推測できない時
幸運と言うべきか、あの話し合いの後道こと神宮寺家の関係者が家へと送ってくれ、次の日は学校が休みで、わたし彼方の母親こと聖歌が仕事の都合で海外出張に行きしばらく帰らないと言う情報が伝えられたことだった。
少し遅い時間にもなり、リューも一緒に外出した状態で、家にいた場合無駄に心配するかと考えていたが無用な懸念とも言えた。
本気で言うと心配してほしかったが、神さまの力が手に入ったとか言う信じられない事態を母に言えず、家に帰ると安心したとも不安とも言えない感情だった。
(大丈夫? 彼方ちゃん?)
「―――うん、大丈夫。」
リューに心配されながら薄暗い家の中に入り、キッチンに行くとデスクの上に聖歌の書いた置手紙が置かれ、先ほどまで緊迫した状況の中で少し気が緩むことが書いてあった。
『探さないでください 母』
一見すると大ごとだと思うようなことが書いてあるが、これは母の冗談の一つで実はこの年になって3度目でもありいい加減なれたと言うか幼い時からされたこともあり、いつものことだが裏に正しい情報が書かれている。
『本当は探してほしいのですが、仕事の都合で海外に出張するだけなので心配は無用です。仕事が忙しくいつ帰れるかわかりませんし、かなり長くなるかもしれません。』
不意な出張や不規則な時間の帰りは日常茶飯でいい加減になれているし、わたしは見た後薄暗いキッチンの中でこれからどうすればいいかもわからず、少し大きいため息を吐き出していた。
これからどうなるかもわからず、家に帰ったわたしはすることと言うものが思いもつかず眠ることにしたが結局眠るに眠れない一夜を過ごした後、遅いと言うか昼近く頃に目覚めたと言うか、真矢からかかって来た電話でたたき起こされた。
疲れているのか疲れていないのか、考えているのか考えていないのか、寝ているのか起きているのかわからない状態で、一応は寝ていたようでわたしは眠気の中で携帯電話を手に取った。
「―――真矢ちゃん?」
『彼方? 家開けて?』
受信者表示にも真矢の名前が表示され受話器越しに聞こえるのは間違いなく真矢の声で、わたしが電話に出ると真矢はわたしに対し意味不明な言葉を口にした。
『―――桃子も来てるの。家開けて。』
「―――ぁ、ぅん?」
意味不明だったが、言葉を整理すると真矢はわたしの家の前に桃子と一緒に来ていて、玄関の鍵が閉まっているから開けて欲しいと言っていることに気づき、わたしは何にしても起き上がり、部屋を出て玄関に向かった。
桃子と言い彼方と言い眠れなかったようで両方眠そうな顔で、彼方に置いては電話するまで寝ていたようで玄関に出るとパジャマ姿で、わたし真矢は玄関の扉が開かれた時悪いことをしてしまったと思った。
何にしても部屋の中に通されたが、彼方は少し心ここにあらずと言うように見え、リューもベッドの上で身体を丸めて眠っていた。
桃子と言い彼方と言い顔にだれがどうみてもあまり眠れなかったと言う顔で、桃子は彼方のベッドの方に眼を向け、寝てもいいと彼方に聞くような顔と手の動きで、彼方はいいよ一緒に寝ようと言う身振り手振りで、眠気を含む笑顔をしていた。
「―――何にしても―――」
わたしは図太いのか昨日の夜はよく眠り眠気も感じず、本題は彼方の家に眠りに来たわけでもないし、わたしもなんとも言えないが、昨日のことをふくめこれまでに起きたことの整理と、これからすることを考えなくてはいけなかった。
「―――本題はこれからどうするか。」
「―――本題?」
わたしが言葉を思い切ってと言うように出す中で、彼方は何事かと言う反応で返してきた。
「―――確かにそうよね?」
桃子が寝てはまずいと言うような反応で言葉を返してきた。
「―――どうするかっていうこと自体がわからないんだよね?」
「―――教科書みたいな物があるわけでもないしね?」
「―――――」
昨日のことを考えると彼方は特に眠れなかっただろうし、桃子はわたしたちより少しわかっている程度と言う状態で、わたしは言える言葉が瞬時に出てこなかった。
遥香が帰ったと言うよりも走り去った後、わたし桃子たちは道や雪乃から一応と言うように携帯電話の番号やメールアドレスと言った連絡先を聞くと言うか登録し、解散と言うか、解放と言うか、帰ることになった。
神宮寺家の人間の対応も丁寧で、車でわたしの上まで送ってくれ、わたしは何とかと言うように家に帰ったが、なんとなくと言うように眠れない状況だった。
一夜明けベッドの上で横になり、天井を見ながらこれからどうするかと言うように思う中で、真矢から電話がかかり、彼方の家にいこうと言われわたしは来ていた。
「―――それにこんな風に呼び出ししても遥香は絶対に来ないし、鈴は桃子が連絡したし無理だって言われたし、雪乃さんは大人で仕事とか忙しいかも知れなくて声かけれないし―――」
「―――」
「―――ま、遥香は来て欲しくないのがわたしの本音だけどね?」
こんな時にせっかくの休みだから深く話し合いたいと言うように真矢は言うが、昨日は強引で突然の呼びかけでもあるし結局集まったのはわたしと彼方、真矢をふくめるいつもの3人だった。
真矢はと言えば昨日の一件と言うか何か遥香のことが気に入らないようで、本人の前でも言うだろうが陰口と言うか悪口のように言った。
「―――道と枝葉さんはあの2人となんかお母さんと話があるとか言って―――」
「こーおー神社、だっけ?」
「―――あの神社の管理者とか、母親は神様とか言ってたけど―――」
3人寄れば文殊の知恵とは言うが、情報が足りないと言う状態で、わたしたちが何か言っても意味がないし恥の上塗りか、悩みの種を増やすだけで、わたしたちは少しの間頭を抱えた。
「―――――何にしても、雪乃さんがいずれ使えるようになるとか言ったけど、どうなるかわからないから、とりあえず―――」
「―――?」
「―――?」
真矢は何もしないよりかはいいと言う判断をしたようで、集まって作戦会議と呼べるものをしようと思っていたようだが、作戦会議とは言えない状態の中で、真矢は背負ってきた大きいリュックを取り出して手を入れた。
「―――これ。」
「―――真矢ちゃん?!」
「―――おもちゃよ、おもちゃ、エアーガン。」
行く途中で合う中で結構大きい荷物を持っているし何かと不思議に思っていたし、歩くたびに何か変な音が聞こえたリュックで、何が出るんだと思う中で、真矢は銃を3つ出した。
彼方が本物かと言うように疑う反応を向けたが、真矢はここは日本だし、あの能力が使いこなせているわけでもないしと言う顔をして違うと言う反応を返し、銃は考えるまでもなくおもちゃのようだった。
わたし真矢こと彼方と言い、桃子と言い、おとといと言い、昨日と言い、何にしてもこれから何が起きるにしても無防備なのは間違いなかった。
おとといと昨日の件と言い、遥香たちは神の能力の影響か実銃で武装しているし、意味不明な怪物も出てくるし、わたしはないよりかはいいと思って家の中で武器になりそうなものを持ってきていた。
女の子のくせにとか、女らしくないとか、男の子みたいとか言われるが実はわたしはこう言ったものやゲーム、アニメが大好きだし、おもちゃの銃ことエアーガンも数個ほど買っていてそれを持ってきていた。
桃子や彼方たちと言った友達には話したこともないし、家族にも半場だが秘密にもしているが、こんな時にあれだこれだと言っている事態ではないと思った。
エアーガンとはエアコッキングガンと言われ、圧縮した空気で小さく丸い弾を飛ばすおもちゃの銃で、わたしは1丁を自分の手に取った。
「―――万が一に備えないとね?」
「―――」
「―――こけおどしとか、逃げる時ぐらいならなんとか時間が稼げると思うから。」
おもちゃの銃とか言うが大きさは実銃と同じ大きさだし、動作もある程度は実銃とにさせているし、外見の色合いも遠目や知識がなければ彼方の反応と同様に区別ができないのが現実だ。
「―――おもちゃでも強力よ? けっこういたいし至近距離で叩きこめば眼程度なら潰せる。」
わたしが手に持ってるのはH&K Mk23、ソーコムピストルとも言われるアメリカ軍の特殊部隊が使っている大口径銃で、わたしと言うか、わたしたちの身体に見合わない大きさの銃だった。
「―――どうなるかわからないけど、はい、彼方。」
「―――え?」
少しとんでもないことも言ったが、わたしは何にしてもと言うように手に持っている銃とは違う床に置いたもう1丁を彼方に手渡した。
「―――それ電池式だから、引き金引いたらもう弾出るからね? むやみに人に向けて引き金引いちゃだめだよ?」
「―――――」
一応は受け取るが握らず、こんなもの使ったことないしどうすればいいのと言う以前に何で真矢ちゃんこんなもの持っているのと言う反応だった。
彼方にわたしたのはグロック18C、オーストリア軍の特殊部隊が使っている銃で連射ができる銃だ。
おもちゃではあるがわたしの持っている銃と違い電池式で連射が可能で、現実的に彼方が銃を一番使いこなせそうにないし、これがいいと思い手渡した。
「―――真矢? わたしも? 触ってみてもいいの?」
「―――うん。いいよ? はい、桃子。」
「―――うん。ありがとう―――」
彼方に銃を渡した後、わたしの残りの1丁を桃子にわたそうとすると、桃子は彼方とは反応が違うがおどろいた反応だが何とか受け取り、銃のグリップを握り、両手で大事そうに抱きかかえるように持った。
「―――」
桃子にわたしたのはS&W PC356と言う銃だが、わたしは最初と言うか用意する中で手にもっているH&K Mk23を渡した方がいいと考えていた。
わたしと言い彼方と言い気にする性質ではないが実は桃子は左利きで、現に渡した銃を左手でグリップを握っていた。
これからいつまで使い続けるかわからないし、能力を使えるようになって遥香と同様に実銃を手にするかもしれないと言う考えもある中で、後のことを考えて桃子には使いやすい銃を渡した方がいいかとも考えていた。
よく世の中に左利きが不便とか言う話が存在し、桃子はあまり話さないが結構苦労していることがあるようだった。
銃も左利き用が多く存在しないし不便だと思い、ある程度両利き対応のH&K Mk23を渡そうと思う中で、わたしはおととい見た夢を思い出した。
ゲームとかのやりすぎかとも思ったが、夢の中に出てきた桃子は、間違いなくS&W PC356を手にもっていたことも思い出した。
理由にはならないかもしれないが、わたしはこの銃を桃子が持っていた方がいいと思った。
この銃にわたしが詳しいのは10歳の誕生日の時に親に隠れて初めて買ったエアーガンで少し思い入れもあってのものだが、この非常時だし、夢のことも含め、桃子にかすと言うかあげてもいいと思った。
一言で言うとわたし桃子に起きたことは一目ぼれと言う感情だと言えた。
何にことかと言うと、真矢が出し、わたしに渡してくれた銃のことで、銃の姿を見た時にわたしは思わずと言うようにか、気づかぬうちにと言うべきか、心奪われたとも言えるがいつの間にか眼をこの銃に向け、渡されるとわたしはなぜかうれしかった。
銃の知識なんてないと言う方が正しいが、わたしはこの銃に引きつけられているような感覚だった。
銃と言えば黒一色とか、多くが銀色で握る部分が黒いとか、握る一部分に木が使われているとか言う印象しかなかったが、この銃は黒と銀の2色が自らの存在性を主張するかのように存在していた。
赤い車や威力の強い銃、空想上の巨大なロボットのおもちゃと、男の人が女の人が欲しがらない様々なものを欲しがることを少し考えた。
人には時としてなにかに興味引かれると言うか、引きつけられると言うか、煩悩をかきたてられる魔力が秘められた物体が存在し、わたしにとってはこの銃なのかとも思った。
握ってみると少し大きい感じもするが握りやすく、わたしはこれを他の物にはないものだと言う感覚と言うか、手に取ったと言う高揚感が存在していた。
見よう見まねと言うべきか、わたし真矢の言うことは本当なのかと言う顔で彼方は銃の握り手部分をようやく握り、両手で構えて見ていた。
わたしの言ったことは守りわたしや桃子に向けずに横の方へと向けたが、座っている状態だしひじもまげているし、銃の状態を見ていると言う状態だった。
「―――いたっ?!」
「―――?」
「―――なにこれ?」
桃子も同じような反応で、銃を構える中で弾奏を落とし足に直撃し、わたしが声と音に反応する中で桃子は足の近くへと落ちた弾奏をひろい、いったいこれは何だと言う反応を見せた。
普通なら簡単に弾奏は落ちないが、これは桃子の利き手の問題と言え、左手で握ると弾奏を脱着させるマガジンキャッチを無意識に押し弾奏を落下させると言う銃の弱点を桃子は無意識にだが身をもって実感したようだった。
「―――マガジン。」
「―――マガジン?」
「―――まじがん?」
彼方と言い桃子と言い女の子だし、わたしが奇妙と言うべきで、銃と言うものとは確実に無縁だし意味不明な顔をしている桃子に対し答え、桃子と彼方は不思議そうな反応を返した。
普通マガジンと聞くと有名な漫画雑誌の名前だし、桃子はどういうものだと言う反応で、彼方に置いては言い間違えていた。
「―――マガジン、弾入れ、ほら?」
「―――?」
おもちゃとは言うがある程度は実銃を再現しているし、わたしは彼方の言い間違えたのも放置し持っている銃で同じように弾奏を外すのを見せると、桃子はわたしの真似をするように弾奏を銃の中に戻した。
「カチッて音がするまで押し込むの。」
「―――?」
「―――彼方のはちょっと仕組みが違うから?」
わたしは教えるようにして同じように持っている銃の弾奏を銃の中に戻し、桃子も戻した。
「人差し指と、中指の中間位に丸いボタンが見えるでしょう? これを押すと出せるの。」
「―――」
「―――だから彼方、あなたは違うの?」
言われた通りと言うように桃子はマガジンキャッチこと丸いボタンを見つけ、人差し指で押すと弾奏が落ち、反対の手で受け止めると弾奏を出したり戻したりを繰り返し始めた。
映画とかテレビとかで一応は見たことがある動作だと思うし、桃子の繰り返す動作はあれはこの動作だったのかと言う反応だった。
彼方はと言えば同じことができるのかと言う反応で銃を逆さに向け、同じことができないのかと言うように弾奏を引っ張り出そうとし、わたしは注意して止めさせた。
「―――後で説明するから。―――何にしても―――」
「―――マガジンって言った? どういうものなの?」
彼方を止めて先に桃子に説明すると言う中で、桃子は弾奏取り出し取り外しを繰り返しながら聞いてきた。
「おもちゃって言うけど結構本物を再現していてね? このマガジンの中に弾丸を入れるの。」
「―――」
「―――桃子? 壊れるよ?」
説明を続けるが桃子は同じ動作を繰り返し続け、わたしは心配になり声をかけ、手を桃子は止めた。
「ごめんなさい!」
「―――いや、いいけどね? おもちゃと言えさわったの初めてでしょう?」
わたしに言われて確かにその通りだと言う反応で、手を止めて銃をおろし、わたしは物珍しいんだなと言うように言葉を返した。
桃子の反応は事実少しだけだがわたしが初めてエアーガンを買った時の動作に似ていたことをわたしは思い出した。
「何にしても、この中に弾を入れて、銃の中に入れて、上の部分をひっぱるの。」
わかっている人間にはコッキングと言えばいいが、図なしの説明書なしで説明は難しいし、上の部分が動くとは思わないようで、わたしがコッキングを見せる中で桃子は同じことができるのかと言う反応を見せた。
「―――――」
「―――しっかりと持って? 引き金は指にかけないで? 限界まで引っ張って?」
言われたとおりに桃子は真似をして何とかコッキングを終えた。
「―――あ? そうだ。いけない?」
次は撃つと言うことになるし、わたしはリュックに再び手を伸ばし、中から射撃専用の小型の標的を取り出した。
わたし彼方の家の2階の廊下が突然即席的な射的上に変わりました。
何が起きたかと言うと真矢が持ってきたおもちゃの銃とか一式が始まりで、桃子に使い方を教えている中で実際に撃ってみようと言う状況なのか、真矢は大きいが持ち歩き式だと思われる的を用意した。
何で持っているのかとも真矢に聞きたいが、状況的に勢いができて聞くに聞けず、廊下の端に的を置き、わたしたちはある程度離れた場所に立ち、撃ってみようと言う状況になっていた。
「―――構えた時に見える上と前と後ろの部品で狙いを定めて―――」
「―――うん。」
おどろいたのは以外にも桃子が非常に乗り気で、半場教師となった真矢に桃子は指導を受けて的をすぐにでも撃ちそうな構えになっていた。
「―――あとは引き金を引く。」
「―――うん。」
おもちゃの銃なので火薬が爆発する銃声ではないが中にスプリングと言うか金属が入って動いているような音が一瞬聞こえ、小さい丸い弾が発射されて紙でできた的に小さいが穴をあけていた。
「―――本物だったらここで気にせず次撃てるけど、もう一度上の部品を引く、コッキングしないと撃てないから、気を付けて?」
「―――コッキング?」
「―――専門用語、何にしても次は彼方。」
専門用語と言い結構知識を持っているようで、真矢の銃の上側の部品を後ろに引っ張る動作のことを言っているようだが、わたしと言い、桃子と言い、意味が解らないが、真矢は次はと言うようにわたしに声をかけてきた。
「―――膝をついて?」
「え?」
「いいから、言うとおりにして?」
万が一に備えると言い、使い方を知っているのは真矢だが不意に膝をつけと言われどういうことかと聞く暇もなくわたしは床に膝をつかされた。
「―――両手で持って、反対の手は添えるように、反対の腕の肘を膝に―――」
「―――」
「狙いは上の部品で定めることができるから。」
わたしは真矢に指示されるがままと言う状態で、何にしても感覚的で当たるかどうかわからないが銃を的の方へと向けた。
「―――まだ引き金を引かないで? それと中指の部分にでっぱりがあるでしょう? それを奥まで握って?」
確かに真矢の言う通りで見たときから気になっていたがこの銃には中指の部分に突起している部分が存在し、わたしは何にしても握り締めた。
中がバネ仕掛けのようで固く押し戻される感覚が中指に伝わった。
「―――?」
真矢が勢いよく顔を近づけてきた。
「―――いいと言ったら勢いよく引き金を引いて? それと次にいいと言うまで絶対に引き金を離さないで? いい?」
「―――」
「―――わかった?」
顔が真剣で怖いし何をされるかわからないし、わたしが見ていると真矢はわたしに指示し、わたしが応えない中で聞き返し、何にしてもわたしはわかったと言うように首を数回盾に動かした。
「―――いい。」
「―――へ?」
わたしが言った言葉を理解したと考えた真矢はわたしの後ろに回り、わたしがどうかなと思っている中でいいと言い、わたしは少し遅れたが何とか反応して勢いよく引き金を引くと物凄い現象が起きた。
「―――いい。」
「―――」
「いいって?!」
眼の前に起きている現象が意味不明の中で少しすると真矢が再びいいと言い、わたしが動けない中で真矢がいいと言い、わたしは引き金を戻した。
「―――マシン、ガン?」
「―――正確にはマシンピストル、かな?」
何が起きたかと言うと引き金を引いた瞬間勢いよく先ほど真矢が説明していた銃の上の部分が連続して繰り返して動き、小さい丸い弾が連続で勢いよく的に向かって飛んで行った。
出たのはどれくらいかわからないが数秒ほどで、的にはたくさん穴が開いている状態で、わたしは銃を知らなくても一般的に知っていると思われる銃の言葉を口にし、真矢は少し遅れて自分でも詳しくは知らないがと言うように訂正するように言った。
「―――真矢―――」
「―――彼方には使いこなせないよ? こっちむずかしいし、それにいざと言う時はばらまいた方がいいからね。」
マシンガンにしろマシンピストルとか言うにしろおもちゃにしてもここまでできるんだと思いすごいと思う中で、桃子がこれはと言うように真矢に話しかける中で、真矢は桃子に言葉を返した。
「―――真矢ちゃ~ん?」
「いいから持ってて? 本気で不味いと思った時に出して撃てばいいから?」
真矢には失礼だがこんなもの使えと言われて渡されても困ると言う状況で困ると言うように呼ぶ中で真矢は真剣な表情でわたしに対して持てと言うように言った。
「―――彼方なら使い方間違えないと思うし、信じてるから。」
信じてくれるのはうれしいが銃を持たすのとは話は別だと思うが、わたしは昨日のこともあるし、この状況だし言い返すに言い返せない状況だった。
昨日彼方のもとに向かおうと思ったあの時銃が欲しいとわたし桃子は思った。
昨日の夜の話し合いがどこまで真実かわからないが、いずれかわたしたちは能力を覚醒と言うか成長させ戦うことになると言え、わたしは戦うと言うか守るための武器が欲しかった。
昨日は能力の恩恵か銃のような物体を造りだせたが、本物の銃のことなど何も知らないし失敗に終わったと言う状況で、わたしは詳しい銃の知識が必要だと思っている中で真矢は銃を渡してきた。
おもちゃではあったが、心強い武器だとわたしは心底思った。
真矢が銃と言ったものに興味があり、おもちゃを持っているのは以外ではあったが、わたしは銃を貸してくれたことと言い真矢が友達で本当によかったと思った。
「―――何にしても、撃ち尽くしたから入れ直さないとね?」
「―――」
「―――とにかく、部屋戻ろう?」
彼方の銃の方は詳しいことはわからないが、真矢なりの選出のようで、わたしにも意図があると思え、何にしても真矢は困っている彼方を放置して部屋に戻ると言いだした。
「―――なんかおなかへったな~?」
「―――部屋にお菓子あるよ?」
「やったー!」
一仕事と言う状態だってようで真矢は彼方が立ち上がる中で本当におなかがすいたと言うような反応を見せ、彼方がそれならと言うように言い、真矢は他人の家でも結構遠慮しない方で、食べますと言うように返事を返した。
「―――用意するね?」
彼方の方はと言えばわたしとは対照的にこんなもの渡されても困るし、精神的に消耗していると言う表情で、立ち上がると先に足早に部屋の方へと戻って行った。
「―――真矢?」
「―――ん?」
待ってよと彼方と言うように真矢は笑顔で彼方を追いかけるように後ろを歩く中でわたしは真矢を呼んだ。
「―――もっと、詳しく教えてくれる?」
「―――」
「銃のこと。」
なにと言うように振り返る中でわたしは重要なことを口にし、何かという顔の真矢に対し、手に持った銃のことをと言うように銃を見ながらわたしは言葉を続けた。
この時わたし真矢は少し桃子から不穏な空気と言うものを感じた。
状況がどうであれ海外の映画や大人ではないし、おもちゃとは言え銃を持ってきたとあれば少々気がどうかしているとも思われかねないし、事実彼方は困っている顔をしていたが、桃子はよろこんでいるように見えた。
この銃気に入ったと言う表情で、両手で大事そうに持ち、銃のことを詳しく教えて欲しいと言い、表情がどこかわたしとは違うものを見ているように見えた。
「―――うん、いいよ。」
「ありがとう―――」
眼の焦点と言うものは間違いなくわたしに向いているが、失礼な表現だが何か悪いことでもしそうな表情をしていた。
見えたとは言うがこの非常時で、昨日の一件も半塲忘れている状態でわたしは断る理由もないと考えてしまった。
この時おなかもへり、彼方が食べ物を軽くだが用意すると言い、食欲の方が勝ち、笑顔で心よく承諾し、桃子も似たような笑顔で返し、わたしは心配ないと考えてしまった。
真矢はわたし桃子の教えてくれと言う言葉に対し、いいと言ってくれわたしは笑顔で答え、わたしは真矢の後ろに続き歩き出した。
必要なのは情報と言え、わたし1人だけでは諦めていたかもしれないが、頼りになる仲間と言うよりも友達で、現状で真矢は一番頼りになると言えた。
「真矢ちゃん? 桃子ちゃん?」
「すぐ行くよ~? おいしいものある~?」
「どうかな~?」
歩く中で彼方が部屋から顔をだし2人合わせて何をやっているのと言うように呼び、真矢はすぐ行くと言うように返す中で、彼方と話し合い始めた。
わたしはこの生活を、この楽しい時間を守りたいと思った。
守るためにあの時銃のような武器が欲しいと思い、昨日の夜に自らの想像上の銃を作り上げたが、昨日のわたしはもう時間が経ってかすり傷程度だがあの銃が原因で自分の手を怪我すると言う痛手を受けたし、もっと銃の知識が欲しかった。
能力と言うものがどうなるかわからないが、遥香と言い雪乃と言い、個体差はあるが増幅と呼べる傾向は起きるようだし、わたしは準備を進めるための知識が必要だと思った。
不謹慎かもしれないが、わたしはこの時心の奥底から思っていたし、思うことのために予備知識が足りな過ぎると思っていた。
何が足りないかと言えば銃の知識で、わたしはこの時心の奥底からこの銃の本物が欲しいと思っていた。
何が起きるかわからないならこちらも何が起きるかわからないし、真矢や彼方にはこの時言わなかったが、わたしは成功の確率が小数点の領域だとしてもかけてみたいと思った。
彼方たち3人が集まっている中で僕道は枝葉と一緒に双子の伊那と理沙の母親こと白夜に会いに清水家に来ていた。
まだこんな場所にもこんな家残っていたのかと聞きたくなるし、人が本当に住んでいるのか疑いたくなる古い家で、少なく見ても築6、70年以上は経過していると言えた。
少し遠くの光桜神社よりかは新しくきれいだが、家は外見的にと言うか僕の家も歴史はあるが電気と言うか水道とかの設備は整っているが、この家は整備途中と言うか、来た日に業者が来て改築の最中になっていた。
家主の白夜はと言えば業者の人間たちが来ているが意にも介さずと言う状態で居間に横になり女性向けの週刊誌を読んでいる状態だった。
服装もいつからだと言うバスローブ姿で石鹸の芳香もしているし、改築業者の人間が時折白夜を除きに来ていた。
「「―――おはようございます。」」
「―――はい、おはよう。」
伊那と理沙はと言えば母の前で行儀よく正座している状態で、僕がこの人家ではこんななのかと思う中で2人はあいさつし、僕は2人にあいさつを返した。
白夜には何度か会ったことがあると言うか最近もあっているし、合うと外では結構派手な格好をしているが、これは性分のようだと僕は思った。
「―――で? 何の用?」
僕は年頃の男の子だし神社の息子だから節操と言うものをわきまえて普通の服を着て欲しいし、業者の人が見ているんですかとも言いたかったが、何にしても本題に移らないといけないと思い、僕は行動に移した。
行動に移したとは言うが、正確には能力を使ったと言うべきで、僕は眼の瞳を変え、眼を赤く光らせた。
道の母親こと神宮寺憂とわたし白夜は面識があった。
道が生まれる前と言えば10年以上前の話であるが、わたしは神社の神様だったが、現在もだが結構好き勝手生活し暴れているが、人間の生活も謳歌していた時に憂と出会った。
出会ったとは言うが正確には戦闘を仕掛けたと言うか、仕掛けられたと言うべきで、憂は巫女と言うべき存在で、夜になると人知れずと言うか、人間外と言うか、一部の関係者は知っていたが、わたしたちのような存在と戦っていた。
不届きな神として認定され、注意されたが、わたしと憂は意外と愛称と言うものがあい気が付くと友達になっていた。
戦っているとは言うが能力も実質上は隔世遺伝的なものだし、任意だし、自分の意志で戦っていると言い、実際は結構普通な女性だったと覚えている。
いつの間にか男と付き合いだし、結婚したかと思うとあんなに元気だった憂は子を産むと意外にもすぐ死んでしまった。
わたしには言ってなかったが、本当は結構身体が弱く、わたしと会って話している時も思い出してみれば風邪気味とか少し調子と悪いとか具合の悪かったと言うことが多く、わたしは気づけなかったのだと少し後悔していた。
後悔するとは言うが何もできるわけもなく、わたしも憂の影響か気が付くと人間の男と付き合いだし、結婚し、自分が死ぬ以外は伊那と理沙が生まれたと言う状況だった。
「―――――ぇ?」
少し前にカークと言う厄介な外国人を背負いこむことになったが、何にしても生活はあまり変わりない中で憂の息子こと道がわたしをたずねてきたが異常が起きていた。
道は中学生にもなり、神社の管理の関係上最近数回ほど会ったが、この時は異常はなかったが、人間では感じ取れない異様な気配に満ちていた。
「―――何か知っていますよね?」
「―――」
わたしはうそは言えないし道は反対にうそ言ったら承知しないし激しく怒りそうな様子だった。
「―――――憂?」
「―――」
「―――オオカミ?」
能力を上手に調節して引き出しているようでわたしは気づけなかったが、わたしの人間よりも鋭い鼻や人間以外の感覚は彼の正体をすぐに見分けた。
わたしは真っ先に憂の神社のことを思い出した。
日本の神社にはわたしをふくむキツネと言い日本の干支にも入らないような意外と多種多様な生き物がまつられていることが多いが、道こと憂の神社では確かオオカミをまつっていたことを思い出した。
「―――あの子たちのことも話してもらいますし、何が起きているかも説明願います。」
「―――」
道からは神に勝るとも劣らない力を感じるし、姿を変えることもできると言え、これはかなり巨大なオオカミに変形すると思う中で、道は口を開いた。
「―――何が起きているんですか?」
言う中で眼の光がなくなり、道は普段通りの落ち着いた様子で話し始めた。
憂を知っているわたしだからこそ言えるが道は間違いなく外見的には母親こと憂に似ているし、あの能力と言い、切り替えがうまい性格と言い、遺伝子は確かに受け継いでいると思った。
「―――」
道の変化自体にもおどろいたが、わたしは自分の娘こと伊那と理沙のことにもおどろいていた。
「―――――」
「とっくに知っていますよ? 2人は話してくれました。あなたのことや自分たちのこと、詳しくは保護者と言うことで、あなたの声を聞きに来たんです。」
2人に眼を向ける中で2人は眼をそらしながらも耳と尾をだし、どうするんだと言う状況の中で道は少し困りますねと言うように言葉を続けた。
「―――光桜神社の神さま、で間違いないんですね?」
「―――まぁな?」
一番肝心な質問と言うように聞かれ、わたしは何にしても答えた。
答えたとは言うが、2人のことと言い、道のことと言い、わたしは何が起きているのか明確には理解していないし、不穏な気配と言うものも感じておらず、何も言えなかった。
伊那と理沙は感じているとは言うが、親のわたしが感じないとおかしいと思っていたし気のせいとして流していたが、道は気のせいではにないと言い、わたしはこの時改めて時間するしかなかった。
わたし自身の力が衰えたとも懸念したが、気配的に減っておらず、伊那と理沙、道は話から総合すると別の問題を抱えているようだった。
夜眠れなかったことはほかの人間もあるかもしれないが、話し合いと言うか、情報交換と言うか、協力要請と言うかが関係した人間たちに起きる中で、わたし鈴は一夜明け関係しただれかとは合わずに学校に来て美術部の部室こと第二美術室で絵を描いていた。
第二美術室にもわたし以外の同じ美術部の生徒の姿が数人見られ、真剣に絵を描き、物を造ると言った美術活動に専念していた。
学校は彼方たちと同様に休みだがこの学校の出入りは比較的自由で、制服や学生証、申請をすれば土日祝日気にせず学校内に入れるし、進学校と言うこともあり土日祝でも日常的に補修や特別授業が行われ、ほかの部活動も活動している。
特にスポーツ部の活動も盛んと言うか、文武両道の精神が強く、外から少し遠いがスポーツ部の運動する音や声が聞こえていた。
わたしはと言えばこの学校での成績はよくもなく悪くもなくと言う成績で、運動も得意ではないが、自分で言いうぬぼれているみたいだが絵をかく才能があるようで、小さい時から少しだが賞も取ったことがあり、1年生ながら美術部期待の新星と言われている。
期待の新星とは言うがわたし個人の目線だが絵のうまい下手と言うか、書き味の違いは個性だと思うし、わたしの絵は確かに精巧にかけているが自分では個性に非常に欠けている気がしていた。
昨日のあの彼女たちの言葉も言う通りで、わたしが描く絵は一見するとうまく見え、いろいろな絵はかけるが、本当の絵とは言えないと思っていた。
事実ほかの部員や上級生の絵の方がわたしはうまいしおもしろいし、その人らしいと言う部分が見えていいなと思った。
わたしは本当は何を書きたいのかわからないし、何をすればいいかわからないし、現実に目を背けているのかもしれないが、わたしにできることはと考えると言うか無意識に行動するうちに学校に来て1人で絵を描いていた。
絵を描きに外出することはよく会ったし、中学になってから休みでもよく描きに行くと言い学校に行き、絵中心の生活になっていた。
事情はどうか知らないが結構部室内は作業に没頭している人間が多く、わたしの事情も知るわけもないし、ほかの部員も他人の事情なんか知るかこっちは忙しんだと言う雰囲気で、わたしはここにいて絵を描いている方が精神的に楽だった。
あのうわさの関係か少し敬遠されていることもあるが、クラスの方とは違いいじめの類もなく、順調な部活動生活と言えた。
神さまになれるうわさのことはどうするんだと言われそうだし、わたしは事実目覚めているが、特に何かできるわけでもないし、第一父と母と言う家族にこんなことを知られたくなかった。
父と母は少し喧嘩っ早いが仲がいい方だし、わたしはあなたたち夫婦の娘で、絵を描くのが好きな女の子夢野鈴で、少し大変なこともあるが、普通に生活していると言うそぶりを見せなければいけないともわたしは考えもしていた。
喧嘩するほど仲がいいと言う父と母のように、いつも通りの行動に、いつも通りの光景、いつも通りの何かをして仲直りするみたいに、悪いこととは無縁だと言うように見せたかった。
「―――――」
考えるだけと言うか、望むだけと言うか、演じるだけ無駄だと言える状況で、わたしのかいている絵は何にしても自分の身に起きたプレコグニションで見えた光景を描いていた。
牛の骸骨の左眼の部位から蛇の骨が出ていると言う奇妙な絵と言い、わたしの眼に映る光景は一部分だが気味の悪いものが時折映し出され、書き写した絵もこの類で、説明が難しい絵だった。
どんな絵かと聞かれると絵の中央に裸と思われる女性がこちらに背を向けて立っている絵だが、奇妙なのは背中で、背中にもう1人いて身体の中に入りましたと言うかのように背中から手足が飛び出した絵だった。
手足とは言うが精巧にかいていけばいくほどと言うか、見えている物からの判断だが人間の手足に見えず、昆虫の手足のようにも見えた。
絵の資料として買うか買ってもらった本に、海外の神さまがたくさんの手足を持っているようにかかれた絵や像の写真も見たことがあるが、わたしの絵は神を描いた絵やかたどった像とは違っていた。
普通の人間が見れば絵がうまいねの一言ですむが、わたしの目線だが、この絵には違和感が存在している。
何が違和感かと言うと、絵の存在と言うもので、資料の絵と違い、奇妙な表現になるかもしれないが、あれほどの異様な姿だがわたしは違和感を持てないしきわめて自然に見え、わたしの絵は普通の人間だが何か違和感がある存在する気がした。
わたし自身の気のせいかもしれないが、普通の人間とは違う存在感と言うものが絵に変わった彼らから伝わってくる気がするのだ。
「―――さん。夢野さん?」
「―――ぇっ? あっ!? すみません!?」
架空ではあるが紙と言う限られた範囲の中にもう一つの世界と言うべきものを造りだしたが、これはいったい何を意味するかと言うようにかきながら見ている中で、わたしはだれかに呼ばれていることに遅れて気が付いた。
「―――大丈夫? 本気でまいってない? 風邪とかひいてない?」
話しかけて来たのは3年生の先輩で美術部の副部長で、心配そうにわたしを見ているし、ひたいに手を触れてきた。
3年生の先輩とは言うが、正確にはこの学校は小中高大学一貫式で、高等部の3年生だと思われ、わたしよりも背も高く大人びているし高等部の制服を着ていた。
この学校内の生徒の活動や部活動、行き来は授業時以外意外と自由で、学校公認で行事や交流、協力も盛んにおこなわれ、こう言った休みの時には大学から卒業生も姿を見せることもあった。
小等部の子の場合最初その広さやむずかしさに迷うこともあり、学校内には少し歩けば大きい地図か案内版、休憩できそうな長いすや開いた広い部屋と言うか教室が存在している。
同じことにあったと言う経験もあるかもしれないし、詳しい生徒は知らない生徒に同じ眼にあわさないように道を教えることや、困った生徒を助けると言う暗黙の規則と言うものも存在している気がする。
わたしも子供だし難しい事情は話してもらえず知らないが、母と母の友達が話しているのを聞いたが、少子化対策とかの事情で生徒を離れさせないように学校ではさまざまな工夫がされているそうだった。
こういう事情もあるかもしれないが、学校でわたしの遥香のうわさが結構広がり敬遠されかけている中でこの人だけはと言う人間は結構存在するし、彼女もその一人でわたしに対して普通に接してくれることがあった。
「あ? だっ? 大丈夫です?! 大丈夫ですから?」
不意打ちと言えば奇妙な表現かもしれないが思わずなことでわたしは手を少し勢いよく払って後ろに下がってしまった。
「―――本当に、大丈夫ですから―――」
少し悪い気もしたが、かなり集中しておどろいたともみられるかもで、わたしは言いながらスケッチブックを閉じた。
「―――何にしても、お客さま。」
「―――ぇ?」
絵を少し見られたと言うか、見ようとしたので思わず勢いで閉じたのだが、彼女は気にする様子も見せずにわたしに対して言葉を続けた。
「気の強そうな女の子、あの子? 遥香ちゃん。」
「ぇ?!」
「―――外で待ってる。」
お客さまと言う言葉を聞いてどういうことだと言う様子の中で彼女はお客がだれかを伝え、わたしがどういうことかと言う反応の中で言葉通りに外で待っているし言った方がいいと言うように合図した。
「―――ぁ―――」
「―――夢野さん?」
遥香が本当に来たのかと疑ったが、何にしてもわたしはスケッチブックを手に取ると歩き出し、一応はありがとうございますとお礼を言おうとする中で先輩は再び声をかけてきた。
「―――はい?」
「―――お節介かもしれないけど、あなたの絵もっとだれかに見せた方がいいは?」
「―――――」
呼びかけに反応する中で先輩は少し真剣な表情で忠告すると言うように言い、わたしは昨日のあの批難された一件を思い出し、少し不安な気分になった。
「―――あなたの絵は確かにうまいけど、なにか不確かな、違和感? と言うか本当はかきたくないけどかかないといけない別の絵を描いているような気がするの。」
「―――――」
「―――――絵がうまいとか嫉妬じゃなくてね? 少しはあるかもしれないけど、だれかに見せて、意見を聞いた方がいいと思うは?」
人を待たせていると言う状況だが言葉は続いた。
「―――絵をかくにはさまざまな理由があるけど、一番大事なのはかきたい絵がかけることで、絵がうまくてかけるからかくんじゃないの。」
「―――」
「―――わたし個人の意見だけど、たとえると問題に答えるようなものでね? あなたの絵には問いかけはあるけど答えがえがかれていないように見えるの。」
彼女の言う通りで、確かにわたしは見えた通りのものをかいているだけで、かいたものは何かはよくは解っていなかった。
「―――絵をかくだけでは答えは出ないと思う、だから、いきなさい。」
「―――はい。」
わたしたちほどの深い部分ではなく、うわさ程度の領域だがあのことを彼女が全く知らないわけではないと言う状況だ。
遥香の変化と言うか、わたしの身を案じていると言うべきか、彼女は学校や部の先輩としてではなく人生の先輩として、これから何をすべきか助言しているようにも思え、わたしは言い終える中で頭を下げ、部室を出て行った。
入野遥香の特徴が何かと聞かれたらわたし鈴だけではないが、彼女には失礼かもしれないし、気にしているが背が非常に高いことだ。
わたしは少し平均と比べると低いが、遥香は逆に高く、ほかの平均的な1年生と言うか、12、3歳の子と比べると頭1つ分身長が高いのだ。
生まれつきと言うものなのか初めてあった時こと幼稚園の時から背が高く、小学生の時もだが背の高さはクラスと言うか常に学年一番で、身体的発育もわたしたちよりも各段に早かった。
教室を出たわたしの視界の先に見えた遥香は遠目に見ると体格的に高校生や大人に見えるが、わたしと同じ中等部の制服を着ているし、間違いなく自分が中学生だと主張していた。
わたしと同じ三つ編みで、眼が悪くて眼鏡かけ、背が高いのを気にしてか少しでも小さく見せようとしたか身体を丸めていると言うか、猫背のような体型になっていたが、見違えるように変わっていた。
おとといの晩に会った時と言い、昨日突然学校に来た時と言い、感覚でしか理解できなかったし、よく見ることはできていなかったが、改めてみると遥香の姿は本当に変わっていた。
現在は肩よりも短く切った髪に眼鏡を外した眼、背の高さを一切気にしないように見える伸ばした背筋はわたしふくめ半塲だれもだが彼女が別人のように変わったと言うと思った。
背が高いせいで男子たちからはその気もないのに調子にのっていると言われ、女子たちからは女として扱われないこともあり、いじめの対象にされていたが、その面影は一切なかった。
「―――鈴。」
「―――遥香ちゃん―――」
人を呼ぶ際も呼び捨てることもなかったし、わたしと同じように鈴ちゃんと呼んでいたが、遥香はわたしが近づいてきた中で、わたしの名前を呼び捨てして呼んだ。
「―――携帯、持ってるよね? 何でメールとかしなかったの?」
「―――突然かかってきて出る勇気あった?」
「―――ない。」
歩く途中でよく考えると思いあがる疑問が出てきてわたしは思わずと言うように質問したが、遥香は腕を組んで絶対にそうだろうと言うよう質問を質問で返し、わたしは否定できなかった。
少し長い関係なのでわたしと遥香は携帯電話の番号とメールアドレスを教え合っているが、確かに突然遥香にかけられても出る勇気や覚悟はないし、わたしも反対にかける勇気や覚悟はなく言い返せなかった。
「―――」
「―――昨日のことだけど。」
電話のことを言われわたしがなんと言えばいいと言う状況の中で、遥香はわたしに対して言葉を続けた。
「もうわたしに関わらない方がいいって言ったよね?」
「―――それは―――」
「あなたのために言っているの。」
昨日言ったことを思い出せと言うように言い、わたしが何とか言葉を返そうとする中で、遥香はわたしは言ったし困ると言うような反応だった。
わたしにも同じことがと言うか、似ていることが起きているし、詳しい事情はわからないが桃子のこともあるし言われたわたしもあなたこと、遥香のことが心配だったと言いたいが、遥香の怒ったような物言いに言い返せなかった。
「―――質問を変える。何で昨日あそこにいたの?」
「―――それは―――」
眼の前に突然変わってしまった友達が眼の前に立ち、わたしに対して質問をしているが、わたしは彼女ほどの変貌はできないし、強さもないし、優柔不断だし、何にしても答えることができなかった。
わたしに何ができるかと聞かれた何ができるかわからないし、役に立てなかったと言うべきだし、できないことだらけでわたしは何も言えなかった。
「―――鈴。」
確かにわたしとあなたは長い関係だけどあなたの問題じゃないと言うような物言いで遥香はわたしの名を呼び、わたしは答えられなかった。
『―――逃げるな! 戦え! 現実を受け入れろ!』
『わかるでしょう? 変えることができるの。 逃げたらどうなるかわかるでしょう?』
『なくしたものもあったけど! 新しいものも手に入れたの! これ以上失いたくない! お願い! 力を貸して!』
何を言えばと言う中で、わたしは桃子の言葉を不意に思い出した。
『―――お節介かもしれないけど、あなたの絵もっとだれかに見せた方がいいは?』
『―――絵をかくにはさまざまな理由があるけど、一番大事なのはかきたい絵がかけることで、絵がうまくてかけるからかくんじゃないの。』
『―――絵をかくだけでは答えは出ないと思う、だから、いきなさい。』
桃子の言葉を思い出す中で、わたしは先ほど言われた先輩の言葉も思い出していた。
昨日は思わずと言うように行動を起こし、おとといは彼方たちもふくまれるが思いもせずに出会い、何も言う間もないうちに帰ってしまった。
特に策も何も考えておらず返り討ちにもされ、たすけられ、半場強引に連れていかれ、わたしは半塲場の勢いに流されに流されていた。
「―――」
「―――鈴?」
「―――見て。」
わたしは少し迷うような素振りにも見えたかもしれないが、思い切って足を進め、遥香が何事だと言う反応の中で、わたしはスケッチブックを開いた。
「―――わたしも、目覚めてる。」
「―――」
「昨日の白化とかと言い、わかるんでしょ? 未来とか? 人間じゃない力とか―――」
開かれたスケッチブックには本来普通の人間には見えていないものが見えている。
どこかのだれかは知らないが何かをしているが、その中には少し前と言うか、おとといや昨日まで知らなかった彼方や真矢、桃子たちもうふくまれているし、姿の変わった眼の前の遥香もえがかれている。
「雪乃さんのこともあるし、怪物とか―――」
「それでどうするの?」
否定することはないが同意を求めるように言い続ける中で、遥香は少し冷たい口調で返してきた。
「―――」
「戦うの? わたしみたいに?」
「―――――それは―――」
言われてわたしは思わずと言うまでもなく昨日の夜のことを思い出してしまった。
非人道と言えば当然とも失礼とも言えるが、わたしの昨日の女性の死体を見て慌てた様子と違い遥香は人を殺しているがあまり気にもしていないし、わたしにそんなことができるのかと思った。
「―――わたしの邪魔はしないでね?」
「―――あっ?」
「最悪。鈴まで巻き込まれるなんて―――――」
この後なんと言えばと言う状況の中で遥香は長く話していてもしょうがないと判断したのか、言うと背を向け歩き出し、わたしは呼び止めることもできず思わず手を伸ばすが、届くわけがなかった。
届かないし、呼び止めてもむだだよねと言う状況の中で、遥香は最後に皮肉か文句か、独り言だと言うように言い、わたしと遥香の距離は開いて行った。
「―――遥香ちゃん。わたしたち、友達だよね―――?」
声はもう届かない位置まで来た時、わたしは思わず言葉を漏らした。
「―――また、一緒に遊ぼうよ―――」
見えている時に、声が届く時に、背を向ける前に言いたかったが、うまく言葉が出ず、わたしは姿が見えなくなった後思わずと言うように言葉を漏らすと、スケッチブックから何か音がした。
「―――――」
音がしたとは言うが、正確にはわたしが泣いていて涙がスケッチブックに落ちた音だった。
落ちたのはスケッチブックの表紙ではなく中の方で、絵が描かれた紙だった。
描かれている絵にはわたしと遥香が描かれていた。
描かれているとは言うが、開いた右は少し前までと言うか、遥香の変化前を描いたもので、左には現在と言うか、未来と言うべきわたしたちの姿が描かれていた。
描かれているとは言うが、この絵でわたしは地面に倒れた遥香を抱きかかえ、近くには多くの人間が倒れているのが見えた。
プレコグニションが映し出す未来には多くは悲惨な未来しか見えず、どうすればいいかもわからず、わたしは何か、少しだけ事実になると言うことを変える気がして来ていたが、具体的には何をしていいかわからずこの後少しの間動けなかった。
意味不明な事態だとわたしセリーは思った。
ヴァンパイアと言う存在であるわたし自身普通の人間から見れば意味不明な存在だが、調節者と言い、神宮寺とか言うオオカミ少年やニンジャ、彼方たちとかも意味が解らないが、余計に意味がわからないのは入谷が言っていたクラスメイト以外の2人だ。
調節者と言えば入谷はと言えば昨日の一件のあと気が抜けたような状態で、わたしはあのあと何が起きるか調べたかったが、何にしても入谷を放置するわけにもいかず一度連れて帰った。
入谷は何にしても仲間の間では貴重な人材だし、本人は隠しているつもりだが一応はと言うべきか、仲間からある意味と言うか、ある程度と言うべきだがわたしとは血縁があるとも聞いているし、置いておくわけにはいかなかった。
追いかけるのは現在こと次の日になり、少し調べたがわかるのは別の学校に通う入野遥香と夢野鈴と言う名前で、一夜あけたわたしは鈴の方を監視していた中で、遥香が姿をあらわし、話し合っているのを盗み聞きしていた。
あの時見た光と言い、2人の会話と言い、意味不明なことは多いが、何にしてもあのハロウィンの悲劇に関係していることとも言えるし、わたしは調査をすべきと思った。
思いもして尾行したりしたまではいいが、結局と言うべきか、前の入谷の二の舞と言うべきか、大した情報も得られない状況に終わりそうだった。
『―――まだ楽節は序曲が終わったばかり。』
「―――?!」
遥香を何にしても追おうと考え動き出す中で不意に後ろから女性の声が聞こえた。
「―――?」
この学校の制服も着ているし、見られたとしても偶然だれかの話を盗み見た学生として事実を隠せて心配はないが、声に反応して振り返ると人の気配すらなかった。
感覚と研ぎ澄ませてみるが声の主と思われる人間の気配もなかった。
気のせいや空耳だとは絶対に言えないほど複雑な言葉だったことに加え、日本語ではなく、ドイツ語で、少しだけ英語のアクセントやニュアンスのある発音だった。
入谷の遭遇した調節者と言い、昨日の一件と言い、日本のあの赤い眼の怪物の変化と言い、謎が謎を呼ぶとはこのことなのかとも思い、わたしはしばらくの間何が起きるかわからず、その場から動くことができなかった。
結局は何か悪いことと言うものは起きず、退くに退けない状況だが、わたしたちを超える何か異様な存在がいることは確かなようだった。




