8話 氷の女王と炎の王
「氷戒!」
「ゴゴゴゴゴ!カチカチカチ」
戦地にいつぞやの氷の壁が。
「オルネイア……」
「魔法が戻ったのか」
すると、オルネイアの耳になれない声が。
「オルネイアさん!」
戦地に無防備にも走ってきたのは、アビスであった。
「ハア、ハア、ハア、ハア……魔法に封印魔法がかかっていたようなので………解いておきました」
「誰?あんた。オルネイアに何したの?」
レグナが問いただす。
「わ、私………」
「ゴォォォ!カチカチ!ドォォォォン!」
魔法の衝撃音と共に微かに聞こえる声。
「その人は………命の………恩人……」
レグナの高圧的な態度が止む。
「………ごめん…」
「氷戒!」
「炎撃!」
魔法を交互に出し合い、お互い一歩も引かない。
「氷麗!」
オルネイアが先に賭けに出る。オルネイアが出せる現最大魔法。魔法陣から蒼白い柱が立つ。その柱に触れるとたちまち凍ってしまうのだが、その渾身魔法も当たらなければ意味がないわけで、ヴァルカスには避けられてしまう。
「ッ!」
「屋魔k生梨彫冷c禰d!!!」
オルネイアが氷魔法、ヴァルカスがほ炎魔法で互いの魔法を打ち消し合う。お互いに傷が増える一方である。
「ドゴォォォォン!!」
「バゴォォォォン!!」
「グシャ!!」
「ドン!!」
「ゴォォォ!!」
「グシャ!!」
魔力が消えるのが先か、命が尽きるのが先か。最後まで不明であった。彼女たちだけならば。
(このままだと私の魔力が尽きて終わるわね………何とかしないと………)
「炎砲!」
「命破!」
「風刃!」
「こっちは片付いたぜ!王様よぉ!!」
「ガルディア!」
「あいつらイグゾルが消えた途端、一気に弱くなった。魔法でもかけられていたんじゃないか?」
実際、ヴァルセリア軍は、力を失っていた。ヴァルセリア軍にかけられていたのは強化魔法。その強化魔法が消えたことで、大幅な力を失った。そんなヘタレ軍は、ガルディアなゼファルたちにとって屁でもなかったのだ。
「形勢逆転ね」
「……………」
「………虞…」
「グォォォォォォォォォ!!!!」
追い詰められたと感じたのか、ヴァルカスの中から妖気が大量に吹き出した。
「これが貴方に巣食っていたってわけね。今助け出すわ、ヴァルカス」
ヴァルカスの原型は既にない。そこには妖気を身に纏ったひとつの黒い塊である。
「グォォォォォォォォォ!!!!」
「ドゴォォォォ!!!」
黒い炎が辺りを焼き尽くす。
「この炎、消えない?!」
炎黒:炎砲の強化魔法。その炎は残り続け、焼き尽くす。攻撃力は炎砲の1.5倍となる
「グッ?!」
間一髪で氷の盾で防ぐ。
(氷の盾で凍らせ続けているのに、ここまで暑さが……)
「オルネイアさん!」
アビスが叫ぶ。
「あれは『闇』です!単刀直入にいいます。私に力を貸してください!あれを抑える方法を知っています」
「……わかりました!」
「ボォォ!!」
炎黒を必死に振り払う。
「私に力を注いでください!闇を消す『光』をぶつけます!」
「力を?光って?」
「時間がありません。あの方を助けたいんでしょう?貴方は迷う暇などあるのですか?」
「………ッ!」
(そうだ。私は罪を償うためにここにいる。迷う暇なんてない。私は一国の王だから!)
「いきますよ!」
「はい!」
「ハァァァァァァァ!!!!」
オルネイアの魔力がアビスに流れ込む。そして、溢れ出るほどまでに魔力が増大したアビスが、レグナやガルディア、ゼファルたちによって辛うじて食い止められている闇の塊に、魔法陣を構える。
「浮照a捕r奈費敏k禰!!」
放たれたのは黒い光。どこか藍色にも見えるその光は、塊に直撃する。
「ドゴォォォォン!!」
闇の妖気だけが宙を舞いヴァルカスから離れていく。倒れるヴァルカス。去っていく妖気。へたり込むオルネイアたち。戦場とは思えないほどの情景だった。敵味方関係なく、疲れ切っているのだ。数刻時がたち、やっとアルセリア軍から歓声が沸く。そして、魔力を使い果たし、動けないでいる女王に仲間たちが寄る。そして、女王は一言。
「ありがとう。みんな」
お読みいただき、ありがとうございます。大きな戦いはひとまず終わりました。ですが、今作は本編八章構成の予定です。頭では何となく構想はできているのですが、文字が追いつきません。かなり長い冒険となるかと思いますが、今後ともよろしくお願いします。次回は遂に、より大きな組織が動き出しますので、是非ご覧いただけると幸いです。




