第20話:月の落日、豪傑たちの連勝街道
東北円天戦を3連勝で飾り、勢いに乗る埼玉ジャガースは、本拠地ベルーナドームに福岡ディスクバンクホークスを迎えての激しい6連戦へと突入していた。
開幕2連勝を収めて迎えた3試合目、マウンドに立つのは中4日で先発に上がったエース・銭形豹馬。この日は「3番・指名打者」として二刀流でスタメンに名を連ねた。
【先攻・福岡ディスクバンクホークス】
1番(一)正野智也
2番(中)周東佐京
3番(左)近代健介
4番(三)栗畑陵矢
5番(指)アポロ
6番(捕)山下祐大
7番(二)牧村大成
8番(右)柳村達
9番(遊)庄内雄太
先発投手:前多悠伍
【後攻・埼玉ジャガース】
1番(遊)猿飛英恵
2番(二)滝川夏央
3番(指)銭形豹馬
4番(左)ロイ
5番(一)テーラー・ナビン
6番(右)長谷山信也
7番(捕)香島太雅
8番(三)渡鍋聖弥
9番(中)西河愛弥
先発投手:銭形豹馬
初回、両チーム無得点で迎えた2回表。
1アウトから打席に入ったのは、ホークスの巨漢スラッガー・アポロ。
豹馬が投じた初球――外角へキレ味鋭く沈む新魔球「コブラシンカー」がずばりと決まる!
(これが噂の新魔球「コブラシンカー」か……!?)
アポロが心の中で目を見張る中、2球目も同じく外角のコブラシンカー。バットはむなしく空を切る。
そして追いつめた3球目、豹馬は内角へバットをあざ笑うように緩く鋭く落ちる「ジャイロフォーク」をねじ込んだ!
「ストライクバッターアウト!」
(これも新魔球か……!? さすがはヒョーマだ……)
三振に打ち取られたアポロは、敵ながら思わず胸の中で称賛の意を漏らすのだった。
一方、ディスクバンクの先発・前多悠伍も同世代の意地を見せ、7回3安打無失点と譲らない好投を披露。息をのむ圧巻の投手戦が繰り広げられる。
豹馬もまた、8回を投げて被安打わずか3の無失点とマウンドを完璧に支配。9回は救援の豆野大志へ後を託し、豆野もきっちり無失点で抑えて味方のサヨナラ勝ちへと繋いだ。
そして迎えた9回裏、ジャガースの攻撃。
ディスクバンクは指名打者を解除し、キャッチャーにアポロ、そしてマウンドには妹のダイアナ・ムーンストーンを送り込んだ!
あの日、ドリームチャンピオンシリーズで豹馬に打ち砕かれた雪辱を果たすべく、美貌のサブマリンが燃えるような執念を秘めて登板する。
先頭打者として打席に立つのは、3番・銭形豹馬。
(ダイアナがあれからどこまで進化しやがったか、この日を待っていたぜ!)
(ヒョーマ、打撃もかなり磨いてきたみたいだけど……楽しみにしていたわ!)
互いに強く意識し合う中、ダイアナが放った初球の「ムーンライトボール」! 浮き上がり沈む球を豹馬が完璧に捉えたが、打球は力んでしまい大きなレフトフライに倒れた。
1アウトとなり、続いて打席に立ったのは「4番・ロイ」。
フルカウント3-2からの6球目――ダイアナが渾身の力で投じたボールに対し、山形での居合修行で覚醒したロイの極大スイングが一閃された!
ドドォンッ!!
打たれた瞬間にそれとわかる凄まじい衝撃音を残し、白球は屋根へ高く舞い上がると、そのままレフトスタンドを遥かに越えて場外へと消え去った!
「行ったぁぁぁーーッ! ロイの超特大サヨナラ場外ホームラン!!」
ダイアナは、またしても痛恨のサヨナラ弾に沈み、膝をついて下を向くしかなかった。
怒濤の勢いに乗るジャガースは見事に怒濤の6連勝を達成し、順位も一気に4位へと浮上!
不振の暗雲を完全に吹き飛ばし、反撃の狼煙を上げたチームはいよいよ「交流戦」へと突入する。
次なる決戦の舞台は広島――マツダスタジアム。
広島東邦カーズの本拠地で待つのは、カミソリシュートを武器にする豹馬の同い年の宿敵・平松陽星。熱きライバル対決の新たな幕が、いま切られようとしていた。




