第23話:豪腕撃破と執念のサヨナラ、そして新たな嵐の予感
交流戦が明け、ペナントレース後半戦の幕開け。埼玉ジャガースが向かったのは、敵地ZOZOマリンスタジアムでの千葉ロットマーリンズとの3連戦であった。
マウンドに立つマーリンズの先発は金脇総司――ベルーナドームでの初先発初登板でノーヒットノーランを達成した、球界を震撼させる若き剛腕左腕である。対するジャガースの先発は、前回喫した雪辱を果たすべく燃えるエース・銭形豹馬。
1回表、ジャガースの攻撃。先頭の1番・猿飛英恵が絶妙なバントヒットで出塁し、2番・滝川夏央がフォアボールを選んでノーアウト一・二塁のチャンスを作る。ここで打席に立った3番・銭形豹馬の闘志は燃え上がっていた。
(今の俺はあの時の俺じゃねぇ! ストレート一本に絞って撃ち抜く!)
カウント0-2と追い込まれながらも、金脇が投じた3球目の真ん中付近の剛速球を、豹馬のバットが完璧に捉える。打球は左中間を真っ二つに切り裂く適時2塁打となり、走者2人が生還してジャガースが貴重な2点を先制した。
さらに勢いに乗る4番・ロイ。左腕の金脇に対し右打席に入ると、内角低めの甘く入った「高速フォーク」を、見えないほどのフルスイングで弾き返す。白球はレフト場外へと消え去る痛烈な2ランホームランとなり、一挙「4-0」とリードを広げた。
この日の金脇は制球が定まらず、5回途中6安打4四死球5失点というまさかの大乱調。プロの厳しい洗礼を浴びることとなった。
一方、援護をもらった豹馬は圧巻の投球を披露。8回をわずか被安打1、無失点に抑える完璧なリレーを見せ、チームは「7-0」で快勝を収める。続く第2戦の先発・髙橋空多、第3戦の先発・平良快馬もこれに続き、ジャガースは交流戦明けの前半戦初頭を文句なしの3連勝で飾った 。
次なる舞台は本拠地ベルーナドームに戻り、達摩兄弟が控えるアリックス・バファローズとの6連戦。
初戦を落としたものの第2戦を制し、迎えた第3戦。中4日の強行日程ながら、再び銭形豹馬がマウンドに上がった。
1回表、2アウトを奪った後に迎えたのは、3番・達摩厳。
(豹馬よ、久々やなぁ! 新魔球がどういうものか、しっかり見させてもらうでぇ!)
並行カウントの2-2から粘る厳に対し、豹馬が投じた7球目は外角低めへ曲がり落ちる「コブラシンカー」。厳のバットは空を切り、鮮やかな三振に倒れる。
「うぅ……これが噂の新魔球・コブラシンカーか……」
さらに2回表、先頭打者として迎えた4番・達摩豪。
(兄貴があかんかったら、この俺が打ち崩して見せるでぇ!)
フルカウントまで粘り、今度はバットをあざ笑うかのように手元で鋭く落ちる「ジャイロフォーク」に挑むも、豪のバットもまた空を切った。
「こんな緩い球やのに、手元で急に落ちるなんて初めてや……」
恐るべき兄弟揃って、豹馬の新魔球の前に完全に舌を巻くしかなかった。
両チーム無得点のまま緊迫した投手戦が続き、迎えた9回裏。ジャガースの攻撃は4番・ロイから。
バファローズの救援・アンドロス・マチャダに対し、カウント3-2からの6球目――。左打席に入ったロイの怒涛のフルスイングが、内角低めのストレートを完璧に捕らえる。
天井高く舞い上がった打球はライト場外へ消える劇的なサヨナラホームラン! 「1-0」で執念の勝利をもぎ取り、豹馬も今季7勝目を挙げ、このカードの勝ち越しを決めた。
移動日を挟み、次なる戦場はみずほPayPayドームでの福岡ディスクバンクホークス戦(2連戦)。
ローテーションの兼ね合いもあり、このカードで豹馬は打撃専念となった。第1戦は勝利したものの、第2戦はホークスの大砲アポロに痛恨の2打席連続本塁打を浴び、「0-3」とリードを許す展開となる。
そして迎えた9回表、ジャガースの最後の攻撃。マウンドには、ベルーナドームでのサヨナラ弾の雪辱に燃える妹・ダイアナ・ムーンストーンが立つ(DHを解除して兄のアポロがマスクを被る執念の采配)。
先頭の3番・豹馬が執念の粘りを見せるも、カウント3-2からの8球目、ダイアナの得意とする「ムーンライトボール」にバットが空を切る。続く4番・ロイ、5番・テーラー・ナビンも立て続けにムーンライトボールに沈み、3者連続三振のゲームセット。ダイアナは見事に前回のリベンジを果たし、マウンド上で雪辱の笑みを浮かべた。
悔しさを噛み締めつつも所沢へ戻ったジャガースを待ち受けていたのは、新ライバル・早瀬駆を擁する北海道アジアハムファイターズとの次なるカード。
しかし、その試合の最中、グラウンドを揺るがす「思わぬ事件」が突如として発生するのであった――。




