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追従する者たち

 逃げる背の高い少女と2人の男女、推定して身長2m近くもある狼と忍者と、わたしセレナーデの眼には奇妙な人間と生物が、よほどの事情がない限り人も入りそうもないような建物の中に行き来する光景が見えた。

 行き来するとは言っても玄関からではなく、5、6階、正確には6階だが、わたしの人間ではない感覚は遠く暗くなり始めた景色を鮮明に感じていた。

 眼をより強く凝らしてみてみると建物の中には4人の人影が見え、わたしはそのうち3人に見覚えがある気がしていた。

「―――空野彼方、霧島真矢、木之本桃子―――」

「―――クラスメート?」

「―――ですね?」

 わたしがだれかと思いだせない中で、後ろで見ていた入谷が口を開き答えをだし、わたしが聞くとその通りだと言うように返した。

「―――――」

「―――ちょっと? 待ちなさいよ? 入谷?」

 言うと入谷は帰りましょうと言うように背を向け歩き出し、わたしは引き止めた。

 言うまでもないがわたしたちは吸血鬼で吸血が必要なわけで、現在では専用の人工血液や多くはないが協力者などの力によって減少しているが、時折はこうして狩りに出たくなる者も存在し、わたしは出ていた。

 殺したりしないようにと言うことで入谷は監視役としてわたしについている状態だった。

 わたしはある意味旅行者で自由奔放な身だが、入谷はわたしと違い、人間で言う公務員でお役所での仕事をしているのだ。

 結構信用されているし真面目だし、顔もいい方だし、相応の立場にいるとも言えた。

「―――直飲みしたいとは言ったわよ?! ついてくるとか言って! それでこれよ?! 大収穫じゃない!?」

「―――」

「バランサーよ!?」

 勘弁してくれと言うような反応で、入谷は振り返りもせず、わたしは半塲強引に手を取って引き止めた。

「―――1929年の10月31日のシカゴ、ハロウィンの悲劇を忘れたの?!」

「―――忘れてませんよ?」

 大事なことを言ったのに入谷は反応せず、わたしが再び口を開く中で、入谷はこっちを見なかったが一応はと言うように反論した。

 不意に古い時代の話をして疑問に思っている人間も多いと思うが、吸血鬼は不死身ではないが、人間よりも長生きで老化も遅く、わたしも若い外見だがこれでも50年以上は生きている。

 年寄りとか言われそうだが、科学的に身体の年齢も老化していないし、これは生物的な特徴だ。

 生まれつきとも言え、吸血鬼とかに噛まれてなったのではないかと聞かれるかもしれないが、わたしは生まれながらの吸血鬼だ。

噛まれて生まれた種と生まれながらなど基本として、わたしの場合で入谷はできないが背中から羽根を出して空が飛べることや、わたしはできないが入谷はできる怪物のような姿に変身するなど多種多様な種類もたくさん存在している。

科学的に猿が人間へと進化したと言われるのと同じように、わたしを含め多くはチスイコウモリだと思われるが、ほかの生物が人型へと進化したと推測され、特徴か少しだけわたしたちの耳は普通の人間よりも上の部分が鋭利な気がする気がする。

関係して暗闇も見えているが、眼も少し悪く、わたしは周囲の音で回りを見ていることが多く、人の顔を覚えられないことが多い状態だ。

コウモリからの進化と言えば夜行性だと思われるが、意外と人それぞれと言うべきで、夜の行動が多くそう思われる部分も存在し、わたしも夜が強いが、入谷は夜が苦手で夜になるとよくあくびをしている。

太陽光が苦手で浄化されて死ぬと言う話もあるが、夜全盛の活動が人間に知られ話が大げさになったものと考えられ、入谷のような黄色人種もいるし、黒人も存在し、人それぞれだと思うし、第一太陽光浴びて死ぬ生き物など存在しないのが常識だ。

苦手と言えば十字架ニンニクが嫌いとか言う話があるが、母が言うにはわたしは厳格なカトリックの家系だし、ニンニクを使った肉料理も大好きだし、種類の多さと言い虚偽の領域はわたしや全体でも把握できていないそうだ。

「―――わたしはあの時子供だから知らなかったけどさ―――」

「調べるのも重要ですが、心の準備をさせてください。」

「―――ごめん。」

 入谷は噛まれて吸血鬼化し、過去を深く話さないがわたしよりも長生きで2、3百年は生きているようで、わたしの言ったハロウィンの悲劇とはわたしたちに起きた事件で、入谷はその時現地にいたたった1人の生き残りだ。

 ハロウィンの悲劇はわたしたちの歴史に残る事件で、1929年10月31日の水曜日、30人以上の吸血鬼が惨殺されたが、犯人が一切不明なのだ。

 吸血鬼狩り、ヴァンパイアハンターなんて言葉が出てきそうだが、わたしたちから言わせれば千年以上も時代遅れな話だ。

 確かに人間たちに猛威をふるった時代はあるが、わたしが聞いた話では歴史には知られないが本格全面戦争の歴史も起きて条約も締結されているのだ。

 多くの人間が知らないようになり条約も無効化しかけているが、偉い人間や入谷のような多くが言葉通りに裏で維持に貢献しているのが現状で、減少しているが事実を知る人間が存在し協力していることも事実だ。

 ヴァンパイアハンターなんてものはよほどのことがない限りは動き出さないし、入谷が出した報告書によると、犯人だと思われる人間たちは自らをヴァンパイアハンターであることと関係者で亜あることをも否定したとのことだ。

 犯人は男性2人と女性1人で、自らを『調節者(バランサー)』と名乗り、事件後調査を開始したが、現在まで進展はなく、世に言う迷宮入り状態だが、生き残りの入谷は捜査に対してあまりいい反応を示さないのだ。

 吸血鬼と人間との条約が締結され千年に一度の有事とも言われているが、解決できず、事件から90年以上経過する中で、わたしたちは重大な手がかりを手に入れたにもかかわらずだ。

「―――あの女じゃないの? そんなに怖いの?」

 わたしは巨大な狼に対して閃光手榴弾を投げつけたパールと呼ばれていた女のことを聞いた。

 入谷がいい反応を示さないのは調節者の恐ろしさからだそうで、1人の女がひどく恐ろしい女で、夢に見るほどで思い出したくないそうだ。

「―――違う、あの2人でもない……」

「―――5年くらい前のアフガニスタンの一件と言い、最近と言いしっかりしてよ? あれから百年近くもたっているから当然でしょう?」

 報告書によれば3人は2、30代ほどで生きていれば90歳か100歳ほど、仮に子孫がいてもおかしくはなく、入谷は5年ほど前似たような人間を見つけ自力でと言うか、勝手に捜査した過去と言うか前科がある。

 前科と言えば聞こえが悪いが、ある意味共通点があったそうで、入谷は現在でも関係すると考え調査を続けているとのことだ。

「―――あれは確かに似ていたんだ。―――似ていたんです。」

「―――こんな時に敬語は止めましょう? まったく、あれから百年たつのに立派なオリジナルを持っているわね?」

 入谷が思い出したくないのは犯人の女性が怖かったと言うこともあるが、入谷を噛みヴァンパイアとしたオリジナルの女性を失ったことも手伝っている。

 噛んだのがどこのだれか知らないが教えがよほどよかったのか、入谷はわたしのように生まれながらの種やほかの種に対して敬意を持った言動だが、言い返した瞬間普通な物言いで返したが、わたしはどうでもいいのでいいと言うように返した。

「―――だけどセリー、信じられますか? 出身地まで一致したんですよ? 調べる中で似た女性まで見つけたんですよ?」

「―――確かに、上層部からも信頼に置かれ、事件の生き残りでもあり、犯人と同じ日本人の入谷とは思えない発言とも言われるようにもなるわね?」

「セレナーデ!」

 少し動揺しているが敬語で話すのは変わらずと言う状態だが、わたしたちの中には一部差別や卑下する者もいるし、入谷の話し方はある意味正当だが、わたしは少し厳しく返した。

「―――有力な手がかりかもしれないんです! 子孫の可能性もある! わたしは捜査を続ける気だ!」

「―――彼らがカギを握っていることは確かだし、だれにしても―――?!」

 わたしも事件の資料や少し前に調べた資料に眼を通していたが、うそのようで、何にしてもあの建物を見ながら応援を呼んだり忙しくなると言うように言う中で、勢いよく入谷に肩を持たれた。

「―――っい?」

「―――――あなたは、あの女の恐ろしさを知らないからそう言えるんだ。」

 痛いと思うほどに入谷は肩を強く持ち、わたしを抑え、目を反らすなと言うように顔を近づけ口を開いた。

「―――彼らだってどうなるか何者かもわからないんだ! ここを第二のハロウィンの悲劇の舞台に………」

「―――――」

「―――する気、ですか………?」

 言葉を続ける中で入谷の眼が涙目になり始め、涙が頬を流れる中で、不意に顔を伏せ膝をついた。

 入谷は震え脅えているようで、肩を持つ力は弱まり始めていた。

 再会した時と言い、愛想笑いが似合う男だが、心の奥底には暗い過去があるようで、肩を手に取った時の表情は真剣そのものでわたしはなんとも言えず、どうするかと思う中で彼女たちのいる方向に目を向けた。

 調節者と関わった彼女たちもいずれ関わることになるのだとわたしはこの時意識していた。


 人に知られずに人の話を見る行動、言わば盗み見は職業柄するのは仕方のないことだが、2人の様子を見ると、なんとも居心地が悪く、罪悪感と言うものは確実に起きるものだ。

 罪悪感を持つことは大切だが、何も考えずに機械や事務的に片づけず、中間の位置に立ち人間の情の中にある必要な情報を取り出すことこそ諜報の本分だと楊は言ったが、わたしヴィナはこの時できているのかと同時に考えていた。

 楊の命令で来たこの時代で、調べることは多々あり、反応があり、来てみるとわたしたちは2人の人間の話し合いを目撃していた。

 距離的にもまるわかりだが、特殊強化服の光学迷彩などの技術の恩恵で、普通は見える位置だが、わたしたちは透明になっているし気づかれていなかった。


『吸血鬼』


 原理は不明で、おそらく未来のようなどこか別の世界だろうが、楊がわたしたちに授けた特殊強化服の防毒マスク越しのレンズには2人に対し明確な分析結果を出していた。

「―――吸血鬼………」

 あの恐竜の怪物ことソーには『Saurソー』、または『Enemy(敵)』と表示するなど、この服は防御力と言い、運動能力と言った様々な強化が与えられ、計り知れない情報が与えられていた。

 わたしの持っている神の力など足元にも及ばず、この世界の存在の事実と言い、移動技術と言い、楊は考えれば考えるほど正体不明の人物だ。

「―――マスターアラキとマスターパールだと思われますが、追いますか?」

「―――いや、止めておこう。」

 見ていたのは2人こと、セレナーデと入谷だけではなく、遠くにいる彼方たちも見ていて、仲間が話しかけてきたが、わたしは駄目だと指示を出した。

 マスターアラキとマスターパールと言ったが、楊が師と言っていたが、彼らが本当の2人かはわからず、わたしは仲間に対して止めさせた。

「―――では、彼女を追うんですか?」

「―――」

「―――司令官?」

 彼女と2人の前に先に建物から出ていった少女だと思われ、この少女にはわたしと似た反応が出ていた。

 1999年の12月31日のあの時から20年以上の月日が経過しているがこの世界は原因不明の崩壊はなく平和だが、わたしの存在と言い、何かしら共通点と差異が存在していることは明確だった。

 生まれながらでなく突然身についた神の力と異なる歴史を歩む世界と怪物の存在と、加えてわたし自身と彼女らの関係と言い、追求すべき問題は多々存在した。

 原因を解明し同じ道を歩ませず阻止し、最終的に全員が安全な世界へと移住すると言うのがわたしたちと言うべきか楊の目標だ。

「―――いや、彼女たちとはいずれ関わり合いになると思う。」

「―――?」

「必然的にな………」

 わたしたちは膝をついていたが、言い終えるとわたしは立ち上がり、仲間も立ち終えると少女が逃げ去った方向へと眼を向けた。

 人間とは思えない速度で走り去り、肉眼では見えないが、わたしたちが着ている特殊強化服は眼は確かに彼女を映し出し、彼女とわたしがよく似たものだと教えてくれ、近くにいる2人が現実には存在しないものだと思っていたが存在するのだと証明した。


 追撃はなかった。

どこのだれか知らないが、バランサーと名乗る2人にやられたわたし遥香は走っていた。

何が起きたか気になるが、悔しくて腹が立って、仕返ししたいが、彼らにはかなわないと思うし、あの場に爆弾をぶち込むわけにもいかず、わたしは少しして安全を確認して立ち止まっていた。

歩いたり自転車ならば10分以上かかる距離をわたしは数分で走り、高い跳躍力を使い、ビルの屋上に立っていた。

「―――お疲れ。」

「―――?!」

 追撃はないし、いつかまた会う時もあるだろうし、その時はこの屈辱は絶対に晴らすと思い、走っていた方向を見ている中で、後ろから声が聞こえ、わたしは振り返り、何かが飛んできた。

「―――?」

「―――とりあえず、飲んだら? 疲れとれるよ?」

「―――雪乃?!」

 思わずと言うように受け止めて何かと見ると栄養ドリンクで、屋上には座った雪乃の姿があった。


 風が吹くと桶屋が儲かると言うことわざが状況的に一番ない状況だとわたし雪乃は考えていたが、いつかは解らず、どこかからも、だれがと言う原因もないのかもしれないが、不自然と言うか違和感が存在していた。

 神様になれると言うか、神と同等の力になれると言う力が手に入ると言う話事態奇妙な話で意味不明なものだが、関係して何かが動き出しているようだった。

「―――まいどありがとね?」

「いいえ?」

「―――まったく、こういう時にしか出てこないんだから?」

 力を使い、わたしは遥香を待ち伏せし、気付けに栄養ドリンクをわたすと、遥香は飲みながらだがわたしに対して文句を言ったが、わたしには対処できない事態だ。

 桃子と言い、彼方たちと言い未来予知の能力がある程度備わっていて、未来を見ることはできるが、異常なほどの量の多さにわたしたちは対処できないし、行動にも迷いが生じ、動けなくなるのだ。

 たとえると未来は増改築を繰り返し続け、超巨大な上最新鋭の設備を整えた図書館で、過去と現在の記憶も混在し、本は小数点単位で数えきれない速度で所蔵数も増やしている状態だ。

 必要な情報、言わば、求めるべき答えは宇宙の秘密など人類が知らないことなどの例外はあるが絶対とは言えないが存在している。

ほかの答えと言うように同じ問題に対し数多くの答えも存在し、同一の答えに数多くの問題も存在している。

自力で解けない問題の答えを探している間に迷子になると言うこともあり、本来の目的も忘れてしまうほど膨大な情報にもあふれている。

全てを知ることはできず、必要な情報だけを取出し、できる限りのことをするしかできず、身の保身と言えば聞こえはいいが自分の可愛さにわたしは戦いからよく逃げている状態だ。

「―――どーすんのよこれか―――」

「―――バランサー、調節する者、か―――」

「―――?」

 わたしのわたした栄養ドリンクを飲み終えた遥香は投げ捨てた。

 投げ捨てたドリンクのビンは勢いよく床に飛んで行き、割れるかと思うと、不意にその場から姿を消した。

 これからどうするのかと遥香が聞きかける中で、わたしは口を開き、遥香がおどろいた反応を見せた。

「―――前にも言ったけど―――」

「わたしも全部が解っているわけじゃないし、風向きが変わり始めている。答えの扉は開きかけているし、鍵はだれかが持っている。」

 見ていたなら手伝えと言うように遥香が言いかける中でわたしは勢い良く反論した。

「―――わたしたちは扉の前にいるけど、あなたもわたしも鍵を持ってないし、こんなこと終わらせたいなら身の振り方を考えた方がいいと思う。」

「―――身の振り方?」

「―――曲がりなりにも、協力したほうがいいってこと。」

 こんなこと終わらせたいのはだれだって同一だが、わたしも遥香も答えに近づく手だてがなくここまで来たし、わたしはこの風向きに代わりを利用する手はないと思っていた。

「―――無論協力できるならよ? あのバランサーみたいに無理そうなのもいるしね?」

「―――」

「―――」

 言い終えるとわたしは遥香の走って来た方向へと顔を向けた。

 あの子たちも無論含まれているとも言おうと思ったが、遥香から見て顔に書いてあると思うし、彼女は言葉の道理を理解し正しい選択だと判断するが、意外と怒りやすいし反論が返ると思うので黙って置いた。

 昨日と言い一気にことに動きがあり、わたしも疲れていたし、少ししてわたしはあくびが出た。

 遥香がこんな時と言うように顔を向けたが、眠いことは事実だし、本当は自分が飲もうと思っていた栄養ドリンクもわたしたし、そんな怒りに満ちた目で見て欲しくないものとわたしは思った。


 思ったよりもいい刺激になったと言うよりも刺激が強すぎたようだった。

 わたしこと伊那が真矢に触れ少しした後真矢が消えた。

 わたしたちとは違う神の力を持つ人間や神以外の力を持つ人間がいることは確かな事実で、わたしはあの真矢と言う少女に対し、少しだけわたしたちの力を与えると言うか攻撃したと言うか刺激してみたのだ。

 十二分な揮発剤となったようで、本人の意志での正確な制御は難しいようだが、能力は自覚できるほどに覚醒したようだった。

「「―――――」」

 どうしようかと2人して顔を合わせた後考えて消えて飛んで行ったと思う方向に顔を向けたがどうしようもなく、時間だけが経過し、陽が落ち、わたしたちは2人そろってあくびをしていた。

「「―――行こっか?」」

 夜も深け遅い時間になると言う状況の中でわたしたちは同じように口を開き眠気も感じ、先ほどまでいた真矢に見せた耳と尻尾を身体の中に戻すと、手をつないで歩き出した。

 少しだけなら未来も解るし、わたしたちは肝心のことが起きている場所にはいかず、次の問題が起きる場所に向かい始めた。

「―――どうなると思う?」

「―――うまくいくかな?」

「「ね~?」」

 逃げ道とも言われるがわたしたちは彼方たちよりも子供で、以前以後を問わず何が起きているかは正確には計り知れず2人合わせてどうするかとも言えない反応だった。

 逃げ道とは言うが逃げ帰るわけでもなく、わたしたちは家にも帰らずと言う状態で前に進み始めた。

「カークさんいつ来るかな~?」

「すぐ来てくれるよ? それよりもお母さんご飯作ってるかな~?」

「―――作っててもトカゲとかだと思うよ~? 苦いから嫌~い。」

 とりあえずはうまくやったと思うしと言う感覚で、母こと白夜にも怒られたくないし、父も帰っている時もあるしで、わたしたちはわたしたちで事情を抱えていた。

「「―――ご飯は後で考えよう?」」

 普段から日常的に十二分と言う以上に助けてもらっているし、少しの間はカークの手助けを得られないのがわたしたちには痛手になっていた。

 時間的には現在飛行機などには乗っていると思うが、便利だとは言われるがカークの魔法と言うべきか魔術と言うべきかと比較すると失礼だが遅いし、来てもわたしたちはいつ来たか正確に把握する手段もなかった。

 携帯も持っていないし、連絡を取る方法も現段階ではなく、母も含めカークと父も遠い場所にいるし、とりあえずはある程度はことがまとまり少しはわかりやすくなるだろうし、完全に悪い方向には進まないだろうとわたしたちは考えていた。

 白夜こと母の作るカークの言うPTAや児童保護団体に訴えるご飯の問題も後回しにわたしたちは進み始めた。

 わたしたちが目指しているのはあの変身した道と言う名の男の子の家だった。

 4人はそこに連れていかれるし、ほかにもその場所へと行く人間が存在しているのは確かな事実だ。

 

 日本とアメリカのとの時差は14~17時間で、日本のほうが日付変更線も存在し早く、現在朝の9時前だ。

 何が言いたいかと言えば場所が変わり、わたしカークの話で、わたしは世に言う悪魔の力を使い、日本の伊那と理沙の家から、自分の家に帰っていた。

 帰ったのは正確には日本時刻の午後10時頃で、わたしは自分の部屋の前のドアに立ち、ドアに鍵を差し込んで開けているところだ。

 よく考えると直に家につくようにすればよかったとも思ったが、意外と頭が回らないもので、鍵を開けながらわたしは日本時間で言うこの日の夜のことや2人のことを考えていた。


 わたしが清水家で働くことになったきっかけは数か月ほど前にさかのぼる。

 式神、言わば使い魔の類を召喚するための儀式の練習中に伊那と理沙が起こした事故だ。

 地面、または床に円陣を書き、呪文または詠唱を唱えることによって中央から無償で使役する魔物が姿を表すと言う仕掛けで、わたしはこれに呼ばれてきたのだ。

 少し知識があればそんな馬鹿なとも思うがこれが事実で、2人の母親こと、白夜、妖狐が円陣の書き方を間違え、伊那と理沙が間違えたものを余計に間違えて書き、偶然これが悪魔召喚の円陣に非常に似たものになっていたのだ。

 呼び出すにはある程度の魔力と言うか、人間外の力が必要だし、宗教関係の知識も求められるし、全くないわけではなく一部では行われているが、この時代にと言うこともあり、わたしは呼び出され、来てしまったのだ。

 円陣は偶然の一致として、問題は呼び出したのが日本人の、加えて半神の子供2人で、興味本位でやったとも見られたが、妖狐の教え方が悪いことが一番の要因だった。

 不幸中の幸いは呼ばれ、わたしが来たことだ。

 わたしは半分天使だし、上層部とも顔が聞くし、日本語も話せ非常に友好的だが、上級下級を問わず人間に敵対心を向け好戦的なものもいるし、悪魔召喚は本来タバコと同様で百害あって一利なし以上の損失を与える。

 与えると表現したが、これはどちらかと言えば正しくない表現で、タバコと言うよりも覚醒剤やMDMA、コカインなどの麻薬と同様で、心身問わず二度と人間としての尊厳を保てないほどにすべてのものを奪われると言う表現が正解だ。

 最悪一家一族全滅の可能性も存在し、自給千円かそこらでベビーシッターに落ち着いたのだから、妖狐はまだいい買い物をして、安い授業料を払っていると言うべきだが、やはり西洋と東洋なので理解力にかけている気がするのだ。

 外来生物同様に生態系的にわたしたち外来種が優勢だが、妖狐は日本の妖怪や神々は強いと自負し、伊那と理沙は悪魔と聞き、知識もないので半分は怖がっているが、半分は興味深々で、わたしのこともよく理解していないと言えた。

 教えることが多々あると言え、少しの間本格的に日本に行き、妖狐含め、わたしは一応従者と言う役目だが、教えることは教えようと考えていた中で、夜での一件だ。

「―――――」

 必死に訴える2人の顔が脳裏から離れなかった。

 わたしも人のことは言えないが、頭から生える狐の耳と下半身から飛び出した尻尾は彼女が紛れもなく普通の人間ではないと伝えていた。

 

 一瞬の回帰している間に回したキーは施錠された扉を開け、わたしはドアノブを回した。

 室内は朝日で照らされてなんと言うように明るいが、灯りをつけていないので少し薄暗かった。

「―――――?」

 ドアを開けた時一瞬だが風か何かだと思うが、何かが動いたように見えた。

「―――――気のせいか。」

 動いたように見えたとは言い、思わず気のせいかと口を開いたが、実はこれは気のせいではないし、実は世に言うあちら側の知り合いが勝手に来ているようで、相手をしたくないので思わず無視するようにこう言ってしまった。

 朝帰りと言うずいぶんな身分と勘違いされそうだが、書類手続きはほとんど終わらせているし、夜には空港に行く予定になっているし、本腰を入れて日本に行くための準備を整えていた。


『ケヴィン ミラー

件名 準備は万全です。

本文

準備は整っています。

ライダーシステムもニンジャも

日本に持っていく手続きができています。

旅の御武運を祈っています。』


携帯を見てみるとケヴィンからのメールでの連絡があった。

ケヴィンは母アルティア アークライトの友人と言うべき男性で、バットマンに登場する主人公ブルース ウェインの執事アルフレッド ペニーワースの様な男だ。

20年ほど前、正確には1999以前、ダムス パニックと言われる事件があり、ケヴィンの様な一部の天使や悪魔、神までが本来生活していた場を追放され、人間の世界で生活を始めている中で母と出会ったそうだ。

 現在は大手家具メーカーのサイツ社の重役の1人で、会社一同母には世話になったと言う道理もあるのか、わたしは会社では結構言い身分として優遇され、名誉社員なんて書類だけは結構いい身分にある。

 日本ではベビーシッターで小間使いだが、アメリカに帰ればわたしは自分でもお笑いだが、立派なカークお坊ちゃんと言う訳で、ケヴィンも時折わたしを坊ちゃんと言おうとすることがある。


 いい御身分と言うこともあるが、追従してわたしはサイツ社がしている裏の顔、ライダーシステム開発生みの母、アルティア アークライトの後継者としてライダーシステムのテスター及び開発の手伝いをしている。

 母のころはライダーズと言われていることが一般的だったが、現在は裏向きにだが一般にも市場販売が始まり、ほかの会社や組織も開発を始めライダーシステムと言う方が一般化している。

 非科学的能力を特定の希少金属や電気信号などを使い科学的に制御できる装備で開発当時は腕時計やブレスレット型で二世代型はケヴィンが持っているらしいがベルト型、3世代目こと現在のわたしがテスト中のスマートフォン型になっている。

 わたしのライダーシステムは2つの世代の技術をフィードバックし、改良を重ね組み合わせ、最新鋭の「トライアングラーシステム」を搭載し、TRSと呼ばれている。

 ニンジャはライダーシステムには関係ないが、KawasakiのZX-10Rのことで、わたしの愛車のバイクだ。

 カラーはグリーンで、この仕事は一筋縄でいかないとも考え、動きやすい足が欲しいと考え、愛車を日本に持っていくことに決めていたのだ。


『カーク アークライト

本文

ありがとうございます。

空港へは一休みし、夜になってから行きます。

一度本社にもよります。

朝ですが、おやすみなさい。』


 メールの返信を返したわたしは自分の部屋に行き、ベッドに横になった。

「―――――」

 時差ボケもあるし、仕事や書類手続きもあったしでここでやっと都合よく休む時間が手に入ったと言うべきで、ベッドに横になると大きくあくびをした後眼を閉じた。

「―――――?」

 お客さまだ。

 客とは言うが、招かれざる客で、玄関のドアを叩かず、部屋越しのリヴィングの中央の、頭上あたりから飛び降りてくる客だ。

 天井が壊れていて上の階の住人が来るのではなく、人間外の客が専用の入り口を造りだしてここに来るのだ。

「――――――――――」

 心の奥底から寝かせて欲しいんだがと言いたいが、彼らの来た音がリヴィングから響き渡った。

「下りろ!? 馬鹿犬!?」

「うるさい無駄羽!?」

「羽根がー!?」

思わずと言うようにため息も出るし、朝から近所迷惑だし、黙らせ、片づけたほうがいいが、身体を動かす気力もなく、わたしは再びため息を吐き出す中で、客は部屋の中に入って来た。

「「「カーク!」」」

 普通の人間なら卒倒するかハロウィンではないと言う光景だ。

 入って来たのは3人の男だが、1人は顔が少し赤い色をした男で正確には片方6枚で左右12枚の羽根を持った男と、顔が3つある毛深い男、最後は眼が人間とは思えない昆虫の様な複眼で背中に羽と腹部に昆虫のような小さい足を持つ男だ。

「おはようございます。リュー、ケリー、ビル。」

 これからわたしは寝ますので出て行かないと骨の髄まで焼き払いますと言いたいが、後で酷く面倒なことになるので何にしても相手をしなければいけなかった。

 羽根男がリューと言う名前で、この男は聖書などを呼んだことがあればわかると思うが、リュシュファーだ。

 失礼だが歩き時邪魔になっているし手入れも大変そうで無駄に多い12枚の鳥の羽根を背中に隠し、皮膚が少し赤い色をしているように見える。

 顔が3つある男がケリーでこの男はケルベロスだ。

 地獄の門番であり、悪魔として高い地位にあり知識も持っているが、悪く言うと毛深い中年男だ。

 最後の1人がビルでビルジバブだ。

 日本語発音ではベルゼバブ、ベールゼバブ、ベールゼブブなど多々あるが、単語上和訳発音する場合個人的にはビルジバブが正しいと思っている。

 ハエの王とも言われる悪魔で、悪魔としての高地位だ。

 神話などで活躍する話があるが、彼らは本物ではなし、名前も通称名で本名ではなく、正式には似たような種族や子孫で、人間とは思えないのは当然として、わたしはある事情があって彼らとの関係がある。

「―――ディナ様を見なかったか?」

「―――知りません。」

 半分とは言え同じ悪魔同志で情報交換と言うこともあるが、関係とはディナと言う女で、正確には彼らはディナの従者だ。

 従者を抱えて何者かと聞かれるとかなりえらい立場だ。

信じられないが世に言う大魔王と言う身分の女で、彼女1人が彼らの世界の統治者なのだ。

一見すると高貴な身分だが、わたしも周知の事実だが、職務怠慢職場脱走世界移動の常習犯で、情報求めてリューたちはわたしの家に来るのだ。

 世界移動と言うのは言うまでもなく、この人間のいる世界へ行くことで、リューたちは彼女を追ってきたのだ。

 最初に聞いてきたのはリューだったが、わたしは質問に感情を押し殺したような物言いで率直に答え、眼を怒っているように細めた後で足を組み、機嫌が悪そうな反応を3人に見せた。

 半分ではありあまり多用はしないが、影の血族の力は神さえも恐れる力であり、わたしがこういう反応をすれば3人は必ず警戒すると言うよりも半場脅える。

 勝手に家に入ってくるなら魔力とかで障壁を設け来ないように言えばいいとも思われるが、一筋縄ではいかず、わたしにも付き合いと言うものがあるのだ。

「―――――外ですよ? これから寝るんで静かにしてくれませ―――」

「―――ああ、やはり、我々は事実を公表し、国交を開くべきなのか?」

「―――大魔王たる存在が人間の世界で遊びほうけているなどと知られたら、大きな失態に―――」

 上層部との接点があると言ったが、これは母から譲り受けた遺産のようなもので、ディナとわたしは実は幼い時からの付き合いであり、亡くなった母の親友でもあり、世に言う一種の腐り縁なのだ。

反面半分とは言え悪魔最強の戦闘種族で興味本位に神や天使、エクソシストなどに喧嘩や成敗をされそうになる可能性があるので、脅威の報告などなくてはならない報告も多いから困りものだ。

「―――――」

『Release』

「「「―――!?」」」

 腕を組んでこれからどうするかと言う3人を見ていたが、話もまとまらず、正体を明るみに出すなと恐ろしいことを言い始める中でわたしはライダーシステムを取出し起動した。

 彼らから見てわたしの足元や室内中の影が命や身体、加えて意志を持ったように動きだし、床から複数の鋭い刃のように突出し取り囲んだ。

 これこそ影の血族の力で、限界こそあるが計り知れず、影を自由自在に操り形状変化は当然として、質量の増殖減少や物質変化が可能なのである。

「―――問題を余計に増やさないでくれませんか?」

『Close』

 本題を遠まわしにするなと言うように言いながらわたしはライダーシステムを停止させ、影は本来の状態へと戻った。

 ライダーシステムは電源を起動すると「Alive Mode」となり、能力を始動する「Release」、能力を制御状態にする「Close」、暴走時などに緊急事態時に完全制御し能力を使用不能にする「Shut Down」と言う機能が備わっている。

 捨てて一定の距離をとるか電源を切るかバッテリー切れになると「Out Mode」となり、能力の制御範囲内から解放される仕組みだ。

 半分と言うこともあり、わたし自身がライダーシステムなしにまったく能力が使えないわけでもないが、何というか半分の自分自身が信用できないので、これが使いやすいのでわたしはよく愛用している。

 信用できないとは言うのも無理もなく、実はわたしが自分が悪魔と天使のハーフだと知ったのは実は母の死んだ時、正確には18歳の時で大学進学を控えた時で、本格的に悪魔として生活を始めたのは10ほど前だ。

「―――この時間なのでそろそろゲームセンターが開く時間です。近所を探せば見つかると思いますよ?」

 ライダーシステムについてはこれ以外にも機能があるし、人生についても話す必要もあると思うが、何にしても話を進める必要があるし、わたしは遠まわしに出て行けと言うように玄関の方を指さした。

「―――わ、わかった。」

「そ、そそそ、そうだな?」

「い、行こう!?」

 あなたたちはそれでも従者かと言うような脅えた反応の中で3人は部屋を出ていく構えを見せた。

「Release」

「「「―――――?!」」」

 このまま出ってしまえと言うのが心の奥底の本音だが、問屋がおろさない状態なのでわたしはライダーシステムを起動して強引に止めた。

「―――――その恰好で外に行く気ですか?」

「「「―――――」」」

「―――前みたいに警察に捕まっても身元引受人になりませんからね?」

 わたしは見慣れていて精神的に免疫があるが、表にでも出れば常識外の変態や怪物で、わたしと違いこの世界での一般常識にもかけていて警察に捕まるのは必然で、前科もありで数回ほど捕まえられ、わたしはその都度身元引受人になっている。

「Close」

「リューは羽根と顔を、ケリーは頭を一つに、できればひげもそって、ビルは眼と羽根、脇腹の足。」

 数えるほどしか言ってないが、彼らの世界にはこれ以上の種がいて、常識も通じず暴力的なものも多く、悪魔は危険だが、ライダーシステムを切る中で3人は言うとおりにして姿を変え始めていた。

「―――はい、よくできました。行ってらっしゃい、それとお休みなさい。」

 力を使えば偽装は簡単にできるのでわたしは人間の姿になったのを確認すると少し厳しく見たような物言いで言い、勢いよく横になった。

 わたしはあなた方の世話係ではないし、ある意味世話係のあなたたちが世話されてどうするとも言う状況だが、後は面倒とも思う上、彼らは勢いよく部屋を出て行った。

「―――――」

 玄関の扉が閉まる音が聞こえ、5秒ほどしてわたしは少しだが、勢いよく起き上がり、部屋のクローゼットに向かった。

「出て来なさい。ディナ!」

「―――――うぉわっ!?」

 クローゼットを勢いよく開き、わたしは手を入れ、中に隠れているディナを引っ張り出し、床に放り投げた。

 部屋に入った時にだれかがいると言ったが、これこそと言えば失礼だが、あの世界の知り合いであり、亡き母の友人でもあり、3人がおっていた大魔王ことディナだ。

「………いたた………?」

「―――変わりませんね? 相変わらず家具の中に隠れる。」

 大魔王と話したが、絵にも描けないような恐ろしい外見ではなく、床に転がっているのは外見的には10歳ほどの少女だ。

「―――これで大魔王とは、あの世界も笑わせ………」

「―――――うるさいうるさいうるさい――――――――――!」

 10歳ほどの少女だが、わたしの10倍以上、言わば200年以上生きているし、魔力と言うものも、わたしと比べると低レヴェルだが、3人と比べると格段に高い領域だ。

「本来わたしは踏襲とは無縁だったんだ――――――――――!」

 高貴な身分とは程遠く、わたしの10倍以上も生きているが中身は外見的にも成長したわたしと違い外見相応かそれ以下の自分勝手な子供だ。

「―――――大魔王の弟の娘―――――」

「ヨシムネのようには行きませんね?」

「やかましい! お前の日本うんちくにはうんざりだ!」

 家系を正確に把握していないようで毎度家系が言うごとに代わっているし、わたしが返す中でディナは言い返してきた。

 ディナの返した日本の知識に関係する事だが、ヨシムネとは正確には徳川吉宗と言う日本の江戸時代の人物で現在に言う内閣総理大臣にも相当する征夷大将軍と言う役職に就いた人物だ。

 当時家系による踏襲性が一般的だったが吉宗は家系の中では結構はずれた方で後継者とは程遠かったが、就任し、現在で言う構造改革を成し遂げた偉大な人物だ。

 日本の時代劇に「暴れん坊将軍」と言う番組があり、創作が多いと思われ、どこまで事実かは不明だが、この話は彼をモデルにし、間接的にだが後世にもその偉業は伝えられているが、言い返してきたディナとは大違いな人物だ。

「アリーと言い、お前と言い、ディランと言い―――」

 ここアパートメントなので下の階に響くからやめてくれませんかとわたしが言う言葉を跳ね除けそうな勢いでディナは悔しそうな顔を本気でして地団太を始めた。

「―――ほめ言葉として受け取っておきます。」

「それも日本のドラマだろうが!?」

「―――――おっと?!」

 何にしても止めないといけないので口を開くが、竜の逆鱗ほどではないが、感に触ったようで、床に置いていたものを投げられ、わたしは紙一重で避けた。

「―――何にしても、3人はごまかしましたから、この隙に逃げた方が身のためですよ?」

 朝早いし近所迷惑だしわたしは穏やかにだが外の方を指さしてディナに対し出て行けと指示した。

「―――まったく、クローゼットベッドに改造して………」

 別段隠れていても静かにしてればいいと思うが、ディナはクローゼットと言い、わたしの部屋で結構いい迷惑なことをたくさんしている。

ここはあなたの部屋ですかと聞きたいほどにクローゼットの中は変えられ、シーツが敷かれ、寝泊りができるように改造され、食べ終えたお菓子とかの袋がたくさん落ちていた。

「ゴキブリとかわいたらどうしてくれるんですか? 掃除するのはわたしなんですよ?」

 無論常識で言えばディナを引き渡してしまえばいいし、何度か引き渡していることもあれば見逃していることもあり、ディナは逃げずにわたしの説教を聞いていた。

「―――何にしてもリューたちは猫探すみたいにゴミ箱とか変な場所探していると思いますので、戻るなり、少し遠いゲームセンター行くなりした方がいいですよ。」

 言い終えるとわたしはベッドに戻り腰かけた。

 すぐにでも寝てしまいたいし追い出したいのが本音だが、昔からのつきあいもあるし、まだ何か言いたそうな反応をしていたので、わたしはとりあえずは横になるのは止めてディナに目を向けた。

「カァ~クゥ………?」

「―――そんな眼されてもわたしはどうにもできません。」

 助けてくれと言うような眼でディナはわたしを見てきたが、泣き落としは長い付き合いだから通じないし、わたしには何もできないのは事実だ。

「―――まったくなんで神がノストラダムスの予言なんか信じるんですか?」

「―――わたしは関与してないし、あ~、わたしの残りの人生一生書類整理で終わる………」

 ダムスパニックのダムスとはノストラダムスを意味している。

 信じられないことに神たちがあの予言を信じて神や天使、悪魔の裏切りや暴動の予言と勘違いし、抑止や防止のため人間で言う大幅な人員削減製作をとったが、ダムスパニックは無論これが失敗した結果だ。

「そうだ! カーク! 前の一件考え―――」

 上層部はディナを含め責任追及のため多くが現在は人間の一生では片づけ終わらない書類仕事に追われている状態である。

 顔を下に向けて少し暗くなっていたが、いい案があると言うようにディナは不意に明るい表情で顔を上げる中で、わたしは失礼だが話すのを強引に止めさせるように顔面を足蹴にした。

「―――あなたと結婚なんて冗談じゃありませんよ? わたしには二次元の恋人たちがいる。」

「―――」

「前みたいに候補とか言って娼婦みたいな化粧の濃い悪魔の女連れてきたら殺しますよ? それとわたしには影の血族との不可侵条約が適用されるし、情報提供はしたはずです。」

 わたしは半分とは言え悪魔最強の戦闘種族の、影の血族の末裔を母親に持ち、ディナをはじめとする悪魔たちの上層部の多くが種族保持を目的とした縁談を持ってくることがある。

 一応と言うように悪魔の仕事はしているが、影の血族は母で終わりでわたしも種族の保持には興味もないしいい意味でも悪い意味でも見ての通り人間生活を謳歌しているわたしには不要な話である。

 影の血族の自然消滅は一族の総意であり上層部との条約も締結され高階級以上の特別階位ももらっているらしいし、戦闘種族としての有事の価値を求める思考に加え、ディナの手柄目的なのが丸見えだから嫌なのだ。

「―――母が死んでからもうすぐ10年経つんですよ? 何が悪魔最強の戦闘種族ですか?」

「―――――」

「―――まったく、それとわたしは忙しいんです。仕事の都合があるからこれから寝るんです。邪魔しないでください。」

 座っていた体制とは言え顔面に直撃し悶絶しているディナを放置し、わたしは嫌そうに言い終えると横になる中でディナは言葉にならない言葉を上げた。

「―――おい、カーク頼むよ~? せめて~」

「―――前に話した一件で日本に行くんです。サイツ社とアサルトトレーディングとの取引もありますので、ふて寝ではないので邪魔しないでください。」

 ほかの話を聞くだけでもいいからと言う物言いに対し、わたしはすばやく返した。

 正式な手続きでわたしは日本に行き、少し長い間滞在するし、この睡眠の間でわたしは心の準備のような物をする気で、ディナの意見など聞く耳持たずと言うように返した。

「―――お前また日本に―――――」

「―――――?」

「行く、のか?」

 うるさいから帰れと言いたいし、ライダーシステムででも追い出すかと言うように考える中でディナが奇妙な反応を示し、わたしは顔を向けた。

 また行くのかと言うようにディナが言ったが、わたしは結構な頻度で日本に言っているし、わたしはサムライやニンジャ、カタナと言った日本大好きなアメリカ人で、部屋にも日本関連のものがたくさん置いてある。

「長い、のか?」

「長いです。手続き済みで、半年の予定ですが、最悪1年以上になるかもしれません。」

 困るからやめろと言うような物言いではなく、軽くだがおどろいているような反応だった。

「―――――以前の妖狐の一件話したでしょう? 召喚魔法を間違えて、何にしても契約は成立していますし、あの子―――――」

「いいぞ! 行って来い! 遠慮するな!」

「―――?」

 曲がりなりにもと契約を結んだ伊那と理沙のことを理由にわたしはディナを黙らせようとする中で、反対するかと思われたが、ディナは大賛成した。

「―――何考えているんですか?」

「―――――!」

「図星ですか?」

 日本に行くと言えば行こうとするたびにディナは反対しているし、机の上とかにおいているフィギュアとかも批難するし、妨害しようとすることが多く、わたしはすぐに疑いを持ちディナの率直にぶつけた。

 うまい話には裏があると言う言葉そのもので、ディナは見たままに隠していますし申し訳ありませんと言うような反応を返した。

「あ~、いや~? あの~、その~?」

「時間の無駄なので話してください。」

 悟られたのは事実だがどうやって話せばうまく動くかと言うような残り時間が少ない中で思索している様子だったが、わたしは時間の無駄なので話すように半場命令した。

「―――」

「しかし応じるかはわたしが決めます。」

「お前のそういう性格が嫌いだ!」

 本題の理沙と伊那のこともあるし、わたしは状況によっては無理だと言うように返したが、ディナに思い切り強く返された。

「―――」

「―――とにかく、代行者のことは知っているか?」

 先ほどと同じようにほめ言葉として受け取っておきますと言いかける中で、ディナは口を開き、机の近くにおいていた椅子に座った。

「―――代行者制度ですか?」

「―――――そう、人間に神の力を与えて、神の代行者として統治するあれだ。」

 困ったと言うような様子でディナは口を開いた。

 普段は大魔王の尊厳なんてかけらも感じないが、これだけはまじめな話だと言うような雰囲気で、お前も真面目に聞けと言う顔だった。

 中世のEU圏の話となるが、貴族、司祭、平民と言った当時の身分制度が通用した背景に神の代行者や選ばれた人間だと言う理念が存在している。

 貴族階級とは神に認められたこの世の統治を任された選ばれた代行者であり、司祭がこれを容認する地位として、貴族と司祭階級が身分として確固たる地位を気づいていたと言える。

「―――実際に神も選出したり派遣していたが、効力が少なく、近代文明化も手伝い、現在回収中となっている。」

「そうだ。そのことだ。」 

「―――――神側の管轄でしょう? それに少し前に行方不明だった総代表が見つかったと聞きましたが?」

 近代文明化の中で政教分離をはじめとして神が否定される状況が全盛となり、代行者は実在するとしても効力がないし、人間に手出しもできず、神たちはこの力の回収を始めていた。

 ディナの外見は幼いが、反応はまさしく大魔王に相当する反応だった。

「―――確か、ジョセフ スミスさんでしたか? ケリーから聞きましたが返上を嫌がっているとか?」

 偽物と言えば失礼な表現になるかもしれないが、中世の貴族などとは現実問題的に違い新しい世界を生み出し、世界を滅ぼせる神の力が手に入る中で、失いたくないと感じるのは当然の心理だ。

 従者のケリーから聞いたと言ったが、これは情報漏洩などではなく、わたしたちの間では世間話の一種だし、代行者も1人だけではなく、最近一番強い力を授けられた総代表が見つかったと話していたのだ。

「―――いや、それよりも厄介だ。委任していた。」

「―――」

 無限大とも言え拡散と言った分離させることも可能だが、絶対的に0にはならず消滅しない力だが、代行者となった人間は間接的に力を放置したようだ。

 言いながらディナはわたしの机のおいていたフィギュアの一体と言うよりも一体と一台を手に取った。

 あれはわたしが最も日本で大好きな特撮、仮面ライダーブラックのSICと言うブランドフィギュアで、プラモデルのバイクにのせたものだ。

 話しは飛ぶし長くなるがこのフィギュアはディナも言ったことがあるが、ファンからゴキブリみたいだとか批難を受けているが、わたしは非常に気に入っている。

 特撮のフィギュアなのだが映像と違いすぎると言うのが批難の理由だが、現在となっては個人のシリーズの創始者であり、原作者の石ノ森章太郎氏の書いた原作漫画版とのハイブリッド構造であり、これこそ真の姿だと言えるとわたしは思っている。

ディナはこれに関係してるぞと言うように見ていたが机に戻した。

「リインカーネーションを用い、天使2人に見張らせていたが、いつの間にか、無意識にだったんだろうな? 赤ん坊だったか移していて探すのに30年以上かかったと言うのに―――」

「―――ZANNEN。」

「―――なんかわからんが、最悪とか言っているんだろう?」

ディナの言うリインカーネーションとは日本語で言う輪廻転生であり、簡単に言うと生まれ変わらせることである。

代行者を生まれる前に決め、天使2人で監視していたが、いつの間にか移されていてジョセフと言う男のものになっていたが、見つけたジョセフも委任していた状態と最悪の状況に上塗りをしたようだった。

「―――それでな、調べるとな、日本人の女性にな、委任したそうだ。それでな?」

「―――探して来いと?」

「―――」

 条約のような物もあるし、手伝えなんて言ったら怒られるよなと言うような遠まわしな反応でわたしは思わず返し、ディナは沈黙した。

「―――ディ―――」

「ついででいいんだ。任意だ任意。」

 話たかったことはそれかと聞く間もなくディナは勢いよく慌てた様子で返事を返してきた。

「ジョセフも結構高齢だし問いただすのは人道的にどうかと思うとだし、それにもうエージェントも派遣済みなんだ。お前も仕事があるだろう!? 単なる呼びかけだ呼びかけ!」

「―――」

「―――じゃあな! わたしはゲーセンにでも―――――」

 何も言っていないし、絶対にしないと言った覚えはないが、ディナは言い終えると部屋から出て行くような素振りを見せ始める中で、玄関の扉だと思うが扉が開くような音が聞こえた。

「―――――何にしてもだ。もう少しこっちの文化をだな、学ばないとな?」

「カークが教えてくれると思うか?」

「―――ディナ様は失礼だが信頼できないし―――」

 早い気もするが3人が帰って来た。

 会話の内容から見て絶対に自分たちでは見つけられないと踏んだようで、一時撤退するか、わたしに協力を仰ごうと言う構えだった。

「―――ディ―――」

「―――わたしはここだ! 大魔王ディナ! ここにいるぞ! 来い! リュシュファー、ケルベロス、ビルジバブ。」

 逃げた方がいいのではないかと言いかける中でディナは勢い立ち上がると前に進み彼らによく聞こえるように大きい声を上げ、3人の名を呼んだ。

「―――?」

「―――このために来たんだ。ほかに用はないからな? 帰るよ?」

 何事かと思っているとディナは振り返りわたしに対し先ほどの子供のような態度とは違った大魔王と言うべきらしい物言いで言った。

「―――ディナ様?!」

「―――頼んだぞ?」

 声に反応し3人が向かう足音が聞こえる中でディナはわたしに対し言うと部屋を出て行った。

「―――静かにせんか! カークが寝ているんだぞ!」

「ディナ様~?」

「―――カークと代行者の件を話していたんだ。ほら、いいから帰るぞ? 仕事する。」

 出て行ったディナは一応は思いやるとかと言う意志があるようで3人を怒っていた。

「―――」

「わたしが仕事すると言ったらおかしいか? ほら? 帰るぞ? ぐずぐずするな! スープの具にするぞ?」

 3人の声と言うかおどろいたような反応が聞こえる中でディナは正々堂々と言い、隣の部屋でディナの呪文のような声が聞こえたかと思うと、何かが燃えるような音が聞こえ、隣の部屋は静かになった。

 3人とディナが帰ったことを確認する気も起きず、わたしはベッドに倒れるように横になった。

 これからどうなるかわからないが、とりあえずわたしは最初の予定通りに寝ることにした。


 調節者の本分は調節する事であり、時と場合によって敵にも味方にも、正義にも悪にも、弱者にも強者にもなる。

 ある時は敵、ある時は味方なんてな空想の物語に出てくる正体不明の謎の人間が言いだしそうな言葉が出てきそうだが、調節者の立場はこれ以上の存在だ。

 過去現在未来と言う時代を超え戦うが、多元宇宙による並行世界の発生などすべてが確実とは言えず、高い多様性を持つ中で、調節者の行動は必ずしも確実な安寧や平和と言うものを生み出すとは言えないのだ。

 不意にと言うように彼方たちの眼の前に姿を表し、遥香を退散させたのもこの行為に該当すると言えるが、次に会う時は彼女に手を貸す場合もあり、彼方を攻撃する場合もあるのだ。

 元犯罪者などを集めた調節者部隊は人間としての思想良心などを無視し、司法取引などによる利潤追求主義傾向が強くこう言った矛盾する行動を平気でと言うよりも思考を無視して行使する。

 目的は何かと聞かれれば表向きにはスポンサーことすべて機構(オーグ)の意志の意向の通りだが、オレ荒木とパールたちにも考えが合って行動している。

 オレ以外も含め、語りべの回想としてこれまでのことやこれ以後のことが語れ描かれ最終的な結果はこちらの記憶の中にあり、ある意味情報を出し惜しみしていることは事実で不公平なのが現実だ。

 不公平は承知するが、最終的な結果だけを知っても本格的な意味を理解することはできないことも現実だ。

 最終的に何が起きるかと言えば不変的で確実とは言えないが、物語には始まりと終わりが存在することで、関わった人間の身に何かが起き何かを知り、利益か損失かも問わずに何かを得ることだ。

 不公平と言うことを表現もし、少しだけ公平にするようにハンディキャップと言うべきか現状で教えられることを何個か教えておくことにし、オレたちのことをまず教える。

 オレの名は紹介したが、正確には荒木勇で現在36歳、日本人の男性でハーフハイブリッダーだ。

 不公平を続けるがオレはある時とは言うが正確には3年前だが、瀕死と言うよりも即死の重傷を負った中で、彼方たちとの一件後現在一緒に走って逃げている相棒のパール ガルシアに助けられハーフハイブリッダー化してしまった。

 パール ガルシアは現在28歳の女性で、ハイブリッダーだ。

 ハーフハイブリッダーとしての立場的な物言いだが、パールはオレのオリジナルと言うことなり、時折オリジナルと呼んでいる。

 調節者となったのは3年前にこのパールがおっていたあることに巻き込まれハーフハイブリッダーとなった結果の1つだ。

 懐古的な物言いだがあれから3年がたつが、人間が人間でない力を手に入れることは非常に恐ろしいことだとオレ勇は逃げる中で考えていた。

 人ではなくなった身体のこの眼は閃光手榴弾を投げた激しい光の中と反対の暗闇の中で定格な視覚情報を手に入れて現在は人気の無い場所を走っていた。

 人がいないと言う訳ではなく、正確には民家の屋根の上などを音もなく、姿を消して走り飛んでいる状態だったが走り終え、オレとパールは人気の無い公園に降り立った。

「―――ひとまず、終わったな?」

「―――」

 個人的にはとりあえずは昔話のようにめでたしと二度言いたいような状況だが、パールの方はこれからが本番だと言う顔をしていた。

「固いな?」

「―――当然だ。」

「―――」

 サングラス越しに青白く光る眼は紛れもなくパールをハイブリッダーだと知ら締めていた。

「これから始まるんだ。」

「―――――」

「―――母に誓った。次こそ守るとな。」

 拳を強く握りしめ、覚悟を決めた物言いだった。

「―――」

「―――お前にはわからんだろうな。戦争や戦いで大切なものを失う気持ちなどな。」

「―――相変わらずきついな?」

 オリジナルであり、相棒ではあるが、パールの物言いはあまりいい反応ではなかった。

「当然だ。3年前と言い、護衛命令が出ていたから助けたんだ。」

「―――ハイハイ? どうせオレは最悪だよ? 親はセージカで贅沢三昧な人生だし、自衛隊辞めたし、傭兵しながらカメラとか持ってブログで報道カメラマンとかジャーナリスト気取ってたし?」

 パールの反応は嫌だったがと言う言葉が出てきそうな反応で、言われる中でオレは自分の他人から見られて嫌な部分を話した。

 オレの父荒木優一郎は日本革新党の政治家の1人で、母親も政治家で、政治家一家に生まれ贅沢三昧好き勝手、悪いこともたくさんしてきた人生だった。

 大学と言い高校と言い高学歴だが、親に似ず似たくないと考え自衛隊に入隊したがここも合わず止めて傭兵になった身分でジャーナリスト気取っていた部分もあり、犯罪こそしていないが、結構な御身分だ。

「どうせ彼女にも選ばれなかったしな?」

「―――」

「賞品自体も参加者で、拒否して無効って、あの苦労は何だったんだが?」

 3年前突然のオレの眼の前に姿を表したパールはオレの護衛命令を与えられていたが、オレの人間性の悪さに対し身を引き締めろと言うような反応で、オレが言葉を続け、ため息を吐き出す中でお前が悪いがそれは少しと言う反応をしていた。

「―――どうせオレは二世のドラ息子で誇りあるお嬢様たちやたたき上げの革命家とは違いますよ?」

「―――そこまでは言っていないだろうが?」

 もうどうせとオレが言いだす中でパールは地雷を踏んでしまったと言うような嫌そうと言うか頭を抱えるような反応を見せ始め、言葉を返すとため息を吐き出したが、オレは言葉を続けた。

「事実だ。」

「―――わたしが悪かった―――」

「―――わかったよ? 言いすぎた。」

 本気でわたしが悪かったからもう言わないでくれと言うような反応をパールが見せ始めて眼を反らし後ろを向き、オレも言いすぎたと同様に考えて同じようにあやまった。

 3年前の一件の話でこれからのことにも関わる話だが、この話になるといつもこう言った状態になるし、細かくは話言えない状態だ。

「―――何にしても、次は懐かしき世紀末か?」

「―――」

「―――早く行こうぜ―――?」

 寡黙な女で付き合いにくいが相棒なので少しでも明るくしようと話かけるがパールは謝った後少し時間をくれと言うような状態で、オレが声を再び声をかけるが走っていた方向に、言わば後ろに眼を向けていた。

 表情こそ無表情だが3年ほどと言う付き合いで大分わかって来たし、見なくても解るが状況的に少し困ったと言う顔で、わたしは思うことがあると言う様子で後ろを見ていた。

 生まれながらに人間に似ているが人間でないと考える生命体と言う心理がハイブリッダーの心理だ。

彼女がどのように世界を見ているかは75%程度の力しか出せないハーフハイブリッダーのオレにはわからないし、100%の力を手に入れても解らない心理だが、1つだけ言えることがある。

人間としての根源は変わらず、奥底に求める願望と言うものがあると言うことで、パールにはそれがあるようにオレは思えた。

パールの向いている方向、言わば彼方たちの一件はとりあえずと言うように片付いたが、カークが日本に来ることと言い、これからのこともあるが、ここから再び時と場所が切り替わる。

この夜は少し肌寒い気がして静寂に包まれているが、もうすぐ蒸し暑くなり狂ったようになくセミの鳴き声が響きわたるこの日本とは違う1998年の12月26日の午前2時過ぎと言う時間で、アメリカの一角でサイレン音が響きわたる。

まったく異なる時間、異なる場所、異なる人物、異なる言葉や行動、結果が起きているように見えるが、この2つは密接なかかわりを持ち少しずつだが物語としての歯車をかみ合わせ始めている。

 矛盾や謎と言った不可解な点は多いが、進展が答えを明確にするが、答えを知るだけではだめなのだ。

 答えはだれにでも考え付くことだとも言えるが、必要なのはなぜこの途中の段階を話すかと言うことだ。

 数学の図形の証明と同様で、全体を意味の理解をできなければ意味がなく、全体を理解することで回答を理解し、回答を理解することで全体を理解しなくてはいけないのだ。


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