невидимый
一夜明けわたし愛は陽菜と再び会う約束をしていた。
神さまになれるうわさとか言う奇妙な話があるが、何にしてもわたしのあの眼の前で起きたことに関係していることは事実だと思った。
陽菜から詳しく話を聞く必要と言うよりも陽菜も何かと言うよりも、昨日見せ、わたしが触れた瞬間勢いよく砕け散った白化と言い、わたしからも何か聞きたいことや調べたいことがあると言う状況だと言えた。
「―――陽菜ちゃん?」
「―――あ、愛さん―――」
あの家は大きくて入り難いだろうし、入れても総一郎や八千代、零夜がいると余計にまずい事態になると思ったし、わたしは陽菜とわたしの一人暮らししている家に行く約束をし、住所を教えていた。
少し早目に仕事を終わらせ、軽く寄り道した後住んでいるアパートメントの前に来ると私服姿の陽菜がわたしに気づかず背を向けていた。
ここかと言うようにメモ書きを見て近く歩いたり、考えているように見えるのが見え、わたしが声をかけると案の定陽菜だった。
話しも始まらないし、わたしと陽菜はアパートメントの中に入った。
アパートメントや借家とは言うが、マンションと言う方が正解で、出入りにはカードキーが必要で家賃も結構高い言い部屋を借りて住み、セキュリティも少し厳重だが何にしても入れば普通の建物と変わらない状態だ。
「―――と、エレベーター使わないと?」
「―――ぇ?」
「―――ごめんね? エレベーターこっち。」
5階以上の部屋と結構高い階にすんでいるが実はわたしはエレベーターに乗るのが嫌いと言うか、気が短い方ではないが待つのが嫌いだ。
普段は階段を使っている状態で、陽菜は子供と言えお客さまだし、巻き込ませるのはダメだと思い、これから話し合うのに疲れさせるわけにはいかず、エレベーターに向かった。
「―――エレベーター、いつもは使わないんですか?」
それほど高い階に住んでいないため最初階段を使うと陽菜は思ったかもしれないが、エレベーターを使うと言い、わたしがエレベーターのボタンを押し、扉が開く中で陽菜が聞いてきた。
「―――――あの、普段使わずに歩いていると言うか、健康のためと言うか、嫌いと言うか―――」
「―――お父さんとお母さんも嫌いなんです。」
「―――ぇ?」
不意に道順変更され動揺しているだろうが、わたしの考えを押し通すわけにもいかずと言う状況で、どうやって言おうかと言う中で陽菜が言葉を返してきた。
「2人ともジェットコースターとか好きな癖に揺れが中途半端だとか、歩くのが早いとか言っていつも歩いています。」
遠慮はしなくていいですよと言う物言いで陽菜は言う中で何にしてもエレベーターはわたしが押した階に到着し扉が開いた。
家主こと愛には悪いがわたし優衣は愛の部屋に勝手にあがらせてもらっていた。
本題はこれからのことで、深く話し合わないといけないが、なんとなくだが愛が話を脱線させる気がしていた。
一応はわたしも話し合う約束もしているし、鍵ももらっているし、立場的に勝手に上がり込んでも問題はないが、来るたび思うが愛の部屋はかなり質素だった。
中流階級の月の給料分の半分以上にも相当する家賃で少し質のいい部屋で相応の広さと利便さを持っているが、部屋は愛らしさをわたしは感じなかった。
実家の部屋の中はぬいぐるみや女の子向けのおもちゃと言い、子供部屋かと思うほどだが、この部屋の中はそう言ったものは置かれておらず、必要最低限以外のものと言うか、必要際限の物のないと疑うほど質素な部屋に見えた。
家電と言った生活に必要なものは置かれ、食料がキッチンでは見えているが人が住んでいるのかと考えたくなるほど質素だった。
「―――来たか?」
少し遠いが玄関の扉の開く音が聞こえ、わたしは立ち上がり玄関に向かった。
過去と言うか現在でもだがレスリングをしていたし、武道にも精通し、鍛練と言うか、時間つぶしとも言えるが座禅を組んでいた状態だった。
「―――ケーキ食べる? 買ってきたよ?」
「ぇ? ケーキ? いただきます?」
玄関を開けた陽菜と愛は軽く話し合い、陽菜は愛のケーキと言う言葉を聞き、頭を下げるのが見えた。
一応と言うか、親がしつけたのか一応の礼儀作法と言うものは備え持っているようだった。
「―――愛。」
「―――ぁ、お姉さま、来ていたんですか?」
歩いてきたわたしに気が付いていなかったようで、声をかける中で愛は反応した。
脱線しそうだと優衣が予測していると思っていたが、まさにその通りで、わたし愛は少し脱線させる気だった。
「あ、そうだ? 陽菜ちゃん、これ。」
「はい?」
わたしがたくさん荷物を持っていたし、陽菜はいったい何だろうなとは思っていただろうが、わたしはそのうちの1つの紙袋を陽菜に渡した。
「―――?」
「―――着てみて?」
「―――――ぇ?」
これ一体何ですかと言う反応だが、わたしは袋の中身を半場強引に中を開けると中身を取り出し、陽菜に向かって笑顔で見せた。
取り出したのはメイド服で、陽菜に着せたら似合いそうだと思い、仕事が終わった後わたしは洋服店を2、3ほどまわりいくつか服を買っていた。
少し長い関係になりそうだし、少しくらい遊んでもいいかなと思っていた。
「―――ぇ?」
「―――愛、ちょっと来い。」
「―――お姉さま~?」
着てみてと陽菜に言う中で勢いよく優衣に首の後ろをひっつかまれわたしはひきずられて一度部屋の外へと追い出された。
愛を放って置くと脱線するとわたし優衣は思っていたが、否定することもなく思った通りだった。
一番困っているのは陽菜で、愛に手渡された紙袋と取り出されたメイド服を着るべきなのかと手に取って広げて見ていた。
よく見てみると少し大きいサイズで着ると大きそうで、紙袋の中を見るとどこで買ったのか不明だがほかの服もあるし、猫耳カチューシャやタイツと、本格的な装備がたくさん入っていた。
「はい、着なくていいからな?」
何にしてもわたしは陽菜から少し強引にと言うべきか、バッグを取り上げて床に置いた。
陽菜は少し細く結構かわいい部類で、わたしは少しだけ愛の幼い時を思い出した。
幼い時の元気な少女としての愛と現在の落ち着いた女性となった愛をかけて2か3で割ったほどに見えた。
わたし個人の判断だが愛好みに見えるが、少し愛にとっては物足りない気がするし、服装もそれほどおしゃれにも見えず少し質素だし、何にしても愛は陽菜を着せ替え人形にして遊ぶのは間違いなかった。
脱線すると表現したが、この陽菜の着せ替えショーで1日が終わると言う事態はわたしも回避したいし、陽菜に迷惑をかけさせたくないし、迷惑をかけるにしても説明が必要だと思った。
「―――すまんな? 陽菜、少しわたしたちの事情を聴いてくれるか?」
「―――事情?」
愛は話す気はないと思うし、嫌っているとも言えるが、何にしてもわたしはまずは湯川家の事情を話すことにした。
祖父の湯川総一郎と祖母八千代、長男の娘が愛だが純一の母は八千代ではなく米国人で、純一の妻こと愛の母玲はウクライナ人ハーフ、わたし優衣は3女の娘だと陽菜に伝えた。
これから後で面倒なことが起きてもいいように零夜の件もふくめて湯川家と言うか湯川グループと湯川ホールディングの問題も中学生の子供にも分かるように簡単に伝えた。
陽菜に話さなかったがグループの総資産が少ないとみられるが実際問題グループとホールディングの協議と言うかつり合いのための調律や税金の問題が解決できてない状態で、実際は公式記録よりも多いとされている。
総一郎と八千代、純一たちの個人財産も加えると総資産はより一層と増えるし、話しも複雑になるために省略することにした。
「―――まぁ、世に言うお嬢様と言うわけだ。」
「―――――」
中学生の少女に話すべき話しかは解らないが、わたしも少しと言うか現在でもだが一応は最近の若い女で陽菜はわたしと言うか愛以上にも早熟だと思うし、ある程度は理解できると思った。
「―――わたしは無視して―――」
わたしの言葉を聞いた陽菜は何か言いたげに見えたが少し強引に黙らせた。
本題は愛のことを言っているわけだが、陽菜の目線が時折と言うか、結構わたしの眼の見る限りわたしの背後に向いているし、わたしが振り返ると遠くから愛がわたしたちを見ていた。
この愛が見ていると言う文章には顔と身体を隣の部屋から半分だけ出して幽霊みたいにうらめしそうに見ていると言う表現が付け加えられる。
「―――あ―――」
「お姉さまのいじわる~。」
「―――少し待て? 借家につめをたてるな!」
怒る気力も失せると言う状況で、わたしと眼が合うと愛は言葉通りにいい時を邪魔されたと言う反応で言葉を返した。
うらめしそうな表情や情景だが、物言いは半分以上は冗談めいた状況だし、わたしは少し待てと言うと無視して振り返り、陽菜に近づいた。
「―――祖父や親、わたしたち4人に十二分に愛され甘やかされたし、遊ばれたし同じようにすると言うかさせる妹や弟が欲しい盛りだ。」
「―――――」
「―――おもちゃにされるかもしれんが、悪いが我慢してくれ? いいな?」
最後は耳打ちするように小声で言い、陽菜は何にしても解りましたと言うように首を縦に数回動かした。
陽菜がどう考えるかわからないが、何にしても後ろ振り返り、愛のほうに眼を向けたが、愛はお前はまだやっていたのかと言うようにあの状態でわたしたちを見ていた。
優衣は小声で話して一応は聞こえていないと言うように判断したかもしれないが、わたし愛は優衣の言ったことを聞いていた。
確かに優衣の言う通りと言うか分析通りで、わたしは長女ではあるが優衣をふくむ3人分の姉こと従姉が存在するし、妹とか弟みたいなものとかが欲しいとか思ったことがあると言うか、現在でもこの思考は十二分に健在だ。
事情が何にしても陽菜は条件に十二分に適合する存在だし、わたしは遊ぼうと思ったが、優衣に邪魔されてしまった。
遊ぶとは言うが無責任にもてあそぶ気はないし、それなりに責任は持つつもりだし、状況的に少し空気を読めていないことも事実だが、大切なのはまずは落ち着くことだ。
「愛、いい―――」
「ぇぃ!」
「わ?!」
優衣がもういいと言い終える前にわたしは勢いよく飛び出し、勢いよく陽菜に抱き付いた。
「―――愛。」
「―――やっぱり、かわいい~、やわらか~い。あったか~い。」
陽菜はおどろいている状態だが無視し、優衣が注意する中でわたしは勢いよく抱きしめ、頭をなで、ほおずりした。
「―――?!」
「―――愛さん?」
「―――愛?」
陽菜が少し嫌かなとか思うのも無視していたが止めようと思い、無理だが男の子と言うか弟分とかでもいればいいとか思う中で、再びと言うべきで、話しているなかで、わたしの心臓が勢いよく1回鳴り響いた。
すぐにわたしの心臓は周囲に聞こえるのではないかと思うほど大きく激しく鼓動を始めた。
これも前と同じで陽菜ふくめ優衣もこの心臓の鼓動が聞こえていないようで、陽菜がわたしを呼んでいる中でわたしが身体を陽菜から離し、鼓動が収まらないかと身体を丸めた。
同じ状況と言うべきで、身体中に痛みも走り始め、心臓の鼓動も高まり、呼吸も乱れ始め頭痛も起こり始めた。
「―――?!」
昨日は突然何処かへと移動したが、次に起きた現象と言うか、眼に見えない映像が映し出されるような現象が起きていた。
『―――――』
「―――――?」
『―――――』
映し出されたと言うよりも、わたしは魂と言うものだけがここに来ているのではないかと言う感覚で、わたしは見知らぬ場所に立っていて、どこかと思う間もなく人の話す声が聞こえた。
『―――――』
「―――――?」
不意なことで状況が理解できなかったが、眼の前で男2人が話しあっていた。
話し合っているとは言え2人が話しているのは日本語ではなく流暢と言うか通常よりもアクセントが強くニュアンスの異なる英語で、わたしは遅れて2人が英語で話していることを理解した。
屋内のような場所で2人は話し、1人はわたしの方を向いているがわたしに気づいていないと言うか、わたしがいないような反応で話し、相手のもう一人はわたしに背を向けていた。
見ていてわたしは2人が不意に奇妙だと思った。
何が奇妙かと言うと服装と言うか上着で、2人はサイズは異なるかもしれないが同じ色で同じ服を着て、もうすぐ夏も近いにも関わらず真冬の中だと言うように厚手の上着を着ていた。
「―――ぅっ? ん? ぁっ?!」
陽菜の話と言い、詳しい事情はわからないが何か覚えておくといいと思い、少しでも言葉を理解しようとする中で、不意に視界の周囲が暗くなり始めたかと思うと、立ちくらみと言うか、周りが見えにくくなったうえに気分が悪い状態になった。
耳からは耳を覆っても聞こえるほど大きい砂嵐のような音が聞こえ、周りも見えず、砂嵐のテレビの中に放り込まれて高速で回転させられ揺さぶられているような気分だった。
昨日と同じと言うか光や瞬間移動こそなかったが愛に何か異常が起きていた。
呼吸を乱し、身体を震わし、だれがどう見ても異常事態で苦痛を我慢しているようにも見え、愛は収まるまでと言うように身体を小さくしていた、
「―――待って!? 優衣さん?!」
「―――?!」
わたし優衣は思わずと言うように携帯電話を取り出して救急車を呼ぼうとする中で陽菜が勢い良く止めて愛を抱きしめた。
「―――もしかしらたら、何かが起きる前兆かもしれないから!」
「―――――」
「救急車とか呼んだらどう説明するんですか?」
いったい何を考えているお前はと言う隙も与えずに陽菜は言った。
「―――しかし? っく!?」
陽菜の言う通りで昨日と同じことが大勢の前で起きたら説明ができないが、愛が苦しんでいるようにも見え、わたしはあと一押しすれば救急車を呼べる状態の携帯電話のボタンを押せずにいた。
だれか出してと叫びたいが叫べなかった。
この感覚が起きているのはわたしだけと言うか、2人には何も起きていないようで、事実感覚的なものなのか視界は変化していないし、残った視界にはわたしに背を向けているもう一人が見えた。
『―――?』
「―――――助けて―――」
わたしに気づいたのかわからないが、彼が何か後ろにあるのかと言うように振り向き、わたしは言葉になっていなかったかもしれないが、助けを求め、彼に勢いよく抱き付いた。
『―――ここに来てはいけません。』
「―――――ぇ?!」
『まだと言うか、あなたは帰れるし、ここに来る必要もありません。』
抱き付いた瞬間に視界こそ悪いがわたしの身体中の感覚は苦しみから少しだけだが解放されたかと思うと、あの男なのかと言うか、あの着ていた服の前側だと思う部分がわたしの眼の前に見え、わたしは男に優しく抱きしめられる感覚を得た。
抱きしめられ、安心する中で聞こえたのは日本語だった。
『―――さようなら―――』
「―――ぇっ?!」
『―――オレはもう、帰る場所がありませんから―――』
抱きしめていて、何を言ったのかと思うと肩に触れて身体を離し始め、人1人分通れるぐらいの隙間ができたかと思う中で、彼はわたしにさようならと言うと突き飛ばした。
突き飛ばしたと言うか正確には首の下と胸の上と言う中間あたりに触れて軽く押したと言うべきで、わたしは身体を支えられず力なく倒れる感覚を覚えた。
さようならと言った時の物言いは本当に突き放すような物言いだったが、最後に言った言葉は何か本音と言うか、弱音と言うか、少し悲し気と言うか人生に疲れたような物言いだった。
倒れる中で少ない視界の中で、わたしは彼の眼が一瞬だけ見えたが、その眼は昨日見た夢の中で見た蛇の眼の男の眼に似ている気がしたと言うか、わたしは彼だと直感的に考えた。
あの現象がどれくらいの時間かわからないが、倒れる中でわたしは時間にすれば1秒も経過しない内に陽菜と優衣のいる自分の部屋に戻って来た。
押されてあおむけに倒れた状態だったが、うつぶせと言うか、床に膝をついている姿勢だったので感覚に矛盾と言うか混乱が起き、わたしは戻った瞬間感覚を取り戻すためか身体が無意識に動き、勢いよく半場立ちあがって顔を上に向け背を反らせていた。
手を上にあげていない以外は高いところのものを取るような姿勢になっていると思った。
「―――愛? 大丈夫なのか?」
「―――はい。」
「―――愛さん―――」
姿勢を普通に戻し、呼吸もまだ少し乱れているが頭痛もないし、視界も十二分に確保できているし、先ほどまでの感覚が嘘だと思う状況で、優衣が大丈夫かと質問する中でわたしは何にしてもはいと答えた。
時間にして1分以上経過し、1分30秒は経過しない時間で、少し呼吸は乱れている気がするが愛は何にしても普通の状態に戻った。
「―――――何にしても、一応は病院とかに―――」
「―――何が起きたの? 陽菜ちゃん?」
何にしても昨日と言い非常事態だし、わたしが本当に救急車を呼ぶと言う反応を見せる中で、愛は陽菜に質問した。
「―――何が起きたんですが?」
「―――」
「正直に話して! 何が起きたんですか!?」
質問された陽菜は愛に対して真剣に答えて欲しいと言うように聞き、愛が少しなんと言うべきか迷うと言う反応の中で陽菜は勢いよく聞いてきた。
「―――夢、なの、かな?」
「―――夢?!」
陽菜の質問に対して愛は意味が解らずそうなのかと言うように言い、わたしはどういう意味かと言うように質問した。
「―――予知、能力。」
「予知能力?」
少し間を置いたが陽菜は予知能力と言う意味の解らない言葉を口にし、わたしはどういう意味だと言う反応をするしかなかった。
「―――やっぱり、思った通りなんだ―――」
「―――思った通り? どういう意味だ?」
自己満足と言うか、自分で一人で納得した陽菜に対し、意味が解らずわたしは質問を再び返した。
「―――神の力、これもなの?」
わたしが陽菜に質問する中で愛は自分の身に何が起きたのかを理解しようとしている反応を見せた。
「―――人の、人の本来持つ力じゃない―――」
「―――?」
「―――神の力―――」
何かを理解したような反応を愛は見せた。
昨日起きたことと言い、先ほどのまでの雰囲気とは対照的に、愛は真剣に何かを考えるような表情だった。
「―――予知能力って言った? あれはだれ? と言うか未来なの?」
「―――わたしには、あなたが何を見たかわかりません。だけど、事実と言うか、現実になると言うか、本当のことになると思います―――――」
わかりはしたが細部まではわからないと言う状況なようで、愛は陽菜に質問するが、陽菜も同じようなと言うか、わからないと言うような反応だった。
「―――お姉さまも、優衣、も?」
状況は陽菜と愛だけに降りかかっているとも言えるがここで愛はわたしこと優衣とは何も関係ないのかと言うように眼を向けてきた。
「―――わたし? わたしか―――――」
聞かれてもわたしは本当になんともないと言う感覚で、愛や陽菜のような異常な様子もないと言う状況だが、不意に陽菜の手が愛に触れた。
「―――集中してと言うか、少し強く思ってと言うか、考えて思った通りになってほしいと言うか、そんな風に思って、優衣さんを見てみてください?」
「―――」
「―――?」
何のことだと言う状況と言うか、まるで催眠術にかけようとすると言うか、新手の詐欺のような物言いで陽菜は言うが、愛は言うとおりにすると言うように陽菜に触れられたとわたしに眼を向けた。
普通の人間には起きないことだとわたし愛は思った。
幻覚と言うか、創造と言うか、夢としては異常なほど視界と言うか感覚が現実的過ぎるし、陽菜の説明を聞き、わたしは優衣の方へと眼を向けた。
陽菜の指示が正しければ、わたしの眼と言うか感覚には優衣に同じことがわかるかわからないかの見分けができると思った。
「―――――」
「―――愛?」
優衣に真剣に眼を向けていると周囲の景色と言うか、正確にはわたしの視界だと思うが少しの時間だが異変が起きた。
異次元とはこのような景色を言うのかと言う光景で、わたしの眼には優衣が人の形状をした物体に見えた。
何に見えるかと言うと正確には熱感知式カメラこと、サーモグラフィーで見た映像と言う表現が正しく、優衣や周囲の風景が熱の高低で映し出されているようにも見えた。
常識的に考えて人間の眼でこのように見えることは絶対にないと思うが、わたしの眼は一瞬と言う時間かもしれなかったが確実に別の世界と言うか、別の視点で周囲の物体を見ていた。
「―――おい? 大丈夫なのか?」
眼に見えるものは変わっているが耳は正常に聞こえ、優衣の声を正確に把握している中でわたしは優衣に眼を向けていると優衣がわたしと似たようなものを持っていることが分かった。
似たようなものを持っていることがわかったと言うが、これは眼で見てわかる者ではなく感覚的、直感と言うか見分けると言うかなんとなくわかると言う方が正解で、身体の感覚が優衣と近くの陽菜を同じ能力を持った人間だと判別していた。
超能力と言う方が正解で、わたしはこの時普通の人間と言うか自分自身でも何か起きているかはわからないが、人間外の能力を得たと実感し、優衣と陽菜が半場無意識に仲間だと実感していた。
眼は口ほどにものをいうと言うことわざが存在するがわたし優衣をふくめ愛の父純一もと言うか愛の友人や会社の人間とか全員もだと思うが、愛においてはこのことわざは無効だと言える。
愛は何を考えているか本気でわからないのだ。
母こと玲が女優と言う遺伝もあるかもしれないが、もって生まれた性質と言うものか、表面的なものが見えないのだ。
表向きに見ると明るい女性に見えるが、悪いものではないが何かが裏にあるように見えると言うのが正しい表現だ。
高校の時の話だが、愛は実力で言えば生徒会で会長にもなれるが生徒会書記係となり、学校を裏で動かし、学校を裏で変えていたと言う話と言うかうわさを聞いたことがあった。
現在の経営手腕と言い、人は見かけによらずと言うか、愛には計り知れない潜在能力と言えるものが存在しているとも言える。
「―――――彼は、それなら彼はだれ?!」
「―――?」
「―――愛さん?」
次に取った行動も意味不明で、愛は陽菜に対して意味不明な質問をした。
「答えて!?」
陽菜の肩を握り、勢いよく質問して答えろと言うように聞くが、陽菜は理解できないと言う状況で、わたしも理解できない状況だった。
彼はだれだと質問し、質問の内容的にだれかのことを聞いているようだが、陽菜とは昨日会ったばかりだし、男と会ったと言う面識もないし、愛の質問は奇妙な質問だと言えた。
「―――ぉ?!」
何にしてもわたしは愛も興奮しているようにも見え、少し不味い状況だとも思ったし、おい、愛落ち着けと言って愛を陽菜から引き離そうとした時だった。
「―――――」
昨日と同じで、愛からあの激しい光が放たれた。
「―――ぇ?」
「―――?」
「―――何?」
最初に反応したのは愛で、次に反応したと言うか、眼を閉じていて開いたわたしが反応し、最後に陽菜が何事かと言うように顔を上げた。
「―――――どこって言うか? また?」
「―――――そのよう、だな?」
衝撃的な出来事だが、1回起きたこともあるのかわたしたちはあの時よりも落ち着いた様子で、わたしは何にしてもいいながら立ち上がった。
「陽菜ちゃん? 大丈夫?」
「あ? はい?」
陽菜を問い詰めている場合ではないと愛は判断し、大丈夫かと聞くと陽菜は返事を返し、愛は立ち上がった。
昨日と同じと言うか、似たような現象が起きた。
優衣から見て昨日はわたしの調子が悪くなる中だったが、わたしにとっては昨日と少し違い、不意に別の場所に移動しているようだった。
陽菜にあの時見えた男が何者かと質問している中で移動したと言うか、瞬間移動と言うべきで、この時わたしはこれをわたしがしたのではないかと思わず考えた。
陽菜の言う神の力が真実だとして、わたしにもその力が備わっていて、事情はわからないが何かあってここに瞬間移動したのではないかと思った。
「―――あっ?!」
「―――愛?」
ここでわたしは立ち上がり軽く考え出す中で神の能力が本当かうそかは放置して何故瞬間移動したのかある2つの仮説が思い浮かんだ。
考えるまでもないと言う答えとも言えるが、昨日の陽菜のようにどこかであの怪物に襲われている人間がここにいると言う可能性と、あの時見えた彼がここにいるのではないかと言う思いだった。
「―――!?」
「―――おい?! 愛?!」
推測と言うか、見えると言うべきか、一番解りやすい表現は昨日と同じことが起きたと言うべきで、わたしの眼にはここから少し先の光景が足を進めてもいないのに進み、見え始めていた。
「―――――」
「愛? おい? 止まれ? どうした?」
進んでこそいるが、わたしは答えが出ると思うが待ちきれず足を進めると言うか、見えた方向へと本気で走り出し、優衣が声をかけるが聞きもせず、止まりもせずに進んだ。
説明不要と言うべきか、考えることもなく昨日と似たようなことが起きて気が付くとわたし優衣と愛、陽菜は愛の部屋とは違う場所にいた。
昨日とは違う場所のようだが同様に屋内と言うか、廃墟のようで、よく見れば元レジャー施設か何かのように見えた。
天井も広く、ホールと言うべき開けた場所の中央から少し離れた場所に座っている状態だったが、何を考えてか愛は走り出した。
何を考えたと言うか、昨日陽菜を見つけたように、だれかを見つけたと言う様子で、愛は来たこともない場所を迷うことなくと言うように一直線に進んでいた。
「―――相変わらず速い!」
わたしが追いかけ出し、陽菜も少し遅れて愛を追いかけだすが愛の足は速く、ホールの出口と言うか、ほかの場所へと移る両開きの扉を見つけると勢いよく開いて部屋のむこうへ消えていった。
「―――愛!?」
遅れてわたしたちは扉子を愛を呼ぶが愛の姿は見えず、足音も聞こえなかった。
幸いなのは開くと左側へと通路になっていたが右側はない一方通行の道だと言うことで、わたしと陽菜は愛を追いかけることにした。
「―――ぁ?! っく?!」
走っていると愛の姿が見えたが、調度通路の丁字路の分かれ目と言う場所で、愛は右の方向へと曲がっていく最中だった。
「―――陽菜!?」
追いかけていたが不意に後ろと言うか、後ろを走っていた陽菜走る音が聞こえ、わたしが見てみると陽菜は丁字路の壁を見ていた。
「―――何して―――」
「―――ここ! これ!? ここの地図です!」
「何?!」
何をしているんだが時間がないぞと言う状況だが、陽菜はわたしを見ると丁字路の中央を指さし、わたしは地図と言う言葉を聞き、本当かと言うように丁字路の中央の壁に眼を向けた。
「―――――」
「―――あっちに行くと行き止まり見たいです。」
古ぼけていると言うか、塗装と言うものが落ちていると言うべきか、壊れているが確かに簡単な絵だが地図が描かれている状態で、陽菜は愛の走って言った方角に何があるかわたしに教えた。
「―――何にしても、こんなもの見てる場合か!? 行くぞ?!」
「―――はい!?」
ある意味有益と言うか、愛には逃げる場所と言うか、一応止まる場所があると言うことはわかったが、肝心なのはそんなことではないと言うように思い、わたしは再び愛の言った方向に走り出した。
「―――すまん?! だが役に立った。何にしても肝心なのは愛だ!」
「はい!」
こんな時にと言う状況でよく考えると昨日みたいに戻れる保証もないし、役に立つ情報だし、陽菜に礼を言い、わたしと陽菜は再び愛を追いかけ始めた。
足音も聞こえず、薄暗く、気味が悪く、世に言う心霊スポットのように見えたが、わたしたちはそんなことにかまう余裕もなく死者が目を覚ますのではないかと言う勢いと走る足音で愛を追いかけるために全力疾走で進んだ。
行くべき道をわたし愛自身が教えてくれる状態だった。
わたしは迷うことなく進み、目的の場所へと進んだ。
眼の前には大きい両開きのドアが見えた。
ドアは透明と言うか、窓が多いと言うか、自動式の扉だった。
常識的に何を考えているんだと言う状況だが、本来は何かの部品だと思うが、わたしは地面に落ちている適当な金属の物体を手に取り、勢いよく扉に向かって放り投げた。
進みゆく光景が教えてくれた適切な答えで、このまま進めば開かずに扉に直撃するし、直撃しなくても開けるのに時間がかかる状態で、わたしはもう人もいないようだし壊してもいいと思い放り投げた。
金属の物体は扉の調度中央に激突し、扉のガラスを勢いよく砕いた。
「――――」
砕くと同時に物体も壊れ、わたしはガラスが割れた扉を勢いよく走って超えていく中で壊れて地面に落ちた物体の支柱だと思われる部品を走りながらひろい、再び走り出した。
「―――――?!」
昨日と似た光景が眼の前に映った。
「―――に?! 逃げてっていうか助けて!?」
「―――――?」
昨日と違うのは場所と人間と言うべきで、陽菜と同じようにだれかと言うか、陽菜と同じほどだと思われるが、2人の少女が数名のだれかに襲われている状態で、わたしを見ると助けを求めてきた。
「―――――ぇ?! な? なに?」
助けを求められたのはいいが昨日みたいにあの光の球体は姿をあらわさないし、襲っただれかも昨日と違い女性の彫刻のような姿ではなかった。
彫刻ではなく生きた人間と言うか、わたしだけの意見ではないと思うが、わたしに眼を向けた時にわたしが持った感想で一番妥当な表現はゾンビだった。
ゾンビと言えば映画やヴィデオゲームとかなどに出てくるあのゾンビで、動く死体だった。
顔を向ける中で不気味なうめき声をあげ、眼は白目で、服も汚れているし破れ、顔色が悪いと言うか、だれがどう見ても普通の人間には見えず、恐怖感から、わたしは手に持っていた金属の棒を落とした。
愛を追いかけていたわたし優衣と陽菜は少し先でガラスが割れるような音が聞こえた。
「―――聞こえたか?!」
「はい!」
「行こう!」
紛れもなく愛の割ったガラスの音で、わたしたちは何にしても普通の事態ではないし、走り続けた。
興味がわたし愛の方へと変わったと言うか移った言うべきなのか、本物かどうかわからないがゾンビはわたしの方へと向かって来ていた。
彼らは足取りも悪く、すぐにでも倒れそうで、ヴィデオゲームや映画と言った空想の世界同様に不気味なうめき声をあげながら進んできていた。
数は3人と言うか、3体と言うべきで、わたしに向かって歩みを進めていた。
「―――――」
映画の特殊メイクと言った技術で再現できるかもしれないが、偽物でも怖いものは怖いし、わたしは身体の力と言うか、腰が抜けて倒れた。
空想の世界の類とちがうのはこれが現実の場合自宅で映画を見る時や、ヴィデオゲームのように途中で止められないし、食い殺される危険性があった。
「―――何、これ?」
ほかに言いようがない状態で、ゾンビ3体はわたしに迫ってきていた。
「―――?」
彼らが迫る中で、わたしは奇妙な感覚と言うか、音を聞いたと言うか、人間の声を聞いた気がした。
『殺せ。』
『殺せ。』
『殺せ。』
よく聞くと言うか、耳を澄ますと言うか、聞いてみると声は予想だと思うが3人分の男の声で、全員そろって同じ言葉と言うか、殺せと言う言葉を続けて言っていた。
『敵。』
『敵。』
『敵。』
別の声と言うか言葉が聞こえてきた。
「―――わたしに、言ってるの?」
声は彼らの口の動きと会わない状態だし、彼らが言っているとは思えないが、彼らが言っている物とも推測され、わたしは声に反応して思わず彼らに聞いてしまった。
『見つけた。』
『見つけた。』
『見つけた。』
声が彼らの物かは放置してわたしの質問にも答えてないと言う状態だが、彼らは言葉を続け、わたしに近寄る中で再び同じような言葉を話し始め、状況的に判断して、声は間違いなく彼らの声だとも言えた。
「愛!?」
「―――お姉さま!?」
彼らの言葉が何を言見ているかわからないが、これからどうすると言う状況の中である意味老いて言ったとも言えるが、優衣が追い付いてきたのか、声が聞こえ、振り返ると優衣が少し後ろに陽菜と一緒に立っていた。
夢と言うべきか、現実的でないと言うべきか、何にしてもこんな場所でなくても現実的でないと言うか愛の眼の前には何か異様な姿をした3人が立っていたが、彼らはどこのだれが見ても、世に言うゾンビだった。
アンデッドなどと言う別の表現もあるかもしれないが放置し、だれがどう見ても死んでいるが動いているように見えるし、愛を襲って食い殺す間近とも言えた。
この時わたし愛の頭の中には全員殺されるかもしれないと言う最悪の予感が起きた。
「―――――」
全員死ぬと言うか、こんな場所で死ぬのなんかいやだし、わたしは無意識と言うか、気づかない内に身体を起こし、落としていた金属の棒をひろい直していた。
「―――来るなぁあっ!?」
思わずと言う行動で、わたしは金属の棒を勢いよく振り上げると言うか、野球のバットのように構えて勢いよく彼らに向かって振った。
特殊なメイクとか、変装とかしている人間かも知れないと少し思ったが、考えているひまもなかったし、後であやまればいいとも思ったし、わたしは本気で棒を振った。
スターウォーズと言うアメリカ製の映画が存在している。
配給会社は20世紀フォックスと呼ばれるアメリカの大手映画メーカー、監督はジョージ ルーカスと言う男でアメリカの映画史に残る傑作とも言われる。
6部作で構成され、スペースオペラの代名詞とも言われる。
わたし優衣が不意にこんな時に何を意味不明な映画解説をしたかと言うと、これには意味が存在している。
スターウォーズと言えば有名なのがライトセイバーと呼ばれる架空の武器で、これは原理はレーザーか何かの類だと思うが光が刃となっている剣だ。
ここまで書けば予想できる人間も存在すると思うが、まさにその通りの言う状況だった。
愛が不意に立ち上がる際に握った金属だと思われる棒が、愛が野球のバットのように勢いよく構えた中でライトセイバーのように勢いよく光を放ったのだ。
「―――来るなぁあっ!?」
強い光だが爆発するような音は一切なく、一瞬眼を少し細めるようなかなり強い光を放った。
金属の棒は光ると少し落ち着き、光の刃となって固定されたような状態で青白い光を放っていた。
ライトセイバーのようだと表現したが、一瞬見えた光景には実物と言えば変だが、実物は刃の部分の光の供給源やスイッチや持ち手などの部品も含まれていると思われるが手で持つ部分は光らないが、愛の持った金属の棒は握り手の部分と言うか全体が光っていた。
愛は気づいていないと言う状態と言うか、光った瞬間にはもう棒を振っていた。
手ごたえが少しだけあった気がした。
何かと言えばわたし愛が降った金属の棒が彼らに当たったと言うか振り回した瞬間で、当たったと思った瞬間になぜか彼ら全員の姿は消えていた上、わたしの手に握られていた金属の棒は青白い光を放っていた。
「――――――?」
何かと思い見てみたが、少し暖かいと感じる程度で、熱いとか痛いと言う感覚も無く、原理は不明だが見事な光を放っていた。
細長い蛍光灯の光よりも強く、光は周囲を照らしている状態だった。
「あ? 大丈夫?!」
何か意味もわからないが、わたしは後にするべきだと思い棒を投げ捨てて先ほどまで襲われていた少女2人の下へと向かった。
何にしてもと言うように愛は眼の前で起きていたことも気になるがこれは放置してと言うように棒を放り棄てると少し先に見えた少女2人の方へと進んでいった。
放り棄てた棒は愛に捨てられ、地面に落ちる中でエネルギーが切れたか、スイッチが握り込み式だったと言うかのように放り棄てられる中で光を失っていき、愛がひろう前の普通の金属の棒に戻っていた。
「―――」
愛がこれはいいと言う状態だったがわたしは愛に合わせて2人の少女へ近寄る中で棒をひろった。
最初に見た通りで、わたし愛が2人の少女に歩み寄ると2人は陽菜と同じほどの少女で、少し脅えた様子でわたしから目を反らし、恐怖か身体を丸め脅えていた。
「―――愛!」
「愛さん!」
わたしが2人を見ている中で、遅れて優衣と陽菜もわたしに続き、少女2人の下へと歩み寄った。
「―――大丈夫、襲って食べたりなんかしないから? 落ち着いて?!」
2人は怖がっているように見えたが、わたしが言葉を続ける中で、少しだがわたしの方へ眼を向けた。
「ほら? 普通の人間? わかるでしょう?」
「わぁあっ?!」
「―――ぅわっと?!」
安心を確認したのか、2人はわたしを再度見ると泣きながら勢いよく抱き付いてきて、わたしは押し倒された。
「―――もう大丈―――」
何にしても2人が怖かったことは事実だと思うし、わたしは大人として落ち着かせるように大丈夫だと言いかける中で、こんな時にと言うべきだが心臓が強く鼓動を始めた。
「―――――?」
昨日と比較することが多いが、一瞬で収まり、気が付くとわたしは眼の前にだれかがいる気配がすると言うか、抱き付いてきた2人の少女とは違うだれかを抱きしめている感覚を得た。
「―――――」
後ろから抱きしめている状態で顔だと思われる部分が右の方に見え非常に近い距離と言うか、わたしは身体を密着させている状態だった。
よく考えると後ろから近づき、密着し過ぎているのはわたしと言う領域だが、抱きしめている相手は動きもせず、わたしに抱きしめられていた。
生きているし体温も暖かいが、動く様子をあまり見せず、わたしはまるで彼が死期が迫った老人なのかと疑ったが、髪も黒く、わたしと同じほどに見えた。
「―――――ぁ?」
よく考えてみると言うか、感触と言うか、気配と言うか、眼の前に見える少し長い髪と言い、この肩幅や体格と言い、わたしはあの男だとすぐに気が付いた。
首を少し下に向け、後ろから見ると少しと言うか、何か落ち込んでいると言うか、思い詰めていると言うか、気が重いと言う気配を感じた。
「―――ぁ―――」
あなたはと言うべきか、あのと初めて話を進めるにしても、何にしても話しかける中で、彼が抱きしめていたわたしの腕にふれてきた。
わたしが後ろから抱きしめている状態で、わたしが彼の二の腕の部分で抱きしめ、半場自由を奪っている状態とも言え、彼ができる動きは逆にこれだけだったのかもしれなかった。
「―――――」
寒い場所にでもいるのか体質なのかわからないが、冷たいと言うよりも冷えていると言う状態の手で、ふれると言うよりも引っかけて支えたと言うのが正しい触れ方の表現だった。
物のような表現だが、気のせいだと思うが彼は常識的に考えると女性に抱きしめられているし、普通なら興奮する物だと思うが、逆に興奮した様子もなく、声を荒げる音も聞こえず、呼吸も耳を澄ませると何とか聞こえるほど微弱だった。
「―――そばに、いてください―――」
「―――――」
手を触れられる中で彼は少し小さい声で言葉を発した。
先ほど見たわたしを抱きしめた時の物言いと違い、何とか言い出したと言う感じで、押しの感じられない非常に弱い物言いで、わたしは聞いて何を考えたのか、母性本能と言うものでも働いたのか、彼を改めて抱きしめ返した。
本当に人間としての弱さを露呈した物言いだし、本気で泣き出しそうにも聞こえ、彼の声はわたしを抱きしめた時と真逆な状態で、わたしは少しの時間でもいいから、この手と言うか腕を離したらいけないと思った。
「――――――」
この後3秒と経たない内にわたしのこの見ていたと言うか、体感したと言うか、彼に会ったと言う状態は終わったが、わたしは抱きしめていて1秒後、ある事実に気が付いた。
わたしと言うか、彼の方はよくわからず感触的にだとも思うしもしかしたら気のせいかもしれないし全部ではないと思うが、わたしたちは服を着てなかった気がした。
特にわたしは下着と言うか、ブラとパンツをしている感触がなく、間違いなく彼の背中に胸を押し付けていたし、下の近くも彼の背中と言うか、少し立ち上がりかけている姿勢で、下半身に触れている気がした。
またかとも言いたい状況だが、愛が少女2人に抱き付かれた瞬間、激しい光が愛から見えたかと思うと、わたしたちはいつの間にかと言うように愛の部屋に戻っていた。
「―――大丈夫?」
「―――――何?! 何がどうなってるの?」
「どこ?! ここどこ?!」
子供は環境適応能力が高いと言うか、陽菜はなれたものと言う反応と言うか、昨日同様に陽菜のようについてきてしまっている2人に大丈夫かと声をかけていた。
2人は一体全体何が起きていると言う状況で、先ほどまでの場所とは違う場所で、違いすぎておどろいているようだった。
「安心して、その人の―――、愛さん?」
「―――――愛?」
「―――あの?! 大丈夫ですか?!」
よく見ると愛は2人が抱き付いて押し倒した状態で床に倒れている状態で、陽菜が何か愛がおかしいと言う反応を見せ、わたしも眼を向ける中で陽菜は愛に再び声をかけた。
「―――おい?! 愛?! おい?! 大丈夫か?!」
愛を見ると眼がうつろと言うか、生気がないと言うか、心ここにあらずと言う表情と言うか、眼を開けたまま気絶しているのではないかと言う表情な上、身体をまったく動かしていなかった。
「おい?! しっかりしろ?!」
押し倒された瞬間に頭でも打ちどころが悪かったのかと思ったが、こういう時人間と言うのは正しい判断ができないものだと後で実感するが、わたしは愛を強引に起こしていた。
「おい?! 愛?! おい!?」
この後すぐに愛は我に返ると言うか、眼に生気が戻り、心が戻って来た状態になるが、わたしは愛の方を持ち、本気で愛の身体を勢いよく揺さぶった。
「―――ぇ? ぁわわわ?! 何もしてません何もしてません何もしてません!?」
「―――?!」
身体に力が入っていない状態で、わたしの揺さぶりに本当に力なく揺られていたが、揺さぶられている中で瞬発的にと言うか、わたし揺さぶったのではなく何か別のことが原因で我に返ったと言う反応だった。
何にしても我に返った愛は何があったのか不明だが、恥ずかしがるような反応でわたしの腕を振り払い、許してほしいと言うように両手を前にだし、眼を閉じていた。
わからないことだらけだ。
昨日と同じ移動と帰還、怪物と戦うと言うことが起きたことはある程度納得できないがある意味では納得するとして、わたし愛は先ほど起きたことをどう考えればいいかわからなかった。
あの状況の最後でと言うか、意識が現実と言うべきだが戻った時が一致したと言うか、わたしが何にしても感じたのはなんと言うか裸だったことの恥ずかしさと言うか、何かわからないが罪悪感のような感情だった。
ああいった男女としての経験と言うか関係がわたしは全くないわけでもないと言うか、数多く経験しているとも言えるが、何かこれまでの経験と違うと言うか、違和感と言うものが存在していた。
わき上がる感情と言うもので、わたしは気が付くと軽くだが暴れていて、気が付くと現実に戻っていると言う状況だった。
「―――大丈夫か?」
「―――はい。」
我に返ったと言う状況で、わたしは何にしても優衣に大丈夫かと聞かれ、少し気まずい状況と言うかなんとなく慌てたこともふくむが恥ずかしく、少し顔を下に向けて返事を返した。
重要なのはゾンビと戦ったことだし、無事にわたしの部屋にも戻ってこれたことだし、わたしは気が戻ってくる少しの間に起きたことは何か言うと気まずいと言うか現実性もないし、不謹慎な気がして黙っておくことにした。
本題は昨日同様に愛と言うか、わたし優衣と言うか、陽菜と言うべきか、連れて帰ってきてしまった2人の少女で、愛が何が起きたか不明だが何か気まずいそうな様子で動けなさそうだったのでわたしが質問することにした。
「―――まず、自己紹介だ。わたしは優衣、湯川優衣だ。」
「―――ぁ、はい―――」
これから起きたことをどうやって説明するかと言う状況で、ひとまずわたしは事故紹介をした。
「―――陽菜ちゃん?」
「―――え?」
自己紹介をする中で、少女の内1人が陽菜に質問したと言うか、名前を呼び、わたしは何事かと言うように反応するしかなかった。
「―――ぁ、やっぱり陽菜ちゃんだ? 河内陽菜ちゃんでしょう?」
「―――ぇっと、あ?! ごめん? 顔は覚えてるんだけど名前が―――」
「やっぱり陽菜ちゃんだ―――!」
陽菜の知り合いのようで、もう一人も苗字まで言い、陽菜も思い出せたようだが名前が思い出せない様子で、陽菜があやまろうとする中で2人が飛びつくと言うか、勢いよく抱き付いた。
2人の内1人は水城小夜、もう一人は眼鏡をかけた少女で須藤晴子と名乗り、2人は自分たちが小さいころ陽菜と会ったことがあるとわたし愛と優衣の前で話し始めた。
昨日と同じと繰り返せばなれたものに思われるが、なれないものだし、とりあえず戻って来たし、お客さまも増えたし、わたしは買ってきたケーキの箱も開け、休憩と言うか、ティータイムにすることにした。
「―――じゃあお前たち、と言うか、あなたたちは施設で育ったと言うのか? と? 言うの?」
お茶も入れ、食べ物も胃の中に少し入り、落ち着く中で、事情を聞き、話している中で少し話が飛びかけているが優衣が2人と言うか、陽菜をふくめてだが質問した。
育った環境と言うか、性格と言うか、普段の少し男らしい口調を控えたと言うか、半場強引に抑えた口調で、わたしは少し笑いかけてしまった。
「いえ、陽菜ちゃんの方は親とかの都合で一時的にと言うか、時折来ていて、わたしたちは施設を移ることになったし、養子縁組も決まったしで会えなくなっちゃたしで―――」
「あえてよかったよ~?」
優衣が質問する中で晴子は答え、小夜は陽菜に抱き付いていた。
「一時的?」
「―――カウンセリング? とかの一環で、同年代の子たちと接触させるとか、海外のなんか、えっと―――?」
「―――――」
質問をしたが少し事情があるようで、優衣が再び質問する中で陽菜は説明をしようとするが、むずかしい話のようで、甘えているわけではないが、子供だからわからないしなんと言えばと言うような表情をしていた。
「普通の家庭の子供たちと接触させて、養子になった時困らないように訓練するんだそうです。」
「―――――」
「詳しくは知らないけど、精神とか科学とかの実験とか言って、陽菜ちゃんの親は施設の関係者の1人らしいんです。」
何にしても知り合いと言うのは好都合なもので、陽菜が困っていると晴子が口を開き、優衣が聞いている中で小夜が答え、お互いを補助しながら話し合っていた。
「―――それにしても、何であんな場所にいたんだ?」
この子たちとはこの後もこのことについても詳しく話し合わないといけないとも言えるが、本題は何であんなゾンビが歩き回る場所にいたかと言うことについてで、優衣が改めてと言うように質問した。
「―――」
「―――――まぁ、わたしたちも人のことが言えんがな? のんきにお茶までのんでな?」
聞かれると小夜と晴子はお互いにすぐに顔を合わせ、口では言はないがどうしようと言うか、話すべきかと言う表情をしていた。
「―――そう言えば、逆にどうなっているの? 気が付くと、愛さん? でしたっけ? 何であなたの部屋に―――?」
「―――――」
「それに、あの、光の剣! どうやったんですか?」
わたしもこの質問には答えられないと言う状況で、お互いすでに見ているが、自分たちでもわからないと言う答えを出すしかなく、すぐに言えばいいが、思わずわたしは口を閉じてしまった。
「―――神様になれるうわさって知ってる?」
「―――?」
正直にわたしにもわからないと答えかける中で、陽菜が口を開き、2人に質問し、優衣がこんな時にと言う反応だった。
「―――――し、知らない―――。」
「うそ、何か変なものが見えたんでしょう? 本当かどうか確かめようとして―――」
「し、知らない? 知らないよ? 本当だよ? 陽菜ちゃん?!」
陽菜の質問に対して晴子は知らないと言うが、何か隠していると言うか、本当ははいと言う方が正しいように見え、陽菜はすぐにうそだと言うか見破り反論するが、小夜も同じような反応を返しただけだった。
「わたしも昨日同じ眼にあったの、それで愛さんに助けられた。」
「―――――」
「だけど、わたしの場合は白い彫刻の女みたいな化け物だった。」
少し怖がっているような反応2人に対し、陽菜はこれを言う以外ないなと言うように昨日起きたことを簡単に話した。
「―――――」
2人はこれ以上は言い逃れができないと言う顔をしていた。
「―――事実、です。」
助けてくださいと言うように2人はわたしに眼を向けてきたが、これと言うか、陽菜を呼んだのはこのことを真剣に話し合うためでもあり、わたしは否定するわけにもいかず、確かにそうだと言うように答えた。
少し先の未来が見え、瞬間移動し、光線を放ち、わたし自身も原理は不明で、周期と言うべきか、波と言うべきか、強弱と言うべきか現在はあの能力は落ち着いていると言う状況だが、強大な力があることは事実だった。
現に陽菜の言う通りと言うか、小夜と晴子の前で怪物も倒したし、昨日と言い、細かいことはわからないがわたしの力は覚醒を始めているようだった。
「―――本当か、確かめようと思ったの。」
「―――――?」
「何か、変なものが見えて、近くの場所みたいだったんで―――」
晴子が口を開き、何かという反応をわたしがする中で、小夜もわたしも同じですと言うような言葉を返した。
「―――養子になったけど、親が近くに住んでいたと言うか、知り合いで、わたしたちも同じ学校で、同じことが起きたし―――」
言葉の順序は乱れてこそいるが、小夜は簡単にだが事情を説明した。
「―――そう言えばあそこはどこだったんだ?」
「あ? そう言えば?」
よく考えるとと言う反応を優衣がして、陽菜は合わせるように肝心なことはそれだと言う反応をした。
「それに晴子たちどこ住んでるの? よく考えたら?」
よく考えると昨日の移動の場合陽菜が比較的近所に住んでいたが、2人は本来施設にいて養子で引き取られたと言い、どこに住んでいるかわからなかった。
日本語も話せるし、名前も日本人的だし、外見的に日本人には間違いないが、日本と言っても北に北海道で南に沖縄と存在し、距離も時差で言うと1時間ほどは離れている土地もあるのだ。
深い事情はわからないがある程度の幸運と言うものは続くもので、陽菜は気づかなかったのかと言えるが、晴子と小夜は陽菜と同じ学校に通っていたし、結構近くに住んでいた。
陽菜のように学生証の類は持ち歩いてなかったが、学校名を言うと陽菜と同じだし、携帯も持っていた。
2人の両親と言うか家などの連絡先を教えてもらい、わたし優衣と愛が連絡すると片方の親が出て対応したしで、昨日の陽菜同様に身元もすぐに判明した。
「―――で、―――」
「遠くの元レジャー施設です。」
次はあの場所はどこだと言うようにわたしが質問しようとする中で晴子は即答した。
昨日の陽菜はわたしが少し調べたが近くの廃墟で、廃墟に怪物が集まると言うか、異世界の入り口でもあるのかと反射的に思った。
「―――海の近くに、と言うか港の近くにあって―――――」
「あ? そう言えば波のような音が聞こえましたね?」
小夜が応える中でお前はいつの間に聞いたと言うように愛が言葉に反応していた。
「―――――お互いにうそかどうかもわからないし、親にも心配かけたくないし、一緒に確かめようって言って朝一緒に列車に乗って―――――」
「それでわたしたちと会って、か―――」
「はい―――――」
晴子が答え、整理すると言うようにわたしが言うと、小夜がその通りですと言うように答え、顔を下に向けた。
愛と言い、陽菜と言い、わたしには意味不明な行動だが、何か奇妙な結果が起きるが、彼女たちにも原理が不明と言う状況で、わたし以外の4人はどうしたもんだと言う表情をしていた。
うそと言うべきか、非現実的と言うべきか、非日常的と言うべきか、何にしてもわたし愛たちの身に起きていることは本来は否定的と言うか、実際には起きないことだ。
違うことと言えば年齢で、わたしは35で大人と言えるが、陽菜と晴子、小夜は12、3歳でまだ子供だし、優衣はあの見た時だが、それほど力が出せないようだし、わたしたちの現状を理解するにはむずかしかった。
現実的な経験ならばわたしの場合彼らの3倍近く生きているしある程度の人生の先輩として助言と言うものができるかもしれないが、わたしも世に言う覚醒したばかりと言うか、調節ができず助言は到底できなかった。
「―――――?」
どうしたものかと考え、だれかほかの人や詳しい人でもいないのかと思い、出す中で、こんな時に止めて欲しいと言うか、またと言うか、次は何だと言うように、また私の心臓が強く鼓動した。
ほかの人間たちには聞こえないがあれ以来と言うか、さすがに何回も起きる中である意味慣れたとも言えるがなれない状況だし、何かが起きる前兆とも言え、気が休まる暇がなかった。
医学的に生物の心臓の鼓動の回数は限られているとも言われるし、こんな時にある意味不謹慎かもしれないが早死にするのではないかと言う心配もよぎった。
これからどう動くべきだと言う状況の中で、再びと言うか、何度目だと言うべきだが、わたし優衣たちの前で、愛の様子が再びおかしくなり始めていた。
あの日から愛は眼に見えておかしいと言うか、愛の身に何か起きているし、陽菜と言い、晴子と言い小夜と言い何か関係し、陽菜と言い、愛と言い何か理解しているようだが、わたしには理解できなかった。
「―――――」
わからないことは多いが、愛の身に再び何か起きているし、様子がおかしいと言う状況だが、わたしと言い、陽菜と言い、晴子や小夜も動けないと言う状況だった。
「―――?」
「晴子? 小夜?」
集団ヒステリーや幻覚と言う世の中には言葉が集団の行動を意味する言語が存在し、大勢の人間が一斉に何か奇妙かを問わず同じような行動をとることがあるが、わたしが愛を見ていると、晴子と小夜にも愛と似たような現象が起きていた。
「―――――」
「―――――陽菜? お前もか?」
愛が最初何かにおどろいたような表情だったが、少しして晴子と小夜もだが、3人とも何か遠くのものを見ていると言う表情で、呼吸と言うか、生きてはいるが固まっている状況で、伝染でもするのか遅れて陽菜も同じようになった。
透き通る水の中と言うべきか、空に浮かんでいると言うべきか、わたし愛の意識は上下左右もわからない場所にいた。
地面と言うものが存在しないと言うか、わからず、宇宙かもしれないが空は暗くないし、雲も見えず空は青くなく真っ白な空間に浮かんでいた。
正確には浮かんでいたと言うよりも、何かに支えられていると言う表現が正しいと言えた。
何に支えられているかと言うと身体中から飛び出していると言うか、痛みはないが刺さっているのかもしれないが、ケーブルと言うべきか、触手と言うべきかの細長い物体で、身体の四方八方と言うか、身体全体から出ていた。
「―――――」
ケーブルの先には同じようにケーブルが接続された人間の姿が大量に見え、わたしたちは連結されているようで、電脳化と言う言葉が一番妥当と言えた。
空想の物語の中で人間の頭の中と言うか、脳に機械を埋め込んだりしてネットの世界の接続する仕組みで、押井守と言う映画監督の作品「イノセンス」が実現化した未来を描いた作品として有名だ。
正確にはこの時電脳化と言う言葉は思い浮かばず、わたしはこれを巨大な人間のネットワーク回線だと思った。
普段の状態と言うか、肉眼では見えないがわたしと言う存在がだれかに接続され、だれかを経由し、だれかの中にわたしが存在し、わたしの中にだれかが存在していた。
人間が存在すると言うか、増え続ける限り増殖する状態と言え、消える人間も存在しているが半永久的な活動を続けているようにも見えた。
ほかのだれかも同様だと思うが、人間の記憶と言う情報が大量に送られることや、見ることができるが整理ができない状況だし、わたしは見ていることしかできなかったが、ある程度の情報と言うか、一部だが何かを見ることができた。
世界中か宇宙の果てなのか、人間の人数分なのか回線はどこまで伸びているかわからないが、情報はまるで眼で見るように、手で触れるように、耳で聞くように、匂いを感じ取るように、味わうように感じ取ることができた。
5感で感じ取れることができたと言うのが簡単な状況説明で、わたしはこの状態で他人を認識し、他人の精神状態を知り、他人の体験を疑似体験していた。
最初大量で情報の整理ができなかったが、自分の位置を把握したと言うか、この世界の動き方を理解したと言うか、必要な情報だけ手に入れられるようなった言うべきで、わたしはこの世界が何かの情報収集を始めた。
「―――わたしたちと同じ人間がほかにもたくさん存在している? いや、これは、わたしと同じ人間たちのネットワーク?! どれだけいるの?」
手に入れたい情報と言うべきか、他人の経験だとも思われるがこの能力の使い方や、関係して起きたこと、把握しきれない数多くの同じことになっている人間がいることが分かった。
「―――どうすれば、いいの?」
調べる中で晴子や小夜、少し遅れてだが陽菜の情報が姿をあらわし、わたしは何にしても情報収集する中でどうすればいいのかわからなくなった。
話し切れないがあの夜の時のようにわたしとは違うが恐竜のような怪物に襲われていたり、陽菜のような彫刻のような怪物に襲われたていたり、ゾンビに襲われていたり、お互いに戦い合っている姿が見られた。
広大な世界の一部の場所で一部しか見られていないが、凄惨なものも見られた。
『後を、おねが、い………』
口を開いた通りで、どうすればいいのかもわからなかったが、不意にわたしはあの恐竜の怪物に襲われた夜、たすけてくれたが、殺された女性の最後の言葉の1つを思い出した。
「―――あとをお願いって、そういう意味なの―――?」
あの女性が怪物を倒した光と言い、わたしがあの彫刻のような怪物や、ゾンビを倒した光と言い、瞬間移動した能力と言い、彼女も仲間と言え、わたしにこの世界をどうにかしてくれと頼んだのかと思った。
彼女がわたしと同じような体験をできたかはわからないが、何にしてもわたしは見ることができたと言う状態で、この世界をとりあえずと言うか、この場では見ていることしかできなかった。
遠いものを見ている眼や表情だとわたし優衣は表現したが、4人は急に電源が切れた機械のような状態で、声をかけて大きく揺さぶってみるが返事をせず、全く動かない状態だった。
特に愛で、揺さぶった後眼を離すと倒れているが、何もないと言う反応だった。
「――――――――――っは?!」
「―――?!」
さすがにもう病院に連絡したり、救急車を呼ぶべきかとも考える中で、愛の眼に生気が戻ると言うか、眼が瞬きを起こし、反応し、わたしが気が付いたと思う間もなく勢いよく起き上がった。
「―――ぁっ?!」
「―――ぇ?!」
「―――何―――?!」
愛が起き上ろうとする中で陽菜、小夜、晴子の順であの状態から回復し、何が起きたと言う反応を起こしていた。
「―――あなたたちも?!」
「愛さん、も?」
「―――――同じ、何ですか?」
電源を急に入れられたと言うか、電池を変えられたと言うべきか、何にしても動力源が十二分なものに交換されて活動には十二分な量が手に入ったと言うように活動を4人ははじめ、愛は3人に質問した。
小夜と晴子が答え、陽菜は少しまだ頭の整理ができていないと言うように見えた。
「―――ほかにもいる!?」
「―――?」
何が起きたかわからないが、4人は少しの間何も言わなかったが、4人全員声を合わせて同じ答えを口にした。
優衣は体験していなかったが、わたし愛をふくめ、陽菜、晴子、小夜は同じ体験をしているようだった。
「うそ、だよ―――?」
「あんなに大勢? それにあんなこと?」
小夜と晴子も同じ体験をしたことは明確なようで、こんなことないと言うような表情だった。
「そんな、やっと、やっとここまで来たのに?」
「里親が見つかったのに―――――」
陽菜はまだ頭の切り替えがうまくいってないと言う様子だが、小夜が最初に言った通りにうそだと言うように言い始め、晴子も同様で2人は泣くような反応を見せ始めた。
「―――――」
「―――たすけて? たすけて?」
「いやだよぉ? だれかぁ? いやぁあぁ?」
泣き叫ぶとか泣きわめくとか言うほどではないが、2人はわたしたちの眼の前で泣き始めた。
「―――」
「―――陽菜ちゃん?」
少しして心ここにあらずと言う状態の陽菜も心が戻って来たと言う反応を見せたが、同じようにと言うか、顔を両手で多い、泣き始めるのが見えた。
「わかってるつもりだったんだ。わたし、わかっているつもりだけど知らなかったんだ―――」
3人はあの体験の中で強い精神的打撃を受けたようだった。
「―――――」
わたしは何を思ったと言うか、何をしていいか自分でもわからなかったが、3人を集めて勢いよく抱きしめた。
優しく、それでいて強く、何にしても、何かしてあげないといけないと思った。
「―――大丈夫。よくわからないけど、わたしが守るから。」
「―――愛?!」
「何とかして見せる。」
優衣がお前は何を考えていると言うようにわたしを呼び、自分に起きたことを一番理解していない気もするが、何にしてもこのままだと何が起きるかわからないし、少しだけならと遊んでいる場合でもないと言えわたしは何か行動を起こすことにした。
何にしても昨日の陽菜と言い、この日の彼女たちをたすけることができたし、後をお願いとも言われたことも思い出し、優衣があの場にいなかったことや、調べていけばあの蛇の眼の彼のこともわかる気がするし、わたしは動き出すことにした。
3人はわたしに顔を向け本当にと言う顔をしていたし、わたしも不安だが、ここまで来た分絶対に引けない状況だった。
3人と言えば優衣ではないが、あの場でわたしたちと接触していないと思われる3人だと思われる人間の姿が見えた気がしたのも気になっていた。
あの怪物にまた遭遇したり、恐ろしいことも多くあるかもしれないが、わたしよりも幼い人間が怖い思いや、嫌なことを経験し、命の危険もあるし、大人のわたしが動かないといけないと思った。
わたしには戦う力があると思うと言うか、これまでの経験の中で、ある意味不確かだが本気を出せば勝てると言う絶対的な確信も存在していた。
だれも教えてくれないなら自分で調べて自分で知って理解しなければいけないし、自分でできるようにするべきだし、こんなことは嫌だし、取り払えるなら取り払っておしまいにしたいし、何にしても何もしないのは嫌だった。




