第19話:ジャガースの逆襲、新魔球と放物線が交差する夜
舞台は満員のベルーナドーム。ついに復帰の時を迎えた銭形豹馬は、堂々たる佇まいで先発マウンドに登板した。その視線の先には、かつて己を完封した宿敵・伊達鷲一郎の姿がある。また、同じく二軍で泥にまみれ、打撃を一から鍛え直してきた巨漢・ロイもスタメンに名を連ね、打撃練習から柵越えを連発して完全復活をアピールしていた。
迎えた1回表、東北円天ゴールデンイーグルスの攻撃。
豹馬はキレのある直球で立ち上がりの1番、2番打者を打ち取り、あっという間に2アウトを重ねる。そしてついに、3番・伊達鷲一郎が打席へ入った。
(伊達兄の左眼が見えない特性を突き、ここは外角中心に出来たての新魔球で真っ向勝負だ……!)
覚悟を決めた豹馬が投じた初球は、外角へ鋭く沈む新魔球「コブラシンカー」! ゾーンに入ると見せて手元で急降下する軌道に、天才打者・伊達のバットは空を切る。
続く2球目も同じく外角へのコブラシンカー。抜群のミート力を誇る伊達ですらバットにかすらせることができない。
そして勝負の3球目――豹馬が繰り出したのは、もう一つの新魔球「ジャイロフォーク」だった! スピードを殺しながら打者の手元でバットをあざ笑うかのように落ちる魔球の前に、伊達のバットは三度空を切り、圧巻の3球三振! 豹馬は前回与えられた屈辱を見事に初球から跳ね返してみせた。
伊達も心の中で呟いた。
(銭形よっ、二軍で調整していたと言うことはこう言うことだったのか…)
投手の気迫に応えるように、その裏のジャガースの攻撃も爆発する。
1番・猿飛英恵が出塁し、2番・滝川夏央が手堅く送ってチャンスを作ると、2アウト一・二塁の場面で5番・ロイが打席に入る。相手左投手の前で右打席に立ったロイは、2ストライクと追い込まれながらも、山形での居合修行で克服した変化球を見事にとらえた! 白球は綺麗な描線を描き、バックスクリーンへ吸い込まれる豪快な先制3ランホームランとなった。
さらに勢いは止まらない。続く6番・指名打者の豹馬も初球を鋭く捉え、レフトスタンドへ飛び込む2者連続のソロホームラン! 自らのバットでも復活をアピールした。
試合はジャガースが攻守で相手を圧倒し、最終スコア「8-0」で圧勝。
豹馬は7回被安打わずか2の無失点と圧巻の好投を見せ、打っても4打数3安打の猛打賞。ロイも同じく4打数3安打2本塁打の大暴れを見せた。一方で宿敵・伊達は4打数ノーヒットに抑え込まれ、豹馬は見事に雪辱を果たしたのだった。
試合後のヒーローインタビューでは、二刀流の復活劇を支え合った豹馬とロイが並んでお立ち台へ上がった。
「ありがとうロイ兄。最高の援護だったぜ! これからもよろしくなっ!」
「豹馬、最高のピッチングとバッティングだったよ。お互いにここからチームを押し上げていこう!」
不振の暗雲を振り払い、強烈な輝きを取り戻した従兄妹たちの活躍により、埼玉ジャガースは最下位からの怒濤の逆襲劇を開始するのだった。




