пробуждение 前編
接触と言うものが彼方たちに始まる中で、わたしこと愛は確かに怪物に襲われたことは事実で共通点は存在しているが、優衣こそいて接点は生まれるが、少しの間孤立した状態で物語が進むことになる。
あの夜の後血まみれの状態で優衣に連れられて家に帰ることになり、わたしは家に帰り、優衣に連れられ身体を洗った記憶はあるが、嫌なことは忘れると言うかのようにすぐに眠ってしまった。
意識と言うものが半場飛んでいたと言う気がするし、あいまいな記憶なので話は飛ばすことになるが、わたしは彼方たちと同様にか、能力に目覚めると言うべきか、同じように夢を見ていた。
「―――?」
夢と言うのはいつの間にかと言うように見ることがあり、わたしは見覚えのない場所に立っていたかと思うと、不意に頭の下のだれかが、子供か何かだと思われるが視線を感じ、顔を向けた。
「………」
包囲と言えば少し物言いが物騒かもしれないが、前後左右子供たちに囲まれていた。
場所は倉庫か何か、資材置き場の様な場所で、天井が広く、わたしは中心辺りに立っているようだった。
「―――?」
これはいったい何だと、あなたたちはだれかと、ここはどこかと聞こうとする中で、風景が瞬時に別の場所へと変わっていた。
「―――」
声が出ないと言うべきか何も言えないと言うべきか、どうすればいいのかと言うような状況で、荒れ狂う荒野のような場所にわたしは立っていたし、だれかに強い力で抱きしめられている感触があった。
抱きしめていたのはだれかはわからず知らない人間だが、解るのは抱きしめていると言うよりも守るように抑えていると言うべきだった。
背中を右腕で強引に押さえ支えられていると言う感触と、右の耳元で男だと思われる低いうなり声のような息を吐き出す声が聞こえた。
夢の中では何が起きるかわからない上に夢を夢だと認識できる時は限られていると言うし、強い力で抱きしめられわたしが動けずにいると、後ろから高速で何かが通り過ぎたような勢いの強い風が吹いた。
「―――」
何事かと思う暇もなく、抱きしめていただれかが突然消え転びそうになる中で身体を何とか支え、前方では絵に描いたような戦場のような光景が広がっていた。
実際の戦場なんて見たこともないし、本当に戦場かどうかは解らないが、遠くて近いと言う感じで爆撃音や銃声に乗り物のエンジン音、人の金切声や悲鳴に怒号、地面に大量に落ちた薬莢と言われるたくさんの細長い金属の塊が見えたり落下音が聞こえたりした。
人間だったと言うよりもどこかから出て行ったと思われる人間の内臓器だと思われる部品も見え、絵にも描けないとはこういうことを言うのではないかと言う光景が広がっていた。
「―――――っう―――」
思わず見てしまったと言う光景で、死体だと思われる中に顔の半分ない生首が存在し、片方の眼が合った瞬間、わたしは吐き気を感じた。
「―――――」
耐え切れずわたしは地面に膝をついて勢いよく吐いた。
「―――?」
吐いた後視界の上側に、何か黒い物体が見え何かと思い顔を上げた。
「―――」
銃を向けた人とは思えない人の姿があった。
外観こそ大まかに人型をしているが、眼が青白く発光していた。
銃からも赤い光のようなものが見え、わたしを照らしているようだった。
『―――確かに外道だが、それがオレたちの生き方だ。生き残っている限りは可能性を追求し続けるし、お前には到底理解できない思想ではないと思っている。』
『それが人間をあそこまで変えたんですよ?! わからないんですか? だれにでも幸せに生きる権利があるのにそれを拒否して!? あなたの仲間となり戦い続けることが最良の道!?』
「―――?!」
かなり不味い状況だと思う中で不意に後ろから聞こえ、振り返ると2人の男女が話し合っている姿が見えた。
「―――わた、し………?」
『―――あなたは大人だからいいじゃないですか? わたしなんて―――』
『―――?!』
ビデオか何かで録画された映像であるかのように眼を向けた方向にはわたしと見知らず男が話している光景が見え、何事かと思っている中で、少し幼く感じる子供だと思われる声が聞こえた。
幼いとは言っても、小学生か、中学生だと思われる少女の声だった。
不満そうな物言いで、わたしに対して言ったことは間違いないが、振り返るも姿はなく、銃を向けていた人の姿もなかった。
『―――悪だと思っていただいて結構です。偽善よりかはいいです。偽りではないのですからね。』
「―――――?!」
『―――人間はリヴレーション(黙示録)以上のことをして、自ら全滅の道を歩むんです。』
振り向く中で再び後ろから声が聞こえ、振り返ると男性だと思われる胴体が見えた。
「―――?!」
あなたはだれだこれはいったいどうなっていると質問する暇もなく、声をかけようと頭を上げると別の光景が広がっていた。
「―――」
最初と同じ場所だが少し視点が変わり、わたしは材木か資材か、何かに座っているようだった。
「―――?」
隣に人の気配を感じ、わたしは思わず気配の方向に眼を向けると、座っていてすこし解り難いが背丈はわたしと同じほどの男の人が右隣に座っていた。
どこのだれかも知らず、見覚えもなく、年齢はわたしよりも同じ2、30代ほどで、年上か年下かは解らず、適当に自分で切ったのか髪も口ほどまで適当に伸ばし顔はあまり見えなかったが、こちらを向かない顔の向きと言い、何か重苦しい雰囲気を感じた。
着ている服は上着と言い、ズボンと言い、ズボンの袖で隠しているが軍隊の人間が履くようなブーツと言い、ミリタリーカジュアル系だが筋肉質な身体ではなく、貧弱とまでは言えないが、中肉中背と細身の中間ほどの体格で肩幅はわたしより少しだが細く見えた。
「―――?」
彼は振り向きもせず声も出さないが、不意にわたしが見ている中で手を胸ほどまでの高さまで上げ、手が少しというよりも、音が聞こえそうなほどかなり震えていた。
「―――」
「―――」
同じぐらいの年齢だし、重病にかかるとも思えず、アルコール中毒か何かの病気かと思われるが、彼は何も言わず、顔もこちらに向けず、わたしの視線は彼の震えた手に向いていた。
「―――」
見ていると手を不意に下げ始め、わたしは無意識にと言う様子で彼の震える手を両手で包むように握った。
なぜこのようなことをしたかもわからないが、握った彼の手は震え続けていた。
握った手は身長より少し不釣り合いに太くて大きく、短い指で、服装不相応に色白く、わたしよりも少し色が濃い程度の肌色だった。
わたしのほうが細く小さいが指が長く、わたしの両手に彼の手は包まれる中で少しだけだが、震えが収まり始めていた。
彼の手の体温が少しではなく、結構冷たいと感じる中で、握り返そうとしているのか、彼の手の指が動いていた。
感触的に手の動きを感じるが、弱く力と言うものをあまり感じず、わたしの両手で支えていないとこの手と腕は落ちてしまいそうで、わたしは上に置いた手を彼と手と絡ませたが、彼は指を動かすことはあるが、手を握り返すことはなかった。
あなたはいったいどこのだれだと聞きたくなり、なぜかわからないが彼のこの手を離してはいけない気がし始め、彼の顔がこちらを向きかける中で夢が突然終わった。
髪で顔はよく見えなかったが、髪と髪の間で生気のあまり感じられない細く鋭い一重が一瞬だけ見えた。
情報化社会とは言うが、タブレット言うような便利な情報収集端末もあるが、様々な情報はあふれてこそいるが、本当に必要な情報など一切入らないなとわたしこと優衣は寝ている愛の前で考えていた。
昨日の事件のことは小さいニュース記事になっていた程度で、被害者と思われる男性と女性のことが載っている程度だった。
『男女謎の惨殺
女性が殺されたと言う通報があり警察と救急が駆けつけると身元不明の男性と女性の遺体が発見された。
男性の遺体は損傷が激しく野良犬か何かだと思われるが動物か何かが食い散らかしたような痕跡があり頭や内臓器など身体の一部が足りず身元の判断が難しい状態で、女性の方は身分証らしきものを携行しておらず、胴体を3か所刺され出血多量で死亡していた。
通報した女性にけがはなかったが、発見当時女性を助けようとしたのか女性の近くで膝をついた姿勢で血まみれで発見された。』
要約すればと言うことになるが、愛が遭遇した事件はこういう概要で、女性と言うのは病院で治療を受けていた患者で、通報したのは愛で、わたしはもう一人殺されていると知らなかったと言うことだ。
「―――おとなしいな? やっぱりこたえたか?」
タブレットでほかに何かいい情報がないかと調べる中でわたしは思わず寝ている愛の様子に対して口を開いた。
静かに寝息を立てておとなしく眠っている。
事件のこともあるのか、家に帰った後放心状態で半場強引だが服を脱がせてシャワーを浴びせ、少し熱かった気もするが、愛は気にせず浴び、終わると服を着せベッドに連れて行くと意外にもすぐ眠った。
従姉と言う関係ではあり、幼い時と言い家庭の事情もあるが、親が多忙でほかの2人の妹たちと姉妹同然に暮らし、身内だからこそ知っているが、愛の寝相は本当に女性かと思えるほどひどく悪い寝相である。
睡眠中は暴れまわり、起きると天地が逆転していることは茶飯事で、必ず大の字と言うように手足を広げて寝ているし、布団も暑い時は投げるように脱ぎ捨て寒いと奪い、睡眠時間が短いのが幸いだが一度眠ると絶対によく眠らない限りは起きない状態だった。
起きていても健康そのもので、病気はしないが生傷塗れ、木登り泥遊び駆け回りは当然で、いないと思い探し見つかるとどこかで遊び疲れて寝ている始末と言うことも多かった。
高齢出産には親子ともにリスクがあると言うが、晩婚で少し高齢だったにもかかわらず愛の父純一と母玲はこれほどまでにと言うような元気な子を産み、医学的根拠とは言え嘘だと思うほどだ。
落ち着きがかけらもないかと思えば、母玲が一昔前は日本でも活躍し現在はEU圏で活躍している女優と言う遺伝子の恩恵か、おとなしい父純一の恩恵か意外にも品行方正が必要な場所では猫を被っていると思うほどおとなしく、お嬢様らしさを持っている。
猫かぶりの演技と言われるかと言うと違い、身をわきまえると言うか、場の空気を読むと言うか、世渡り上手と言うべきか場や人相応の反応ができると言うべきで、悪意と言うものをまったく感じられないのだ。
実際問題わたしを含め、彼女から見て姉になるが、迷惑とか悪いとか、嫌な従妹とは思ったことは全くないし、人付き合いもよく家を出て自立し、わたしよりもできた女だとわたしは思っている。
「―――」
「―――おじい―――」
純一が晩婚であり、わたしを含め3人の姉貴分と祖父を含んだ家族に愛され甘やかされ、かわいがられて育ったが、意外にも真面目な大人に成長し、グループにも属さない会社社長と言う身分になっている。
家族ぐるみの企業こと、グループ関係会社に就職でもして自由を謳歌して好き勝手働いて適当に遊んで行くのかと思われていたが、立場は少しだがわたしと愛は逆転している。
わたしはと言えば少しして部屋に入って来たおじいさまこと、祖父総一郎の秘書のような身分で、祖父とわたしは愛が大学時代の時に、仕事がない場合を心配し愛を祖父の秘書にすると言う話を決めていたほどだった。
わたしが就職に失敗したと言うわけではなく、愛が大人になるまでの代わりとして働いていたようなものだったが、愛が海外に留学し、帰ると普通に働き始め数年後会社を設立すると言うある意味想定外の事態を起こしたのだ。
「―――愛は、大丈夫なのか?」
入ると愛のことを気遣ってか総一郎はわたしが声をかける中で静かにするように合図し、わたしが解りましたと言うように合図するとわたしに近寄り、愛に事を聞いてきた。
背が高く細身の身体でスーツ姿が似合いそうだが、何かこだわりでもあるのか和服姿をしていることが多く、この日も和服だった。
半塲自動的にしまっていく扉は少し痛んでいるのか昔から音が大きく、愛は小さい時これが嫌いで部屋に行かず、よくわたしやほかの姉の部屋で一緒に寝ることが多かった。
いつも飛んでもないことをして家族全員に心配されている状態で、成長こそして愛は35にもなっているが、わたしたち家族で見る限り子供の時の状態で、先ほども海外出張中の親2人が日本に帰ると言う電話をしてきて大丈夫だからいいと返したばかりだ。
「眠っているだけです。」
「―――何があったんだ?」
愛のことを考えるといつもこうで、姉替わりであり、仕事が忙しく海外に行くこともある親代わりでもあったので、姉として、親として成長してここまで成長したのは複雑な気分である。
「わかりません。」
確かに愛は長男の長女と言う身分で世に言う時代遅れな言い方だが時期後継者だが、一番若いし、一番年上だが4女の長女と言うわたしは子供だと思っていた愛が思ったよりも成長し少し劣等感を持っていた。
「―――調べてはみたんですが………?」
「―――警察にも聞いてみたが、同じようなものだ。」
何にしてもわたしはタブレットから事件の内容を見せるが、総一郎は同じ内容だろうし見るのは逆に時間の無駄だと言うように返し見なかった。
60も過ぎているが老化と言う言葉とは無縁だと言うような反応で愛に対して眼を向けていた。
「となり、いいか?」
「あ? はい。」
不意にわたしのほうに顔を向けると長椅子のとなりに座っていいかと聞き、わたしはすぐに返すと総一郎はすぐにとなりに座り、大きく息を吐き出した。
「まぁ、何にしても無事ならいいさ。―――そう言えば警察は?」
少し慌ててきたようで軽くだが息を切らし一息入れ始めたが、休む暇はないと言うようにわたしに質問した。
「―――10時ごろに来たんで、とりあえずは、捜査に必要だと思いますので、着ていた服とか、渡しても大丈夫そうなものはゴミ袋に入れてわたしておきました。肝心の愛も寝ていますし、わたしが行くわけにもいかないし、起きないとも思いましたし………」
「―――そうか―――」
事件に遭遇した時の服は捨ててしまおうかと考えたが、事件に関係していると思いバッグとかも中身以外は警察に渡していた。
携帯も血まみれだったし、気分のいいものでもないと思うし、買い替えも必要だと思われた。
「―――ゴミ袋と言ったが、黒い色にしたか? 目立つぞ?」
「―――ええ、大丈夫です。黒くはないけど紙袋に包みました。ブランド物の、シャネルの。」
「―――さすがだな。」
事件や事故の遭遇する事なんてよくあることではないが、わたしは以外にも冷静に対処でき、総一郎は手際がいいと言うように言った。
「―――シャネルで殺じ―――」
苦笑いを始めた総一郎だったが愛のほうに眼を向け、何かと思うと愛が眼を開け身体を起こし始めていた。
「―――――」
起きてはいるが、眼が覚めて一応身体を起こしたと言う様子で、顔を下に向けていた。
生きてはいて死んだと言う訳ではないが、起きてみると一安心するが、非常に事態を愛が遭遇したことを再認識した。
「―――愛?」
「―――――おじいさま?」
わたしたちに愛は気づいていなかったようで起き上がり黙っていた中で総一郎が声をかけると愛は顔を上げ、総一郎のことを呼んだ。
「―――」
「―――――」
何も言わないが、何かあったか、何もありませんと言うような無言の会話が行われた様で 安心したと言うように総一郎は離れ、愛はと言えば何も言わずと言うような様子で顔をもとの状態に戻した。
愛はと言えば身体も動かさず、頭の中を整理していると言うような様子に見えた。
この状況でいい夢が見れたかなどを聞けるわけもなく、わたしは彼女の見た夢のことなどこの時知らなかった。
眼が覚めたわたしは現実を思い出していた。
昨日の夜と言うよりも1日以上寝てなければ午前中ごろだが、怪物に襲われ奇妙な夢を見た後目を覚ましたと言う状況だった。
現実にしてはうそのように感じるし、うそにしては現実のように感じられると言うのが頭の中の答えで、わたしはなんとも言えなかった。
おじいさまこと、総一郎と顔を合わせた後名前を呼ぶと言う軽くだが、言葉を交わし、近くの優衣を確認したが、何が起きたと言えばいいのかと言うような状況だった。
怪物におそわれたなどとは到底言えず、暴漢にしてはやりすぎだし、何と説明すればいいかもわからずわたしは静止していた。
「―――――」
視界の先に見えるのはわたしの腕を包む独特な着心地が肌に伝わるシルクのパジャマに、派手ではないが質感でわかるいい素材のシーツと、無駄に広く絵に描いた西洋の豪邸のようなベッドが広がっている。
三面鏡の化粧台にテディベアのぬいぐるみ、少々部屋に不釣り合いに感じる部屋の端に置かれた少し真新しく見えるクローゼットはどこから見てもわたしの部屋だと言うことを伝えていた。
家とは言っても自立して1人で暮らしている部屋ではなく、実家の、優衣と、総一郎、父と母と暮らしていたころの部屋だ。
女の子ならば一度はあこがれる絵に描いたようなお姫様やお嬢様と言った暮らしの一場面だが、幼い時のいつごろからか、古臭く、無駄な装飾で着飾られ、複雑に絡み合った糸が広く大きな家じゅうに広がっているように感じわたしはこの家が嫌いになっていた。
「―――――おばあさま?!」
「―――ババァッ!? 何の用だ?!」
うわさをすれば影とやらで、失礼な表現だが嫌いになった元凶こと、湯川ホールディング代表にして、総一郎の妻湯川八千代が部屋に入って来た。
着物姿で典型的な頑固ババァと言う言葉が一番に似合う女だ。
元凶と言ったが、原因はわたしと彼女のと言うよりも、祖父と祖母の経営理念対立にわたしが巻き込まれた結果だ。
わたしは父も母も優衣も好きだが、彼女だけは表に出して言いはしないが大嫌いだし、彼女もわたしが大嫌いで、お互いにこのことが解り合った仲だと思っている。
なんとなくと言うように嫌っている部分もあるが、嫌いなのは古くさすぎる考え方で、何かあればわたしを湯川家の血縁外だと言うし、一族とホールディングを存続させるために早く結婚してひ孫を生めだの、極度の西洋かぶれなどと言うからだ。
血縁外だと言われたら実を言うとそうで、わたしは本当は華族の湯川家の血など一滴も流れていないし、八千代と血縁でもない上存続も興味もないし祖父からしなくていい許可ももらっているし、西洋かぶれなのは身体に流れている血のせいだ。
遺伝的にわたしは総一郎の血を引き総一郎が言うには家系的に豪商の生まれで、父純一は母ことわたしの本当の祖母はすでに死亡しているが渡米した時に会ったアメリカ人女性だそうだ。
総一郎は祖父が立ち上げ、親が食いつぶし、潰れかけていた会社を立て直した5男で、建て直し後経営拡大と気晴らしの中で彼女の出会い、交際、同棲と経て父純一が生まれたが、彼女は出産から数年後死亡したそうだ。
彼女の身体の弱かったこともあるそうだが、必ず戻ると言い日本に戻ると、親を含む会社の重役たちに経営の手腕を見込まれ遠縁とはいえ縁も何もないような湯川グループに婿養子に行くことがいつの間にか勝手に決められていたそうだった。
政略結婚だと訴えたが拒否権もなく、彼女とは籍も入れておらず、話したが受け入れられず、あわただしくなり、時間ができたころに彼女の死んだ知らせが入ったそうで、総一郎は純一を引き取ったとのことだ。
無論波紋が出たことは必然だが、存続不可能だと思われていたが湯川家も長女も生まれていたし、経営手腕は確かなもので手放すには惜しすぎる人材になっていた。
父こと純一もわたし同様に嫌われたそうだが真面目で品位もあり、身体が弱いが成績もいいと、湯川家から見ての祖父の汚名を払拭する価値はあったとのことだが、悪く言えば、彼も湯川家から見て祖父に似て同じ不都合なことをしたのだ。
「―――大事な孫が事故にあったと聞いて飛んできたのです。」
「―――オレの孫だ。帰れ!」
「おじいさま? おばあさま?」
形式的、機械的、棒読みとも言える物言いで、感情任せに物を言えば顔のしわが目立ちそうな年を取った顔で、笑いじわの多い総一郎の顔とは大違いだが、総一郎もこの時だけは同じような顔をしていた。
総一郎がオレの孫と言ったことと言い、わたしこと愛は純一が湯川家から見て祖父に似て同じ不都合なことをしたその結果で、問題はわたしの父純一の妻こと母玲との結婚である。
血縁ではないが身体も弱く、真面目でおとなしい純一は何とかと言うように気の強い八千代に気に入られていたが年も取り、妹たちが結婚し出産する中でいい縁談話もなく、湯川家との遠縁の女性との縁談が決まりかけた時だった。
彼自身も縁談で丸く収めることを望んでいると思われたが、ある日突然総一郎の前に玲を連れてきたと言うよりも一緒に会いに来たそうだった。
『一生に一度のわがままを言いに来ました。』
『彼女と結婚したいです。』
『駄目ならこの家を出て行きます。』
純一自身生い立ちも聞かされ立場も理解し、だれかと結婚は気まずいと考えていただろうし、縁談があることも理解していた中で、母こと玲と出会いこの答えを本気で出して言ったとのことだった。
湯川家から見れば俗に世に言うどこの馬の骨だと言う存在な上、ある意味問題児の純一の問題解決を阻害したことになる上に、純一と呼び合うものでもあったのか、彼女も純一と同様日米人とのハーフだった。
正確には当時のソ連だが、わたしから見て祖母こと玲の母が現在のウクライナからの亡命者だそうで、わたしは外見こそ日本人だが50%ほどで、残り半分ずつはアメリカ人とウクライナ人だ。
水泳が好きで学生時代大会にも出たこともあり身体が鍛えられて女性にしては肩幅が広いこともあるが、顔も体格も少し西洋的だし、髪は黒いが瞳もよく見ればだが、右が少し青く、左が少し赤く見えることもあり、自分の本当に人間かと疑う時もある。
いつまでも時代遅れだと言わせるように家督制度にも興味のない総一郎で、グループ内で強い主導権を持ち結婚は純一の一声の後に一族の承認の無いまま素早く承認され、総一郎は父純一を病弱で奥手だったこともあるのか、逆によくやったとほめたそうだ。
総一郎はと言えばこのころから八千代と仲が悪くなる頂点で顔を合わすたびに喧嘩していたそうで、これをきっかけや皮切りと言うべきか、会社法の法改正も手伝い、グループは総一郎引き入るグループと、八千代率いるホールディングへと内部分裂した。
書類上わたしが生まれたころにはすでに分裂しているが、勢力や経済情勢的には8対2でグループの圧倒的有利だが、ホールディング側は遠縁の血縁者や優衣の様な人間を部下に集め戦況を打開または強引だが和解しようとしているそうだ。
特に労働者として脂ののり始めた時期の優衣やわたしたち、とくに優衣は中立的立場を保っているし、加えてわたしは35で血縁ではないとは言え一番若い孫としてひ孫も期待され、会社経営と言う手腕もあり的確な人材と言う格好の的になっているのだ。
「―――――」
「―――――」
「―――――」
顔を合わせればといつものようにと言う様子の2人で総一郎と八千代は相変わらずこの家の存続について喧嘩をしているし、わたしのことも議題になり、優衣は止められないと言う様子だった。
総一郎や優衣は好きだが、無駄に華美なこの家や、わたしとは実際問題縁もゆかりもないのに無駄に古くて時代遅れな風習を押し付ける八千代は嫌いだし、何よりも一番嫌いなのはこの自分の部屋と自分自身だ。
自分で言うのもなんだがわたしはこの時代遅れもいいところな場所でうまく生きるために猫被っているし、100年もたてば終わっていると思うが、いつまで続くかもわからず、ここからの生活から逃げたいと思い1人暮らしもはじめた。
総一郎の秘書にすると言う話も悪くなかったがむげにし、会社設立と言い好き放題で、昨日の夜と言い、清楚なお嬢様と言う印象から逃げたく一時的でもわすれたいと言う衝動や反動なのか性欲が強いと言うよりも激しく淫乱だ。
女性との経験もあるし、わたしなら求められるし一時的だが自分も男も含め、人間と言うのは単純だとよく思うことがある。
「―――――」
「―――――」
「―――――」
起きているのがつらい気がしてわたしは再び身体を倒し、見えないし事情も理解してもらえるだろうし、話している方が悪いから失礼にならないだろうし眼から背けるように彼らに背を向け身体を横にした。
布団を被って眠ることにしたが、会話は聞き流しているような状態で、総一郎は機嫌が悪そうに出て行けと言うことを繰り返している。
八千代はどこから手に入れたのか、わたしの昨日のこともいずれ知るだろうが、あることないことの悪いことを話している。
優衣は2人を落ち着かせようとしている。
「………?」
どこかへ逃げたいが、どこへ逃げていいかも解らないし、逃げる当てになる場所も人もいないし、わたしと言うブランド的価値は現在の会社設立と言い永遠についてくるし、逃げられないと思った時だった。
聞き流して眠るのが一番だし、あの怪物だって着ぐるみとかの偽物で変質者や変態とかの一種かもしれないし、病院の医師も忘れた方がいいと言っていたことを思い出す中で、閉じた眼にあの夢の中の最後に映った男の眼が映った。
生気を失ったような細く鋭い一重、獣のような眼だがこれまで見た男とも違い、普通の猛獣とは違い熱意と言うべき温度と言うものを感じない冷たい眼だと言うことを再認識していた。
「―――」
蛇の眼だと気付くと同時にドアの開く音が聞こえた。
トラとかの様な一般的な猛獣と違い凶暴そうには見えないが、あの男の眼は蛇の眼に似ていて、あまり動かず好機を待ち獲物を手に入れようとしているような眼で、姑息で卑怯な悪意とは言えないが心のうちに何か見えない策略の様なものを隠しているように見えた。
キリスト教の旧約聖書で蛇が最も賢く、警戒心が強い、知恵を持つとか言う話があるが、足の無い身体で地面をはい、音もなく忍び寄り獲物を狩るさまは確かに賢さや警戒心、知恵の強さを持っているとも思われても仕方のないことだ。
「―――れーく、 高橋くん?!」
見覚えのない人間だし、扉を開けたのは足音と言い、優衣の反応と言い夢の中の彼ではないことは明確だ。
両開きの無駄に広い扉で、鍵こそあるが慎重に開いても大きい音が聞こえ幼い時は自分で開けても怖く、勝手に開くと思うと自分の部屋にいるのが嫌だったが、大人になれば無駄に大きくてうるさい扉で、だれかが来たのを確認するには役に立つ程度だ。
「おひさしぶりです。―――愛は、まだお休み中ですか?」
「残念だったな? さっきまで起きていたが、お前の顔は見たくないそうで予知でもしたか眠ったよ?」
気安く呼ぶなわたしはもう子供じゃないし総一郎ことおじいさまナイスと言いたい部分もあったがわたしは寝たふりを続けた。
入って来たのは高橋零夜と言う男で、ホールディングの重役の1人でもあり、湯川家の遠縁の男性でもあり、わたしの婚約者と言うことになっている。
幼いころからの付き合いで優衣は「れーくん」と言おうとしていたのだ。
八千代は純一の一件で懲りないようでわたしが生まれる前に婚約を決定し再び地盤を固めようとしているようで、これも総一郎との不仲の原因の1つなっている。
伝統を重んじることはいいことだが押し付ける物でもないし、わたしは懐古主義でもなし、口では言はないが一応グループ側の人間のつもりだが、八千代とれーくんこと、高橋は本気だから困っている。
「幼いころからの付き合いなんですよ? ―――彼女だって………」
「選ぶのは愛だ。」
婚約など時代遅れな風習だと言うように総一郎は言った。
確かに時代遅れでもあるが、現在でもないわけでもない話であることは事実だ。
ある国では長い間一族同士で争っていたが近代になり和平として一族の末裔をお互いに婚約させたと言う争いおさめのいい話もあり、これは悪しき風習の封印と言えるが、わたしのこれは悪しき風習の再建の足掛かりだ。
「………」
「―――愛の身体に触る。お前が出て行かないならオレが出て行く。」
ここまで来てよく言ってくれましたと言う状況だったが、総一郎は言うと足早に部屋を出ていこうとしたのか早歩きな足音が聞こえた。
「―――おじい―――」
「―――優衣、愛を頼んだぞ? 抱かれたくない男に抱かすな!?」
呼び止めようとする優衣も聞かんと言うように勢いよく言い、部屋を出て行った。
「―――待ちなさい!? 話はまだ終わってない!?」
「―――――ぁ。」
寝たふりしているから一番の犠牲者がお姉さまこと優衣になっている状況で、八千代は総一郎を追いかけ、部屋を出て行った。
「―――――」
わたしはと言えば寝たふりもしていたが、優衣のことも放置し、夢の中で見たあの蛇の様な眼の男のことが気になり、頭から離れない状態になっていた。
「―――愛? 大丈夫?」
高橋は背も高く引き締まった身体に一流大学を出た学歴に給料と言い、性格も男としては悪くない部類だと思われるが、わたしはなぜか彼が好きになれず、この時も本気であれがだれかと考え始めていた。
「―――――?!」
「―――愛っ!?」
だれでも寝ていたと思ったがわたしは高橋が近づいて声をかけた瞬間、勢い良く起き上がり、彼の顔を手で押さえて眼を合わせた。
なぜかわからないがこの時夢の中の男と比較する顔の土台こと何かが欲しくなったのだ。
「―――――あ―――」
「―――違う、あなたじゃない。」
「―――?!」
言うまでもないが言葉の通りで、彼は夢の中の男ではないことは明確だった。
「もっと背が低かった。髪も長かった。肩幅も小さい………」
「―――愛?」
「―――」
夢の中を思い出し、優衣も高橋も何事かと言う状態の中で、わたしは彼の体格や背格好を思い出していたが、不意に身体の力が抜けるようにベッドに倒れた。
酷いと思えるほどの疲労感が不意に身体中に起こり、動いているかもしれないが指1つ動かすことや瞬きする事、呼吸する事すら面倒だと感じ始める中で、わたしの意識は再び途切れた。
わたしこと優衣と言い、家族間で、愛に対してトランスと呼んでいる現象がある。
多重人格と言うべきか、何かが乗り移ったかのような反応で行動してものをいうことで、この時の愛は非常に近寄りがたく言葉をかけづらく、どこか怖くこの状態だ。
一番の違いは眼で、普段の明るい愛と違い生気を感じず、観察するような状態になるのだ。
大きくな声では言えないがよくないうわさも愛には多くあり、裏で何か変なことをしているとは聞くが、精神的にも健康上は何の異常もないし、何もできない中で愛はわたしたちが見ている前で再び眠り始めた。
「―――場所を変えよう。」
眠れる森の美女と言うべきか、眠ると普段とは違い幼い少女のような表情の寝顔で、わたしは愛に近づくと寝かし直し布団をかけ直すとタブレットを手に持ち、高橋に一緒に部屋を出るように合図した。
「―――」
「―――」
不満そうだが何も言わず高橋は何とか従ってくれたが、何も言えないのが当然の状況だった。
「どこのだれか知らんが―――」
「―――――」
状況的に判断して愛がほかの男性と相応の場所で相応のことはしていることは必然だと言え、愛は彼の顔でその相手と思われる顔と比較した状況だと思われ高橋の機嫌はだれが見ても悪い状態だった。
時代遅れな風習に縛られているとも言えるが、そこらの変な男よりも彼が信頼できるし、わたしも少しだが、愛が言った高橋よりも背が低く、髪も長い、肩幅の小さい相手が大丈夫かと気になりはじめていた。
彼方たちから見れば縁も何もないような話だが、怪物の一件と言い、わたしたちは確かに、彼女たちとこの時関わり合いになり始めていた。




