第28話:執念の逆転CS! 意地と栄光のペナント最終戦
9月に入り、ペナントレースはいよいよ大詰め、リーグ優勝とCS進出を巡る最終盤の戦いを迎えていた。
パ・リーグは首位を走る福岡ディスクバンクホークスが、2位のアリックス・バファローズを5ゲーム差以上引き離したまま着実にマジックを減らし、9月下旬に堂々のリーグ優勝を達成。バファローズの2位も確定していた。
一方、崖っぷちに立たされていたのが埼玉ジャガースである。
現時点で4位のジャガースは、3位の北海道アジアハムファイターズをわずか「0.5ゲーム差」で猛追。クライマックスシリーズ進出への最後の1枠をかけ、本拠地ベルーナドームで運命のシーズン最終戦を迎えていた。
この大一番、ジャガースの先発マウンドに上がるのは、もちろんエース・銭形豹馬! 対するファイターズの先発もエース格の伊東大海という、絶対に譲れない投手戦が予想された。
しかし、ファイターズのスタメンにもベンチにも、あの早瀬駆の姿はなかった――。一連の乱闘騒ぎと度重なる危険なプレイに対する、新宮剛史監督の厳しい決断であった。
試合は初回からジャガースが怒涛の攻撃を見せる。
1回裏、1番・猿飛英恵が選球眼を発揮してフォアボールで出塁すると、2番・滝川夏央がきっちりと送りバントを決めて1死2塁の先制チャンスを作る。
ここで打席に入るのは「3番・銭形豹馬」!
伊東が投じた甘い変化球を、豹馬のバットが完璧に一閃! 快音を残した打球はレフトスタンドへと飛び込む先制2ランホームラン!
「打った瞬間それと分かるアーチ! 豹馬が自らのバットでチームを引っ張る!」
さらに勢いは止まらない。続く4番・ロイが左打席に入ると、内角低めのストレートを見えないほどの豪快なフルスイングで一撃! 白球はライト場外へと消え去る圧巻の2者連続ホームランとなり、立ち上がりにいきなり「3-0」とリードを奪う!
その後も勢いに乗るジャガース打線は2回、3回と着実に加点してファイターズのエース・伊東をノックアウト。
投げても豹馬が7回を被安打わずか4の無失点と圧巻の好投でマウンドを支配。結果は「9-1」の大勝!
埼玉ジャガースは最終戦で見事に逆転し、劇的な「3位」を決定づけてクライマックスシリーズ進出の切符を掴み取った!
だが、王者ディスクバンクとのゲーム差は10ゲーム以上離れており、ファイナルステージに進出した場合は相手に「2勝のアドバンテージ(※1敗アドバンテージ+優位性)」が与えられるなど、日本一への道は極めて険しい下剋上となる。
試合後の最終戦セレモニー。超満員のベルーナドームのファンを前に、西方文哉監督がマイクを握った。
「昨年の2位を受け、今季は優勝を目指して戦ってまいりましたが、結果的には際どい3位という成績に終わりました。目標を果たせなかったことに関しましては、ファンの皆さまに心からお詫び申し上げます。しかし! 我々の戦いはまだ終わったわけではありません。これからクライマックスシリーズが控えています。優勝したディスクバンクとは10ゲーム以上の差をつけられ、非常に厳しい戦いになりますが、皆さんの熱いご声援を胸に、全力で下剋上へ挑んでまいります! ファーストステージの舞台は大阪ですが、ジャガースファンの皆さん、今後とも温かいご声援をよろしくお願いいたします。今シーズン、ベルーナドームでの熱いご声援、本当にありがとうございました!」
10月に入り、セ・パ両リーグのレギュラーシーズン全日程が終了。
苦難のシーズンを乗り越えた従兄妹たちも、投打で輝かしい個人成績を残した。
銭形豹馬:【投手】14勝2敗 / 【打者】打率 .285、20本塁打、85打点
ロイ:打率 .260、40本塁打(パ・リーグ本塁打王獲得!)、95打点
猿飛英恵:打率 .305、25盗塁
次なる決戦の舞台は、京セラドーム大阪での「クライマックスシリーズ・ファーストステージ」。
立ちふさがるのは、宿敵・達摩兄弟を擁する2位アリックス・バファローズ。
奇跡の日本一へ向け、ジャガースと豹馬たちの本当の険しき挑戦の道が、いま始まろうとしていた。




