第22話:東京ドームの攻防、新魔球が巨神軍を沈める
舞台は東京ドーム――セ・リーグの盟主にして「巨神軍」と称される読報ジャイアンツの本拠地である。
なにわタイガース戦を勝ち越し、勢いに乗る埼玉ジャガースは、ライバル・「弁慶」こと藤堂弁慶が待ち構えるジャイアンツとのカード初戦・第2戦を連勝で飾る。そして迎えた第3戦、中4日でマウンドに立ったのはエース・銭形豹馬。この日も投打の「二刀流」として気負いなくスタメンに名を連ねた。
一方のジャイアンツも、これまで主に代打としてその豪腕を振るいながらも、ついにこの日は「4番・DH」として巨漢・弁慶をスタメンに抜擢。新監督・松江秀喜の思い切った采配が東京ドームのファンを沸かせていた。
試合は初回から大きく動く。
1回表、ジャガースの攻撃。先頭の1番・猿飛英恵が持ち前の俊足を活かした絶妙なバントヒットで出塁すると、続く2番・滝川夏央が手堅く送りバントを成功させ、1アウト二塁の絶好機を作り出す。ここで打席に立ったのは「3番・DH」の銭形豹馬。
豹馬は相手右腕の投じた甘い変化球を逃さず、鋭くセンター前へはじき返すタイムリーヒット! 俊足の英恵が一気にホームを駆け抜け、ジャガースが幸先よく1点を先制する。
さらに続く4番・ロイ。相手が右投手であるため左打席に入ると、カウントから豪快にフルスイング! 捉えた白球は凄まじい弾道を描いてライトの看板を直撃する特大のツーランホームランとなり、一挙に「3-0」とリードを広げた。
援護をもらった豹馬は、その裏のマウンドで圧倒的な投球を見せる。
2回裏、この日初めて巡ってきた4番・弁慶との第1打席。
(弁慶は巨体ゆえに変化球へのもろさがある……。ここは俺の特殊魔球で一気に料理するとするか!)
豹馬が投じた初球――内角へ鋭く沈む新魔球「コブラシンカー」で早くもストライクを奪う。続く2球目は外角へ逃げる主武器の「ジャガーボール」で追い込む。そして勝負の3球目、打者の手元でバットをあざ笑うように緩く落ちるもう一つの新魔球「ジャイロフォーク」!
豪快な巨体を揺らしてスイングした弁慶のバットは、しかし空を切り、鮮やかな三振に倒れた。
ベンチへと引き揚げる途中、藤堂は悔しさを押し殺しながら小さく呟いた。
「さすがは銭形……。あの短期間で新しい魔球を取り入れやがったな……。敵ながらアッパレだ……」
その後も豹馬の投球の勢いは衰えず、弁慶の第2打席、第3打席も凡打に仕留めていく。打線も盤石の試合運びを見せ、迎えた最終回。代わったジャガースの抑え・海津央が最後の打者である藤堂を力でねじ伏せ、ゲームセット!
試合結果は「3-0」の完封勝利でジャガースが巨神軍を相手に痛烈な3連戦3連勝を浴びせ、なにわ戦に続く驚異の5連勝をマーク。チームは破竹の勢いで上昇気流に乗り始めた。
その後もジャガースは、東京ヤクルタスパローズ戦、中京ドラゴンズ戦、そして横浜DJベイスターズ戦と、それぞれのカードを「2勝1敗」の堅実なペースで勝ち抜いていく。
交流戦の最終成績は13勝5敗となり、全体順位こそ4位に甘んじたものの、セ・パ交流戦のパ・リーグ内順位においては堂々の「3位」へと浮上。ペナントレース前半戦の終盤、チームは一気に頂点を見据えるV戦線へと名乗りを上げるのだった。




