、オレが山中に見せた動作はキタローこと、水木しげるの漫画の表現の1つで左右のほおを連続でたたく一場面の再現だ。

 水木しげるは第2次大戦後に有名になった漫画家で、日本古来の怪物こと、YOUKAIを題材とした漫画で一世を風靡したが、大戦時の戦地での体験を描いた戦争漫画家としても知られる一面が存在している。

 人数不足で収集されていたり、若かったり階級が低い兵士たちが理由もなしに性質の悪い上官に腹いせや不満解消、教育だとか言って叩かれる描写などが存在していた。

 職業柄命にも関わるし、教育や指導、注意と言う点で痛みを与える措置も必要な場合も存在するが、どう考えても必要のない暴力で権力の横暴や戦時の恐慌心理にほかならないと思うし、クリストの教えも絶対に信じられないと思った。

「―――」

「山中、オレたちの戦う相手は神の教えも人間の常識も通じない、それに普通の人間あいつらと違って殺すのに良心の呵責も何も起きない存在だ。アーウェーを生かし続ければすべてが失われる。この過去もオレの生きる未来も、お前が生きる現在もだ。」

 信じられないと言う反応の山中に対し、オレは真剣な言葉を言った。

「麻原みたいな人間にこの世界のすべてを奪われる必要があるか? 審判の日以後の世界を望むか? この世に善も悪も存在しない、存在するのは自由と解放と言う名の責任と義務だ。代行者以前にオレたちの本分を忘れるな?」

「―――言えてるな?」

 真剣の言葉を言っている中で山中は落ち着き始め、オレが再確認するぞと言うように聞くと、山中はまだ少しわかりかけているが、言うまでもないと言うように返事を返した。

「―――本来の、仕事を、忘れたら―――」

「悪ふざけが過ぎた。運転変わろうか?」

「―――ああ、そうしてく―――」

 返事を返し、話しを続けて仕事を忘れたらいけないし、何にしてもAGEに急がないといけないと言うように話すが、山中は本気でオレのあの素振りがおもしろかったようで、再び運転させるとかなり不味そうだった。

 受けたとは思ったがこれほど笑うのは少し想定外の事態で、オレはこれは不味いなと言うように運転を変わろうかと聞くと、山中は頼むと言い切る前にドアを開けて車外に出た。

 見ると出た後も笑っている始末で、腹を抑えながら起き上って後部座席の方に座り直し、オレはと言えば運転席に移った。

「―――1ついいか?」

「なんだよ?」

 後部座席に勢いよく腰かけたが腹を抑えてまだ笑い続けているしで、AGEに着くまでに収まっているといいなと思いながら、オレは山中に声をかけ、山中は笑いながら答えた。

「お前のそのMANGAみたいな過激な反応オレ大好きだ。」

「ありがとうな。」

 シートベルトを締め、エンジンをかけバックミラーで後ろを確認しながらオレは山中に思ったことを伝え、山中はと言えば笑いながら感謝していた。

 一応抑えようとしていると言うか、わかっているが止められないと言う状態のようで、山中は車を走らせ始める中で、身体を丸めて笑い出し、オレはと言えここまで受けるとは思わなかったし、山中の反応がおもしろくて笑いだしていた。

 少し不謹慎なものだが、オレも昼間のこともあまり気分がいいものではなかったし、山中は言うまでもないが、いい気分転換になったと思った。


 平穏に見えても危機はすぐ眼の前にある。

 マスターアラキに保護され育てられ、教育を受ける中でと言うか、わたし楊はこの日その日々の中で見たある日本映画の登場人物の言った言葉を思い出した。

 映画の題名は『ガメラ3 イリス(邪神)覚醒』で、古代文明の造りだした巨大怪物こと、怪獣たちが現在によみがえり死闘を繰り広げると言う内容で、現実には存在しない怪物を非常に写実的な設定と描写、撮影技術で造りだしていた。

 見上げた夜空は何の変哲もないが、特殊強化服のセンサーや周辺の装置、それに身体の大部分を機械と化したわたしの感覚器官は嫌な気配と言うものを嫌と言うほどに感じていた。

司令官コマンダー、撤退の準備が整いました。」

 拠点として確保した場所から一時的な撤退の準備の指示はすでに出している状態で、わたしは手伝いながらもあまり時間がないと思っている中で、わたしは一時手を止め、空を見上げていると仲間がわたしに声をかけて来た。

「―――わかった。」

 話しかけてきたのはわたしよりも若く見える20代の白人女性と言うか、青い瞳の少女で特殊強化服のマスクを外しており、あなたも急いでくださいと言うように言う中で、わたしは落ち着いた返事を返した。

「―――聞こえているか?」

『聞こえています!』

 少女はと言えば状況を知らせると走り去り、わたしはと言えば無線を操作し、全員に聞こえているかと言うように聞くと、何人かが声に勢いよく答えてくれた。

「―――先ほど説明したとおりだ。センサーが危険な反応を示しているため一時この拠点を手放す。一定時間後状況を確認し、対処可能な場合全力で対処する。」

『了解。』

 指示を伝えると無論だと言うように威勢よく返事が返って来た。

「―――毎度繰り返しているが、これは敗北ではない、戦略的撤退は的確な情報から導き出して勝利への方程式の1つだ。それでは撤退する!」

 毎度と言うようにわたしはこれを繰り返しているし、言い訳にしか思えないが、同じような状況がなかったわけではないし、わたしは仲間を救い、敵を倒し、戦略によって最善と言えるだろう結果に導いて来ている。

 大切なことは考える度合いで、重要なことでも簡単に考える必要なことも存在するし、簡単なことも重要に考える必要も存在し、わたしと言う存在が指揮官と言うのは時折非常に重荷に感じることが多く存在する。


 虫の知らせと言うものが会ったのかもしれないが、わたし聖那は気になって山中たちを探しに外に出ていた。

 外に出ていたとは言うが、軽い近辺の探索で終わらせようとも思ったが、わたしは訓練も兼ねてナノマシンを使い、窓から飛び出すと姿を隠し、飛行してセンサーを起動し、2人を探していた。

 山中もだがリードの指導や訓練、講義の効果でわたしはあの2人と会った時以外にも暴走が起きそうな時も制御と言うか、抑え込みもできるようになり、ナノマシンを操り、空を飛んでいた。

 背中から収納式の昆虫のような羽を4枚展開させ、普通の服と大きさ、日本人だ問うのは無視して、わたしは人目に見えたら妖精に見えると思った。

「―――AGEに向かっている? だけど―――?」

 公園の街灯の上に下り立ったわたしは2人を探している中で、肉眼では普通は見えないが、2人の乗っていると思われる車の痕跡を発見し、方向を見る中でわたしは推測される最短の場所を導き出した。

 導き出したと言うよりも普段からの通り道で、2人はAGEに向かったのは考えるまでもないことだが、AGEの方では普通の人間の感覚ではわからないが、不穏な気配と言うか、感覚のような物が見えたと言うか、感じた。

 少し気になりもしたが、わたしの能力では十二分ではないし、確証はないしで、わたしはとにかくと言うように会って軽くは話そうと言うように、辻たちが日本にいったことを伝えなくてはいけないと思った。

 正直に言えば不意な事態で、どうしていいかわからず不安で、周囲に親しい大人も少ないし、わたしは一番年上だし、落ち着きもあるし、辻たちの話を聞くと少し心配もあるが、山中とリードに会って話したいとも思い、少しわたしは急いでいた。

 明日まで待つのも少し嫌だったし、我慢も一応したりだれかに話せばよかったかもしれないが、現状で2人こと、特にサリーだが、ハドウに弱みを見せるのは不味いとも思っていた。


 AGEの本社ビルは生きているようにも見え、死んでいるようにも俺山中の眼には見えた。

 奇妙な表現だが、夜中に見える高層ビルは暗闇の中で数多くの光こと、蛍光灯のような長時間見続けていると健康を害しそうな光を灯し、暗闇の中で眠る自然の生き物や、夜暗闇で眼を光らせる夜行性とは違う雰囲気を持っている。

 闇の中に溶け込んでいれば逆に怖くないと感じる領域で、就業時間が正しいならば仕事はもう終わっているが、まだ残っている職員がいるようだった。

「―――警備員の巡回時間だ。」

「ああ? そう言えばそうだな?」

 少し離れた場所の駐車場と言うか、広場に止めた車から降りて準備を整え始め、まだ人が残っているのかと思っている中で、思い返して見ればと言う答えをリードが出し、俺もその通りだと言うように時計を確認した。

「―――オシアナス、か―――」

「優秀な物だ。使えるとは―――」

 時計を見る中でリードも俺の腕と言うか、腕時計に眼を向け、思い返してみればお前のそれはと言うように言う中で、俺はそう言えば使えるのは以外だと言うように返した。

 オシアナスは2004年にCasioが販売を開始した腕時計のブランドで、最低5万、最高20万近くが相場の電波ソーラー腕時計で、この時代まだ販売されていないが、電波規格は対応しているので、使えるみたいだった。

「―――何にしてもだ。もうすこし人がいなくなってから―――、リード?」

 話しながら俺はライフルの入ったケースを手に取り、肩に背負い、車の鍵をかけた中で、リードがなぜか意味不明だが抱き付いてきた。

「―――?」

「フリーフォールは好きか?」

「?―――、おい? まさ―――」

 抱き付いてきたと表現したが、考えてみると拘束したと言うのが正しい表現で、どうしたと言うように振り返る中で、リードは白い歯を見せた満面の笑みで質問して来た。

 歯を見ると普通の人間と違い鋭利で長い犬歯が横側に見え、これで噛まれたら痛そうだと言うことは置いて、俺がリードの質問した言葉の意味を遅れて理解し、本気かと言うように言いきる前に、リードは勢いよく飛び上がった。

 フリーフォールとは言うまでもなくあのアミューズメントパークのフリーフォールのことだと言えた。


 山中の言う通りの普通の人間ならば人がいなくなった後忍びこむのが普通だが、ハイブリッダーのオレリードから見て面倒なことで、オレは山中を拘束すると質問に答えさせることなく、目的地こと、屋上に直行した。

 フリーフォールは好きかとも前兆は教えたし、それ以前に前オレが飛行する時に機嫌のよさそうな声も出していたし、オレは別段問題ないだろうとも判断した。

 普通の人間ならば機械を使っても5、6秒かかるが、能力を発動したオレはと言えば山中と言う50Kg以上もある荷物を背負いながらも、3秒と経過せずに到着し、着地し、我ながらうまくいったと思った。

 体重50Kg以上と表現したが、この時ついでに計測してみたが山中の体重は52Kg強だった。

「―――」

 お前まさかと言うように少し止めろと言う表情をしていたし、拘束を解いた後地面と言うか、床に倒れると言うか、膝をついた状態で少し震えていたし、黙ってもいるし、やりすぎたかと思った。

「すまん? 唐突過ぎたか?」

「―――――」

「―――」

 考えてみればと言うか、言うまでもないと言うか、一応普通の人間で、刺激が強すぎたかと言うように声をかけると、山中はこっちを見なかったが、震えているが片手をあげ、親指を立て最高だと言うような意思表示を見せた。

「―――さて、そう言えば何が出てくるんだ?」

 ごまかすためか、本気で怖くて精神に来ているのか、それとも楽しかったのかわからないが軽く震えて笑っているのがわかる中で立ち上がり、ケースからライフルを取出し準備を始めながらオレに質問した。

「ウェバーか? ケディか? どちらにしても手加減はしないぞ―――」

「―――まず深呼吸して落ち着け?」

 マガジンを持った手が震えていて装填できない状態を繰り返しているし、オレは落ち着けと言うように伝えた。

突然のことでオレにかなり怒ってもいるが、山中は冷静に判断して矛先は仲間に向けるべきではないと言う思考に回転したようだった。

「―――ビーバード、いや? これは―――?」

「ヴァリーか?」

 深呼吸を山中が始めたのを確認し、マガジンの装填を終える中で、オレはセンサーを起動させる中で、見覚えのある感覚を覚え、その正体を口にしたが、違和感を覚える中で、山中は質問してきた。

「―――いや、ヴァリーVだ。」

「―――もう、発症者があらわれたと言うのか? いや、これでも、遅い方か―――?」

 オレがビーバードと言ったが、山中は即座に前に言ったヴァリーのことだと理解している状態で、オレは正確にはと言うように返す中で、山中は信じられないと言うように返したが、ある意味納得できると言うようにも言った。

 深呼吸して時間も経過して、震えも収まっているしで、山中はオレの方に眼を向けた表情は不味いことになるぞと言う表情をしていた。

「―――恋たちと連絡はあいかわらず取れないか?」

「―――ああ。」

 思い返してみればと言うようにオレは質問するが、山中はいつもの通りだと言うように返した。

「―――ならば、遠慮は不要だな? 山中、後十数秒で反応が最高潮に達する。殲滅するぞ?」

「―――了解、大佐。」

 山中は恋から連絡が来ないのは心配だろうが、オレはと言えば飛鳥から連絡も何もないしで、文句が出ないならば好きにやってもいいだろうと言うように判断した。

 山中に言うとおりに遠慮するなと言うように指示をだし、反応の方向に眼を向け、山中も支給品のサングラスをかけ、搭載された装置を起動させた後、ライフルの弾丸を装填し、2人してこれから起きることに身構えた。

 

 リードからわたし聖那は確かに以前戦ったヴァリーなどの情報を教えられていたが、この日わたしと奥から見えた光景には、情報でわかっていたとは言え、異常な物体が見えた。

 リードたちの反応を追っていきつく先はAGEの屋上で、移動のさなかにあんな場所で何をしているのかと思う中で、大量のヴァリーVが姿をあらわしていた。

 以前見たヴァリーのような怪物を人工的なウィルスを使い、生物などに感染させ発症させて作り出すと言う種類だそうで、わたしは理解していたが、実物は異常な姿だった。

 実際には彼女たちのと言うべきで、彼女たちは確かにヴァリーに似てハチドリのように羽ばたく姿も同様だが、1人1人違うが身体の一部分がはがれ落ちたと言うか、付着しているように本来の人間の部分が見えていた。

 ナノマシンを使い拡大して見てみると人間の部分は服を着ていたり、顔には眼鏡をかけていたり、老若、人種、身体的個体差をふくまず数多くの人間たちが存在していた。

「―――!?」

 予期できる事態と言えば予期できる事態を言えるが、わたしが遠い場所で止まり、見ている中で、彼女たちの身体が急に砕け始めた。

 正確には地面の方から高速で小さくて細長い物体が飛んできて彼女たちを破壊しているようで、わたしが飛んで来た方向に眼を向けると、彼女たちに銃を向け、撃っている2人の姿が見えた。

「―――止めなきゃ!?」

 頭ではわかっていたし、後で真剣に考えるとどうしようもないことだが、普通に考えると2人が非常にまずいことをしているのは明確なことで、わたしは見ている場合ではないとAGEの屋上に向かって再び飛び始めた。

 先ほどまでは浮いていて半場風や慣性任せにと言うように進んでいたが、わたしは身体を変化させ、高速で向かった。

 普通に進んでいた状態だと少し時間がかかりそうだったが、半分ほどの時間と言うか、すぐに到着できそうだった。


 ヴァリーVは基本的な能力はヴァリーと似ているが、最大の違いはヴァイラスが根源であり、人間の女性のみに感染し、条件は身体能力や精神状態、年齢など、個体によって異なるが、発症が末期に到達するとヴァリー化し、人間には戻れないことだ。

 発症は確実なものではなく非常に低いが、感染力や繁殖力が非常に高く、数十分で世界中に拡散するほどで、発症者が出るのは俺山中の口にした通り、これでもまだ遅い状態だとも言えた。

 細かい理屈は無視して、眼の前こと、頭上には大量のヴァリーVが姿をあらわし、俺とリードは掃討戦を始めることになった。

「―――見事なものだ?」

 1人だけこと、俺だけだったら、逃げ出していたかもしれないが、最初に動いたのはリードで、前のヴァリーとの戦闘時のように空中で戦い始め、俺はと言えば意味があるのかないのか、援護射撃をしながら、リードを補助することにした。

『全体数を把握できるか?』

「現在もなお増加中だが最低300、わかっていると思うがヴァリー化していない部分を狙え、ヴァリーよりも反応が悪いが油断するな?」

『わかった。』

 撃てば当たると言う状況で、俺はと言えば適当に狙いをつけてはリードに命中したり、撃ったヴァリーが面倒な方向に行かないように撃っている状態で、時折こちらに向かっているのがいたが、すべて撃ち落した。

 俺たちが来たこと自体が目覚めたばかりとは言えヴァリーVの運の尽きと言う状態で、リードは戦闘のさなかに俺に質問し、俺は答えながらも撃ち、リードは理解したと言うように答えた。

 リードに言った通りに油断するべきではないが楽勝だと言う状況で、厄介なのは眼下に広がる屋上の床に撃ち落とされたが生きていて、自分たちの身に何が起きているか理解できず、動転しているヴァリーVの姿だった。

 ヴァリーVのヴァリー化はヴァイラスによる感染、そして発症と言うが、人間を人間外の生物へと遺伝子レヴェル、そして精神までも変貌と言うよりも、ヴァイラスに支配される物質なわけで、発症者に過剰な負担を与える。

 リードや俺に攻撃され手足以外にも頭がなくなっているヴァリーVや、胴体の中心に穴が開きどこのだれがどう見ても心臓がなくなっているように見える場合など、それ以上に酷い場合でも生きているヴァリーVが存在していた。

 ヴァリー化への変化が完全ではないようで、人間だった部分がヘビのまだら模様のように見えるヴァリーVも存在し、全身がヴァリー化していても、人間だった時の感情などが残っていることが計り知れた。

 人間の部位が見えるヴァリーVの中には俺たちの攻撃が人間の部位に見事に命中して大量の血を流し、激痛で泣き叫び、銃を向けている俺や空で暴れているリードを見て動転する姿や、言葉を失っている姿が見えた。

 事情も知らなければ俺たちが非人道的で、残虐でまだ人間に戻せると言う良心的意見が出る雰囲気だが、ここまで来ると末期と言う状態で、早ければ数分で本格的にヴァリー化するし、殺す必要が、とどめを刺す必要があった。

『―――後ろだ! 山中!』

「―――!?」

 足元のヴァリーVたちも掃討していく必要があると思い拳銃を取出している中で、不意にリードが俺に声をかけ、後ろだと言い、俺は言われて考えるまでもなく銃を握る反対の手はナイフを手に取っていた。

『―――MIGOTO!』

「―――ありがとうな? 命拾いした―――」

 勢いよく抜き放つと勢いよく後ろに向かって振るとヴァリーVの姿が見え、ヴァリーVの身体は胸から上がものの見事に切断された後地面に倒れ、リードがよかったと言うように言う中で、俺は助かったと言うようにリードに返した。

「恐ろしい武器だな? 特殊振動装置だったか? 大した力を入れてないんだが?」

『前にも言ったがワーパーのAmonが使っているナイフだ。ダイヤモンドも切れる。有効に使え。』

「わかった。」

 ナイフを見た後、戻しならが俺はリードに聞くと、リードはその通りだと言うように返し、軽く説明する中で、俺は拳銃を取出し、リードが言い終えると同時に次と言うように先ほど見ていた方向に向き直った。

 ヴァリーを切ったナイフは支給品というよりも、以前ナイフの刃が欠けるのを気にしていたし、リードが使えばいいと教えてくれた装備で、ワープのあの黒い服で赤い眼の防毒マスクをした特殊強化服の装備のナイフだそうだった。

 刃の内部に特殊な装置を内蔵しているそうで、刃本来の切れ味や硬度、質感を落としたみたいだが、装置の恩恵で先ほどのようにヴァリーVを簡単に一刀両断ができた。


 予測していなかったわけではないが、予測していても実際に起きると起きないとでは雲泥の差と言う状況で、わたしは拠点としていた場所で、あの2人組が戦っている姿と、向かう空飛ぶ少女の姿見えた。

 彼らが戦っているのは彼らが以前に戦っていたあの白い彫刻のような、彼らが「ヴァリー」と呼ぶ怪物に酷似した怪物で、以前のものとよく似ているが、身体の一部が普通の人間だと思われる部分が見えた。

 2人はと言えば気にする様子もなく戦い、先ほど片方が不意打ちを受けかける中で、仲間に警告され、返り討ちにしていた。

「―――どうします?」

「―――あそこはわたしたちの場所ではないからな? 権利を主張することはできまい、それに彼らともいずれ、接触する必要があるかもしれない―――」

「!? 本気ですか?」

 映像処理され拡大された映像越しに見える彼らの奮闘を見ている中で口を開いたのは仲間の1人で、わたしはこうなっては仕方ないと言うように言うが、仲間は信じられないし、反対だと言うように返してきた。

 わたしも内心はこう言った対応をするべきではないとも思ったが、わたしには、現状を踏まえ、彼らとどうしても接触する必要があると言う確信が存在していた。

 特にあの山中と言う男と、わたしは一度話し合わなければいけないとも考えていた。


 オレタチノシゴトハヒトゴロシダ。

 2人がAGEの屋上にいることと、ヴァリーと思われる怪物が大量に姿をあらわしたことを踏まえ、わたし聖那はAGEの屋上へと到着したが、到着して見てしまった光景はわたしに山中の言った言葉を思い出させた。

 オレタチノシゴトハヒトゴロシダ。

 俺たちの仕事は人殺しだと言い、わたしの頭の中でその言葉が何度も繰り返され、壊れたテープレコーダーのように繰り返された気がした。

「―――」

 わたしの見たものが何かと言えば、ヴァリーと言うべきか、ヴァリー化しかけている人間と言うべきかもしれないが、まだ人間としての部分を残した女性に拳銃を向けている山中の背中だった。

 女性の顔の半分以上はヴァリー化してしまっていて、表情はないが、人間として残った部分は人間としての表情を残し、山中の向けた銃を見て恐怖で酷くゆがんでいた。

 口を開けば止めてたすけて嫌だと言うような言葉がでてきそうな顔で、普通の人間ならば警戒して銃を向けていても、最終的に良心的に引き金を引くことはないだろうと言う表情だった。

「―――ぅ―――」

 わたしが少し遠くで見ている中で山中は不意に引き金を引いた。

 銃声が響き渡ると同時に銃から薬莢が飛び出すのに合わせるように女性は倒れ、わたしは思わず少し後ろに引き、軽くだが嘔吐感を覚え、口元を手で覆った。

「―――」

 血と肉片、それに骨もだと思うが入り混じった物体が地面に落ちて散らばったのが見えるし、女性の死体からは血が流れ出して床を地に染め始める中で、山中は少し遠くの女性に銃を向け、再び引き金を引いた。

 先ほどの女性と違い悲鳴と言うか、止めてと言うようなことを言いかけていたが、山中は気にする様子もなく引き金を引き、撃ち殺し、撃ち殺すと別の女性へと歩き出し、同じように銃を向けて撃ち殺した。

 足元に死体も転がり、血も流れ出し、薬莢も転がり、異様と言う光景の中で見える山中の背中にわたしは混乱しているのかもしれないが、彼だけが普通に見えた。

 普通と言うのは変かもしれないが、まさにその通りで、動きを見れば異常なことは当然だが、彼の背中はと言えば、そんなことはしてないと言うか、普通の、日常的なことをしていると言うように背中で語っているように見えたのだ。

『ミス聖那!?』

「わ!? リードさん?!」

『どうしてここに!?』

 日常的なことばどんなことかと言えば、リードやわたしたちと普通に話しているようにも感じられ、普通に話していたのにどうして銃を向けて撃っているのと言う状態で、わたしが見ている中でリードが無線で話しかけてきた。

 リードと山中は前のヴァリーとの戦闘の時と一緒で、リードは山中はその援護と言う戦闘形式で、山中はリードが殺し損ねたヴァリーを倒している状態だとも言えた。

『―――聖那? え?』

『後ろだ!?』

「―――?」

 おどろいているひまもなく質問され、山中もリードの無線を聞いていて、遅れて気付いたと言う反応で、どこにいると言う反応を見せる中でリードにわたしのいる場所こと、後ろにいることを教えられ振り返るが、彼は女性を撃ってから振り返った。

「聖那?!」

 振り返りわたしを確認した山中はリード同様にどうしてここにと言うようにわたしの名を呼んだ。

「―――っわ!?」

『―――山中!? 彼女を頼む!』

「わかった!」

 対処が早いと言う状況で、山中が振り返る中で、リードは勢いよくわたし右横に勢いよく着地し、着地する勢いなどで出た風に思わずおどろき、眼を閉じ身を守る構えを見せた中で、リードは指示をだし、山中が動いた。

 思わず眼を閉じた後の2人の行動は迅速な行動と言うもので、リードは再び飛び立ち戦闘を再開する中で、山中はわたしを勢いよく肩車し、安全な場所にだと思うが強引にわたしを連れて行った。


 不測の事態と言うものは起きると対処に困ることが多く、迅速な対応こそ人間としてと言うか、職業柄の適正を発揮できると言えるが、戦場に女子高生が紛れ込むのは不測の事態以上の問題だ。

 不測の事態と言うが、実際考えてみると聖那が俺山中と言うか、俺たちを追ってここに来ることは予期できる事態とも言えるが、前の時と違って一緒にいると言うか、途中で来ると言う非常に困った状況になった。

 気づいた後すぐに対処して現在はと言えばヴァリーVはリードに任せ、俺と聖那は少し離れた人気のない場所に来ていた。

 正確には先ほどまでいた場所の裏手と言う場所で、リードが派手に暴れまわっているし、よほどの言葉ない限りはリードに気をとられてここには来ないと思われ、幸いなことに近くには内部に入る扉も見えた。

「リード、聖那の安全を確保。」

『すまない。』

「あやまるな。不測の事態だ。」

 ここはどこだと言う表情をして俺を見上げている聖那を半場放置し、俺はリードに一応は問題ないと言うように報告するとリードは助かったと言うように返し、俺は気にするなと言うように返した。

「聖那を説得してすぐに戻る。」

『わかった。』

 リード1人でもいいと思うが、分担を決めた建前も存在し、すぐに戻る必要もあるし、後は適当に理由言って扉の中に追いやればいいと言う状況で、リードにすぐに戻ると言い、リードが返事を返す中で聖那に眼を向けた。

「聖那、すぐに帰れ。」

「―――ぁ、あの―――」

「悪いが言いわけを聞いているひまはない、後で聞く。いけ。」

 眼を向けている中で俺は勢いよく膝をついて、少し強めに聖那の両肩に両手を置き、言うとおりにしろと言うように言い、これはと言うように返しかける聖那に対し、同じように言うとおりにしろと言うように言った。

 後ろの扉の方を見ろと言うように目配せしたが、そんなこと頭に入らないと言うよう表情をしていた。

「―――?」

「―――ぁ―――?」

 恨みはないがこのままでは動きそうもないし、縛って放り込んでやろうかと一瞬思いかける中で、後ろから物音と言うか、足音が聞こえた。

「―――たすけ、たすけて、たすけて―――」

「―――」

「―――たすけ―――、あ?!」

 振り返り見てみると姿をあらわしたのは負傷したヴァリーVで、片腕を失い、反対の片足も動かない状態のようで壁伝いに歩いていると言うか逃げてたすけを求めている姿で、俺を確認すると、まずいと言うか、こんなことないと言う表情をしていた。

「―――ぁ、ああ、ぁ?」

 負傷こそしたが生きていればいいと言うように何とか逃げられたが、リードに気をとられて俺たちがここに来たことに気付かなかったようで、俺に気付くと言葉にならないような声を出して腰を抜かした。

「―――」

「―――やめ、止めて、たすけて? お願い? どうして? いや―――?」

 俺はと言えば身体がもう動いていると言う状態で銃を抜き放ちヴァリーVに向ける中でヴァリーVはおびえた表情で止めてくれと言うように言うが俺は銃を向け引き金に指をかけた。

「人間に戻ることはできない。お前にできるのは自ら死を選ぶか、偽りのエホバの洗礼によって自らの意志無き操り人形になるかだ。意志無き操り人形として生きる勇気があるか? 自ら命を絶てる覚悟があるか?」

「―――」

「―――悪く思ってもいいが、恨んで出てくるなよ? 俺も仕事なんだ。」

 余計な親切だとも思ったが、引き金を引く寸前に俺はヴァリーVに対して言い捨て、ヴァリーVがそんなことできないと言う表情して否定して首を左右に振っている中で引き金を引いた。

「!」

「聖那、繰り返すぞ、なにも聞かずにそのまま帰れ、言うとおりにしろ。」

 1人だけが来るとは思えないし、聖那を置いておくわけにもいかないしで、俺はとにかく言うとおりにしろと言うように強引に聖那の身体を起こし、眼で合図するが、どうすればいいかと言うような表情をしていた。

「聖那、ヴァリーVだ。ヴァイラスに感染し発症している。人間には戻れない。ヴァリー化してアーウェーの操り人形となるだけなんだ。」

「―――」

「俺も良心とかそう言ったものも痛むのが事実だが、ほかの方法がないんだ。殺すしかないんだ!」

 さとそうとすると言う表現が存在するが、まさにその状態とも言えるが、聖那はと言えば、心ここにあらずと言うか、死体に眼をとられ聞いていないと言う表情だった。

「―――?!」

 強行手段こと、強引にひっぱり縛って放り込んだ方がいいと言う状態だと俺は判断し、結束バンドを取り出そうと言う中で、信じられないが不意に聖那を入れる予定の、建物内へ入る用の扉が開いた。

「だれだ!?」

 扉は金属製で、金属のすれる乾いた音が聞えると同時に、振り返ると人影のような物も見え、俺は銃を向けていた。

「―――落ち着いてくれ、わたしは丸腰だ。争う気もない―――」

「お前は―――?!」

「―――あ?」

 銃を向けたが扉を開けた人影は口を開き、安心していいと言うような年配と思われる男の落ち着いた低い声が聞え、俺は何でこの場所にお前がいると言う反応をするしかなく、聖那もおどろいたと言う反応を示した。

「ジョセフ?!」

「そうだよ。山中一輝君。」

 扉を開けたのはなんとジョセフで、ジョセフはと言えばこんな場所で仕事とは大変だねと言うような物言いで俺に話しかけてきた上、流暢な日本語だった。

 奇妙なほど流暢で、映像越しの声こと、吹き替えされた声を聞いているかと思うほどの日本語だった。

「―――」

「はじめまして、ミス聖那。」

「―――ぇ?」

 リードから何者かは聞いていたし、一応は大丈夫かと言うように銃を下す中でジョセフは聖那に眼を向け、落ち着いた表情で聖那にあいさつした。

 あいさつしたが、聖那は何でわたしの名前を知っているのと言う反応をしていた。

「―――意外だろう?」

「―――聖那、知っているのか?」

「え? ここで働いている? え? どうして?」

 ジョセフはと言えば事情も説明しないし、俺は聖那に知っているのかと言うように質問するが、わたしも意味が解らないと言うような表情と反応をしていた。

「―――わたしはね、ここで警備員として働いているんだ。」

「―――? なに?」

「ほら、IDだ。」

 聖那がわからないと言う反応の中でジョセフはわたしが説明しようと言うように言い、俺はそれはどういう意味だと言うようにジョセフに顔を向ける中で、首にかけていたカード入れのような物を見せていた。


Advanced Generational Enterprise

Joseph Smith


 カード入れの中のカードを見てみると間違いなくAGEの職員だと言うように書かれたカードが見られ、服装もAGEの一部の職員が社内で着ているジャンパーを着ていた。

「社内ではジョセフおじさんとよく呼ばれている。」

「―――」

 場の雰囲気に合わない落ち着いた物言いと様子でジョセフは話し、俺はと言えばこんな時に来ても言葉と対応に困ると言う状態だった。

『山中!? どうした? 大丈夫か?』

「―――問題ない、聖那が少し動転しているだけだ。すぐ戻る―――」

『急いでくれ、無理とは言えないがビーバードに変わりはない、数だけは多い、お前の援護射撃は統制を乱すフェイントになる。』

 本来ならばもう戻っている頃間と判断したかリードも通信を入れて来たし、俺は問題ないと言うように返す中でリードは早く戻って来いと言うように伝えた。

 少し先と同様に無線越しに銃声や打撃、それに飛行するためのバーニアなどの音が聞えていた。

「―――彼女を引き取ろう。」

「?!」

「君では無理だろう―――」

 ジョセフもだがここにいても邪魔になるだけだし、扉の向こうに蹴り入れてやればいいと言うように思い出す中でジョセフは問題を解決しようと言うように言い、俺がなんだとと言うような反応の中で、任せろと言うように言った。

「それに、彼女とも話しをしたくてね―――」

「―――わたし、と? え?」

「―――安心していい、危害を加えるつもりはない。それにわたしも関係者でね? 山中君たちとは昼間に会って話したが、君がいなかったし、君の現状を踏まえて、少し強引にだが顔を合わせておこうと思ってね―――」

 確かにこの調子では手間取るしで、ジョセフは聖那と話したいと言い、動揺する聖那に対し、手を差し出し、友好的な態度を見せていた。

「―――代行者。何が目的だ? これも神の所業なのか?」

「―――代行者―――?」

「違うよ、それを利用した第三者としての助け舟と言う部分もあるが、同じ会社のそれに人生の先輩としての心がけだよ―――」

 意図が読み取れないし、俺が質問し聖那が理解できないと言う反応の中で、ジョセフは疑うとは心外だなと言うように返した。

「さあ、ミス聖那、言うとおりにしてほしい、山中君の迷惑だよ? それにわたしはリード君に嫌われていてね? ここにいるとわかれば最悪殺されて最低殴られるかもしれない。わたしをたすけると思って、一緒に来てくれないか?」

「―――、は、はい―――?」

 ジョセフは聖那に手を差し出し、いこうと言うように言い、聖那はと言えば言っていることの意味を何とか理解しましたと言うように手を取り、ジョセフは少しずつだが聖那をひっぱって扉まで誘導していった。

「―――恩に着る。と言うべきなのか? とりあえず感謝する。」

「早くいった方がいい、彼が待っているだろう。それとわたしがここに来たことは彼には内密にね?」

「―――わかった。」

 聖那を安全な場所にとりあえず運んでくれるようだし、リードの話を聞いた分には危険はないと思うし、現状的に時間もないしで、俺はジョセフに感謝するしかなかった。

 感謝されたジョセフはと言えば礼を言われるほどのことはしていないと言うように返し、後は任せろと言うように言い、俺は言ったとおりにすると言うように返し、リードのいる場所に戻るためにかけだした。

 背後で聖那が俺を呼び、何かを言ったのが聞こえたが、よく聞こえなかったと言うか、無視して、後で聞けばいいとも思ったし俺は急いだ。


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