Recall 後編
少女こと、イヴのほうにわたしアンが眼を向けると、イヴは何が起きたかわからないと言う顔をしていた。
よく見ればと言うように教会内が荒れていることに気づき、自分がしたと言うことにも自覚が一切ないように見えた。
PSIでイヴのことを調べられず彼女のことがわからないが、わたしは何にしてもイヴに再び顔を向けた。
年齢は5歳以上で10歳未満と言うほどで、わたしは思わずと言うように10年前の自分と重ねてしまった。
「―――大丈夫。でもここは危ないから、いきましょう?」
「―――うん。」
何が起きたかわからないと言うような顔をしていたが、わたしが優しく抱きしめ、ここから出ようと言う中でイブは解ったと言うように答えた。
「―――さぁ、いこ―――――?!」
「―――」
強烈なプレコグニションだ。
何かと言えばPSIの1つで簡単に言うと予知能力で未来が見えるのだ。
「―――!?」
「―――アン? アン? ア―――――」
未来が見えると言うが、正確には疑似体験すると言う方が正解で、5感全体で話しを見ると言うか劇やお芝居を見ているとも言えるが、激しい頭痛も同時に起きると言うか、脳に強引に未来と言う光景を押し込まれていると言う感覚だ。
わたしのPSIは高く多くは自力で制御できているがこれだけはいつどこで起きると言うか法則性が見つからず脳が破裂しそうな痛みに襲われわたしは頭を抱え、床に膝をついた。
何とかと言うように近くでイヴの声が聞こえるが、アンの声は少しずつ遠くなり始めているし、アンにはわたしの歯を震わせ苦痛にゆがんだ顔が見え、心配した表情になっていると思うが、わたしは苦痛で眼を引けなかった。
眼を開けないと言うよりも視覚も使われるので眼を開いていても見えなくなると言う方が正解で、わたしの眼にはPSIによって未来の光景が映し出され始めていた。
最初に映し出されたと言うよりも身体全体で感じた感覚は不意に姿を表した怪物に襲われたことだ。
怪物と言うが正確には大体の外観は人間の姿をしているが、到底人間には見えなかった。
眼を青白く光らせ、獣のようなうなり声をあげ、怒りでむき出しにした歯には人間とは思えない細長い犬歯が並んでいるのが見えた。
首をつかまれたまま勢いよく押され、苦しいとも言えず、手を離そうとするが固定された鋼鉄のように動かす、わたしの身体は後ろの壁に叩きつけられた。
PSIを使い身体の周囲に障壁を発生させ身体の損傷を抑え痛みは感じないがわたしは身体全体に衝撃を受けていた。
よく考えるとあの怪物はイヴの記憶の中の人間ではないかと思ったがわたしはすぐに判断することはできなかった。
「―――!?」
何かわからないが、攻撃するならばと思い感覚ではあるが、眼を開けようとすると言うか、眼を開くと怪物の姿が消え、砂漠と言うか、荒野と言うべきか、果てしなく広い大地が広がっていた。
先ほどの怪物と戦っていた場所は暗く狭い上少し寒い感覚を覚えたが、ここは太陽で照らされ明るく、身体中から汗がにじみ出るような暑さだった。
「―――」
実際と言うか現実では12月で寒いが、わたしは思わずと言うように手で太陽光を受けないように顔を隠し、一息と言うように息を吐き出した。
『―――たすけて………』
「―――?!」
ここはいったいどこでどうすればこの状況は終わると思う時間もない状況で、反響と言うべきか声が震えているが後ろからイヴと思われる声が聞こえわたしが振り返ると場所が変わっていた。
『―――だれか、たすけて―――』
「―――イ―――」
振り返ると周囲は開けた路地裏と言うか人気の無い広場と言うべきで、振り返るとイヴの姿が見えたが声をかけらえる状況ではなかった。
「わた、し―――?」
イヴはわたしの方に背を向けている姿勢で、だれかと言うよりも、わたしらしき服装をした人間を膝に抱えて泣きそうになりながらも助けを求めている。
『―――違うと思いますけど、仲間になれると思います!』
「―――?!」
イヴが抱えているのが本当にわたしなのかわからず、見ている中で後ろからだれかの、正確にわたしよりも幼いと思うが少女声が聞こえ、わたしは声に反応して振り返った。
勢いよくだれだと言うように振り返ったが見えないと言うよりも少女らしき姿が見える寸前にわたしはプレコグニションの光景から解放された。
映像と言うか、感覚がプレコグニション時と現実時と勢いよく切り替わると言うべきで、わたしは一瞬で現実の感覚へと引き戻された。
頭痛は少し残っているが少しずつ痛みが引く感覚を得たわたしは床に手をつき、呼吸を整え始めた。
PSIは身体を動かすことと同様に体力を消耗し、わたしはほかのPSIに置いては対して体力を消耗しないがプレコグニションだけは本格的に別物で、酷く身体を疲労していた。
「―――ジェラ?! アンジェラ!? アンジェラ!?」
「―――――」
現実と言う世界に戻ったわたしの横ではいつからかと言うかわたしがプレコグニションを起こした時からだと思うがイヴが必死で大丈夫かと言うようにわたし名を呼んでいた。
「―――――大丈夫よ? ちょっと、立ちくらみがしただけ………」
「―――」
「本当に大丈夫よ? 心配しないで? よくあることなの?」
よびかけつづけ呼びかけ続けるイヴに対しわたしはイヴの肩に優しく触れ大丈夫だと言った。
事情を知らない他人から見れば急性の心臓発作か何かでも起こしたようにも思われる。
事実前に不意に起きた時にテレパシーで調べてみると多くが思っていたし、心配されるのも無理もないが、だれかが解決できるものでもないしこれはどうしようもないことで、わたしは大丈夫だと言いながら立ち上がった。
「―――それよりも、いこ?」
「―――――うん。」
立ち上がり、イヴの方に顔を向け何とか笑うようにしてみようと心掛けたが、実際どういう顔をしているかわからないし、少し顔色は悪いかもしれないが、言うとイヴは返事を返してくれた。
「―――ほら?」
「―――」
返事を返したイヴは顔を少しだけ下に向けたが、わたしは何にしてもと言うようにイヴに対して手を差し出し、少しして少し強引な気もしたが、イヴの手を握り歩き出した。
歩きながら少しずつだが気分もよくなってきたし、疲労感も減り、呼吸も整い始めたが、教会内は落ち着いたわたしたちに反比例しているように荒れていた。
「―――?」
「―――どうしたの?」
後ろから足音が聞こえわたしは立ち止まり振り返った。
イヴが何事かと聞き返したがわたしは何にしても後ろと言うか音の方に眼を向けた。
「―――――」
普通の人間ではないわたしと言う存在だからこそわかるが、足音の主が何か奇妙な存在に感じたのだ。
何が奇妙かと言うとテレパシーと言うべきか精神の声が全く聞こえてこなかったからで、人間と言うのは考えて無いようで何かを考えていることが多く、全く考えてない状態は考えられないのだ。
無線機のチューニングの類のようにPSIもある程度の距離と感度を強めれば聞き取れるが、音の持ち主からは声が一切聞こえなかったが、後ろを見ると歩いている人影が見えた。
人影とは言うが距離や外から差し込む自然の光の関係で姿は明確にみえ、男のようにも見え、何にしても奇妙なことに変化はなく、足でも悪いのか足を引きずって歩いているように見え、眼の前に何か手に取りたいものでもあるのか手を伸ばしていた。
「―――」
「―――――ダメ?」
「―――?」
うなっているようにも聞こえる声もだし、転びそうな雰囲気で、何を考えたのかイヴが前へと歩き出し、わたしはイヴの身の危険を感じてイヴを止めた。
イヴはと言えば何でと言うような反応だったが、わたしは何にしてもわたしから先に行くと言うように歩き出した。
「―――――あの? 大丈夫ですか?」
危険だとは思うがわたしは一応はと言うように歩きながら声をかけるが、聞こえていないと言うようにも見え、反応を示さなかった。
「―――――!」
聞こえてないのかと思いかけた中で、男はこちらに勢いよく眼を向け何を思ったのか走り出したが、わたしは彼が異様なことに気が付いた。
服が全体的に汚れていると言うか破れていて古くいたんだ状態で、皮膚も褐色が悪く病的で、一番は眼で、白く濁り生気と言うものが感じられなかった。
「―――――」
イヴは本能的に恐怖感を持ったのか勢いよくわたしの後ろに隠れ、わたしは思わずと言うべきだが、迫って来た男を勢いよく蹴り飛ばして後ろに押し戻した。
「―――――」
よくは解らないがと言う状況だが何か普通には見えないし一種の正当防衛だとも思うし、わたしは母に言われてだが武道を習っていてよかったと思い、母に感謝しようと思った。
PSIの能力は未知数であり、わたしの能力は現在拡大の一途だが、母ことリリーは能力の減退にも備えろと言い、精神の鍛練を含め、わたしの能力はPSIだけでは決してないのだ。
「―――そんな?」
武道を習っていたり経験していたり、未経験ながら冗談半分で手を出して痛い眼にあったことがある人間ならばわかると思うが、経験者の攻撃は相手の要所を狙い非常に強烈だ。
強烈とは言うが骨を折ったり内臓を傷つけたり、最悪殺すと言ったほどではないにしろ、非常に強力な威力にも関わらず男は何事もなかったようにすぐに立ち上がった。
「―――?!」
似たような男が左側の少し後ろから姿を表したと言うか、いつからいたのかわからないが、長いすと長いすの間だと思うが立ち上がり姿を表した。
「―――?! ?! !?」
時間にして3秒に満たない時間だが、教会中から人間のと言うか、彼に似たうめき声のような声が聞こえ、何事かと勢いよく見渡してみると後ろや右と言うか、上下以外はいつの間にか彼らに囲まれていた。
「―――――」
「―――わ!?」
全員わたしが蹴りを入れた男と同じで服が汚れているし破れ、皮膚の色が悪く、眼が生気を失った色をしていた。
だれがどう考えてもだと思うが、普通ではないと判断したわたしはPSIを使い、身体を浮かばせ、イヴも浮かばせた。
サイコキネシスは意思通りに物体を触れずに動かせる能力で、人間も簡単に持ち上げることが可能で、わたしとイヴの身体は床から3mほどの高さまで浮かび上がった。
イヴは何が起きているかわからないと言う状況だが、説明しているひまもなく、後でと考えわたしは下に眼を向けていた。
「―――ゾンビ?」
眼を向ける中でわたしは思わずと言うようにゾンビと言う言葉が出てしまったが、彼らをゾンビと言う以外にほかに言いようがなく、間違いなくゾンビだった。
先ほどまでわたしたちを見ていた視線は変わらずと言うように上に向け、変わらないうめき声をあげ、変わらない姿でわたしたちに向かって手を伸ばしていた。
「―――アン、アン~、たすけて~?!」
「―――?」
「―――」
ゾンビに含めて何が起きているかイヴにはわからない状態だが、わたしはあることが気になり、浮いているイヴを少しだけ動かしてみた。
「―――イヴを、狙っている?」
わたしたちを狙っていると思ったが、イヴを空中で動かしてみるとゾンビたちは視線と言うか全体の動きは泣き叫んでいるイヴに向かい、目的はイヴだと言うように動いていた。
「アンジェラ~!?」
「ごめんね? もう大丈夫よ? ごめんね?」
イヴを狙っていると解ったわたしはイヴを移動させ近づくとイヴは勢いよくわたしに抱き付いてきた。
勝手に悪いことをしたと罪悪感もあり、わたしはイヴを抱きしめてあやまった。
「―――?」
「―――アン?」
「―――よ、―――こ、―――せ? よこせ?」
微弱だがテレパシー的感覚で声が聞こえ、イヴが何事かと思う間もなく、わたしはゾンビたちがこの声を出しているのかと言うように顔を下に向け、聞こえて言葉を復唱し、意味を理解した。
テレパシーは非常に微弱だったが彼らは多少だが意識と言うか精神を持っているようで、イヴを必至と言うか、本気で手に入れようとしているようだった。
何にしても用件は終わり部屋から出たわたしアリーとドギーだったが、ドギーはすぐに喫煙所と言うか、わたしから離れタバコを吸いに行ったが、吸い終えた後と言うかわたしはドギーと顔を合わせた。
ドギーはと言えばよほど吸いたかったようで、吸い終わり出てくると少し落ち着いた顔をしていたが、わたしの顔を見るなり少しおどろいたような顔をしていた。
「―――――」
「―――どうしたの?」
「―――あ、いや、すぐに仕事に取りかかれと言うか、協力しろとか言うような感じだが、表向きな立場もあるし別に強制でもないだろう?」
ダミーと違うと言うか、神たちと違い話の分かる男だとこの時思った。
彼らは頭が固いしすぐにでも取りかかれと言う雰囲気だが、ドギーはと言えばわたしへの配慮をしてくれているようだった。
「―――オレは仕事は一応は大丈夫だが、お前はどうかわからないし、オレはオレで―――」
「―――ある程度の協力した証拠が必要よ? それにわたしも仕事なら大丈夫。休暇なの。」
「―――」
彼は仕事は大丈夫なようだがわたしは忙しいから無理だろうと言うように言い、オレだけで仕事はするから心配しなくても言うように言うが、わたしはドギーに少し辛い言葉を返し、ドギーは少し嫌そうな顔をしてため息を吐き出した。
表ざたにできない裏向きの事情とは言え、わたしたちは任された身でもあるし、立場も立場で一応の証拠は必要で、わたしとドギーは協力する必要が存在していた。
「―――すまんな。」
「―――ごめんなさいね?」
わたしとドギーは声をそろえてお互いに対してあやまった。
「―――何にしても、どうする? ―――てがかりな―――」
「当てがある。一緒にどう?」
「―――」
魂と言い、怪物と言い、サムライと言われる謎の男と言い、手掛かりがないとも言えずあるとも言えない状況で、ドギーが困っている中でわたしはある提案を出し、ドギーはと言えばこの女どんな当てがあるんだと言う顔をしていた。
「―――何にしても、いきましょう? ここにいると脳にカビが生えそう。」
「―――それはオレも同感だ。」
言った手前わたしが歩き出す中でドギーは後ろを歩き始め、わたしがため息交じりに言う中でドギーは同じ意見だと言うように言葉を返した。
表向きにアリーがどのような仕事をしているかわからないが状況的にどちらの世界でもある程度顔が効くようだとオレドギーは思ったが、状況的にオレに対しても協力的になるとは思わなかった。
「―――何にしても、早く協力して終わらせましょう? 面倒だし上の命令を聞くのは腹正しいし、悪くない額は支払われると思うから。」
「―――」
「―――――仕事? 一度戻る?」
表向きには表向きの事情が存在していると言うことを理解しているようで、アリーは気軽く職場に行くかと言うように話しかけてきた。
「―――どうしたの?」
「―――いや、あの、やけに、人間じみているなと―――」
気軽く話しかけるアリーに対し、オレは思わずと言うように言葉を返した。
「―――悪魔最強とかなんか言われているけど、わたしたちは単に異種交配の覚醒遺伝の結果よ?」
「異種交配? 覚醒遺伝?」
「―――人間と低級悪魔が5百年以上前に異種交配して誕生したって言うのがわたしたち一族の見解で、この異常な能力の強さは覚醒遺伝と言われているし、わたしの力じゃないし、わたしはこの力も嫌っている。」
アリーの話す言葉は自分自身に対する嫌悪感の跳ね返りとも言えるようだった。
「―――何にしても、仲よくしましょう? 昨日の銃裁きと言いあなたさえてるは?」
何にしてもと言うように振り返り、アリーはオレの前に手を差し出してきた。
「―――握手はきら―――」
「―――あんなやつとは嫌いよ? 任された以上協力する仲間よ? それにわたしと仲よくしておくと身分的に安全よ?」
何にしても生まれ持ったからにはと言うように間接的にと言うべきか身分と言うべきか職権と言うべきかをうまく使うと言うか、アリーは乱用しているようだった。
「―――そうだな? よろし―――」
「―――?」
オレもアリーと言う存在が協力してくれるなら確かに安心できるもので、嫌っていると言うこともあったし、少しはあるかもしれないので遠慮がちに片手を上げアリーの差し出した手に近づける中で、アリーは不意に上の方に顔を向けた。
「―――どうした?」
「―――さっきからなんだけど、なんか上の方で聞こえない?」
「―――――いや? 気のせいじゃないか?」
上とは言うが上には天井が見えるだけで何かが見えるわけではないが、アリーは天井の向こうの見えない何かが起きていて、何かを見ようとしている様子だった。
オレが質問すると思った通りで、上で何か起きている気がして怪しんでいるような表情だが、オレはそう言った気配と言うか、音を聞いてはいなかった。
「―――昨日クリスマスだっただろう? 近くと言うか上に教会あるし、催し物か何かやってるんじゃないか?」
「―――こんな朝早くに? それにそう言うのは聞いてないけど―――?」
「―――そう言えばそうだな?」
音を聞いてないとは言うが感覚的な違いかもしれないし、時期が1日過ぎたとは言え騒がしい時期でもあるのでオレが思わずと言うように言うが、アリーに返され、オレも納得し確認するために服から手帳を取り出した。
「―――――確かに、昨日は何かしてるが、この日は特に、片付けとかか?」
「アリー!?」
「―――?」
手帳に書き込んだり最近の予定の紙を差し込んだりと、1年近く使いこんだ少し痛んだ手帳の中身をアリーに見せ、違うよなと言うように確認している中で、遠くからアリーを呼ぶ声が聞こえ、アリーは振り返り、オレは同じ方向に眼を向けた。
音の方は放置し、声をかけてこちらに向かって走って来た彼らことリュー、ケリー、ビルの3人を見てドギーが悲鳴を上げたり、逃げたり、卒倒しなくてわたしアリーはよかったと思った。
職業柄なれと言うものは生まれているかもしれないが、死神とは言うが代行と言う身分で根本と言うか人間だし、3人は彼から見ればかなり異様と言うか人間に見えないのが現実だ。
「―――リュー、ケリー、ビル、おはよう。」
わたしは見慣れているしごく普通の反応をしてあいさつをするが、3人を見たドギーの顔はまだ少しおどろいているようだった。
「ディナ様は!? ディナ様はまだおられるか!?」
顔が少し白いと言うか赤い程度だが、背中に大量の鳥の羽を持った男ことリューがわたしに対して質問して来た。
正確には羽根の数は左右6枚ずつで計12枚で、悪魔の中でも上級とも言えるリュシュファーと同族と言うか子孫と言うか似たような系列の男でほかの2人も含め少し若いがディナの従者こと監視役と言うかお目付け役と言うべき男だ。
「―――匂いはするが―――」
「ここで逃したらまた怒られてしまうのだ―――」
リューならばまだハロウィンの冗談としてごまかせるが、後の2人はごまかせず、ケリーは顔と言うか頭が3つある毛深い男で、ビルは眼が昆虫のような複眼で腹部に昆虫のような足と背中に昆虫のような羽を生やしている。
本物とは到底言えないが、リュシュファーとケルベロス、それにベルゼバブの3人組で、ドギーはと言えば何者だと言うように見ていた。
少し慣れていると言うか職業柄ある程度の耐性はあると思うが、普通の人間なのだから言葉を失うのは当然だ。
職業柄相応の教育は受けているし、実物を見たことが全くなかったとはオレドギーは言えないが、間近で見ると思わず言葉を失ってしまった。
何かというとアリーに声をかけて近づいてきた3人で、彼らは大体の外観は人間ではあるが人間としての規格を十二分に外れていた。
アリーは面識があるのか慣れた反応で彼らをリュー、ケリー、ビルと呼び、リューだと思われる男がディナがどこかと聞き、彼らは部下か何かだと思われた。
「―――わかんないはよ? 早く行きなさいよ? 逃げるはよ? あいつ逃げ足早いから。」
「―――行くぞ?!」
「「ああ。」」
生まれながらと言うこともあるだろうが、経験も長いし、能力と言うか身分と言うかアリーは3人に対して落ち着いた様子で返し、3人は勢いよく先ほどの部屋へと向かって言った。
「―――――ごめんなさいね? 一生懸命なんだけどこっちの常識に欠けてるの。」
見送った後アリーは困ったと言うように頭を抱えながらオレに対してかため息交じりにあやまった。
「―――――何にしても、いくか?」
「―――そうね?」
何にしてもここで立ち止まっているわけにもいかず、オレもアミをまたしている上体でもあるし、アリーの言うあてのある場所へ行かねばならずと言う状況で、口を開くとアリーは仕方ないと言うように答え歩き出した。
PSIにテレポートと呼ばれる能力が存在している。
生物無生物、PSIを使いわたしアン自身の身体も含まれるが物体を自由自在に別の場所へと移動する能力だ。
移動する能力とは言うがサイコキネシスなどとは違い、瞬時に別空間へと移動することが可能で、一瞬で世界の反対側へも平気で行ける。
物理学などと言う観点で言うと不可能だし音速を、言わばマッハを超えて光速の領域に到達しなければ不可能だが、わたしの能力は人間としての科学の領域を当の昔に超えている。
わたしはこれを使い、瞬時に教会の外へとイヴと一緒に脱出した。
人気の無く身を隠せる場所と言う意思が働いたのか移動した場所は木の上の緑の中で、イヴは枝に腰かける姿勢で、わたしは教会が見える場所に立っていた。
「―――」
周囲はたくさんの墓が並び、人の気配もなく、教会が少し先見えた。
教会の外見は何もないがクレヤポヤンス、言わば透視を使い中を見てみるとイヴが原因だが荒れ果てているし、中であのゾンビだと思われる人間たちはイヴを探すように動き回っていた。
「―――アン?」
気が付くと教会の外に出ていたと言う状況でイヴはどういう状況だとわたしに説明を求めるように服と言うかズボンをひっぱるが、わたしはどうするかと教会に眼を向けていた。
「―――?」
「アン? どうしたの?」
何にしてもPSIを使い調べると全員が中にいるようで、訳が分からないし外に出すと危険な気がしてドアの部品を壊したりして外から出られないようにしようと思った時だった。
「―――何?」
教会の天井から全身真っ黒で頭と言うか眼を赤く光らせた物体7、8体が勢いよく教会の床に落下した。
「―――銃?」
感度と言うものを高めてよく見てみると怪物ではなく全身を黒い服で武装した人間たちで、ロープを使い下りているし、眼は防毒マスクか何かのゴーグル部分のようで、手には銃のような細長い物が握られていた。
「―――――」
警察か軍隊かと考える時間もなく、彼らは手に持っていた銃を教会内のゾンビたちに向けて迷うこともないと言うように発砲した。
詳しい名称などは解らないが細長い連射式の銃でゾンビには手加減なしにと言うように銃弾が撃ち込まれ、銃声が教会の外にも勢いよく響き渡り始めた。
手や足、頭や腹部、飛び出した内臓と言った人間の部品と言う部品が銃弾で砕け、吹き飛び、人間としての原形をなくし始め、わたしはこれが現実なのかとみているしかできなかった。
「―――アン、大丈夫? わわ? アン?!」
イヴは大丈夫かと言うようにわたしのズボンをひっぱるが、わたしは答えられず、枝から落ちかけたのか慌てた声が聞こえわたしは安全のためと言うか、眼の前の光景を信じられず恐怖感からかイヴを思わず勢いよく抱きしめた。
教会内のゾンビたちは銃弾を受けているが意外にもわたしが勢い良く蹴った時と同様に痛みと言うものを感じていないのか、銃弾を受けながら彼らの方へ進み始めていた。
ゾンビたちの中には頭がなくなっているのに歩いていたり、足がなくなりはって進んでいる状態のゾンビもいたが、突然現れた彼らは動く限りはと言うように何にしても銃を撃ち込んでいた。
『―――――射撃停止。』
「―――?」
足元に来たゾンビを足蹴にと言うか踏み倒し、近づけば体当たりしたりナイフで切ったりと、手加減の無い戦いの中で不意に女性の声が聞こえ、教会内の中央に何か緑色の光の線が見えた。
光がわたしの気のせいかと思う中で不意にゾンビ全員が床に勢いよく力が抜けたように倒れた。
「―――――」
一瞬にして銃声が止まり、ゾンビたちの集合していた中央に女性と言うか幼い少女の姿が見えた。
顔立ちは東洋系でわたしよりも幼くイヴよりも年上で、15、6ほどに見えるが、少女は彼らと言うか武装集団を同じ服を着ていた。
Weapons
And
Rescues
Professional
よく見ると胸部に4つの単語書かれ、彼らと彼女は仲間と言うか、軍隊と言うか武装集団なので隊長格のようだった。
「―――ワー、プ………?」
『佐藤大尉。』
「キャプテンサトー?」
単語を思わず力して読んでいる間に彼らのうち1人が口を開いた。
『―――見てわかると思いますが銃では彼らは殺せません。抗体がない限りは焼き払うしかありませんし、DMと異なり溶解の可能性も低いです。』
『―――了解。』
佐藤大尉と呼ばれた少女はまだ足元で生きているゾンビを見つけると勢い良く踏みつけ、ほかの動いているゾンビを蹴り倒しながら言い、彼らは指示に従うと言うように口を開いた。
「―――――何? 何者なの?」
イヴと言い、イヴを狙うゾンビと言い訳が分からないのに、次は謎の武装集団と彼らを指揮する少女と、理解できない状況だった。
「―――――!?」
不意に少女が眼を光らせた。
光らせたと言うと何かに眼をつけたと言うような表現にも感じるが、彼女の眼は実際に光った。
青緑と言う色が正解だが、わたしはこの眼が光ったことに加え、彼女の視線がこちらに向いたことにおどろいた。
「―――――っく!?」
眼が合っていると思った。
彼女の思考をPSIを使い呼んだわけでもないが、わたしはこの時直感的に彼女と眼が合っていると判断しテレポートで逃げた。
眼が合ったと言うか、彼女は間違いなく視線をこちらに向けて動かさず、わたしも物陰に隠れていて絶対見えていないが、彼女のあの眼は間違いなくわたしを見ていた。
何者かはわからないが、イヴと言い、わたしも危ないと判断し、わたしはイヴを連れ勢いよく自分の部屋へとテレポートした。
人間ではないハイブリッダーとしてのわたし桜の能力によって変えられた眼は本来人間の眼では見えないが、教会の壁を超し、木々などにも隠れた人間の姿を映し出していた。
木々に隠れてみる少女はアンジェラ ブラウン、超強力なPSIの持ち主であり、彼女はイヴと名乗る少女を保護し、ゾンと接触した。
アンはわたしに対して危機感を得たか逃げ出した。
「―――教会の処分を。」
「了解。」
わたしは不意にこの場に姿を表したゾンたちをアンが消えた後に掃討する。
過去が確定しているわけではなく未来が変わるとも言えず、微妙な心持ちだが、わたしは何にしても仲間たちに指示を出し、仲間は指示を聞き動き出した。
遠くと言うか近くから銃声が聞こえ、オレドギーはアリーの言っていた何か聞こえないかと言う言葉を気のせいではないと言うしかなかった。
何か起きている状況を調べなければと言うようにオレとアリーは進み出し、外に出るとアリーは銃を取出し、オレもまずいかと言うように銃を取り出していた。
「―――――教会、からだったわね?」
「―――ああ。」
迷うまでも似ないと言うようにアリーは勢いよく進み教会の扉の前に立ち、オレも後ろに立った。
「―――45か、過激な銃を持つものだ?」
「―――あなたこそ? 50でしょ? 何にしてもいきましょう?」
アリーの握っている銃は45口径の大口径拳銃で女性には不向きな銃とも言え、オレの持っている銃も50口径の大口径だが思わずと言うように言う中でアリーは返し、ドアノブを握った。
オレも銃の知識に深いわけではないが、拳銃の口径や威力、反動は多種多様で45は本来軍事用に製作され単発威力や反動も強く女性には不向きとされ、女性は小口径低威力低反動の22口径を護身用に持つのが普通とされている。
不向きとは言うが昨日の一件と言い、アリーは背も高く体格もよく、45の扱いにも慣れているようで心配無用のようだが、銃の扱いに置いて危ないのはどちらかと言えばオレだ。
職業柄の護身用として持ち歩きある程度調べてダットサイトを搭載するなどの改造をしているが、あまり使っていない状態だ。
あの怪物との実戦経験も昨日が初めてであの時はアリーがいたから思わずと言うように動けたが普段と言うか日常的に持ち歩いていると言うのが正しいしとも言えオレは使い慣れないものを握っていると言える。
「―――――? ―――っ!?」
「―――どうした?」
「―――開かない? 何で!?」
ドアノブに手をかけて回したアリーだったがノブを回し続け、オレが何事かと聞く中で、言葉通りに本当に開かないようでドアノブを引いたり押し始めた。
「―――――このっ!?」
「―――!?」
「―――開きなさいよ!?」
急いでるんだと言う状況だが不意に銃の弾奏を抜き、弾丸を装填していたのか排莢し、銃のフレーム部分手に取りハンマーのように持ってドアノブを勢いよく叩いた。
「―――――よしっ!」
「―――――過激だな?」
「―――何にしても行くわよ?!」
銃撃って壊せばいいと言う考えも出るが、専門の本を読んだが銃声も大きいし跳弾の可能性もあるし、教会のドアノブも古くて壊れやすそうなのでアリーの判断はある意味正解だと言えた。
3回ほどたたくとノブが勢い良く壊れはずれ、地面に落ちるとアリーはよろこぶ中で弾奏を広い、オレが思わずと言うように口を開く中で弾丸を再装填し、ドアを勢いよく蹴って開いた。
「―――――何? これ? 死体?」
「―――――なんだ? これはひどい………?!」
勢いよく中に入るとアリーは眼を下に向け、オレは何事かと言うように見ると教会の中央には大量の人間の死体のような物体が見え、オレとアリーは思わず言葉を失った。
「―――――これは、銃傷? 撃ち殺されたの、か!?」
「―――――爆弾!?」
オレとアリーが何が起きたと言うように死体に近づき口を開く中で、死体の中央に何かが見え、オレは言葉を失い、アリーは見たままの言葉を返した。
00:15
一見するとデジタル表記の目覚まし時計に見えたが、近くに白い色の塊のような物が置かれ、数字は時計とは違う時間を表示し、秒読み、言わばカウントダウンのようで数字は15から14、13と減り始めていた。
「―――それにこの臭い!? 血に交じっているがガソリン!?」
「―――」
「―――」
血なまぐさい臭いがしていて少し嫌なにおいがすると思ったが、混じった匂いの中にオレはガソリンの匂いがしていることに気が付いた。
ガソリンの匂いは気のせいかもしれないし、爆弾と言う根拠はなかったが、オレとアリーは爆弾に背を向け走り出していた。
教会の外へと向かって勢いよく走る中で、あの爆弾と思われる装置の秒読みは刻まれ、オレとアリーが教会から飛び出て地面に伏せると同時に数字が0となったのか、背中の上から勢いよく爆発する音が響き渡った。
「―――何よ? どうなってんのよ?」
「―――わからん? 何が何やら―――?」
あの物体が爆弾と言うことが証明され、この爆発の勢いから判断してガソリンが巻かれていたことは事実のようだったが、オレとアリーは事実だと確認する暇はなかった。
アリーの質問に対してオレの返した答えは思った通りの答えで、ほかに言い返せなかった。
オレとアリーに与えられた仕事ならばある程度理屈は通るが、ほぼ廃屋と化した教会に大量の死体が置かれ、ガソリンまでまいて爆破すると言うのは奇妙な話だ。
奇妙な話だが、教会はと言えば事情は知らないが爆弾置かれたから爆発したと言うように勢いよく炎上していた。
幸いなのはオレとアリーが怪我をしなかったことで、建物も造りがいいのか倒れる気配がなかったことだ。
イヴに説明することができないが、何にしてもわたしアンは一瞬でわたしの部屋へと到着した。
先に床に着地し、後から少し時間差でイヴを少し高い位置に移動させ、わたしは落ちてくるイヴを受け止めた。
「―――――」
落ちてわたしが受け止めたが意味が解らないと言うように勢いを受けたイヴは言葉にもならない言葉をだし、少し落ち着いた中でわたしはイヴを床に下した。
「―――ここ、どこ?」
「―――――わたしの部屋、何にしても、ここは安全だから、ね? 安心して?」
「―――うん。」
イヴは突然の事態で何事かと言うように部屋を見渡していたが、わたしはイヴの前で膝をつき、眼を合わせて真剣な表情で言うとイヴは少し不安そうだが納得したような表情を見せた。
「―――――さて、でも、どうするか?」
「―――」
本番はこれからだった。
思わずと言うように連れてきてしまったが、ゾンビに襲われかけていたし、謎の黒い服の武装集団も姿を表すしで、イヴをこれからどうしようと言う課題が生まれていた。
『―――――も終わりましたが、新年へのカウントダウンへ向け―――』
「―――!?」
「―――と? いけない?」
不意に室内のテレビの電源が付き、イヴがおどろきわたしは思わずと言うように反応した。
不意にと言うが実はこれはわたしが原因で、わたしのPSIには電気系の物と言うか家電や電気に関係する物に多大な影響を与えることがあるのだ。
これだけは周囲の影響が一番どうなるかわからず実践していないが、わたし自身発電能力と言うものも持っているようで、わたしのPSIにも謎が多いのだ。
「―――ひ、人?」
「―――イヴ?」
PSI事態実在が疑問視され資料も少ないが、まずは放置して消さないといけないなと言う状況の中で、イヴがテレビの画面を見て非常におどろいている反応を見せた。
「人が、人が? 小さい人が………?」
「―――――?」
「―――」
まるでと言うか本当にテレビが動いていると言うか映像が映るのを一度も見たことがないと言うような反応だった。
「―――安心して、あれはテレビ。」
「てれ、び?」
「―――電波と言うか、まぁ、何にしてもおもちゃよ? なれたらおもしろいから?」
テレビを見たことがあるかないかは放置してわたしは簡単に説明する中でテレビに向かった。
「―――も~?」
『―――続きまして、昨晩起こりました警察署爆破事件に関してです。』
「―――?」
電源を消そうとする中で、映像に映っていたニュース番組らしき映像からある言葉を聞き、わたしは電源を切る手を止めた。
『目撃証言によると犯人は1~20人のグループで、麻薬中毒症患者と見られ銃が効かず、危険な状況にあると判断できますので、外出の際はご用心願います。』
「―――」
『―――加えて、警察は防犯カメラに映った主犯と思われる2人組の写真を公開しました。』
普通ならば切っていた状況かも知れないが、状況が状況だったためか、何にしてもと言う状況でわたしはニュースの言葉に耳を傾け、映像を見入っていた。
『―――双方男性で2、30代ほど、1人は身長6フィート以上でやせ形、白人、黒い長髪にサングラス、もう一人は中肉中背でアジア系黄色人種で身長は5フィート5インチ大、もう1人より少し短いが長髪、双方銃を所持している可能性があります。』
「―――――アン?」
『―――目撃者によると2人と言い麻薬か何かによる作用か以上に強い力を持ち、凶暴化しているそうなので、不審な人物を見かけた際には―――』
映像には監視カメラから映されたと言う言葉通りのモノクロームの画質の荒い映像に映る言葉通りの2人の人物の姿が見え、イヴが声をかける中でわたしはニュースを見入っていた。
『―――新しい情報です。教会が、燃えているそうです。』
「―――――教会?」
『―――現場へカメラを、―――聞こえていますか?』
ニュースを読み上げている中で横から別のと言うか新しい情報が来たようで、ニュースキャスターは新しいニュースを読み上げてわたしと言うかほかの人間もいると思うが視聴者に伝えた。
『―――通報があり、来てみましたが郊外の教会が―――――』
「―――――」
「―――アン? アン?」
言葉を失うと言うか、何も言えない状況だった。
すぐにでも切ってしまえばよかったと言う状況だったが、思わず止まってしまった手は身元不明の少女を抱えたわたしにとって少し不都合な事実を伝えると同時に、先ほどまでいた教会が炎上している情報を伝えてくれた。
教会が燃えていると言う情報を聞きまさかとも思ったが、映像に映る教会は間違いなく先ほどまでわたしたちがいた教会で、原因は解らないが勢いよく燃えていた。
何が起きているかわからないが、わたしにとってもイヴにとっても不都合なことが起きている状況だが、イヴはよく理解できていないようで、わたしに声をかけ続けていたが、わたしはなんと言っていいかわからずすぐには反応できなかった。




