表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
21/73

目覚める力 中編

 話も進まないままわたしたちは下校時刻になり下校していた。

 これからどうなるのか、どうするのかも分からず、わたしこと真矢は煮え切らないと言うような状態で、確かなことは彼方のあの拾ったとか言うぬいぐるみのような物体と言い、たくさんの問題を抱えていることは事実だった。

 よくわかっていると言う桃子はと言えば答えてあげたいがこれ以上は言いにくいと言うような、わたしに聞かれても困ると言う顔で、道はと言えば同じような顔をしていた。

彼方はわたしと同じように気になっているが、何も言わない2人に対し、よほど言えないことがあるのかと言うような顔で時折道と桃子に眼を向けるが、道はごめんと言うように眼を反らし、桃子も似たような反応だった。

「―――――」

 普段なら明るい話し合いが聞こえるが、会話が出てこない状況だった。

「―――――ぁ。」

「―――?」

「ぇ?」

 最初に声を出したのは彼方で、普段とは精神的なものか長く感じる道でもうすぐ彼方の家が近く、見えると言う時に前のほうを見て声をだし、わたしが何事かと同じ場所に眼を向け、道が合わせるように見た。

「―――――」

「あっ!? 彼方!?」

 少し先に見える彼方の家に少し大きいトラックが止まっているようにみえる中で、不意に彼方が勢いよく走りだした。


 問題はたくさんあるが、現実に眼を向けなくてはいけないことがたくさん存在し、わたしこと彼方もその一人で、わたしは家に向かって走り出していた。

「―――――」

 大きいトラックは間違いなく宅配便とかのトラックでわたしの家に荷物を届けに来ていた。

わたしは名前は知らないが家の前でチャイムを鳴らしているトラックの運転手と顔見知りでもあった。

「おや、空野さん。お帰り?」

「し、仕事、お疲れ様です。あ、印鑑、いん………」

「あ、慌てなくていいよ?」

 少し慌て、息を切らしたわたしを彼は慌てなくていいと優しく声をかけた。

 4、50代ほどか、落ち着いた感じの笑じわの目立つ男の人で、なぜ顔見知りかと聞かれると、これは母のせいである。

大きな声で言えない裏事情だが母は実はネットショッピングの失敗常習犯で変なものを買って失敗し、ある意味ブラックリストに載って彼が担当になったとのことだ。

 子供だからとここだけの話だと彼に言われ、彼が来たと言うことは母がネットショッピングで変なものを買った証拠だった。

「―――――で、何が来たんですか?」

 真矢たちが後ろから走ってくる中でわたしは質問した。

「―――――おっきいよ? 割れ物だって? とにかく出すよ?」

「―――割れ物?」

「―――何よ? 配達屋さん?」

 彼と話、荷物が何かと確認する中で、後ろで真矢は一安心するような声を上げた。

「………また聖歌さん変な買い物したの?」

「―――そうみたい、だけど、何も聞いてないけど………?」

 買い物する前にはメールとか電話とかがあり、話しながら携帯を出してみたがそう言った連絡が来たような様子もない中で、トラックの荷台から荷物が下ろされ始めていた。

 真矢にはこの事実は知られている。

「何? あれ?」

「―――――わかんない。」

 横75Cm以上、縦1m以上、下して判明したが向きを変えると長さ2m以上の段ボールやテープに包まれた巨大な物体だった。

 訳が分からないと言うように口を開いたのは桃子で、わたしは同じように答えを返し、いつものことだが料金は支払済みだし、不要なものならば処分は後ですることにしてわたしは何にしてもバッグの中から印鑑を探していた。

「家の中入れる?」

「いえ、いいです。」

 物凄く重たそうだし、最悪後ですぐに業者を呼んで処分しないといけないので、わたしは玄関の前で困っている彼を止めました。

「―――いやぁ、助かったよ? 重くて走り難くてねぇ? 幸運だねぇ?」

「―――いいえ、お疲れ様です。あ、印鑑です。」

「はい、ありがとう。」

 母もいないので顔見知りになったとも言えるが、わたしは何にしても近寄ってきて印鑑を押してくださいと言うような様子の中で印鑑を押し、彼は帰って行った。

「かな―――――」

「ごめん、ちょっとお母さんに電話する。」

 書類的に見ても母こと聖歌の名義で、何にしても失敗したか変なものを買ったことは確かなのでわたしは電話して確認することにした。

「―――――」

『―――――もしもし? かなちゃん?』

 数回ほど呼び出し音が鳴ると聖歌は電話に出た。

 近くから人の声や機械か何かの音と、あわただしい音がする。

「―――また通販で変な買い物したね?」

『―――――――――――っ!?』

「図星だね?」

 率直に質問すると電話越しでもまずいことをしたと言うような表情がわかるほどの反応をした。

「ネットで通販するときは言ってって言ったよね? それと連絡もなかったんだけど?」

『あ!? あのね?! かなちゃん!? あれはね!?』

「何買ったの?」

 失敗が多いので結局わたしがある程度管理することになり、買う前にはわたしに相談するようにしていたが、これが結構勝手に買うことが多く意味もない状態だった。

 何にしても注意するが聖歌は慌てた様子で言うが、わたしは何にしても中身を知らないといけないので率直な疑問をぶつけた。

「―――何買ったの?」

『水槽―――――』

「水槽? 何で? 魚でも飼うの?」

 何にしても聖歌は困っているような様子だったが、答え、わたしは冷静に聞き返した。

『リューちゃんのために………』

「これじゃあワニが飼えるよ? 飼うの?」

『……………え?』

 誠意はありがたく、母親としての責任と言うべきか、聖歌はわたしが拾ってきたリューを飼う用に専用のケースを買っていたようだった。

「どこで買ったの?」

『―――――閉店セールのペットショップがネットオークションで~』

「サイズ確認したの? いくらした?」

 洗濯籠を逆さにしておいてきてどうなるか困っていたが、仮にあれが水槽だとしても困ると言うもので、わたしは出所も調べることにした。

『―――――かなちゃ~ん? お金のことは―――』

「いくらしたの?」

『―――1万円………』

 電話越しに冷や汗流してそうで、母親としてうらんだ覚えはないが、眼の前の物の処分をしないといけないのでわたしは聞けるだけのことを冷たい口調で聞いた。

「―――――大きすぎるよ?」

『だって安かったんだもん! 砂とかセットだよ? 可愛い置物とかあるんだよ? 動物の飼い方の本もついてるし、多少サイズが大きくても―――』

 何にしてもこれが1万円とは到底思えず、実際はもっとあると思うが、買った場所も踏まえ、後少し高いなと思いつつも聖歌が安心していいものだと電話越しに必死に訴えていた。

『―――ネットで確認したけど、サイズ間違えたのは事実だけど―――』

「―――おこづかい減額ね?」

『―――かなちゃ~ん!』

 なにしてもと言うように中身もわかったしわたしは聖歌に処分方法を伝えた。


 空野家の家計の管理は彼方が行っている。

 意外にインテリとか、人は見かけによらずとか言うが、僕こと道と2人が見ている中で彼方は聖歌と電話で話、荷物について迅速な対処を行い、彼方は電話をしていた。

「リューの食事代とかから引いとくからね?」

『―――――』

 聖歌の慌てふためく声が電話越しに聞こえる中で彼方は電話を切り、バッグに戻すと電卓を取り出し、複雑な計算を始めた。

「えっと? これ引いて、回して、足して………」

「―――」

「何にしても、これ家に運ばないとね?」

 計算をしていたが、僕たちのことは先に帰ったとでも思っていたか、不意に顔を上げ、聖歌の発言が正しければ水槽が入っている物体をさてどうするかと言うような物言いで言いながら言った。


 運びました。

 何を運んだかと言えば彼方の家に来た荷物をわたしこと桃子と真矢、道で彼方を手伝って家の中に入れました。

「水槽ってこんなに重くなんの?」

「―――――ある意味ガラスの塊でしょ? 当然じゃない?」

「―――――聖歌さんがよく買い物失敗するって聞いたけど、こういうことだったんだ?」

 意外に重たいと言うように真矢が言う中でわたしが真矢の言葉に返し、道はと言えばあきれたと言うような物言いだった。

「おじゃましま~す。」

「―――失礼します。」

「ごめんね~? 手伝ってくれて~? ありがと~?」

 彼方は引きずっていれようとしていたし、状況的にだれがどう見ても助けるのが当然だが、家に入ると真矢が元気よくあいさつし、道も軽くだが挨拶する中で、彼方は運びながらお礼を言った。


 一番いいのは居間に置いとく事だと思い、わたし彼方は居間まで案内し、あの巨大な荷物を置きました。

(―――だれか、たすけて………!)

「―――え?」

 荷物を置いた時、お礼にお茶でも出すとか言うようなことを言いかけた時、わたしは空想の様な話だが、どこかから子供か、女の人だと思われるが、だれかが助けを求めるような声が聞こえた。

「どしたの? 彼方?」

「ううん? 何でもない? せっかく上がったし、もう少し話してかない?」

「いいね?」

 わたしの異様な反応に気が付いた真矢が聞いてきたが、わたしは気のせいではなく、声が聞こえたと本当に思ったが、真矢に対し、すぐに何でもないと言うように返した。

(早く、来て、何がどうなってるの?)

「あ? そうだ? ちょっと荷物おいてくるね~?」

「うん、い~よ?」

 気のせいではなく、また声が聞こえる中で、わたしは何にしてもリューのことも気になったし、一度部屋に向かうことにした。


 言葉通りで彼方が部屋を出ていく中で、真矢は床に座り、横になり足を大きく広げました。

「は~? 疲れた~?」

「真矢、はしたない。」

「いいじゃ~ん? 勝手知ったる他人家~」

 わたし桃子の注意も聞かずと言うように返し、手も頭にくみ、リラックスして昼寝するような体制になっていました。

「神宮寺くんもいるよ?」

「い~の、道は幼馴染! 桃子も名前で呼びなよ? 道も桃子名前で呼びなさい?」

 さすがに真矢はなれていると言う様子だし、すこし動きが硬いわたしたちを少しでも柔らかくしようとしているような発言だった。


 二階に上がり、自分の部屋を開けるとわたし彼方は瞬間的に部屋の中に普段と違う何か違和感が起きました。

「―――窓、開けたままで出ちゃったかな?」

 わたしの部屋にはベランダが存在し、ベランダに出る窓が大きく開いてカーテンが揺れていた。

「リュー?」

 違和感の正体はこれかと思いながら、まだほかにもあると思いながらもわたしはリューのほうに眼を向けました。

「リュー!?」

 朝出た時には逆さになっていた洗濯籠が横向きになり、重りにしていたものが床に散らばり、リューの姿がなかった。

「―――――」

荷物を入り口付近に置き、近づくと食べ物や水を少し食べた後があるが、姿が近くになかった。

「―――――」

 朝見ると少し大きくなっていたような気もするが、猫よりも小さいし、血みたいな跡はないが、カラスとか野良猫でも入ってきて襲われたのかとわたしは思わず心配した。

情が移るとか言うが、わたしはこの時すっかりリューに情が移っていたようだった。

(助けて、助けて………)

「リュー?」

 あの声が再び聞こえ、わたしは思わずと言うように、違うと思うが思わずと言うようにリューの名を呼んだ。

「―――――リュー?」

 どこにいるかと探す中で、ベッドの下で小さいが何か2つの赤い光が見得た気がし、わたしは目を向けた。

「―――リュー? 大丈夫? わたしだよ? ただいま?」

 眼を凝らしてよく見てみると間違いなくリューで、わたしのほうに眼は向いておらず、横を向いていたが、ベッドに近寄り、わたしが声をかけると顔をこちらに向けた。

 少しだけだが、震えているように見えた。

「―――――見~つ~けった?」

「―――っえ?!」

(危ない!)

 ベッドの下に顔を向け、簡単なかごに入れたことを申し訳なくも思い、大きすぎるが一応はあのケースに入れようかと考え始め、もう大丈夫だと言うように手を入れる中で、後ろから女性だと思われる声がした。

 聖歌でもなく、桃子でも真矢でもなく、わたしがだれかと振り向く間もなく、また声が聞こえたが、わたしはこの後の記憶がなく、違う場所で目覚めることになるが、リューは確かに原因となる光景を見ていたと思われる。

 

 横になったわたし真矢は道と桃子が難しそうな顔しているし、何も言いそうにないので、携帯を取出し、何にしても情報が欲しいと神の噂のことを調べている時で、彼方が部屋を出て行った方向のふすまをだれかが叩いた。

「―――?」

「―――彼方?」

 少し遅いなと思う中でのことで、家主の1人だし、先ほども開けたし、開けられないなんて馬鹿なことはないと思う中で、ドアは連続で叩かれた。

「―――何してんよ? こんな時っに?!」

 立ち上がり、ふすまを開けた瞬間何かが勢いよく飛んできて顔に張り付き、わたしは思わず払いのけてしまった。

「―――って? 彼方が?」

 払いのけて落ちた方向を見ると、あのリューとか呼んでいる生き物だった。

(大変なんだ大変なんだ大変なんだ!?)

「えっ?!」

(どこ見てんだよ? ここにいるだろ? 下だよ?!)

 リューと顔を向けた時、リューの鳴き声に合わせ、不意にどこかから慌てた子供の様な声が聞こえ、わたしは何事かとあたりを見るがそれらしい子供の姿は見えなかった。

「―――――何?」

「―――声が?」

「―――あんたたちも聞こえたの?」

 少し遅れてだが道と桃子もわたしと同じように何か声が聞こえたぞと言うような反応をした。

(早く2階の部屋に行って! 彼方ちゃんが大変なんだ! 急いで!)

「―――」

(―――あー! もー! 要領えないなー!? 言葉がわからないってなんでこんなに不便なんだ!?)

 地面に落ちたリューが言っているのかと思う中で、謎の声は言葉を続けた。

(早く行って! 僕がここにいるって言う時点で変なことが起きてるって気づくだろう!? 捕まえるな!? 早く気づいて!?)

 なにしてもわたしはリューを手に取るが声は本当にリューが言っているような感じだが、口の動きとは全く違う動きだった。

 鳥のオウムとか九官鳥が人間の声を真似するとか言うけど、あれは声を出す部分がよく似ていて、声真似するから言葉を話すように聞こえるそうだが、リューは違うようだった。

「あんた? 話せるの?」

(話せるわけないだろ!? ふざけてないで2階を見に行け! 大変なんだ!)

 半塲暴れているリューを抑え、眼と眼を合わせて聞くと、鳴き声は相変わらずだが、どこか近くから人間の子供のような声が聞こえ、リューの言っている言葉が訳されているようだった。

「―――話せるわけないだろう? ふざけてないで2階を見に行け、大変なんだ―――――」

(え?)

 わたしが不思議そうに見ている中で桃子が先ほどのリューと思われる言葉を口にし、声は少しおどろいた反応を示し、リューは合わせるように桃子に眼を向けた。

(―――まさか、言葉わかるわけないよね?)

「―――まさか、言葉がわかるわけないよね? って言った?」

 何か知ってそうな桃子だが、この状況には半信半疑のようで、言葉に対し、同じ言葉を続けた。

(―――――僕の言葉が、解ってるの!?)

「僕の言葉が解ってる、って聞いた?」

(そんな馬鹿な!?)

 なぞの声が聞き返す中で、道が同じような反応で聞き返し、声は勢いよく信じられないと言うように返した。

「あんた本気で話せんの?!」

「話せてるっていうより、テレパシー!?」

「そんなことより部屋に行こう!?」

 こっちのセリフだと言うようにわたしが聞く中で桃子はおどろきながら状況を分析し、道はと言えば言葉の意味を理解して勢いよく彼方の部屋へと向かって言った。

(とにかく結果オーライだ!)

「道! 待ちなよ!?」

「彼方!? 大丈夫!?」

 勢いよく駆け込むと言うのはまさにこの状況で、何にしてもわたしたちは部屋を出て急いで彼方の部屋に向かった。

「―――――彼方!? どこ?! いないの?」

「―――――」

 半開きだったようなドアを開け入った勢いで道は彼方が置いたと思われるバッグを軽くだが蹴飛ばす中で部屋に入り、本来なら着替えでもしている頃だが、彼方の姿はなかった。

 普通だったら着替えでもしていている頃である。

彼方がおどろいて道が謝って部屋から急いで出て行くかもの投げられるみたいな恋愛シュミレーションのゲームみたいな面白いシチューエーションになるかもだが、現実は違い道は室内を見わたし、ホラーゲームのワンシーンみたいだった。

 風で揺れるカーテンと言い、倒れた洗濯籠と言い、温度を感じないと言うべきか、虚無感と言うべきか、室内は異様な空気に満ちていた。

 わからないことは多々あるが、確かなことは彼方が不意に消えたことで、こんな消え方を彼方がするわけもないし、何か異常な事態が起きたことは確かだった。


 未来が見える力が手に入ったとか言ったが、わたしこと、桃子の力も何の役にも立たないとこの時思った。

 何が起きたからわからないが、彼方の姿が見えず、道はベランダに出て周囲を見わたしはじめ、真矢は部屋を出て彼方を探し始めていたが、彼方はいないことは確かだった。

(さらわれたんだよ!? 探してもいないよ!)

「―――何があったのよ? てかあんたどうやって話してんの?」

(知らないよ!? 昨日はこんなことなかったし、―――とにかく何でもいいから助けないと!)

 リューを抱えた真矢は話しながらも彼方を探し、道はと言えばベランダから外を見ていたが、部屋に戻ってきてわたしと眼が合うと、いないと言うような反応だった。

「―――いない。」

「―――――どうなってんのよ? 道? 桃子? こいつまでしゃべりだすし? これ神隠しってやつ?!」

 声が遅れて出たと言うように道はわたしに対して言い、真矢はわたしと道に対し言葉をぶつけた。

(神隠しなんかじゃないよ? 変な女に連れ去られたんだ! それに僕が話せることは後でもいいだろう? 彼方ちゃん探さないと!)

「―――――」

(それとこいつなんか言うな! 僕にはリューって名前があるんだ!)

 リュー本人も自分自身がどうやって話せるようになったかわからない状況のようだが、あの様子と言い、何にしても肝心なことは彼方のことだと言う中で、自分の主張をリューは明確にしていた。

「―――――とにかく、何があったのよ?」

(わかんないよ?! 彼方ちゃんが出かけた後ご飯食べてたら突然あの窓が開いて変な女が入って来たんだ。)

 ごく普通に考えると奇妙な光景だが、真矢はリューを問いただすと話し始めた。

(『感じる』とか、『大きい』とか、『欲しい』とか、わけのわかんないこと言いながら僕のいた場所蹴飛すし、見たらネズミとか言って踏み潰そうとするし、最悪だよ。)

「―――」

(いなくなったかと思ったら彼方ちゃん帰って来たらつれていっちゃうし、わけが分からないよ?)

 帰って来たばかりだし、開いているはずのないベランダの窓、洗濯籠を飼育用のかごの代わりにしていたようで、蹴飛ばされて倒れた洗濯籠、床に落ちた食べかけに見える食べ物と言い、リューの証言は正しく見えた。

「あんたが食ったんじゃないでしょうね? 可愛い顔して本当は魔王見たいなのとか入ってないでしょうね?!」

(僕がどうやって食べるんだよ!? 見て解るだろう? それに入るわけがないよ!)

 外見的に見て確かにリューが彼方を食べられないことは事実だが、突然話し出したことと言い、疑心暗鬼になるのは無理もなかった。

「―――はい、とにかくそこま―――――」

 何の解決にもならないが、真矢とリューの喧嘩を止めることが最初にすることだと思ったわたしは、真矢からリューを奪う中で、こんな時にと言うように能力が働き始めた。

「―――――桃子?」

「―――木之本さ―――――」

 昨日の始まった時と言い不意にと言うように起こるもので、膨大な情報が送り込まれ始め、激しい頭痛が始まった。

 床に膝をつき、頭を抱える中で、道と真矢が大丈夫かと言うような声をかけている気もするが、わたしの意識は予知するべき方向へと神経が回り始め、周囲の音や光景は見えなくなり始めていた。


 廃墟のような場所で地面に座った彼方と、見覚えのない女性の姿が見える。

 女性と彼方が何かを話していると思った矢先のことだった。

 女性が本当に人間かと疑うほどに顔が巨大化し大きな口を開け、彼方の上半身を丸呑みした。

 一瞬しか見えなかったが、巨大化した顔も凶暴化した猫の様な顔で、口には鋭利な犬歯もならび、飲み込んだ時確かに肉や骨の食いちぎられたような嫌な鈍い音が聞こえながら、彼方の下半身は持ち上げられたが、力が抜けたように動かなかった。

 つるされている状態でもあり、間違いなく食い殺されているし、腰元から血だと思われる赤い液体が出てきて服が血で濡れ始めたと思う中で、再び鈍い嫌な音がきこえた。

身体と言うよりも下半身だけが地面に落ち、女性の顔から何かというよりも彼方の上半身を勢いよく飲み込んだと思われる音が聞こえた。

 地面に落ちた下半身は足を大きく広げた下品な姿勢で、上半身がなくなったにも関わらず少しだけだが震えるように動く中で地面に血を広げると同時に、残った下半身は身体から出るほかの液体も勢いか放出し始めているようだった。


 意識が何とか本来のほうへとわたしはこの後戻ったが、思わずと言うようにリューを地面に置くと立ち上がり、部屋を飛び出し、トイレに向かった。

 何度か来たこともあるし、わたしは迷うことなくトイレに到達し、勢いよく吐いた。

 真矢がよく海外の映画やテレビゲームでこんなのがあるとか言うが、現実にしてもゲームにしても酷いもので、わたしは耐え切れずに勢いよく胃の中のものを吐き出したし、わたしは間違いなく、普段は見られないものを見た。

 確かに同じものは持っているだろうが、学校の授業とかで絵で見たこともあるが、身体を実際に真っ二つにしてみることなんてなく、本当に不気味なものが見え、わたしはもう出ないと言うほどに吐き出した。

「―――――ちょっと? 桃子? 本気で大丈夫なの?」

 意識も何もなく無我夢中と言うようにトイレに向かい、真矢と道が大丈夫とか呼びかけていた気もするが、わたしは吐き終えた後、真矢に背中をなでられ、ようやく意識を鮮明に取り戻していた。

「―――――大丈、夫、だいじょ、うっ?!」

 朝もたいして食べてないし、昼も真矢からパン一個ももらった程度で吐くものなんてないが、吐き気が止まらず、わたしはもうないと言う状態なのに、再び吐き気を感じて吐いた。

 リューの言った女性が連れ去ったと考えると、これは間違いなく未来の光景で、彼方の命が危ないことは事実だが、わたしはあの光景の酷さに耐えきれず、吐くだけ吐き出した。

「―――――道! 水! 水!?」

「―――あ? うん? わかった!」

 真矢も真矢で反応が少し遅れたが肝心なことをしないといけないと判断して道に指示を出し、道は従いキッチンに向かっていった。

「しっかりしてよ? こんな時に? いったいどうなってんのよ?」

 言いながらわたしを肩車し、水洗のレバーを押し、動くの気力のなくなりかけたわたしを近くの洗面台に運び始めた。

「ほら? うがいして?」

 勝手知ったる他人の家と言うことは事実のようで、真矢は洗面台の収納棚を開くと歯磨きの時にうがいとかに使うと思われるカップを取出し、水を入れてわたしの前に出した。

「―――ごめん。」

「―――いいから、ほら!?」

 ごめんとは言ったが、状況的に言えてなかった気もするが、わたしはカップを受け取り、水を飲んでうがいした。


 彼方が突然いなくなり、話し始めた彼方の拾ったと言う謎の生き物、突然頭を抱え、苦しそうな声を上げたかと思うと突然吐き始めた桃子と、問題は増えるばかりだったが、何とか桃子は落ち着かせることができた。

「―――――」

 僕こと道がキッチンで水を用意していると真矢が桃子を肩車して連れてくると、近くの部屋にソファーを見つけると横にさせ、僕の用意した水を真矢は桃子に飲ませていた。

 これもついでにと言うように僕は濡らしていたタオルを真矢にわたし、真矢は桃子のひたいに置いた。

「―――彼方を、探し、て………」

 これからどうするのよと言うような顔で真矢が顔を向け、腕を組む中で、桃子が言葉を発して起き上がった。

「―――彼方が、危ない………」

「いいから、休んでて? わたしたちで探すから?!」

 起き上がった桃子を真矢は止めて再び寝かせた。

「―――大丈夫、ちょっと寝たら、治るから………?」

「あれだけ吐いて無茶よ? いいからおとなしくしてて?」

 ひたいのタオルが落ちる中で桃子は言うが、真矢が拾い、キッチンの食器の洗い場に行きながら言った。

「―――――電話も、バッグの中だし―――」

 試しに鳴らしてみるが、携帯の着信らしき音は2階の彼方の部屋から聞こえ、あの電話の後バッグに入れたままのようだった。

「―――――僕が、探してくるよ? 真矢、木之本さんお願い?」

「え? ちょっと? 道?」

 彼方を探して、彼方が危ないと言うことは確かだし、桃子は真矢に任せるとして、僕は電話をしまうと真矢が声をかける中で飛び出すようにキッチンを飛び出した。


 勝手な行動とは言え何にしてもわたし真矢は桃子のことも気になるし、動きづらい中で道が突然彼方を探しに行くと部屋を出ていった。

「―――――もう? と? たれてる?」

 勢いによる判断でタオルを使い、少し温まっていたので水で濡らし直していたが絞りが甘く、水滴が床に落ちていてわたしは慌てて絞りに流し台に戻った。

「―――――桃子、何か知らないけど無茶しない、で?」

 ソファーから降りてホラー映画「リング」の貞子みたいにはって移動している桃子の姿があった。

 髪も桃子は長いし結構細身だし、小さい以外は様になっているが、見とれている場合ではなかった。

「―――わかったから!? おとなしくしてて? わたしが道と一緒に行くから?!」

 何がここまでと言うよりも、駆り立てる何かが桃子にはあるようで、わたしは言いながら桃子を肩車させ、ソファーに戻した。

「じゃあ行ってくるから? 彼方戻ってきたらもしもでいいから連絡して? いいね?」

 桃子をソファーに戻し、わたしは彼方の家を飛び出そうとした。

(僕を忘れるな―――――!?)

「―――あん―――」

(リューだって言ってるだろう? 彼方ちゃんが名付けてくれたんだぞ!)

 玄関が見える場所に出ると忘れられていたと言うようにリューが階段から勢いよく肩にのっかって来てあんたこんな時にと言うような中で意見だけは立派に言ってきた。

(僕も行くよ!)

「―――わかった。」

 何の生き物でどういう身体をしているのかわからないが、わたしの肩にしっかりと捕まる中で意気込んだ物言いで言い、言い争う暇もなくわたしはそのまま玄関を飛び出した。

「―――」

(道君って言うのならあっちだよ?)

 外に出て道と合流するか、別れて探すかと不意に考える中で、リューはわたしにあっちに行ったと玄関から出て左の方向に顔を向けていた。

「わかるの?」

(臭いでわかるだろう?)

「わかんないはよ?!」

 犬のようにリューは鼻が鋭いようで、言葉は話せるし、言葉遣いもいい方だが、人間外の生き物のためか人間の常識がかけている物言いだったが、何にしてもわたしはリューの行った方向に足を向けた。 


 警察に通報するべきかと思うが、こと時僕道はあのリューと言う生き物のこともあるし、もしかしたら僕のことに関係して危ないことに巻き込まれたのかと言う心配をしていた。

「―――――枝葉さん? いますか?」

「―――おそばに。」

 桃子の様子も変だし、僕に関係していることならば警察とかに到底解決できる事態ではないし、僕が枝葉の名を呼ぶと、忍者のように壁から姿を表した。

 本当に忍者だし、彼女から見れば失礼な表現だが、この時勢に忍者はないと思うし、一番妥当な表現がこれしかなかった。

「彼方がいなくなりました。僕のことに関連しているかもしれないので探しに行きます。」

「ラジャーッ!」

「―――――」

 僕の言葉を聞き、最初は少しおどろいた反応だったが、探しに行くと言うとやはりあなたはこんな時でも気が緩んでいると注意したい反応をしたが言っても無駄なのであきらめることにした。

「待ってました―――――っ!」

 牧野家の養正さんとご先祖様、子孫が大事な術を現代の科学技術の悪影響を受けて大分悪用している罰当たりがここにいる気がするんですがどうすればいいですかと言うように、枝葉は瞬間的に服を放り投げると瞬間的に忍者服に着替えた。

 幸いなのは少し大人向けのアニメとか漫画みたいに露出が多いとか、皮とかの変なことしている時に使う素材じゃないことだが、スカートっぽい部分あったりと、かっこいいと言うべきか、かわいいと言うべきか、十二分な改良がされていることだった。

 真矢が見れば、彼方が見れば相応のすごいと言う反応を見せるだろうが、僕はあきれてものが言えなかった。

「僕が変身して臭いをもとに探します。枝葉さんは、服を頼みます………」

「―――――それだけ?」

「―――そういう役割だったんです! 普段は枝葉さん側が戦って、僕が出るときは服を持つのが枝葉さん側の役目です!」

 変身と言ったが、信じてもらえないだろうが僕には術を用いて変身する能力があるが弱点がある。

困ったことにこの能力、変身時身体が巨大化するので服を原形がないほどに破いてしまうのだ。

変身する前には言うまでもないが人気の無い場所に行き、服を脱いでから変身する必要があり、先祖は服を守ったり運んだりする人が必要だったそうで、普通の人にも頼めず、忍者を頼んだと言うのだ。

「とにかく、見ないでくださいね?」

「―――――も~、わがままなんだから~?」

 無言で見るなと言うように眼で言い、枝葉を後ろを向かせ、こんなところで僕何しているんだろうと言うように僕は服を脱ぎ始めた。

「エッチな本とか持って女の子の裸みてるくせに~?」

「まだ持ってませんよ!?」

 彼方のいなくなったことは事実で、何にしても嫌な気配も感じないが、万全なことをして何もなかったほうがいいと思い最後にパンツを脱ぎかける中で枝葉が口を開き、こんな時に言うかと言うようなことを言った。

「あ? 買う気あるんだ~?」

「大人の話でしょ!?」

「いずれ必要になるよ~?」

 牧野家は養生と言い結構面白く話のうまい人が多いが、こんな時にでも気分をほぐそうとしているのか本気で冗談を言っているかわからないが枝葉は普段通りに話している。

「わたしのいる~? 海外のどぎついのあるよ~?」

「いりません!」

 何にしても服は脱ぎ終わったし、少し集中すれば後は一瞬で変身できる状態の中で、枝葉は言葉を続けるが僕はすばやく返した。

「じゃあ先に彼方ちゃん―――――」

「―――終わりましたよ。」

 とんでもないこと言おうとしている気もしたが、放置し、僕は終わったので枝葉にいいと合図した。

 眼で見る限りは視界と言い何も変わってないが、僕は手も前足に代わり、4本の足で歩き、姿は人ではなくなっているし、声も低く、不気味な人ではない姿に変わっている。

「意外に早かったね? バンパイアになるの。」

「どう見ても狼でしょうが!?」

 変身した姿はバンパイアこと吸血鬼ではなく、身長150Cm以上ある巨大な狼である。

 バンパイアと枝葉が言ったが、後で聞いてインターネットとか調べたがこれは有名な漫画家手塚治虫に関係する冗談の1つで、変身する話があるそうで、昔テレビドラマとかあったそうだ。

「―――――とにかく、行きましょう。」

 父こと龍蔵もカフカの変身など、関係した話や漫画を教えてくれ読んでみているが、何にしても話しているひまが惜しいので僕は枝葉に指示を出し、僕は地面や周囲の匂いを嗅ぎ始めた。

 人間ではなくなったこの身体だが言葉も話せるし、運動能力も高いし、臭いなどの感覚も解りやすく、人探しには的確だとこの時思った。

「うん、クロ。」

「―――――」

 犬じゃないし道と言う名前もあるし、黒いからクロとよばれ、僕は顔を下に向けて静止した。

 気が重い、好きでこんな格好になったわけでもないし、ある意味全裸で恥ずかしい上、彼方の匂い探していると言う犬そのものの行動だったので一気に気力が落ちた。

「冗談冗談冗談!? ね?! 冗談だよ?! 道く―――――」

「ど~う? どこいんのよ~?」

 絶対冗談じゃないと思っている中で、不意に少し近くから真矢の声が聞こえた。

 彼方が消えた上に、僕がこんな姿なったのを真矢に見られたら何があるかわからない状況の中で僕と枝葉はおどろいたが、次の瞬間行動に移った。


 あいつこと道はどこに行っていると言う状況だった。

 彼方を探しに行くとか言ったが、リューにこっちに行ったと言われた方向に行くとわたし真矢は人気の無い場所に向かっていた。

「本当にここなんでしょうね?」

(僕を疑うの? それと手で持って運んでよ? 彼方ちゃんはそうしてくれたよ?)

 聞くとなるとリューは口と言うべきか、反応が達者で、文句まで言う始末だ。

(肩にぶら下がるのも楽じゃないんだよ? 服にも傷がつくし僕も疲れるんだ。前も見やすくなる!)

「仕方ないわねー?」

 ここまで言われたら仕方ないと言うようにわたしはリューを手に抱えて走り出した。

「―――――と言うかあんた事態何者よ!?」

(僕はリューだ!)

「―――名前は知ってんのよ! どんな生き物かと聞いているの!」

 よく考えたら聞くのが遅いと言うのが現実だが、わたしはリューに対し何者かと聞くが、リューの返事は適当と言っていい返事で、わたしは言い返した。

(―――――僕も実は知らないんだよ? 眼が覚めたら真暗な場所にいて、彼方ちゃんに拾われたんだ!)

「―――――どー言う生い立………」

(どうしたの? 真矢ちゃ―――)

 聞きたいことがあるのに余計に問題が増えている中で、わたしは眼を前に向けるととんでもないものが見え、言葉を失い、リューも何事かと言うように顔をわたしと同方向に向けた。

「―――――」

 黒く巨大な動物だった。

 一瞬熊かと思ったが、月明かりに照らされた身体は細く引き締まり、熊と言うよりも犬、犬と言うよりも大きく鋭い爪を持ち、荒くれだった体毛は凶暴さを引き立てた外見に磨きをかけた狼と言うべきだった。

「―――――なにこれ? 半端ないんだけど?」

 暗闇で光る眼はこちらを向いているし、顔は横を向いた状態で、すぐにでも襲い掛かってきそうな雰囲気だった。

「―――――って?! え? 枝葉さん!?」

 襲われたらとんでもないことになると思っている中で狼は眼を反らし身体が本来向けていた方向に走り出したが、狼がいた先に枝葉らしき姿が見え、追従するように走り去っていった。

「―――――どうなってんのよ?」

 軽くだが追いかけるも追いつけるわけもなく、わたしは走り疲れたか、とんでもないものを見たせいか、その場で膝をつき、ほかに言葉も出ないと言うように思った通りの言葉を発した。

「「すごかったね~?」」

「―――――!?」

 だれがリューのことも含めて説明してほしいと思う中で、後ろからそろった声が聞こえ、わたしは振り返った。

「「ね~?」」

「―――――あなた、たち、昨日の………?」

 振り返ってみると、昨日見た双子の少女2人が顔を合わせ、先ほどのあの狼に対し、同じ感想だと言うようにしていた。

「わたし清水理沙~。」

「わたし清水伊那~。」

「―――――」

 顔を合わせていた時は見事な同調(シンクロ)した声だったが、自己紹介の時は時間差で自己紹介した。

「―――――お姉ちゃんの名前は~?」

「―――――」

 名前を聞かれても困ると言うものだが、礼儀作法と言うべきか、そういうものは心得ているようで、先に名乗り、わたしに対して名前を聞いてきた。

「―――――ど―――」

「―――真矢、霧島真矢だよ?」

 同じことも聞かれそうだしこの状況で双子からの攻めは厳しいと判断し、わたしは何とか名前を名乗り、気力を振り絞って立ち上がろうとしたが、うまく立てず、再び地面に膝をついた。

「―――てか道は? あいつに食われた?! 枝葉さん手下!?」

 よく考えると道を追っていたことをわたしは気づき、肝心な道の姿がないことに気が付いた。

(落ち着いてよ真矢ちゃん? 道君ならさっきまでいたじゃないか?)

「いなかったよ?」

 後でよく考えれば動物の言葉がわかるなんて奇妙な事態で疑われるかもしれないが、リューが言葉を返し、わたしはリューの矛盾に返事を返した。

(いたよ? 臭いが同じだったよ? 僕もおどろいたけどあのおっきい生き物だよ?)

「そんなわけないでしょう? 臭いがするって言うのは食われたんじゃないの?!」

 犬が臭いで仲間を見分けると言うが、リューも同じようでリューはあの狼から道と同じ匂いがすると言っているのだ。

「「変身してたよ~?」」

「―――――?」

 彼方がいなくなるし、桃子も調子悪そうだし、道もいなくなって変な生き物手に抱えている中で、2人は追い打ちをかけるように口を開いた。

「「すごかったね~?」」

「―――」

「「ね~?」」

 本当に道があの狼の化け物に変身する瞬間を見たのかと聞きたくもなったが、わたしはなんとも言えずと言う状態だった。

(ねぇ、真矢ちゃん、この子たち同じ匂いがする。)

「え?」

(道君と似たような匂いがするんだ。)

 これ以上問題は増やすなとも言えず、言えない中で、不意にリューがわたしに対して言葉を発した。

「―――同じ匂い?」

(ねぇ? 君たち道君と同じ匂いがするみたいだけど―――!?)

「って、あんた?」

 どういう意味かと言うように言葉を復唱する中で、リューは2人に対して問いかけ、まずいだろうと言うようにわたしはリューを抑えた。

 わたしとは見て数歳ほどしか違わないと思うが、わたしと比べると学校も一段落違うし、子供だし、話せる正体不明の生き物なんか格好のおもちゃにされると思い、わたしはリューを黙らせた。

(何するんだよ?)

「あ? あの? あのね? これはね? おもちゃよ? 変なこと言うもんでね~? 困ってんの~?」

 あんたを助けるためだと言いたいが、不要にと言うほどに他人から見てもうひとりごと状態でものを言っているが、嘘も方便だと思う中で、少女2人が近づいてきた。

「「可愛い~」」

「あ、ああ、ありがとね?」

伊那と理沙と名乗ったが、すぐには2人の区別はつかない状態で、リューを見ると子供らしい素直な反応を見せた。

「―――伊那、どうする?」

「―――理沙、どうする?」

(やっぱりだ! だけど、なんか違うね?)

 近づく中で2人は顔を合わせ、リューは何がやっぱりだと言うのかわからないが、何かが違うと言った。

「「―――――うん」」

「?」

 いったい何なのかと言う状態だが、2人は顔を合わせ、何かを決めたような反応を見せた。

「―――――!?」

 合図した後、2人の頭から動物の耳のようなものが飛び出し、下の方からも尻尾の様なものが出てきた。

(―――狐だね?)

 わたしが何事かとみているとリューが口を開いた。

 猫耳とかあるけど、犬と言うよりもリューの表現が正しいならば狐のようだった。

「―――うそ? 本物? 触ってみてもいい?! この下に人間の耳無いの?」

 何事かとみていたが、思わず我に返ったわたしは思い切り片方の頭に触ってしまった。

「―――――ない?」

 カチューシャの様な偽物なんてたくさんあるが、耳は生き物特有の柔らかさと温かさがあり、触ると少しだけ動いた気がしたし、本来の耳がある場所を髪を動かしてみてみると、耳がなかった。

 毛色は暖かそうに見える黄色で、膨らんでいるような毛だった。


 気分は最悪だ。

 真矢に止められたが、わたし桃子はこのころ外に出ていた。

 頭痛いし、身体重いし家を出て5分ほどの距離とたいして進んでおらず、壁伝いに進んでいた。

 ここら辺一体事件なんて皆無で治安がいいと言うよりも人通りが少なくて犯罪者もいないと言うべきで、先ほどからこの状態だが人が一人も通らないのだ。

 事件や都市伝説でも出れば真矢と言い騒ぎ出すのは必然な状態だが、神になれるうわさなんて冗談のような話が、わたし自身にここまで災難と呼べるものを与えるとは思わなかった。

 彼方の命が危ないし、この事実を伝えなければいけないが、わたしの足取りは重かった。

 不運にも思えるが、幸運なのは真矢が出て少しして再び強引に能力を使い、彼方がどこにいるか判明したことで、わたしは何にしても彼方のいる方角に向かっていた。


 見えたのは先ほどの同じ場所だが、わたしは神経を集中させ、周囲の光景に感覚を研ぎ澄ませた。

 壊れかけているのか、建築途中なのか、骨組みだけの建物の中だったが、外の工事に対する警告看板や周囲にほかにある建物から、わたしは少し遠くにある取り壊し予定の大きい廃屋であることを突き止めた。

 

 神になれるうわさの詳細は解らないが、確かなことはうわさは真実で、わたしと言い、彼方と言い、真矢は遅いが、神の力が手に入る副作用なのか、身体に変調が起きている。

「――――――――――っ」

 変調なんていうと音楽用語のようで、わたしの身体はまさに不協和音と言うものを奏でていると言うべきだった。

 不協和音と言えば多くは楽器で言う特定の音程の次の音程を使うことや、音程のファと低音のシを飛ばす四七飛ばしを無視して使用することだが、わたしの身体はこの状態よりも調整ができていないことや、壊れかけた状態の楽器だと言える。

 怪我になっているのか、身体の調節と言うものがうまくできていないのか、何にしても調節の必要があるが、これが解るようでわからない状態なのだ。

 無理に身体に力を与えることや、逆に休む、瞑想するみたいに修行とかをすればいいわけでもないし、一番危険なのはこの事実を知らない上に、わたしが見た光景が現実になりかけ、命の危険にさらされている彼方だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ