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LEGENDS  作者: クライブ
第一章 物語の始まり
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5話 旅人

 5話 旅人

決意を固めたオルネイアには、進むべき道が見えている。しかし、彼女の傷は浅いものではなかった。

「いけません、陛下。レグナ様のおっしゃる通り、陛下は重傷なのです。クラリス様の薬も残り少ないのですよ」

オルネイアには返す言葉がない。こんな状態で行っても足手纏いになるだけであろう。

「では、私が治しましょう」

「何者だ!」

兵士が槍を突きつけた先の森から現れたのは、黒く長い髪に、薄汚れたターバンを巻いて、長身な女だった。

「私は回復魔法が扱えます。その傷であったら今すぐにでも治せますよ」

「馬鹿な!そんな出鱈目があるのもか!それほどの力はクラリス様に匹敵するぞ」

「ですが…」

そこでオルネイアは決断を下す。

「いいわ。治せるなら何でもやってちょうだい」

「しかし…」

オルネイアの熱い眼差しが兵士の心を貫く。女による治療が始まった。彼女がオルネイアの胸の辺りに手を翳すと、傷が光り輝いてくる。

「貴方は何者?」

「旅人です。通りすがりの。近くで戦争があると聞いて迂回してきたらここに…」

「そう…」

そんな会話で治療は終わりかけている。

「終わりました」

「本当にありがとうございます。何とお礼を言ったら良いか」

「いえいえ。私が好きな言葉は『助け合い』です。私が貴方を助けた分は、他の誰かの役に立ててください」

「それでもお礼を………もしこの戦いが終わったら、私の王国に来てくださいませんか?食料や装備などさまざまな物資を差し上げます」

「でも………分かりました。では、お言葉に甘えて」

オルネイアの金色に輝く瞳が彼女の意思を揺るがせたようだ。しかし、彼女も退かなかった。

「それでは、私に何か手伝えることがあったら、何かおっしゃってください」

彼女の黒い瞳もオルネイアの心に刺さる。お互い相当なお人好しで、熱い眼差しには弱いようだ。結局、彼女も後方支援をすることになった。

「遅くなったけれど、貴方の名前は?」

「あっ、そうですね。申し遅れました。私は『アビス』と申します。サラーレ」

「サラーレ?」

「ああ、サラーレっていうのは私の地方の言葉で、『よろしく』とか『ありがとう』っていう挨拶なんです」

「面白いわね。アビスはどこを目指して旅を…」

「バゴォォォォン」

「急がなくちゃ!ごめんなさい!失礼するわ」

オルネイアとアビスの他愛もない会話も一瞬で途切れてしまった。


時は少し遡る。戦地では絶え間なく戦いが繰り広げられていた。しかし、ある二人により一瞬の休戦が起こる。レグナとイグゾルである。

「炎砲(フレア)!」

「雷閃(プラズマ)!」

「ドゴォォォォン!ゴゴゴゴゴ!」

激しい魔法合戦が起こる。これに身動きが取れるものは少なかった。

「どうしたぁぁぁ!そんなものかぁぁあ!」

レグナは痛みが増すと口調が荒っぽくなり、戦闘狂になる悪癖があった。

彼女の魔法に対処するのに手間取っているイグゾルにガルディアとゼファルの援護が入る。

「命破(ストレス)!」

「風刃(カッター)!」

次々とイグゾルの体力を削っていった。

「このまま押し切れ!」

「日頃の訓練が役に立っているな!」

ゼファルが言った通り、彼らは異様なまでに連携が取れていた。オルネイアの死を間近に感じた彼らにとっての火事場の馬鹿力的な何かである。

(このままだと押し切られて殺られるな)

「ヒュン」

イグゾルは消え失せた。何が彼女の生存本能を掻き立てるのか、G並の生存力で逃げ切ったのである。

当然、その場の皆は困惑する。

「逃げた?」

その場の全員が感じたことであろう。その中には喜びを抱くものや屈辱や怒り、悲しみをもつもののさまざまであろう。

「ふむ。実に見事な遊戯であった。貴君らは、私の王国の幹部に引き立ててやろう」

雰囲気が一変する。ヴァルカスである。彼からはレグナ達が感じたことのない、妖気(オーラ)を纏っていた。そして次の瞬間、

「ふふふふふはははははは!!!!次は私だ!私の番だ!戦うぞ、皆のもの!我が王国がさらに豊かになるために!更なる発展のために!アルセリアの民たちにわからせるのだ。我々の恐ろしさを!抵抗するものは容赦なく殺せ!ハーハッハッハッ!!詠n殼杈wz弍辟谿g莆礙l禰!」

この世のものとは思えない声であった。敵味方関係なく、ただ一人を畏怖する空間。


恐ろしい空間である。逃げ出したくなるような。その異質さに恐怖するのだ。そこにいるのはヴァルカスではない何か。しかし、硬直の中、二人だけが動いている。その一人がこちらに向かってきているのだ。美しい銀髪にマリーゴールドのような金色の瞳、誰よりも勇敢で優しい一国の王である。

お読みいただき、ありがとうございます。少し世界観が定着してきた頃でしょうか。アビスという新キャラも登場し、少し伏線なども容れて行けたらいいなと思っております。どうか今後もよろしくお願いいたします。

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