第11話:戦友の病室と次なる怪物への誓い
北の大地での激闘と痛みを伴う連戦を終え、埼玉ジャガースは本拠地・所沢へと戻ってきた。
エスコンフィールド北海道でのファイターズ戦、早瀬駆の猛烈なスライディングによって負傷し、そのまま入院を余儀なくされた正捕手・香島太雅の見舞いのため、病院の一室には銭形豹馬、猿飛英恵、そしてロイの3人の従兄妹たちが駆けつけていた。
病室のドアを軽くノックして入ると、ベッドの上で上半身を起こしていた香島が、少し驚いたような、そして嬉しそうな表情で迎えてくれた。
はじめに、豹馬が心配そうな顔を引っ込めて、いつもの威勢のいい調子で声を張り上げる。
「香島さん、大丈夫っすか!? あんたのことが気になったもんでこうして3人で来ましたよっ!」
続いて英恵が、パッチリとした目を優しく細めながら気遣うように言葉を続けた。
「香島さん、あなたはお怪我の方を大事にして下さいねっ」
さらに、巨体のロイがどっしりと構えながら、低く落ち着いた声で力強く励ます。
「香島、一軍の方は俺たちに任せて、今は怪我を治すことに集中することだ!」
仲間たちの温かい言葉に、香島は穏やかな笑みを浮かべて頷いた。
「ありがとう、みんな。わざわざ俺のところに来てくれて。でも、ケガの方は大事に至らずに済んだ。ただ後10日間は安静した方が良いと先生に言われたけどねっ……」
それを聞いた豹馬は、ふんと鼻を鳴らすと、北海道での一件を持ち出した。
「あの早瀬の奴、どうやら二軍落ちしたらしいっすよ!」
しかし、香島は静かに首を横に振り、自身のプレーを振り返るようにぽつりと言った。
「まぁ、あのプレーはあいつ(早瀬)もだが、俺も悪いんだ……。あの時は向こうの先制点阻止に拘らずにもう少しうまく避ければ良かった……」
「まぁ、済んじまった事だから今更後悔してもしょうがねぇ……」豹馬は軽く手を振り、前を向く。「あんたが戻るまでは、久賀さんや津下さんに受けてもらうから、しばらくは治療に専念して下さい。次のロット戦は必ず全勝してみますから!」
豹馬の頼もしい言葉に、香島は少し引き締まった表情になり、仲間たちへ真剣なトーンで警告を発する。
「ロットもまた、恐るべき怪物ルーキーが登板するみたいだぞっ! みんな、俺が戻るまでがんばってくれ! とにかく今日は本当にありがとう!」
怪我を負った正捕手と、その思いを背負って戦う若武者たち。
お互いを強く励まし合い、次なる千葉ロットマーリンズ戦という新たな戦いに向け、それぞれの闘志を胸に刻み込むのであった。




