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пробуждение 後編

子供の様な寝顔だ。

 だれのかと聞かれると、夕方ごろ寝ている愛の部屋に戻って来たわたし優衣が見ている愛の寝顔だ。

 小さい時からそうだがたくさん遊んで、遊び疲れて、どこかで眠っている時の顔と同じだと思い、思わず真剣な表情が少しの間だがゆるんだ。

 寝息も静かで思わずかわいいやつだと思ってしまうが、問題も起きていることも事実だ。

 生まれて35年と言う年月が経過しているが、顔は10代後半から時が止まっているか経過が遅いと言うかのように変わらず顔立ちも幼い印象が強いが、現在は布団で隠れているが首から下の身体だけは例外だった。

 年を取りすぎて酷い身体ではなく、成熟したと言うよりも熟れ過ぎた果実と言うべきで、顔は幼く、豊満とまでは言えないが、身体は十二分すぎる魅力的な大人の身体をしているし、わたしは愛に関連した性的にいやな話も聞いていた。

 わたしたちのまえでは子供の様な愛だが外に出ればわたしたちとは違った印象をもち、会社の経営と言い彼女は間違いなく大人の女と言うべき人間に変貌している。

 湯川家の、正確には祖父の家計の女性事態の遺伝もあるが、背も女性としては高い方で、頭もよく、心身共に健康的な美女と言えた。

「―――――」

 姉妹同然に育ったとは言え、一応は他人の子であるし、仮に本当の姉妹でもわからないことは多いと聞くし、愛も知っているし、わたしも知っているが、愛は正式には湯川家の血も引いてないし、解らないことは多いのだ。

アメリカとウクライナと言う日本人ではない海外の血も交じっているし、目覚めた時の一件がいい例だと言える。

血以外にもわたしにはなく流れていない身体の中の何かが彼女のわたしたちの知らない彼女の裏側を造りだし、欲望と言うべきかわたしたちでは予期できない方向に心身を狩り立て突き動かしているのかとしか思えなかった。

「―――」

 何にしても人間の心の奥底ははか知れず、解らないことだらけでどうしようもないが、この情報化社会において集められる情報はあると思い部屋の中でタブレット端末片手に情報収集していたが、役立つ情報など特になかった。

 特に眼をつく情報が最近聞く『神さまになれるうわさ』だ。

 わたしも小耳にはさんだことはあり日本だけかと思えば世界中に広まっているようだった。


1、条件は不明だが神の力が、なんでもできる力が手に入る。

2、夜になるとあらわれる不気味な怪物と戦い世界の平和を守るために戦うことになる。

3、平和のためには悪い心に染まった仲間とも戦う必要がある。


 突然力に目覚めたり、女神や妖精から力を与えられたり、変な薬を飲んだりと条件は多くあるが、内容を集約すると3つのようで、よくある子供向けのエンターテインメントから広まった冗談のようだった。

 怪物もよく調べると解るだろうが、カタカナで書かれたどう見ても悪くて卑怯でバカみたいな名前の組織が裏で操っているのだと想像してしまった。

 3番目は力を手に入れた仲間が裏切ったりするようで、複雑で悲しいドラマでも展開しそうな話で、愛が幼い時によくこういう系のテレビ番組を一緒に見ていたなとわたしは思い出していた。

『―――続きまして、若手ながら報道カメラマンとして有名な―――』

「―――最近行方不明の話も多いな?」

 調べている中で、偶然動画のニュースサイトを開くと、行方不明の男性のニュースが流れた。

 行方不明になった男性はわたしよりも愛よりも若く、悪くなさそうな容姿で、何を考えているのかカメラを持って戦場に行き仕事を終え、日本に戻ろうとするさなか行方不明になっているそうだ。

『―――ジェクトカグヤは、現状において予算を含め賛否両論を呼んでいますが、悪評こそ現状では多いが米ソ、言わば現米露間が手放したスペースフロンティアにおいて月のテラフォー―――』

「あー、これはさらにいい。」

 ネットを見ているとサイトで時折出る自動再生される動画で長くなりそうな話が始まり、わたしは止め、手を止めた。

 大量の情報はあふれてこそいるが、本当に必要な情報は手に入り難く、手に入っても大量の情報のせいで真偽性に乏しく、わたしはどうしようもないと思い、顔を下に向けタブレット端末の前で息を吐き出していた。


 優衣が調べ物をしていた時わたし愛はまた夢を、正確には海で泳ぐ夢を見ていた。

 わたしは泳ぐことが好きでプールや海と季節を問わず、泳げる場所ならよく泳ぎに行くことがある。

 人間の進化の過程で手に入れたと言うよりも、えらを改良させた肺のせいで呼吸ができないので苦しいが、苦しさが生きている証明だとも思えた。

 わたしの行動は生きている証明が欲しいのかと時折思うことがある。

 夢の中とは言え、非常に現実的でどこの海かはわからないが、青く透き通った海が視界の下に広がり、間接的にだが空を飛んでいるような気持になった。

わたしは少しして泳ぐのを止め、背を海に受けて空を見上げ、浮かんだ状態で考え始めていた。

 富や権力と言っただれもが求める物を持っているが、わたしの心はどこか満たされない感じで、この海を泳いでいるわたしのようだった。

 どこにでも行けるし、何でもできるが、何かを探しているし、求めているし、欲しいものがあるが、明確な何かが自分でもわからず、意味もなく泳ぎ続けることに間接的な快楽を求めているような感覚だ。

 少し先を行けば浜が見え、ホテルの様な建物が見え、遠くに都市が見え、男が女が、なんでもあるように見えたが、わたしが本当に必要で求めているようなものは一切ない気がし、少し嫌悪感のような物を覚え、わたしは浜に背を向け再び泳ぎ出した。

 昨日のような事態は確かに現実的に考えると物凄い体験で、だれにも体験できない貴重な体験だが、わたしはあの酷い光景や事態を待ち望んだことなど一度もなかった。

 泳ぎ続ければ何かあるわけでもないが、わたしは背を向けたが、わたしはいずれ戻らなくてはいけなくなる。

 わたしは魚ではないし、神話の様な人魚でもなく、水と同化できない普通の人間で、水では、特に海中では生きていることができないし、息もできず、疲労もするし、離れても現実に目を背ける自分に対して余計に後悔するだけだ。

 わかってはいるが、だからこそ、わたしは一時的でも忘れられる快楽に身をゆだねてしまうのだ。

 藪をつついて蛇を出すと言うが、海は津波や蛇以上の危険な生物が潜んでいて毎年たくさんの死人が出るそうで、わたしのしていることは昨日と同じことを間接的に繰り返そうとしているとも言える。

 どこかに行き、危険な眼に故意に会おうとしているとも言えるが、わたしはすぐにここが安全に満ちていると実感する。

 お前は懲りてないなとだれかに言われるかもしれないし、昨日の一件が少し心が抑揚していることも事実だが、わたしの眼の前には浮きが見える。

 夢の中と言ったが現実的で、わたしの行き先には浮きが見えた。

 一見すると何の意味もないように見えるがこれは矢印で、海に隠れて見えないが地面まで大きな網が海と大地の境界線の端から端まで設置されているのだ。

 サメなどの危険動物対策で、オーストラリアのグレートバリアリーフなどでは自然保護目的としても置かれている場合も存在し、わたしのこの自由は一見すると自由で逃げられそうだが、わたしと言いほかの人間と言い間接的自由で束縛されているのだ。

 昨日の一件や犯罪はこの狭い世界で起きる些細なことや、時折事故か何かで入って来た浮きの向こうの生き物が暴れた事態で、わたしはそれに巻き込まれ、運よく助かっただけなのだ。

 この向こうに行きたければ行ってもいいが、安全で便利な船も飛行機もあるからそれがいいぞと極め付けに悪魔にでも言われるかのように少し遠くに大型の船と、空には小さいが飛行機が雲を引いて飛んでいた。

 何が起きたか知りたく、答えは眼の前にありそうだが、超えれば再び同じ危機が迫るだろうし、次は命が本当に危ないことが事実で、船や飛行機に乗っても事実がわからないことが現実で別の境界線の、浮きがある安全な場所での話になる。

「―――?」

 命は惜しいし、わたしは少しの間見ていたが、少し遠くから優衣か誰かが呼んでいる声が聞こえた気がし軽く振り返った後、再び空を見上げ、背泳ぎの体制になった。

「――――――――――」

 声が正確にはだれかわからなかったが、何にしてもわたしはこれが夢の覚め時と、現実夢を見ていると言う意識はなかったが、そう思い、背泳ぎの体制のまま少しだけだが足を動かし戻り始めた。

 波が浜に向かい、よほどのことがなければわたしの身体は自然に守られるように自然に浜に戻されることは確かで、わたしは少しの間、この現実から目を反らしたく、海の上に浮かび、軽く眼を閉じた。

「―――?!」

 無茶な話だが、海に苦しまずに沈むと言うよりも、生物の源流とも言われる海に還り、水に身体を徐々に溶かされ海と同化して海そのものになれればいいなと考えている時だった。

 夢を見ているならばここで普通夢が覚めるが、夢が覚めず、近くで奇妙な音が聞こえ、わたしは眼を開くと同時に身体を起こした。

「―――なに?」

 少し遠くだが人の叫び声と言うべきか水のはねる音と鈍い音が聞こえた。

「―――――」

 音の方向を見ると、保護色と言うべきか服が周囲に溶け込んだ色で最初は解り難かったが、少し先の岩垣の下で2人が殴り合いの喧嘩をしていた。

 叫び声と言い、動きと言い、殴った時に聞こえる音と言い、少し遠いが人間としての領分を超えているような迫力だった。

 中国の拳法のような瞬きできず眼を見張るような軽快性はないが、一撃一撃が重く、投げられ倒れると浜と海の境目の水が勢いよく舞い上がり、倒れた方を押し伏せて殴ろうとすると返され起き上がり、どちらも一歩も譲る気はないと言うような様子に見えた。

「―――――」

 わたしは思わず泳ぎ出していた。

 何かわからないが、どう見ても普通な様子にも見えず、止めないといけないと思った。

 急いでこそいるが泳いでいくこともあり、浜に戻るほうが遠回りで、わたしは必死に泳ぐ中で、2人の声と距離は近づいてきていた。

「―――――!」

 少しして端に着いたわたしは目の前の少し高い石垣を超え、少し強引に海から上がった。

 少し遠回りになるが海を泳ぐよりも早い横道があり、わたしは水着のまま走り出した。

「―――――」

 走り向かう中で喧嘩は止まらない状態で続き、わたしはついにと言うように声がかけられる距離まで近づいた。

「―――」

 立ち入り禁止の文字と境界線を知らせる鎖がわたしの眼の前に見え、わたしはその文字を凝視した後彼らのほうに眼を向けた。

 よく見なくても解るが2人は海水浴をしているような恰好ではなく、奇妙なことに武装したような服装で、彼らは境界線の向こうで喧嘩していた。

「―――――」

「―――愛?」

「―――?」

 後ろを見てみると水着姿で歩く女性やビーチパラソルを持ち歩く男、軽くだが女性が押して男が平謝りだが喧嘩している姿が見られ、喧嘩している男女には時折目が向けられているが、彼らにはだれも目が向けられてなかった。

 なぜかと思う間もなく、わたしが止めようと声をかける中で、だれかがわたしの名を呼び、振り借ると、少し奇妙だが見知った男の姿が見えた。

「何してるんだい? 優衣お姉ちゃんたちが心配しているよ?」

「―――――?」

 零夜だが、よく見ると子供の、正確には16、7歳のころで、水着姿でビーチボールを手に抱えていた。

「―――れーく―――」

「あっちに行っちゃダメって言っただろ? ホントに言うこと聞かないんだから? 愛は子供だな?」

「―――ぇ?」

 わたしが名前を呼びかける中で、近づくと少し困ったなと言うような笑顔で言いわたしは子供ではないと思う中で、身体に違和感がおきた。

「―――何おどろいてるの? 手に何かついてる? 見せて?」

「―――」

「大丈夫みたいだね? 細かい砂でも肌に当たったんだろう。ほら? 行こう? 一緒にビーチバレーしよう?」

 泳いでいる時と言い、声をかけられるまで何の異常はなかったが、わたしの身体は小さく子供のように、正確には12、3歳ごろの身体になっているようで、水着も先ほどと違い、子供が切るような水着だった。

 心配する零夜はわたしの手を見るが、わたしの異常など自分と同様に知らないと言うように進みだし、ある程度歩くと振り返り、わたしを手招きした。

「―――あ、あの、あれ?!」

「―――どうしたの? なにもないし、危ないよ? ほら? 先行くよ?」

 あれが見えないのかと言うように後ろを指さすが、零夜は本当に見えてないし、知らないと言うような反応で背を向けわたしを無視して進みだした。

 わたしよりも年上だし、大人としての領分と言うものもあり、現在の零夜ならやりそうだが、この年齢の彼らしくない反応だった。

「―――わたしは、子供じゃない………!」

「―――ぉぃ? 愛?」

 何が起きているかわからず、夢と言う意識もなく、わたしは零夜に背を向け走り出し、立ち入り禁止の境界線を越えた。

「―――」

 やめてと言う声も届かず、喧嘩と言うよりも戦いは佳境に入っていた。

 倒れて1人をもう一人が人と言うよりも獣のような怒号を上げながら勢いよく持ち上げ、持ち上げられたもう一人は背中から持ち上げられ攻撃できない中で必死に抵抗しながら似たような声を上げていた。

「やめて!?」

 思わずでたやめてと言うわたしの声も一切聞かず、1人がもう一人を石垣の向こうへと投げ捨て、投げ捨てると男だと思われる声が少しの間聞こえ、石垣の向こうで勢いのいい水しぶきと音が起きていた。

「―――――」

「あ、ま―――」

 喧嘩や戦いをしているのではなく、殺し合いをしているのだとこの時理解する中で、投げた方は石垣を上り始め、上り終えると勢いよく飛び降り、わたしも続こうと石垣を上った。

「―――――」

 超えると思ったよりもかなり高いが、飛び降りてた光景を見てわたしを勢いよく飛び込んだ。

 最初の投げられた1人はおそらく背中か前向き、投げた方は足から、わたしは前向きと、2人はけがの度合いもあるが、水中では状況的にわたしに分がある状況だった。

「―――――」

 やめてと言った時か、あの時に身体が元に戻ったような感覚があったが、わたしは構う暇もなく、飛び込んで泳ぎ落ちた方へと向かった。

「―――――」

 全身が黒くて目立たずよく見えないとは思い、水中でも不鮮明でわからないが、顔を見ると何か白く、頭部の上側左右に細長い突起のある仮面をかぶっているようで、わたしは仮面を引きはがし上に向かって引っ張り始めた。

 戦闘服と言ったが、服の中に予備の銃弾とか本当になにかを入れているようで、水中で引っ張るが、普通の人間の身体と違い異様に重たい気がした。

「―――――」

 これが本当の無我夢中とは遭遇した時には思えないが、後でそう考えたが、何にしてもわたしは助けることができ、岩だらけだが陸地に到着していた。

「―――――?」

 何にしても1人を助け、わたしが息を切らし、助けた人間があおむけで息を整えている中で、わたしの視線の横側から何か銀色に輝く物体、刃が見えた。

「―――?!」

「―――」

「―――!?」

 何かと思い振り返ると死神がいた。

 正確にはわたしの見た幻影とも言えるが、鎌を持ち黒マントを羽織った骸骨ではなく、全身を武装した服に身を包んだ骸骨でわたしに長さ30Cm以上はあるだろう刃を向けていた。

「そいつを、渡せ………」

「―――」

 マスク、言わば仮面だ。

 骸骨の怪物ではなく、水中で見た何かよくわからない白い仮面と言い、口を開いたが口が動かなかったことと言い、死神もいるわけでもないので、あの骸骨の顔は間違いなく仮面で、助けた方も被っていたようだった。

骸骨とはいうがよく見ると水中で捨てた方と言い、両方人間の骸骨ではなく、何か別の生き物で、何かわからないが、双方人間よりも細長い顔だった。

「―――?」

「―――」

 襲い掛かった。

 だれかと言うとわたしが見ているとわたしが助けた方が勢いよく起き上がり、わたしに刃を向けた方に襲い掛かった。

 刃を向けた方は何を考えたか仮面を外す途中だったが刃を持った手の手首を取られ、抵抗する中で、手に持っていた刃を離させると遠くへ放り投げられ、仮面が海に落ちる中で取っ組み合いの状態になった。

「―――彼女は関係ないだろうが!?」

「―――黙れ。」

 取っ組み合いの状態でわたしを助けた方はわたしを守ろうとしているようで、刃を向けた方は間を置いたが、冷淡な物言いで腹部にけりを入れ、けりを入れられる中で少し武術的なものか、組手と言うべきか軽くだが投げられた。

「―――感情を統御しろ、苦痛を振り払え、身体を武器に変えろ、俺たちは殺戮機械だ。」

「―――キリング、マシン………?」

「―――そしてここは戦場だ。」

 水が勢いよく飛ぶ中で、悪意に満ちていると言うべきか、わたしに刃を向けた方は倒れた片方をここが海で、踏みつけ抑えると溺れ死ぬこともそれがどうしたと言うように踏みつけながら言い、わたしに眼を向けた。

「―――迷い込む子ウサギがヘビの餌になるのは常識だ。」

 眼を向けたとは言うが、まるで時間を計ったかのように太陽の光が、彼の背の方向にあり、顔は見えない状態で影に隠れ、わたしは気配と言うか、感覚と言うものを感じていた。

 口を開く中で、刃を持っていた反対の手を後ろに回し、何かを取り出し、両手で何かしら操作した後わたしに向けた。

 重なり合った乾いた金属が擦れ合い、複雑怪奇な仕組みが手中で動く音が聞こえ、音をわたしは銃なのではないかと疑ったが結局はわからなかった。

 向けられたものよりもわたしは太陽の光が動き、彼の眼を、正確には右だが少しだけだが写し出した事で見た彼の眼に視線が向いた。

 再び眠り始める前に見た夢で見た男と全く同じと言うよりも間違いなく同じと言えるあの蛇のような眼で、わたしとあの時顔を合わせた時よりも強い殺意に満ちた眼をわたしに向けていた。

 蛇のような眼と言っても卑怯で姑息なような感じには決して見えず、獲物に狙いを定め、大きく口を開けて声を上げ、威嚇する時のような眼で、彼は合わせるように蛇が威嚇するような声を出していた。

 蛇ににらまれたカエルのようにと言う訳ではないがわたしは動けなかったが、彼の発した言葉にはある意味納得ができた。

 夢の中のわたしはまさに彼から見れば子ウサギで、白い水着を着ていた。


 悪く言えば普段騒がしいと言うべきで、よく言えば明るく元気な人間が落ち込んでいたり、寝込むと少し安心していると普段通りな状況が普段と違い、うまくいかないと感じるものだ。

 わたしこと優衣もそう感じる1人で、ため息を吐き出した後愛を見てそう考えていた。

 陽が沈むころの時間になったこともあるが、元気から生まれ出てきたような塊の愛が寝ているとこちらの気分も沈んでいることが分かった。

「―――――」

「―――愛?」

「ぅ、ん~~~!」

 いつまでも寝ているとは思わなかったが不意に愛は眼を開け、身体を起こし、背伸びをした。

 陽こそ落ち始め、意識はしてないが愛は自身が世界の中心であり、この時こそ眼覚めと言う言葉が似合う様子だった。

「~~~」

 わたしから見て、湯川家全体から見ても、35歳にもなっているが、眼覚めあくびもはじめ、愛は動作的にも外見的にも本当に子供のようだった。

 よその家から見れば大丈夫かと思うほど甘やかして育てた気もするが、精神的自立と言うべきか、1人ですることもわたしを含め3人と比べると早く、成長ぶりと言い、わたしはなんとも文句の言えない立場だ。

「―――起きたか?」

「―――」

 わたしの声に反応して愛は眼を少しの時間だが向けたが、こいつまだ寝ぼけているなと言う顔と眼だった。

 まだ眠たいけど学校と言うか、仕事があるから起きると言うかのような顔だった。

「寝ぼけてるな?」

「―――」

「ほら、まだ休め、明日考えろ。」

 寝かしっぱなしも気もするが、いい対策も思いつかず、横になるように寝かせた。

「―――――」

「眠くないか?」

 寝ぼけているような反応だったが、眼を覚めているような眼で、わたしに顔を向けていた。

「―――何か食べるか? いらないのか?」

 ほとんど一日寝ていたので腹でも減ったのかと思い愛に聞いてみるが、途中で首を横に軽くだが数回振った。

「………」

「―――シャワーか?」

 どこの夫婦や親子だと言うような質問で、愛は次の質問に対しても首を横に数回振った。

「―――気分悪いか? 泳ぎにでも行くか? 水着とか持ってきてるだろ?」

「―――えへへ?」

「―――まったく?」

 愛は泳ぐのが好きなのは筋金入りで、季節も問わずに帰りに温水プールなどに行くこともあり、結構な比率であの中型のバッグの中に水着一式を入れていることがあり、図星であるようでいたずらをした子供のような笑い方をした。

「―――泳いで帰ろうかな~?」

「―――」

 わたしの発言がいい揮発剤になったようで、愛は普段通りの様子で軽くだが笑い始めた。

「―――やっぱりおじいさまが誕生日に温水プール家に造るって言う計画止めなかったらよかったか?」

「―――それは駄目ですよ? 家庭用プールは衛生管理が大変なんですよ~? 中毒とか出ちゃったりして―――」

 愛が幼い時の話だが祖父こと総一郎が愛のために家に温水プールを造る計画を立てていたことがあり、わたしを含め家族で止めた事件と言うか騒動があった。

 愛も近くのプールに行くことが好きだし、結局管理が難しいと言うこともあり中止になったが、愛の現状の発言と言い、正しい選択だったと言うことは確かだった。

 子供のようだが考えていることは考えているし現実味もあり、起き上がって必死に熱弁する愛は立派な大人なのだと話を聞いているとよく実感する。

「―――仕事!?」

「―――!?」

 家庭用プールのことを話していたが、話の中ですっかり忘れていたと言うような様子で愛は不意に勢いよく大声で言い、わたしをおどろかせた。

「―――し? 仕事? どうしよう? 休んじゃった? 会社のみんな困ってる? 聖歌さんに連絡してない?! 携帯? 携帯どこ?!」

「お? 落ち着けあ―――!」

 朝の団欒で時を忘れ、完全に学校に遅刻し急いで準備をする子供のようで、携帯を探す中でわたしは何にしても落ち着かせようとするが、ベッドから愛は落ちた。

「~~~」

「―――聖歌には連絡しておいた。昨日のことも簡単にだが話しておいた。もういいから、それと携帯は頭もとのバッグの中だとおもうんだが?」

 寝る位置が少し高い場所にあるベッドから頭から落ち、愛は痛いのか声も上げず疲れているのか動かず、両足の膝も曲げ、何度も言うが子供のような光景だった。

「―――あった!」

 あきれて見ていられなかったが、仕方ないなと言うようにわたしが愛の前に座り、心配ないと言うように言うと、愛は姿勢を変えて起き上がり、ベッドの方に顔を向けるとわたしの言ったバッグに目を向け、指差すと向かって言った。

 バッグとは言うが女性が持つような物や社長らしくブランド物でもなく、よく見ると男が持っていそうな中型のバッグで、愛には少し不似合いな気もしたが、愛は使い慣れた動作で携帯を取り出した。

「え? 連絡?」

「―――言ったろうが?」

「―――よかった~~~?」

 わたしの言った言葉を携帯を見つけた中で思い出したようで、わたしのほうに電話しなくても大丈夫ですかと言うような顔をし、わたしは軽くだがため息を吐き出しながら返し、愛は安堵した様子を見せた。


 現実に戻らなくてはいけないのが現実だ。

 何にしてもわたし愛は目を覚まし、夢の中や事件のこともかなり気になるが、現実の仕事のことを思い出し慌ててしまっていた。

 幸い聖歌に連絡はしてくれたようで、無断欠勤の類にはならなかったようでわたしは一安心していた。

 わたしと優衣が言う聖歌と言うのは名前で、わたしの会社で働いている女性だ。

 この年中学生になる娘を持つシングルマザーで、わたしの会社でわたしよりもよく働いている敏腕社員だ。

 わたしよりも年上だが身分的にはわたしが上司で、わたしは少し複雑な気分だが、彼女は分け隔てなく接してくれるし、わたしの会社の手腕の半分以上は彼女の恩恵とも思っている女性だ。

 わたしが自立した裏にはまた人に恵まれた部分もあったと言えるが、わたしもある意味彼女を拾った身分で、会社を立ち上げた時面接に来たシングルマザーを採用し、これが功を制した。

彼女もまた運のいい女性だと言え、働き始め少しして話したが、男こと娘の父親に金を持ち逃げされ、自殺も考えていたこともあるとのことだが、話した事実とは裏腹に底抜けに明るく、元気な女性だった。

 会社でも敏腕となり、わたし以上も仕事もするし、わたしが拾わなければ彼女と彼女の娘の運勢は最悪の道を歩んでいたと言えた。

 時折だがわたしは彼女のような敏腕と言える働く大人の女性になりたいと思うことがある。

 子供は相手がいないし無理だと思うが、わたしと違い、最悪の状況から実力とも言えるが這い上がり、運よく現在の状態となり、書類上は上司であれど、人生的には先輩であり、雇用したわたしが言うのもなんだがわたしには憧れの大人の女性だった。

 生まれた時から他者と違い、時代遅れで、一応だが華族の名声を持つわたしは彼女と比べると女性的にも幼く子供で、時折自分が場違いな身分にも感じ、娘を含め真に幸せになる資格のある女性だとわたしは思っている。

「―――って! よくありません!?」

 わたしは会社で働く多くの社員は女性で、多くはわたしと違う生まれだが、聖歌を含めわたしは彼女たちに支えられて生きていると思っているし、社長なんてものは書類上の肩書とも思っている。

 同じ目標を持った仲間として一緒に戦う中で、わたしは一番以上に働かなければならないと考え、一安心する間はないと言えた。

「―――これからで―――」

「―――はい。休む。明日。」

「―――――ぅ~~~~~?」

 優衣はレスリングをしていた時があると言うよりも、現在でも続けている現役で講師や小さい大会には時折出て年齢不相応と言えば失礼だが、結構いい成績を出している。

 何が言いたいかと言えば、軽くとは言え細身だが格闘慣れした優衣に肩を持たれ、水泳程度で鍛え、格闘知識のないわたしの身体では抑えられたわたしには抵抗することは難しく、これからでも行くと言う意見を言い終える前にわたしは半塲強引に寝かされた。

 わたしは一見すると誰かから見られると強大な力を持った女性に見られるが、本当は非常に無力だと思うことがある。


 手間のかかる従妹だ。

 仕事で聖歌や社員のことを大事にしていることは知っているが、緊急事態だし、明日も休ませる気だし、わたし優衣は愛を寝かせた。

「―――すねるな。」

「―――――」

「―――お前は子供か?」

 顔を下に向け、少しだけだが顔をふくらませている。

 失笑とはまさにこの状態で、35にもなる大人の女が従姉の前で子供みたいに不満そうな顔でこちらから目を反らしている。

「―――何にしてもだ―――」

 わたしはそう言いながら椅子に腰かけた。

「―――非常事態だし、少しは落ち着け―――」

 言いながらわたしはタブレット端末を手に取り、再び検索を始めた。

 この時愛もだが、昨日の愛の遭遇した事態と言い、これから話すことが起きるとは思ってもいないことは明確な事実だ。


 わたし、言わば愛はもう大人だが、優衣から見ればいつまでも従妹であり、妹分でもあり、わたしは言うとおりにするしかなかった。

「―――役に立たない情報ばかりだな?」

「―――?」

「―――事件の情報を集めていたんだ。」

 椅子に座り言う優衣の手にはタブレット端末が握られていた。

 2010年代初期から本格的一般への普及が始まったインターネットへと接続可能な多機能型携帯電話、言わばスマフォとも言われるスマートフォンと、パソコンの中間に位置する機器で、インターネットへ接続可能に加え、携行可能な中型サイズの多機能型端末だ。

「―――お前の身に何が起きていたか調べようとしたが、役に立たない話ばかりだ。」

 窓の外を見ると夕方らしき色合いで、陽も落ちかけている時間だった。

 わたしが寝ている間に優衣は事件のことをある程度だが調べ終えていたようだが、進展も無いようで苦笑いをしていた。

「―――プロジェクトカグヤはいつものこととして―――」

「―――!?」

「最近行方不明の事件が増えて―――」

 世間話でもと言うように優衣が話し始める中で、わたしの身体に異変が起きた。

「―――」

 優衣の言葉を聞いた瞬間に、わたしの心臓が身体全体に響き渡るほどに一回大きく震わした。

周囲に音が聞こえるのではないかと思うほど大きい音をだし、激しく鼓動を始めた。

 胸の高鳴りなんてものではなく、心臓の鼓動は早く大きくなり、わたしは苦しく身体全体に強く激しい痛みを感じ、息ができない状況になりかけていたが、端末を見ている優衣は半塲気づいていない状態だった。

 持病なんてものは持ってないし、健康体でこんなことは一度もなく、少しずつだが落ち着き始めていた。

「―――それでだぞ? 神様になれるうわさなんてなふざけたうわさが最近広まっているらしいんだ。」

「―――――!?」

「―――まったく、笑わせるよ、な? 愛?」

 神様になれるうわさと言う言葉を聞いた瞬間、再びわたしの心臓の鼓動は激しく動き大きな音を出した。

 大きな音とは言うが、優衣にはこの音が聞こえて無いようで、苦しくて身体を丸めはじめたわたしが異常だと気付き、声をかけた。

 身体中が痛みが走り回り、心臓は激しく鼓動し、頭痛まで起こり始めていた。

「―――どうでもい、あ―――」

 強く激しい痛みで悲鳴や叫び声をあげたくなるが、わたしは歯を食いしばり、必至で身体を抑える中で優衣が気づき呼びかけるが声はわたしには届かなかった。

「―――――!」

 不意に鼓動や痛みが止まった。

 解放感に思わずと言うようにわたしは勢いよく身体を起こし、顔を上にあげ、大きく息を吐き出すと再び前向きに倒れた。

「―――――?」

 よくわからないがわたしは身体を倒し首を横に向けていたが、落ち着こうと呼吸を整え始めた中で、顔を上にあげた時と言い、眼の前で奇妙なことが起きていることに気が付いた。

「―――――?」

 横に優衣の姿はなく、周囲はあの部屋ではなく、見覚えのない壊れかけた鉄筋コンクリート製の建物のようだった。

「―――ここ、ど―――」

 何にしても身体を起こしかけ、どこだとわたしが言いかける中で、先ほどと同じ、言わば心臓が強く激しく一回鼓動した。

「―――ぅ? ん………?」

 昨日の事件のせいで何か変な病気でも発病したのかと疑う状態で、苦しい中で、わたしは落ち着こうとすわり、身体を小さくした中で、奇妙なことが起きた。

 表現はたくさんあると思うが、一番妥当な表現は「映像」、言わば「ヴィジョン」と言うべきだった。

 本来眼に見えない光景が電源を入れたテレビのように映し出されると言うか、脳の中に情報として高速で移動されていると言うべきだった。

 量が膨大で入ってきていることを、映った映像を見ているが高速すぎて理解できず、頭の整理が追い付かないが、何か普通では見られない情報が写し出されていることを理解した。


 一体全体何事かと思った。

 愛の身に何か異常が起きていることに気づき、わたし優衣が声をかけようとした時に異常は起きた。

 近づき触れようとする中で愛がと言うべきか、愛の近くで言うべきか、眼を覆うような強く激しい光が姿を表し、室内が光に覆われ、光がなくなったと思い、周りを見ると、周囲が愛の部屋ではなかった。

「―――――?」

 部屋の中ではなく、どこか建築途中か壊れかけたと言うべきか鉄筋コンクリートの建物の中のようだった。


 少しして何とか鼓動と映像は収まって止まり、あとは一つ一つひも解いていくだけで、これは後回しにしてここをどこかを知らなければいけない状況だ。

 何が起きたかはわたし愛には一切わからないが、映像に対して言えることは1つ1つ思い出して調べ、意味を知ることで、この場では時間もないので放置した。

 運がよかったと言うべきか、優衣との会話の中で、携帯を手に取っていたわたしは携帯電話を見た。

 時間は昨日から比較して次の日の夕方頃で、わたしは時間を確認するとわたしは優衣に電話をかけた。

『―――もしもし?』

「―――もしもし? お姉さま?」

『愛?!』

 タブレットは持っているのを見たが携帯を持っているかわからなかったが、可能性にかけてみたが、大成功ですぐに優衣と話せた。

『―――大丈夫なのか?! ―――お前? 部屋にいるか?』

「―――お姉さまも………?」

『―――お前もなのか―――?』

 心の中でよしやったついていると思ったが、どこにいるかわからないが優衣も同じ状況でこことは違うどこかにいるようだった。

「―――どんな場所に―――?」

『―――愛? どうした?』

 優衣も近くにいるのかと思い、思わず口を止めた。

 この場所のどこかから風のような自然の音ではない不自然な音が聞こえた気がし、わたしは周囲に耳を澄ませた。

『――――何が起きている?』

「―――――」

 耳を澄ませたと言うよりも5感全体を使ったとも言える中で、奇妙な現象が起きた。

 千里眼とも言うべき現象だと思うが、不意に目の前の光景が早送りしたかのように前に進み始めた。

 前に進むと本来は壁で見えないが左横に中段のある階段があり、階段を上がって左に曲がり、まっすぐ行き横を見れば電話とタブレットを持った優衣の姿が見えた。

『―――お―――』

「―――お姉さま! そこ動かないで!?」

『―――』

 意味が解らず、おい大丈夫かと言うように優衣が声をかける中で、わたしはこれが本当かと確かめないと不意に思い、勢いよく立ちあがり、走り出した。

「―――――」

 壁と超えると先ほど見えた光景通りに階段があり、わたしは見た通りの想いながらも、迷うことは考える余裕もなく、階段を勢いよく上り始めた。

『―――なんだ? だれか来る? 愛? と言うか階段?』

 電話を片手に持ったままでわたしは階段を上り始めたが、電話越しに優衣はわたしが階段を上っている足音を聞いているようだった。

「―――お姉さま!?」

「―――愛!?」

 階段を駆け上がり、左に曲がり、まっすぐ進み顔を横に向けると立ち上がり、お前はどこにいるんだと言うような様子の優衣の姿があった。


 ポケットの中に入れていた携帯と、会話の中で愛が手に取った携帯が幸いし、わたしと愛は何とか再会することができたが、肝心なのはこの状況をどうするかと言うことだった。

「―――それにしても、ここ、どこだ?」

「―――わかりません。」

 立ち上がりながら携帯電話の電話を切り、愛に近づき言うが、愛も電話を切りながらいうが、同じような反応だった。

「―――さっきまで家にいたのに、説明がつかないぞ? それにあの激しい光は何だったんだ?」

「―――光?」

「―――見てないのか?」

 わたしが見た光を愛は見てない何のことだと言うような反応で返した。

「―――何にしてもだ? 携帯もある。GPSを使っ―――」

「―――」

「―――愛?」

 携帯のGPS機能を使って場所を確かめて、最悪警察を呼ぼうと言いかけた時、愛が何か遠くにあるものを見るような遠い眼をしていた。

「―――?」

 愛の見ている方向を試しに見ているが、何かあるような様子は一切見えなかった。

「―――何もな―――、愛?!」

 言葉通りで振り返ると愛はいつの間にかわたしに背を向け、走り出していた。

 

 弱くはなったが、先ほどと同じことが起きた。

 一瞬だったが先ほど優衣がいる場所が見えたように次に行くべき場所だと言うように映像が映し出された。

 前に進むかと思うと映像は一気に逆走しわたしを映し出したかと思うと高速でわたしの後ろへと進んでいった。

 何かと思い見ている中で、映像が止まった先に映っていたのはだれかに、正確には怪物に襲われている中学生ほどの少女の姿だった。

 怪物とは言うが、昨日見た怪物ではなく、全身が白い怪物で、少女は近くのかどこかわからないが、学校の制服だと思われる服を着ていた。

「―――おい? 愛?!」

 再会こそできたが、わたしは優衣を放置し、見えた方向へと走り出した。

「―――ん。」

 走り難い感じがしてわたしはすぐに自分が寝間着姿なのを思い出たが、脱ぐ暇もないし、裸足だったが、何にしても走った。

 陽も沈み始め、どこかは解らないが、薄暗く、管理がされて無いようでさびやカビと言ったものが見える壁と後ろから追いかけ、走り倒れかけ遅れる優衣を放置しわたしは廊下を走り、階段を上り、突き進んだ。

「―――?」

 見た通りの光景が映った。

 懸命に走り、わたしが見た場所へと着くと、見た通りの白い怪物に襲われかけている少女の姿が見えた。

「―――何?」

「―――逃げて!?」

「―――彫刻?」

 白い怪物とは言ったが、怪物と言うよりも全身が白く、女性のような姿で、わたしが見ていると少女が逃げるように言う中で、怪物はわたしに眼を向け、向かってきた。

「―――――」

『―――戦え!』

「―――?」

 一体全体これ何、なにこれ昨日と言い現実なのか、映画とかの撮影なのかと言う光景の中で、不意に頭からと言うべきか、どこかから声が聞こえた。

『面倒くさい! わたしがやる!』

「―――ぇ?」

 優衣でもなくあの少女でもなく、だれだと考える間もなく不意にわたしの身体が勝手にと言うよりも自分でしたのかと思うように動き、胸ほどの位置まで軽く手を上げ手のひらを見るような状態となった。

「―――?!」

 最初はビーダマやおはじき程度の大きさかと思えば一気にテニスボールほどまで巨大化、最後には一気にサッカーボールよりも大きく、タイヤほどの大きさになった。

 何の話かと言うと、わたしの身体と手の中央あたりから青白い光の球体のような物が見えたかと思うと、一気に巨大化したのだ。

「―――へ?」

 突然なんだと思い考えている間もなく、身体に前から軽く押されるような感覚を感じる中で、球体は爆発するような音を出したかと思うと、わたしの身体よりも大きくなり、押される感覚は反動だったのか光線のようになり勢いよく高速で飛んで行った。

 音は小さいが、爆発したかのような音だった。

「―――」

「―――愛!? お前何が―――、なんだこれは?」

 飛んで行った方向の直線上の床と天井を勢いよく破壊し、白い怪物は命中と言うよりも直撃したかと思うと四散と言うよりも原形が解らないほどに崩壊し、球体は怪物を超え、かなり先の壁も破壊して壁の向こうの空に飛んで行った。

 走り疲れた疲れが出たのか、何が起きたかわからないが光は消えたわたしは地面に力が抜けたように膝をつくと、愛が追い付き、眼の前の光景におどろき、言葉を漏らした。

 わたしがやりましたと言えば言うとおりだが、当事者のわたしも信じられない事態だった。

「―――あ? ああ、そうだ? 大丈夫?」

「え? おい? 愛?」

 わたしは何にしても立ち上がり、再び倒れかける中で壁の端にいた少女の方へと向かっていった。

「―――大丈夫?」

「―――子供? 近くの学生か?」

 わたしは少女の前に座り、声をかけ、優衣は何事かと思うように少女を見た。

「―――ありがとう。」

「―――」

 わたしと顔を合わせ、少しして涙目になり始め、どうしようかと思う中で、彼女はわたしに抱き付きお礼を言い、泣き出した。


 何が起きたか一切わからないが、とんでもないことが起きたことは明確でわたし優衣は壁の端にいた少女に近づき、抱き付かれた愛を見ている中で、再び激しい光が愛の眼の前で起きた。

「―――?!」

 あの時と同じ状況だった。

「―――?!」

「―――戻った?」

 何かと思うが光がなくなる中でわたしが眼を開き、顔を上げると、愛の部屋にいつの間にか戻り、愛も同じように状況を確認した。

「―――だけど―――?」

「―――なっ?!」

「―――ぇ?」

 部屋に戻り、わたしは愛の横になっていたベッドの前、愛はベッドに座っていたが、愛が口を開き、何かと思い見ると、あの少女の姿があった。


 泣き止むのは当然だ。

 あの時彼女は勢いよく抱き付いてきたが、不意にと言うようにわたし愛の部屋に戻り、何事かと言うように周囲を見渡していた。

 絵に描いたようなお城のような一室だし、あの場所と比べると雲泥の差なのは言うまでもなく混乱するのは明確だった。

「―――夢じゃないことは事実ですね?」

「―――――って? どうするんだ?! 連れてきて!?」

「―――わたしのせいじゃないですよ?」

 突然と言う事態だが、わたしは冷静に優衣に言う中で、優衣は慌てるが、わたしは慌ててどうするかと言うように返事を返した。

「―――ここ? どこ?」

「―――わたしの家、わたしの部屋、わたし愛、湯川愛、あなたは?」

「―――」

 わからないことだらけだが、鍵はおそらくのこの子が握っているし、わたしは扉の前にいるとも考え、動揺している少女に対し、落ち着いて話せるように笑顔で自己紹介した。

「―――ひ、陽菜、河内陽菜!」

「陽菜ちゃんね? はじめまして。」

「―――はい、はじめまして………」

 少々卑怯な気もするがいい人に見えそうな仕事でする大人の営業スマイルな笑顔であいさつを済ませた。


 河内陽菜と名乗った少女は次々とわたしこと優衣と、愛に対して話し始めた。

 近くの学校に通うと言うよりも、引っ越して通い始めた中学生で現在12歳、両親は共働きで家に不在であり、連絡しても意味がないし、両親も警察にもある程度話をしているし、保護などのために電話をしても問題ないと言った。

 幸運と言うべきか制服姿と言うこともあり、警察も呼ぶのは後にして、学生証も持ち、身分は証明でき、怪しい人間でないことが証明された。

「―――ぇ?」

「―――神様になれるうわさが、真実?」

「あ、お湯わいた?」

 ベッドの上に小さいが机を用意し、愛と陽菜はお菓子や缶詰と言った軽い食べ物を食べながら話していた。

 缶詰にお菓子、非常食時系の食事に電気ポットにIHコンロ、加えてコップや皿と調理器具と、サバイバルと言うべきか、アウトドアの言うべきかの一色が広げられ、即席ではあるがベッドと周りは半塲キャンプ状態になっていた。

 どういう状況かと言うとこれは愛の趣味でもあるし、この家の不備や非常時用に総一郎が用意したもので、電気や水は基本で、任意だが個人の部屋では数か月は生活できる準備がしてあるのだ。

 風呂とトイレもあり、電気のコンセントもたくさんあり、愛の装備も手伝うし、数か月は暮らせるほどの荷物が置いておいてあり、愛は電気ポットのお湯が沸いたのを確認するとお湯をカップに入れ始めた。

「―――アールグレイ好き~? レモンティーとかは~?」

「―――おい、愛………」

「わたしはご飯食べてません。」

 陽菜は少しは食べているが、愛に言われてと言う状態で、どういう事態だと言うような反応で見ている中で愛は紅茶をどれにするか迷っている様子で、わたしが注意するように言うが、愛の言葉も確かなので言い返せなかった。

「それにお客さんですよ? おもてなしが必要です。」

「―――」

 もてなされた陽菜は何にしても申し訳ないと言う様子で、愛は笑顔だが、わたしの顔を見ると状況的に怖い顔をしているのか目を反らすか、あやまるようなそぶりを見せていた。

「―――で、神様になれるうわさって何ですか?」

「―――」

「―――」

 異常事態だが愛が一番落ち着いていると思ったが、一番状況を理解していないだけのようだった。

「―――最近、神様になれるって言ううわさがあるんです。」

「神様? よくありそうな話ですね~?」

「―――」

 従姉として言うが、愛に常識と言う言葉は通じないと断言できる。

 海外留学もしたことあるし、様々な文化も知っているし、信じられないような話でも鵜呑みにするかと思えば信じて真実で、信じられる話を信じずうそだったなどあることだ。

 陽菜はなんとも言えない顔だし、わたしが彼女を手助けするしかなさそうだ。

「―――神様になれる。神は万能で何でもできるようになる。だけど、戦わなくてはいけない、そういううわさだ。」

「―――」

「あの崩壊した場所と言い、何が起きたんだ?」

 簡単にだがわたしが愛に説明する中で、愛はそうなんですかと言うような反応で、わたしは陽菜に質問するが、話そうとするが、微妙に口を動かしたが、何を言ったのかわからない状況だった。

「―――ところであれなんだったの?」

「―――」

「あの白い彫刻みたいな怪物。」

 わたしがほかに何か言い、話しやすくした方がいいかと思う中で愛がわたしを放置して口を開き、陽菜が何かというような反応を示す中で、愛は奇妙な言葉を口にした。

「彫刻みたいな怪物?」

「―――ええ、白くて―――」

「白化した、神になった人間の末路です。」

 何事だと言うようにわたしが聞く中で、愛が見たと言うように言いかける中で陽菜が言葉を返した。

「―――」

「陽菜ちゃん!?」

 口を開くと陽菜は不意に服を脱ぎ始めた。

「―――この通りです。」

「―――うそ?」

「―――なんだ?」

 何事かと思ったが、服を脱ぐと陽菜の二の腕に握りこぶしほどの大きさだが、白い物体が肌に引っ付いているように見えた。

 石膏、言わば彫刻などに使う石にも見えるが、間違いなく肌に張り付いていると言うよりも肌と一体化しているように見えた。

「―――愛さん、あなたみたいに人を超える力が手に―――――」

「―――わ?」

「―――?!」

 本当に本物なのかと見ようとする中で、愛が先に陽菜の腕に触れた時だった。

 勢いよく砕けたと言うべきで、陽菜の腕の白い物体が愛が振れた瞬間に大きく乾いた音と立てて破裂するように壊れ、下に落ちた。

「―――ぅ? ん?」

「―――大丈夫? ごめん?」

 何が起きたかわからないが、陽菜は痛いようで腕を手で抑え、愛はあやまった。

「―――にしても、何で?」

「―――え?」

「―――白化が、なくなった。と言うよりも、止まった? 終わった?」

 身体を守るような様子の陽菜だったが、不意に口を開き、何事かと愛が見る中で、自分から落ちた白い粉状の物体を見始めた。

 

 怪物と遭遇した昨晩に加え、気が付くと奇妙な場所にいる上昨日とは違う怪物と遭遇し、いつの間にか戻るとそこであった少女を連れて戻り、神様になれると言ううわさを聞き、陽菜の状態と言い、解らないことは多かった。

 確かなことはこの時わたしこと愛だけではなく、優衣を含み、陽菜と言い、わたしの見た夢ではないが、浮きの向こうに足を踏み入れるか、浮きの向こうの何かがこの中に入って来たようだった。

 たいしたことのないような物言いだが、普通とは、常識では考えられないことが起きているようで、浮きの向こうからは常識以上のものが来たようで、慌てる陽菜、わたし、優衣と言い、これからどう動けばいいのかわからない状況のようだった。

 この場で一番確かな事実で、慌てずとも理解できるのは、日常と呼べるべき事態が徐々に崩壊を始めていることだった。


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