6話 アルセリア城の奇襲
<同刻 アルセリア城付近>
硬直の中動いているもう一人はイグゾルであった。
(アルセリア城を先に落とそうか。いや、それは二の次だ。まずは……)
アルセリア城に向かうイグゾルは思案する。移動魔法を構築し、アルセリア城までひとっ飛びであった。アルセリア城にいるのはサリシアとクラリス、そして非戦闘員であった。簡潔に言うなれば、この状況はピンチである。アルセリア城が壊滅すれば、もし、戦に勝ったとしても、アルセリアの損害は大きい。イグゾルは笑みを浮かべる。イグゾルはすでにアルセリア城の門まで到着していた。しかし、城を覆い尽くしておたのは、
「結界か……小癪な真似を」
「パリンッ!」
イグゾルは結界をガラスのように破ってしまった。城はいつものような活気が無く、薄暗い。
「毒牙!」
「ドォォォォン!」
何もない廊下の隅から魔法が。すかさず、
「雷閃!」
「ゴゴゴゴゴ」
「流石に手強いわね」
「わっちの魔法もそろそろ限界だよー」
「何者だ!」
「奇襲に失敗したんじゃ、もう意味がないわ」
そこに現れたのはサリシアとクラリスであった。
「お前は!この国の貴族様ではないか?……何とまあ他国の民の来国だと言うのに、いささか無作法ではないか?」
「貴方はイグゾル殿?お久しぶりでございます。……しかし、貴殿こそ無礼では無くて?これは不法侵入、処罰の対象ですよ?」
「…………ところで今のは消失魔法か?」
消失魔法:姿を消すことのできる魔法。魔力を多く消費する
「知りたければ、大人しく捕まることね。今なら、国家転覆を目論んだ罪でも最高の牢を用意してあげますわ」
「それくらいいーんじゃない?本当に消失魔法なんだし……」
「ちょっと、クラリス!こう言うのは、駆け引きが肝心なの!相手に舐められたらダメなのよ!」
「ゴゴゴゴゴ」
「塵に割く時間がもったいない」
イグゾルの魔法が直撃した。
「ゴ、ゴミですって?!許せないわね!」
「毒牙!」
「それはさっきも見た!」
イグゾルは軽々とかわす。しかし、
(何だ?体が重い)
「残念だけど私には長期戦は持ちかけない方がいいわ。『毒陣』が貴方を苦しめるもの」
毒陣:毒性の陣。対象者の動きを3割程度下げ、持続的にダメージを与える
「小癪な!ねらばすぐに終わらせてやる!!」
「星励!!」
魔法陣から出てきたのは数片の隕石。しかし、その小ささから放たれるエネルギーは強大で決して侮れない。
「ドゴォォォォ」
「福音」
「ピカッ!!」
その光と共に、隕石は衝突する前に粉々に砕け、蒸発してしまった。光り輝く魔法を放ったのはクラリスであった。
「そ、その魔法は……」
「あっちの魔法!綺麗でしょう?もう一回見せたげる!」
「福音!」
「グハッ」
光はイグゾルを包み込み、ダメージを与えた。
「毒牙」
次々と畳み掛ける。もうイグゾルには「毒牙」を避ける余裕はない。しかし、その被害は両手が腐るにとどめているのは、さすがG並の素早さと言っていいだろう。それでもなお、毒のデバフと二人の連携には敵わない。
(何が非戦闘員だ。情報と全く違うではないか………仕方あるまい)
イグゾルは苦渋の決断をする。
「星火励!」
その瞬間、光と共にアルセリア城の一部が損壊した。
星火励:星励の上位魔法。星励とは威力が1.5倍となり、速さも2倍となる。隕石の大きさも大きくなり、格段に強くなる。
「残念だったね。わっちの『福声』で相殺したわ」
「馬鹿な?!」
福声:聖なる声で操者の周りに結界に似た防護魔法を張る。本来であれば、福声の威力は到底星火励には及ばないはずであった。しかし、相性が悪い。決定的に。イグゾルとクラリスは初めから勝負が決まっていたのだ。それに気づくのにイグゾルは遅かった
もうイグゾルにも魔力は残っていない。終演である。イグゾルの1人劇は。
「毒牙!」
「バゴォォォォン!」
毒牙のあと、そこにはイグゾルの姿はなく、何も残ってはいなかった。
<同刻 戦場周辺のアルセリア拠点>
アビスはせっせと働きながら、戦場を眺めていた。その時、アビスは戦場の中心から立ち込める禍々しい妖気を見て、目を丸くする。
「『闇』だ」
お読みいただき、ありがとうございます。魔法の数も多くなって参りました。この作品では、魔法の名前は長くなるほど強くなる設定です。え?大体そうだって?そんなこと誰が決めたんです?まあ、それは置いといて、名前をつけるのがとても苦手ですので、何かアドバイスがあったらいただきたいです。ぜひ、今後もよろしくお願いいたします。




